別紙1 事前照会の趣旨

1 事前照会の趣旨

公益財団法人東山公園協会(以下「当協会」といいます。)では、名古屋市東山総合公園内にある東山動物園(以下「動物園」といいます。)で飼育する動物の環境の改善及び充実と、動物への理解を深めていただくことを目的に、広く市民等から資金提供を求める東山動物園サポーター事業(以下「動物園サポーター事業」といいます。)を行っています。
 これまでの動物園サポーター事業は、資金提供者(個人又は法人。以下「サポーター」といいます。)に対し、資金提供の対価として動物園招待券の配付を始め各種の特典を付与していましたので、サポーターが提供する資金は法人税法第37条第4項及び所得税法第78条第2項第3号に規定する特定公益増進法人に対する寄附金には該当しないものとして取り扱ってきたところです。
 今般、動物園サポーター事業の制度を明確化し、動物園への支援をより一層促進するため、これまで行ってきた動物園サポーター事業を見直し、平成25年9月から、これまで付与していた各種特典を廃止することとしました。
 つきましては、平成25年9月から実施する動物園サポーター事業に対する資金提供が、法人税法第37条第4項及び所得税法第78条第2項第3号に規定する特定公益増進法人に対する寄附金として取り扱われるものと解して差し支えないか照会申し上げます。

[公益財団法人東山公園協会の概要]

当協会は、平成25年4月に財団法人から公益財団法人に移行し、「東山総合公園の事業の発展振興に協力するとともに、動植物に関する知識と愛護思想の普及を図り、教育文化の向上に寄与すること」を目的とし、その目的を達成するため、次の公益目的事業を行う法人であり、法人税法第37条第4項に規定する公共法人、公益法人等(同法別表第二に掲げる一般社団法人及び一般財団法人を除く。)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する法人、いわゆる特定公益増進法人に該当します。

  • 1 東山総合公園において余暇を過ごす市民の楽しみを増進するために行う事業及びその他の娯楽を提供する事業
  • 2 東山総合公園において市民が動植物の魅力を発見する機会を提供し、自然環境を護ることの重要性を啓発する事業
  • 3 市民が上記1及び2の事業を安心、安全、快適に楽しむために必要な東山総合公園の維持、管理に係る事業

別紙2 事前照会に係る取引等の事実関係

2 動物園サポーター事業の概要

(1) 事業目的
 当協会は、東山総合公園において市民が動植物への興味をもつ機会を提供し、自然環境を護ることの重要性を啓発する事業を公益目的事業としており、その一環として動物園サポーター事業の運営を行うこととしています。

(2) 事業内容
 この動物園サポーター事業は、東山動物園サポーター設置要綱に基づき行われ、来園者がこの事業を通して生き生きとした動物の姿を見ることにより、動物の生態や野生での暮らし、自然との関わりを学習することができるよう、サポーターを募集し、サポーターから資金提供を受け、その資金により「環境エンリッチメント」を実施することとしています。
 「環境エンリッチメント」とは、単純で単調になりがちな飼育環境に工夫を加えて、環境を豊かで充実したものに改善する試みのことをいい、具体的には、ケージのサイズを大きくする、給餌回数を増やす、給餌方法を工夫する、おもちゃを与える、複数の個体を一緒に飼育する、人間が相手になって遊ぶなどの方法があります。
 これまで、サポーターから提供を受けた資金を活用して、カナダヤマアラシの木(平成24年度)、ワオキツネザルのサンルーム(平成23年度)等を設置した実績があります。

(3) 資金の活用方法
 サポーターから提供を受けた資金は、動物園で飼育する動物の環境改善など目的に沿った事業に充てるとともに、動物園サポーター事業の運営に関する費用に充てることとなりますが、その具体的な使途は、当協会に設置した動物園サポーター運営委員会での審議を経て、当協会が市と協議の上決定することとなります。
 なお、「環境エンリッチメント」の一環として装置等の資産を取得した場合には、市に対して寄附の申込みを行い、市の承諾を受けて寄附をした上で、動物園で使用することとしています。

(4) サポーターの区分及び金額
 サポーターの区分と資金提供の金額は次のとおりです。

個人(大人) 3,000円以上
個人(中学生以下) 1,000円以上
法人 10,000円以上

(5) サポーターへの情報提供等
 当協会は、動物園への理解を深めていただくため、サポーターに対し、動物や動物園に関する情報提供等を次のとおり行います。
 なお、情報提供等の実施期間は資金提供を受けた日から1年間とします。

イ 情報誌「ひがしやま」の送付
 年4回発行しているもので、動物園内等において希望者に無償で配布しているものをサポーターに送付することとしています。

ロ 動物園ガイドツアー等のサポーターイベントへの参加
 個人サポーターに対するサービスであり、年2回程度開催することを予定しています。
 ただし、参加希望者が予定人員を超えた場合は、抽選により参加者を決定します。

ハ 動物園内で市が指定する場所への氏名等の掲示
 個人サポーターが1万円以上、法人サポーターが5万円以上の資金を提供した場合には、希望によりその氏名又は法人名を動物園内で市が指定する場所に掲示することができます。
 なお、その氏名又は法人名の掲示プレートは、当協会が作製することとなりますが、金額の多寡に関わらず同じ大きさの掲示となります。

(6) 実施日
 動物園サポーター事業は平成25年9月1日から実施します。

別紙3 事前照会者の求める見解となることの理由

3 特定公益増進法人に対する寄附金について

特定公益増進法人に対する寄附金とは、公共法人、公益法人等(法人税法別表第二に掲げる一般社団法人及び一般財団法人を除く。)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして一定の法人(特定公益増進法人)に対して支出する寄附金で、その特定公益増進法人の主たる目的である業務に関連するものをいいます(法法374、所法782三)。この場合の「一定の法人」には、当協会のような公益財団法人のほか、独立行政法人、社会福祉法人などが該当することとされています(法令77、所令217)。

(注) 寄附金とは、その名義の如何を問わず、金銭その他の資産又は経済的利益の贈与又は無償の供与のことをいい、広告宣伝等の費用とされるべきものは除かれています(法法377)。

4 本件への当てはめ

サポーターから提供を受けた資金は、当協会の主たる目的を達成するための事業の一環として実施する動物園サポーター事業に充てるものであり、かつ、上記2(5)のサポーターに対する情報提供等は行うものの、次のとおり明確な対価性があるとは認められず、反対給付のない一方的行為による金銭の贈与であることから、特定公益増進法人に対する寄附金として取り扱われるものと考えます。

1 サポーターからの資金提供は、あらかじめ決められた一定の金額について強制的に負担を求めるものではなく、当協会が行う動物園サポーター事業に賛同した個人又は法人が一定額以上の任意の額を拠出するものであること

2 サポーターに対する情報提供等(上記2(5))は、各サポーターが拠出する金額の多寡に関わらず一律に行われること

3 サポーターに送付することとしている情報誌「ひがしやま」は、動物園内等において不特定多数の者に対して無償で配布しているものであり、サポーターのみに特別に利益を供与しているものではないこと

4 個人サポーターは動物園ガイドツアー等のサポーターイベントに参加できることとしているが、参加希望者が予定人員を超えた場合には、抽選により参加できる者を決定することとしており、個人サポーターが参加を希望しても必ず参加できるとは限らないこと

5 一定額以上の資金を提供したサポーターについては氏名又は法人名を掲示することとしているが、その掲示プレートの大きさは拠出した資金の額に関わらず同一であり、かつ、氏名又は法人名を掲示するにすぎないことから具体的な広告宣伝の効果による受益の程度は低いものと考えられること

なお、上記2(3)のとおり、「環境エンリッチメント」の一環として装置等の資産を取得した場合には、市に対して寄附の申込みを行い、市の承諾を受けて寄附することとしていますが、提供を受けた資金の具体的な使途は、当協会に設置した動物園サポーター運営委員会での審議を経て、当協会が市と協議の上決定することとしており、必ずしも市に寄贈されるとは限られず、最終的に市に帰属することが明らかであるとはいえないことから、国等に対する寄附金とはならないと考えます。