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別紙1-1

7 照会の趣旨(法令解釈・適用上の疑義の要約及び照会者の求める見解の内容)

静岡県下の山林所有者は、森林組合と素材生産販売委託契約を締結し(別添1−1 (PDF/103KB) )、山林に係る立木調査、伐採、造材、運材処分等の一切を委託している。
 ここで生産された材木を県森林組合連合会(以下「県森連」という。)の開設する木材市場で売却した場合、山林所有者は、木材市場における材木販売代金から、県森連の木材市場経費1を差し引かれ、さらに森林組合の事業費2を差し引かれた後の金額を森林組合から精算書により通知を受け(別添2−1 (PDF/106KB) 、2−2 (PDF/105KB) )、その金額を受領している。

1 木材市場経費…  県森連の規程(別添1−2 (PDF/103KB) )により、山林所有者が県森連に支払う委託販売に係る手数料(市場における売上金額に一定の率を掛けて計算される金額)と はえ積料・・・・の合計額である。
2 事業費…  森林組合の手数料(木材市場における材木販売代金から木材市場経費を差し引いた後の金額6%相当額)及び素材生産販売委託に必要な労務費、運賃、資材費等の合計額であり(別添3 (PDF/104KB) )、その全額が森林組合の課税売上げとなるものである。
このとき、材木販売代金から差し引かれる木材市場経費及び事業費は、消費税法基本通達10‐1‐12(委託販売等に係る手数料)の委託販売手数料に該当するものとして、木材市場等における材木販売代金から当該木材市場経費及び事業費を控除した後の金額を山林所有者の課税売上高とすることができると考えますが、確認のため伺います。

別紙1-2

8 照会に係る取引等の事実関係(取引等関係者の名称、取引等における権利・義務関係等)

1 森林組合の組織
森林組合は、森林組合法に基づいて設立された協同組合であり、組合員の経済的、社会的地位の向上、森林の保護と育成、林業の社会的な貢献を目的として組織された団体である。
 森林組合の組織は、下図のとおり市町村、郡単位の森林組合と、森林組合の出資により設立された都道府県段階の都道府県森林組合連合会、及び全国段階での全国森林組合連合会で構成され、出資による運営参加と事業利用により、系統組織が成り立っている。
 森林組合を構成する組合員は、零細な森林所有者が多く、組合員自身では森林整備、生産等の作業が不可能であるため、組合員に代わって森林組合が森林に係るあらゆる作業を受託し、実施することにより組合経営がなされ、森林整備にも貢献している。
森林組合の組織図
2 素材生産販売委託事業
森林組合は、山林所有者と「素材生産販売委託契約書(別添1―1) (PDF/103KB)」を締結し、山林に係る事業の一切を受託する素材生産販売受託事業を実施している。
 当該事業の概要等は、次のとおりである。
(1) 当該事業の概要
山林に係る事業の一切を受託する素材生産販売受託事業の概要
  1. イ 素材生産販売委託契約(13
     森林組合と山林所有者は、生産販売を希望する組合員の所有山林について、山林の所在地及び樹種、林齢、面積等を特定して素材生産販売委託契約を締結する。
  2. ロ 山林に係る作業等(45
     森林組合は、当該山林の生産作業を実施する。この時に発生する経費(人件費、労災保険料、資材費等)は、森林組合の「林産立替金」勘定から支出する。
     なお、生産作業を実施する作業班員は、森林組合の現場従業員(雇用契約有り)であり、森林組合からの給与(6)として支払っている。
  3. ハ 出荷(7
      生産された木材を県森連の木材市場又は製材工場へ出荷する。出荷先は、原則として森林組合が決定する。森林組合は、山土場から出荷先までの運賃等を「林産立替金」勘定から支出する。
  4. ニ  販売委託(8
    KB)県森連が開催する木材市場に委託販売した場合の値段については、県森連が決定(入札による)することになる。県森連は販売日ごとに精算書及び明細書を森林組合に送付(通知)している。
  5. ホ 販売(9
     製材工場へ出荷した場合の値段は、森林組合と製材工場とで決定した額となる。
  6. へ  決済(10
     木材市場の場合には、木材の売上金額から市場手数料及びはえ積料・・・・を差引かれた金額が、製材工場の場合には、買取金額が森林組合に対して支払われる。
  7. ト 精算(11
     上記イの契約上の山林に係る木材のすべての販売が完了すると、「精算書(別添2−1 (PDF/106KB) 、2−2 (PDF/105KB) )」のとおり上記ニ又はホの金額から差引精算し、精算後の金額を山林所有者に支払う。その精算は、各山林所有者の現場ごとに行い、作業及び費用が他の山林所有者と混同することはない。
(2) 素材生産販売委託契約書(別添1−1 (PDF/103KB) )の要約
委託者(山林所有者)は、山林(所在地、面積及び樹種等を特定)の立木調査並びに立木の伐採、造材、運材処分等一切の行為を森林組合に委託し、これを他に売却又は譲渡するなど、一切の処分をすることができないとされている(第1条)。
  森林組合は、委託された事業を誠実に実行し、事業の実行に要する費用は森林組合において立替払いをなし、材木代金(市場売上額)から差引精算を行い(第2条)、期日までに、委託された事業の収支を確定し、委託者に対する精算を終了するものとされている(第7条)。
  組合手数料は、処分価格(市場売上額から市場経費を差引いた額又は製材工場の買取金額)に手数料率(各森林組合により異なる。)を乗じた額となる(第8条)
(3) 木材市場における市場経費の内容
  1. イ 木材市場とは
     木材市場とは、県森連が営業所ごとに開催する市売のことであり、週一回程度開催される。
     県森連の木材共販事業として、県内で生産された木材の流通・販売の拠点として中心的な役割を果たしている。
  2. ロ 木材市場経費とは
     木材市場経費には、市場手数料とはえ積料・・・・が含まれる。
     市場手数料は、県森連の規程に基づく委託販売手数料であり、山林所有者が支払うべきものである。
(4) 事業費の内容
事業費の内容は、別添3 (PDF/104KB) のとおりであり、森林組合が計算・徴収するもので、山林所有者に対して決済を行う際に、差引精算されるものである。
 この事業費は、森林組合の収入(林産手数料、請負林産収入、林産雑収入)となり、労務費などの事業費は、林産立替金勘定から支払うこととなる。
 なお、林産立替金勘定には、素材生産販売に係る費用以外の費用等の混入はない。

別紙1-3

9 8の事実関係に対して照会者の求める見解となることの理由(具体的な根拠となる事例、裁判例、学説及び既に公表されている弁護士、税理士、公認会計士等の見解を含む。)

1 課税売上高計算上の委託販売手数料の取扱い(消費税法基本通達10‐1‐12)
委託販売その他業務代行等(以下「委託販売等」という。)に係る資産の譲渡等を行った場合の取扱いは、次によるとされている。
  1. (1) 委託販売等に係る委託者については、受託者が委託商品を譲渡等したことに伴い収受した又は収受すべき金額が委託者における資産の譲渡等の金額となるのであるが、その課税期間中に行った委託販売等のすべてについて、当該資産の譲渡等の金額から当該受託者に支払う委託販売手数料を控除した残額を委託者における資産の譲渡等の金額としているときは、これを認める。
  2. (2) 委託販売等に係る受託者については、委託者から受ける委託販売手数料が役務の提供の対価となる。なお、委託者から課税資産の譲渡等のみを行うことを委託されている場合の委託販売等に係る受託者については、委託された商品の譲渡等に伴い収受した又は収受すべき金額を課税資産の譲渡等の金額とし、委託者に支払う金額を課税仕入れに係る金額としても差し支えないものとする。
したがって、上記(1)の取扱いを受けている場合には、委託者は、受託者が収受した又は収受すべき課税資産の譲渡等の金額から受託者に支払う委託販売手数料を控除した後の金額を基礎として計算した課税売上高により、事業免税点や簡易課税制度の適用要件の判定を行うことができることとなる(平成16年度版消費税法基本通達逐条解説)。
2 事業費が委託販売手数料に該当する見解となる理由
市場経費及び別添3 (PDF/104KB) で示した事業費は、いずれも森林組合が、山林所有者からその所有する山林の販売に至るまでの一切の事業の委託を受けて、1その委託を受けてから販売するまでの範疇から生じた費用であり、 2素材生産販売委託に係る契約上、森林組合が支出すべきものであって、3受託者の計算により事業終了後に精算が可能な状態になるもので、 4精算書(別添2−1 (PDF/106KB) 、2−2 (PDF/105KB) )のとおり、別紙1−2の2(1)ニ又はホの決済金額から当該事業費を差引いた精算後の金額のみの決済を行っていることから、消費税法基本通達10‐1‐12に規定されている「委託販売手数料」 に該当すると考えられる。
  なお、別添3 (PDF/104KB) で示した事業費以外の経費等についての判断は、名称にかかわらず個々の契約内容や経費の内容を精査して判断することとする。
  また、同様に差引精算されるものであっても、委託販売に直接関係のない経費や、単に森林組合が立て替えたものである場合については、「委託販売手数料」に該当しないと考える。