熊本国税局では、管内(熊本県、大分県、宮崎県及び鹿児島県)の清酒及び本格焼酎の製造技術基盤の強化及び酒類の品質向上を図り、もって酒類業の健全な発達に資することを目的として、毎年、酒類鑑評会を開催しています。
酒類鑑評会では、清酒及び本格焼酎の品質評価等を行い、その結果特に優秀な製造技術を有すると認められた酒類製造者及び杜氏等製造責任者を顕彰しています。
熊本国税局管内で製造された清酒を対象に、次の部門等で実施しました。
開催要領の詳細は、下記リンクの通りです。
表彰対象の区分として、酵母に熊本酵母のみを使用した「熊本酵母吟醸酒の部」と、熊本酵母以外の酵母を使用した「その他の吟醸酒の部」の2区分を実施しました。このほかに、表彰対象外の区分として「燗酒の部」も実施しました。
なお、熊本国税局酒類鑑評会において「熊本酵母」とは、株式会社熊本県酒造研究所が頒布する酵母並びに公益財団法人日本醸造協会が頒布する清酒用9号酵母(きょうかい9号)及び清酒用901号酵母(きょうかい901号)をいいます。
出品区分 | 熊本酵母吟醸酒の部、その他の吟醸酒の部 | 燗酒の部 |
---|---|---|
特定名称 | 吟醸酒(純米吟醸酒を含みます) | 問いません |
製造年月 | 令和2年7月以降 | 問いません |
加水調整の有無 | なし(原酒) | 問いません |
1製造場から出品可能な点数 | 各区分5点以内かつ両区分合わせて6点以内 | 2点以内 |
表彰 | 有 | 無 |
出品区分 | 熊本酵母吟醸酒の部 | その他の吟醸酒の部 | 全体 |
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出品場数 | 16 | 11 | 21 |
出品点数 | 58 | 39 | 97 |
優等賞場数 | 6 | 4 | 9 |
優等賞点数 | 10 | 15 | 25 |
燗酒の部には、7場から10点の出品がありました。
1 日程
品質評価会は、次の日程により熊本国税局鑑定官室において実施しました。
「熊本酵母吟醸酒の部」及び「その他の吟醸酒の部」については、全出品酒を対象とした予審と、予審の成績上位酒を対象とした決審の2回品質評価を行いました。
令和3年3月15日(月) | 熊本酵母吟醸酒の部及びその他の吟醸酒の部 予審 |
令和3年3月18日(木) | 熊本酵母吟醸酒の部及びその他の吟醸酒の部 決審 燗酒の部 |
2 品質評価員
品質評価は、各日外部評価員9名と熊本国税局鑑定官3名の計12名で実施しました。
外部評価員は、管内の酒類製造技術指導機関職員、学識経験者及び各酒造組合から推薦を受けた者で構成されています。
3 品質評価方法
出品酒を注いだグラスをランダムに並べ、品質評価員が評価する出品酒の製造場名等が分からない状態で行いました。
予審は、原料及び発酵・貯蔵工程に由来すると考えられる特徴を念頭に置いて評価しました。決審は、香・味・調和の優劣を評価しました。
また、令和3年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、品質評価員同士の距離が一定以上に保てるように出品酒を数点ごとに間隔を開けて配置する、各自が手持ちのプラコップを使用する等の対策を実施しました。
本年度は12月下旬から1月上旬までは低温が続きましたが、1月中旬以降は日ごとや朝昼の寒暖の気温差が激しい気候の上、原料米の登熟期の気温が概ね高めとなり全体的に米質が硬いなど、原料米の処理やもろみ管理等に技術を要する酒造期となりましたが、これまで積み重ねてきた経験と優れた技術が遺憾なく発揮された結果、酵母の特徴が生かされ、香味が調和した高い品格の品質に仕上げられていました。
熊本酵母の吟醸酒は、上品で穏やかな芳香が感じられ、きれいできれが良い酒質、その他の吟醸酒は、華やかな香りと甘味がバランスよく調和した酒質となっていました。
熊本国税局管内で製造された本格焼酎を対象に、次の部門等で実施しました。
開催要領の詳細は、下記リンクの通りです。
表彰対象区分である「一般酒の部」は、主原料に応じて「甘藷」「米」「麦」「黒糖」「そば・その他」の5つの原料区分に分けて審査を実施しました。このほかに、表彰対象外の区分として「貯蔵酒の部」も実施しました。
出品区分 | 一般酒の部 | 貯蔵酒の部 |
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製造年月 | 令和2年1月以降 (甘藷は令和2年7月以降) |
令和元年12月以前 |
アルコール分 | 25度程度 | 問いません |
1製造場から出品可能な点数 | 原則として各原料区分2点以内かつ 全原料区分合わせて7点以内 |
各原料区分1点 |
表彰 | 有 | 無 |
1 原料区分別
原料区分 | 甘藷 | 米 | 麦 | 黒糖 | そば・その他 | 全体 |
---|---|---|---|---|---|---|
出品場数 | 103 | 29 | 55 | 16 | 9 | 150 |
出品点数 | 244 | 58 | 118 | 29 | 12 | 461 |
優等賞場数 | 42 | 11 | 22 | 6 | 3 | 73 |
優等賞点数 | 57 | 12 | 36 | 9 | 5 | 119 |
このほか、貯蔵酒の部に8場から10点の出品がありました。
2 県別
県 | 場数 | 甘藷 | 米 | 麦 | 黒糖 | そば・その他 | 全体 |
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熊本県 | 出品場数 | 5 | 17 | 7 | - | - | 17 |
熊本県 | 優等賞場数 | 2 | 7 | 2 | - | - | 9 |
大分県 | 出品場数 | 2 | 3 | 17 | - | 2 | 19 |
大分県 | 優等賞場数 | 1 | - | 12 | - | - | 12 |
宮崎県 | 出品場数 | 23 | 2 | 12 | - | 7 | 25 |
宮崎県 | 優等賞場数 | 6 | - | 3 | - | 3 | 10 |
鹿児島県 | 出品場数 | 73 | 7 | 19 | 16 | - | 89 |
鹿児島県 | 優等賞場数 | 33 | 4 | 5 | 6 | - | 42 |
1 日程
品質評価会は、次の日程により熊本国税局鑑定官室において実施しました。
「一般酒の部」については、全出品酒を対象とした予審と、予審の成績上位酒を対象とした決審の2回品質評価を行いました。
令和3年2月18日(木)、19日(金)、24日(水)及び25日(木) | 一般酒の部 予審 |
令和3年3月4日(木)及び5日(金) | 一般酒の部 決審 貯蔵酒の部 |
2 品質評価員
品質評価は、各日外部評価員9名と熊本国税局鑑定官3名の計12名で実施しました。
外部評価員は、管内の酒類製造技術指導機関職員、学識経験者及び各酒造組合から推薦を受けた者で構成されています。
3 品質評価方法
出品酒を注いだグラスをランダムに並べ、品質評価員が評価する出品酒の製造者名等が分からない状態で行いました。
予審は、原料及び発酵・蒸留・貯蔵工程に由来すると考えられる特徴を念頭に置いて評価しました。決審は、香・味・調和の優劣を評価しました。
また、令和3年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、品質評価員同士の距離が一定以上に保てるように出品酒を数点ごとに間隔を開けて配置する、各自が手持ちのプラコップを使用する等の対策を実施しました。
本格焼酎の主産地で長く受け継がれてきた高度な技術が遺憾なく発揮された結果、原料や製造方法の特徴を生かした優れた品質に仕上がっていました。
甘藷焼酎は、基腐病の影響が心配されましたが、甘藷特有の芳醇な甘い香りで味にふくらみがあるものから、穏やかな香りで味のすっきりとしたもの、花や柑橘香などの華やかな香りのあるものまで、多様な酒質のものが出品されていました。特に、甘藷の品種による香味の特徴が上手く引き出されていました。
米焼酎は、芳醇な香味のあるものや穏やかな香りですっきりとしたものに加え、華やかな香りできれいな味わいのものが多くみられました。
麦焼酎は、原料由来の特徴を持ちつつ、華やかな香りと上品な甘味が調和したもの、個性的な香りで甘味が豊かなもの、香ばしい香りと豊かな旨味がある濃醇な香味のものまで、幅広い酒質となっていました。
黒糖焼酎は、黒糖由来の甘く濃厚な香りと上品な甘味があるもの、フルーティーな香りが特徴的な酒質のものが出品されていました。
そば及びその他の焼酎は、原料特性が強く表れた上に、香味がバランスよく整った高い品質のものとなっていました。