フレーバーホイール作成の背景について

泡盛の香りや味わいを表現することは難しく、泡盛製造者、泡盛販売者、泡盛愛好家など様々な立場の人々が、それぞれ工夫をしながら表現をしてきました。
しかし、特に研究・製造現場では、これらの表現の捉え方が人によって違っていたり、曖昧であったりすると、品質管理、研究あるいは商品開発の方向性が定まりません。それは、ひいては消費者の方に泡盛の魅力が伝わらないことを意味します。
そこで我々は、泡盛に関する科学的知見を踏まえ、泡盛から感じることのできる香りや味わいなどの表現について整理し、似た香り・似た味わいのものを近くに配置して円状に配列したフレーバーホイールを作成しました。このフレーバーホイールを用いることで、泡盛の造り手から消費者まで一環とした共通の表現で泡盛の香味について会話することが可能となります。
なお、お酒のフレーバーホイールは、ワイン、ビール、ウイスキーなどで作成されており、2006年には清酒、2020年には本格焼酎のフレーバーホイールが作成されています。お酒以外でも、コーヒー、紅茶、だし、チョコレート、チーズなど幅広い食品分野で作成されています。

表現をどのようにまとめたか

香りや味わいの表現は、琉球大学、沖縄工業高等専門学校、沖縄県工業技術センター、沖縄国税事務所の職員を中心メンバーとして、現在泡盛や焼酎などで使用されている表現を収集するとともに、実際に市販されている泡盛をきき酒して感じられる香りや味についての表現を可能な限り出しあい、これらを整理しました。
また、全ての香りや味わいの表現について「良い」、「悪い」といった印象は除外しています。どのような香りがあるから良い泡盛だ、悪い泡盛だ、という意味づけはここではしていないということです(このような整理の方針の詳細は、以下の「基本方針」としてまとめています。)。
このようにして今回整理した用語は99に上ります。フレーバーホイールの図中には49用語を示しており、また49用語を17種類に分類しています。残りの50用語は、より詳細なあるいは専門的な用語であり、フレーバーホイールの図中には示していませんが、以下の「泡盛の香味に関する品質評価用語体系表」の中に記載してあります。
なお、戦前の文献で泡盛の古酒香として3つの香り「白梅香」、「熟れたほおずき」、「雄ヤギ」が挙げられていたため暫定的に掲載していますが、現時点で香りの共通認識が得られていません。この点について、今後検討を進める予定としております。

泡盛フレーバーホイール