当社は、飲食事業を営んでいますが、このたび、甲(個人)から、同者が有するA社(飲食業、4月決算法人)及びB社(飲食業、2月決算法人)の発行済株式の100%を取得することを予定しています。なお、甲は、20年以上前にA社及びB社を設立して以来、その発行済株式の100%を保有しています。また、甲と当社との間には資本関係や取引関係等はありません。
当社は、平成29年11月25日に、甲からA社及びB社の株式の全部を取得する予定ですが(以下「本件株式取得」といいます。)、両社の事業内容が類似しており経営合理化の観点から、平成30年2月に、A社を合併法人、B社を被合併法人とする吸収合併(以下「本件合併」といいます。)を行う予定です。なお、本件合併は適格合併に該当しますが、法人税法第57条第3項に規定する共同で事業を行うための合併には該当しないことを照会の前提とします。
B社は未処理欠損金額を有しており、A社が、本件合併に伴い、この未処理欠損金額を引き継ぐためには、A社(合併法人)とB社(被合併法人)との間に、平成24年4月30日(合併法人であるA社の合併の日を含む事業年度開始の日の5年前の日)から継続して支配関係があることが要件とされています。本照会では、本件株式取得により、支配関係が一旦途切れてしまうようにも考えられますが、同日から継続して支配関係があるとして未処理欠損金額を引き継ぐことができると考えてよいでしょうか。
内国法人を合併法人とする適格合併が行われた場合において、被合併法人に未処理欠損金額があるときは、その未処理欠損金額は、その合併法人の適格合併の日の属する事業年度前の各事業年度において生じた欠損金額とみなすことにより、その合併法人に引き継がれることとされています(法法57)。
ただし、当該適格合併が共同で事業を行うための合併に該当しない場合には、その被合併法人とその合併法人の間に、その合併法人の当該適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日、
当該被合併法人の設立の日又は
当該合併法人の設立の日のうち最も遅い日から継続して支配関係があるときを除き、被合併法人(合併法人との間に支配関係があるものに限ります。)の未処理欠損金額には、一定の金額は含まないこととされており(法法57
)、未処理欠損金額の引継制限を受けることとなります。
支配関係とは、一の者が法人の発行済株式の総数の50%を超える数の株式を直接若しくは間接に保有する関係として法人税法施行令第4条の2第1項で定める関係(以下「当事者間の支配の関係」といいます。)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいいます(法法2十二の七の五)。
当事者間の支配の関係とは、一の者が法人の発行済株式の総数の50%を超える数の株式を保有する場合における当該一の者と法人との間の関係とされています(法令4の2)。