1 平成30事務年度における相続税の実地調査の状況

(1) 実地調査件数及び申告漏れ等の非違件数

相続税の実地調査は、平成28年及び平成29年に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案等について実施しました。
 実地調査の件数は1,924件(平成29事務年度1,895件)、このうち申告漏れ等の非違があった件数は1,685件(平成29事務年度1,636件)で、非違割合は87.6%(平成29事務年度86.3%)となっています。

(2) 申告漏れ課税価格

申告漏れ課税価格は538億円(平成29事務年度646億円)で、実地調査1件当たりでは2,798万円(平成29事務年度3,409万円)となっています。

(3) 申告漏れ相続財産の金額の内訳

申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等195億円(平成29事務年度186億円)、有価証券39億円(平成29事務年度186億円)、土地89億円(平成29事務年度75億円)となっています。

(4) 追徴税額

追徴税額(加算税を含む。)は102億円(平成29事務年度180億円)で、実地調査1件当たりでは530万円(平成29事務年度950万円)となっています。

(5) 重加算税の賦課件数

重加算税の賦課件数は326件(平成29事務年度336件)、賦課割合は19.3%(平成29事務年度20.5%)となっています。

相続税の調査事績

事務年度等
平成29事務年度 平成30事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
1,895 1,924 101.5
2 申告漏れ等の非違件数
1,636 1,685 103.0
3 非違割合
(21
ポイント
86.3 87.6 1.3
4 重加算税賦課件数
336 326 97.0
5 重加算税賦課割合
42
ポイント
20.5 19.3 ▲ 1.2
6
(注)
申告漏れ課税価格
億円 億円
646 538 83.3
7 6のうち
重加算税賦課対象
億円 億円
134 125 93.3
8 追徴税額 本税 億円 億円
155 86 55.5
9 加算税 億円 億円
25 16 63.7
10 合計 億円 億円
180 102 56.6
11 実地調査
1件当たり
(注)
申告漏れ課税価格
61
万円 万円
3,409 2,798 82.1
12 追徴税額
101
万円 万円
950 530 55.8

(注) 「申告漏れ課税価格」は、申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適用財産を含む。)から、被相続人の債務・葬式費用の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものである。よって、「V 参考計表」の「1 申告漏れ相続財産の金額の推移」の金額と一致しない。

2 平成30事務年度における相続税の簡易な接触の状況

相続税の簡易な接触の状況

国税局においては、実地による税務調査を適切に実施する一方で、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの接触(以下「簡易な接触」といいます。)を実施し、適正申告の確保に努めています。
 平成30事務年度における簡易な接触の件数は1,260件(平成29事務年度1,363件)、このうち申告漏れ等の非違及び回答等があった件数は670件(平成29事務年度831件)で、この割合は53.2%(平成29事務年度61.0%)となっています。

相続税の簡易な接触の事績

事務年度等 平成29事務年度 平成30事務年度  
項目 対前事務年度比
1 簡易な接触件数
1,363 1,260 92.4
2 申告漏れ等の非違件数
361 315 87.3
3
(注1)
回答等の件数
470 355 75.5
4 申告漏れ等の非違及び
回答等の件数(23
831 670 80.6
5 非違及び回答等の割合
(41
ポイント
61.0 53.2 ▲7.8
6
(注2)
申告漏れ課税価格
億円 億円
47 49 103.6
7 追徴税額 本税 百万円 百万円
433 499 115.3
8 加算税 百万円 百万円
23 29 123.9
9 合計 百万円 百万円
456 528 115.8
10 簡易な接触
1件当たり
(注2)
申告漏れ課税価格
61
万円 万円
346 388 112.1
11 追徴税額
91
万円 万円
33 42 125.2

(注)

  1. 1 「回答等の件数」とは、無申告が想定される者への書面照会に対する回答件数や、書類の提出依頼に対する書類提出件数のことをいう。
  2. 2 「申告漏れ課税価格」は、申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適用財産を含む。)から、被相続人の債務・葬式費用の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものである。

Ⅱ 調査に係る主な取組

1 無申告事案に対する調査状況

  •  無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、国税局では資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めています。
  •  平成30事務年度においては、無申告事案に対する実地調査を240件(前年対比109.1%)実施しました。このうち、申告漏れの非違があったものは222件(同116.2%)、追徴税額の総額は18億2千万円(同129.8%)となっています。

無申告事案に対する実地調査の状況

事務年度等 平成29事務年度 平成30事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
220 240 109.1
2 申告漏れの非違件数
191 222 116.2
3 非違割合
21
ポイント
86.8 92.5 5.7
4 申告漏れ課税価格 億円 億円
164 197 120.2
5 追徴税額 本税 百万円 百万円
1,113 1,450 130.3
6 加算税 百万円 百万円
290 370 127.8
7 合計 百万円 百万円
1,403 1,820 129.8
8 実地調査
1件当たり
申告漏れ課税価格
41
万円 万円
7,465 8,225 110.2
9 追徴税額
71
万円 万円
638 759 118.9

無申告事案に係る調査事績の推移

2 贈与税に対する調査状況

  •  国税局では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するために、積極的に資料情報を収集するとともに、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、無申告事案を中心に、贈与税の調査を実施しています。
  •  平成30事務年度においては、贈与税事案に対する実地調査を835件(前年対比116.0%)実施しました。このうち、申告漏れ等の非違があった件数は811件(同116.9%)、追徴税額の総額は12億9千万円(同140.1%)となっています。

〇 贈与税事案に対する実地調査の状況

事務年度等 平成29事務年度 平成30事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
720 835 116.0
2 申告漏れ等の非違件数
694 811 116.9
3 申告漏れ課税価格 億円 億円
33 40 121.5
4 追徴税額 百万円 百万円
919 1,288 140.1
5 実地調査
1件当たり
申告漏れ課税価格
31
万円 万円
461 482 104.7
6 追徴税額
41
万円 万円
128 154 120.8

〇 調査事績に占める無申告事案の状況(平成30事務年度)

(1) 申告漏れ等の非違件数の状況

(2) 申告漏れ課税価格の状況

〇 調査事績に係る財産別非違件数(平成30事務年度)

(注) 各財産の件数は非違件数(延件数)、( )内の数値は構成比。

Ⅲ 参考計表

1 申告漏れ相続財産の金額の推移

2 申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移