当法人は、障害児者の地域生活を支援し、地域における社会福祉の増進に寄与することを目的として、特定非営利活動促進法に基づき設立された特定非営利活動法人であり、法人税法上の公益法人等に該当します(特定非営利活動促進法46)。
ところで、法人税法上、公益法人等については、各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得についてのみ法人税を納める義務があります(法法4ただし書)。
また、この場合の収益事業とは、販売業、製造業その他一定の事業で、継続して事業場を設けて営まれるものをいいます(法法2十三、法令5)。
ただし、公益法人等が営む事業が収益事業に該当する場合であっても、その事業に従事する者の総数の半数以上を身体障害者福祉法に規定する身体障害者などの一定の者(以下「身体障害者等」といいます。)が占める場合であって、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているものについては、収益事業に含めないこととされています(法令5)。
当法人は、法人税法上の医療保健業(法令5二十九)に該当する独立した二つの事業を営んでいますが、上記の「その事業に従事する者の総数の半数以上を身体障害者等が占める場合」に該当するかどうかは、個々の事業ごとに判定すると解して差し支えないか照会申し上げます。
当法人は、法人税法上の医療保健業(法令5二十九)に該当する独立した二つの事業を営んでいます。
当法人が営む二つの医療保健業に従事する者の構成は、それぞれ次のとおりとなっています。
一方の事業への従事者は、身体障害者等に該当しない者のみで構成されています。
他方の事業への従事者は、そのほとんど(半数以上)が身体障害者等で構成されています。
なお、仮に、「その事業に従事する者の総数の半数以上を身体障害者等が占める場合」に該当するかについて、二つの事業への従事者の総数により判定するというのであれば、他方の事業規模が一方の事業規模よりも大きいことから、「その事業に従事する者の総数の半数以上を身体障害者等が占める場合」に該当することとなります。
公益法人等については、収益事業を営む場合に限り納税義務があります(法法4ただし書)。ただし、収益事業に従事する身体障害者等がその事業に従事する者の総数の半数以上を占め(以下「身体障害者等従事割合要件」といいます。)、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているものである場合は、法人税法施行令第5条第1項に規定する収益事業には含まれず、これに対する法人税の納税義務はないこととなります。
この身体障害者等従事割合要件に該当するかどうかの判定は、例えば、同一の公益法人が同項第1号の物品販売業と同項第5号の不動産貸付業といった異なる複数の収益事業を営んでいる場合には、身体障害者等従事割合要件は上記のとおり「その事業」ごとに判定することとなりますから、一括で判定するのではなく、各収益事業ごとに判定することになると考えています。
この点、当法人のように同一の公益法人が同項第29号の医療保健業を複数営む場合には、いずれも同項第29号の医療保健業に該当することから、これを一の事業とみて判定するのではないかとの疑問が生じます。
しかしながら、以下の理由から、その複数の医療保健業を一つの事業としてではなく、個々の事業ごとに身体障害者等従事割合要件の判定を行うことが相当であると考えられます。