1 令和元事務年度における相続税の実地調査の状況

令和元事務年度においては、収集した資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告であると想定される事案など、大口事案や悪質な不正が見込まれる事案について、実地調査を実施した結果、1件当たりの追徴税額(571万円)が前年比107.8%となりました。

相続税の調査状況

事務年度等
平成30事務年度 令和元事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
1,924 1,451 75.4
2 申告漏れ等の非違件数
1,685 1,231 73.1
3 非違割合
(21
ポイント
87.6 84.8 ▲ 2.7
4 重加算税賦課件数
326 266 81.6
5 重加算税賦課割合
42
ポイント
19.3 21.6 2.3
6
(注)
申告漏れ課税価格
億円 億円
538 397 73.7
7 6のうち
重加算税賦課対象
億円 億円
125 92 73.5
8 追徴税額 本税 億円 億円
86 71 82.3
9 加算税 億円 億円
16 12 75.6
10 合計 億円 億円
102 83 81.3
11 実地調査
1件当たり
(注)
申告漏れ課税価格
61
万円 万円
2,798 2,733 97.7
12 追徴税額
101
万円 万円
530 571 107.8

(注) 「申告漏れ課税価格」は、申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適用財産を含む。)から、被相続人の債務・葬式費用の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものである。よって、「V 参考計表」の「1 申告漏れ相続財産の金額の推移」の金額と一致しない。

2 令和元事務年度における相続税の簡易な接触の状況

実地調査を適切に実施する一方、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの接触(以下「簡易な接触」といいます。)の手法も効果的・効率的に活用し、適正・公平な課税の確保に努めています。
 令和元事務年度においては、非違及び回答等の割合(56.0%)が前年より2.8ポイント増加し、簡易な接触1件当たりの追徴税額(47万円)も対前事務年度比112.0%と増加しました。

相続税の簡易な接触の状況

事務年度等 平成30事務年度 令和元事務年度  
項目 対前事務年度比
1 簡易な接触件数
1,260 1,210 96.0
2 申告漏れ等の非違件数
315 279 88.6
3
(注1)
回答等の件数
355 398 112.1
4 申告漏れ等の非違及び
回答等の件数(23
670 677 101.0
5 非違及び回答等の割合
(41
ポイント
53.2 56.0 2.8
6
(注2)
申告漏れ課税価格
億円 億円
49 46 94.3
7 追徴税額 本税 百万円 百万円
499 540 108.2
8 加算税 百万円 百万円
29 27 95.2
9 合計 百万円 百万円
528 567 107.5
10 簡易な接触
1件当たり
(注2)
申告漏れ課税価格
61
万円 万円
388 381 98.2
11 追徴税額
91
万円 万円
42 47 112.0

(注)

  1. 1 「回答等の件数」とは、無申告が想定される者への書面照会に対する回答件数や、書類の提出依頼に対する書類提出件数のことをいう。
  2. 2 「申告漏れ課税価格」は、申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適用財産を含む。)から、被相続人の債務・葬式費用の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものである。

Ⅱ 調査に係る主な取組

1 無申告事案に対する調査状況

無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、資料情報の収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めています。
 令和元事務年度においては、実地調査1件当たりの追徴税額(910万円)が前年比120.0%となりました。

無申告事案に対する実地調査の状況

事務年度等 平成30事務年度 令和元事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
240 148 61.7
2 申告漏れの非違件数
222 122 55.0
3 非違割合
21
ポイント
92.5 82.4 ▲ 10.1
4 申告漏れ課税価格 億円 億円
197 117 59.5
5 追徴税額 本税 百万円 百万円
1,450 1,097 75.6
6 加算税 百万円 百万円
370 250 67.4
7 合計 百万円 百万円
1,820 1,347 74.0
8 実地調査
1件当たり
申告漏れ課税価格
41
万円 万円
8,225 7,938 96.5
9 追徴税額
71
万円 万円
759 910 120.0

無申告事案に係る調査事績の推移

2 海外資産関連事案に対する調査状況

納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正な課税を実現するため、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などを効果的に活用し、海外取引や海外資産の保有状況の把握に努めています。
 令和元事務年度においては、海外資産に係る申告漏れ等の非違件数が過去5年間で最高となりました。

〇 海外資産関連事案に対する実地調査の状況

事務年度等 平成30事務年度 令和元事務年度    
項目 対前事務年度比
1 海外資産関連事案に係る
実地調査件数
     
134 97   72.4
2 海外資産に係る
申告漏れ等の非違件数
109 81 74.3
18 19   105.6
3 海外資産に係る
重加算税賦課件数
21 17 81.0
2 4 200.0
4 海外資産に係る
申告漏れ課税価格
3,590 百万円 2,684 百万円 74.8
265 341 128.8
5 4のうち重加算税賦課対象 332 百万円 554 百万円 166.8
25 191 777.6
6 非違1件当たりの
申告漏れ課税価格(42
3,294 万円 3,313 万円 100.6
1,470 1,794 122.0

(注)

  1. 1 海外資産関連事案とは、1相続又は遺贈により取得した財産のうちに海外資産が存するもの、2相続人、受遺者又は被相続人が日本国外の居住者であるもの、3海外資産等に関する資料情報があるもの、4外資系の金融機関との取引があるもの等のいずれかに 該当する事案をいう。
  2. 2 左肩数は、国内資産に係る非違も含めた計数を示す。

〇 海外資産に係る調査事績の推移

3 贈与税に対する調査状況

相続税の補完税である贈与税についても、積極的に資料情報を収集するとともに、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努め、無申告事案を中心に贈与税の調査を的確に実施しています。
 令和元事務年度においては、実地調査を597件実施し、741百万円を追徴課税しました。

〇 贈与税事案に対する実地調査の状況

事務年度等 平成30事務年度 令和元事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
835 597 71.5
2 申告漏れ等の非違件数
811 569 70.2
3 申告漏れ課税価格 億円 億円
40 29 71.3
4 追徴税額 百万円 百万円
1,288 741 57.5
5 実地調査
1件当たり
申告漏れ課税価格
31
万円 万円
482 481 99.7
6 追徴税額
41
万円 万円
154 124 80.5

〇 調査事績に占める無申告事案の状況

〇 調査事績に係る財産別非違件数

Ⅲ 参考計表

1 申告漏れ相続財産の金額の推移

2 申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移

3 海外資産関連事案に係る財産別非違件数の推移

(注)

  1. 「延件数」とは、1つの事案において、複数の財産に申告漏れがあった場合、それぞれ1件と集計したものである。

4 海外資産関連事案に係る地域別非違件数の推移

(注)

  1. 「延件数」とは、1つの事案において、複数の財産に申告漏れがあった場合、それぞれ1件と集計したものである。