1 法人税の申告事績の概要

申告所得金額は3年連続、申告税額は2年連続増加

○ 平成23事務年度における熊本国税局管内の法人税の申告件数は10万7,436件で、その申告所得金額の総額は5,533億円、申告税額の総額は1,485億円と、前年度に比べ、申告所得金額が284億円(5.4%増)、申告税額が76億円(5.4%増)増加した。

○ 申告所得金額、申告税額は、ともに過去10年間では7番目の値である。

(注) 平成23年4月1日から平成24年3月31日までに終了した事業年度に係る申告について、平成24年7月末までに申告があったものを集計している。

● 法人税の申告件数等の状況
項目 平成22事務年度 平成23事務年度 前年対比
申告件数 107,270 107,436 100.2%
申告所得金額 億円 5,249 5,533 105.4%
申告税額 億円 1,409 1,485 105.4%

黒字申告割合は27.5%と、過去10年で初めて上昇

○ 黒字申告割合は27.5%と、過去10年間で最低だった前年度に比べ0.4ポイント増加し、過去10年で初めて上昇した。

● 黒字申告割合の状況
項目 平成22事務年度 平成23事務年度 前年対比
申告件数 107,270 107,436 100.2%
黒字申告割合

27.1

27.5

0.4P

● 法人税申告の状況
項目 平成22事務年度 平成23事務年度 前年対比(%)
申告件数 107,270 107,436 100.2
申告割合 92.0 92.6 0.6P 
黒字申告割合 27.1 27.5 0.4P 
申告所得金額 億円 5,249 5,533 105.4
黒字申告1件当たり所得金額 万円 1,805 1,874 103.8
申告欠損金額 億円 3,162 2,896 91.6
赤字申告1件当たり欠損金額 万円 404 372 92.1
申告税額 億円 1,409 1,485 105.4

2 法人税等の調査事績の概要

法人税の申告漏れ所得金額の総額は209億9,000万円
追徴税額は49億500万円

○ 大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人4,438件について実地調査を実施した。

○ 法人税について非違があった法人は3,289件(実地調査件数の74.1%)である。

○ 申告漏れ所得金額は209億9,000万円、そのうち不正脱漏所得金額は82億1,700万円(申告漏れ所得金額の39.1%)、追徴税額は49億500万円と、前年度に比べ、申告漏れ所得金額は34億7,500万円(14.2%減)、追徴税額は1億3,800万円(2.7%減)減少したが、不正脱漏所得金額は7億6,300万円(10.2%増)増加した。

法人消費税の追徴税額は13億6,800万円

○ 法人消費税について、法人税との同時調査等として4,120件の実地調査を実施した。

○ 追徴税額は13億6,800万円である。

● 平成23事務年度の法人税等の実地調査の状況
項目 平成22事務年度 平成23事務年度 前年対比(%)
法人税及び消費税の実地調査の状況 法人税の実地調査の状況 実地調査件数 4,259 4,438 104.2
非違があった件数 3,153 3,289 104.3
同上のうち不正計算のあった件数 940 1,092 116.2
申告漏れ所得金額 百万円 24,465 20,990 85.8
同上のうち不正脱漏所得金額 百万円 7,454 8,217 110.2
調査による追徴税額 百万円 5,043 4,905 97.3
同上のうち加算税額 百万円 815 839 102.9
不正発見割合 22.1 24.6 2.5P
調査1件当たりの申告漏れ所得金額 万円 574 473 82.4
1件当たりの不正脱漏所得金額 万円 793 752 94.8
消費税実地の調査の状況 実地調査件数 3,946 4,120 104.4
非違があった件数 2,416 2,566 106.2
調査による追徴税額 百万円 1,120 1,368 122.1
同上のうち加算税額 百万円 177 217 122.6
調査1件当たりの追徴税額 万円 28 33 117.9
● 不正発見割合の高い業種順位
順位 項目 不正発見割合(%) 1件当たりの不正脱漏所得金額(万円)
1 歯科 61.7 180
2 その他の飲食 46.5 659
3 自動車修理 42.6 143
4 冷暖房設備工事 38.1 159
5 中古自動車・同部品(小売) 37.9 2,105
6 産廃物処理 37.5 831
7 一般土木建築工事 36.4 428
8 一般機械器具(卸) 35.1 763
9 土木工事 34.5 380
10 電気・通信工事 31.3 370
● 1件当たりの不正脱漏所得金額の多い業種順位
順位 項目 1件当たりの不正脱漏所得金額(万円) 不正発見割合(%)
1 その他食料品(製造) 5,097 16.7
2 建売、土地売買 3,533 23.2
3 水運業 3,232 18.2
4 広告 2,633 17.9
5 産業廃棄物処理 2,534 23.8
6 電気、通信機械器具 2,197 28.6
7 中古自動車・同部品(小売) 2,105 37.9
8 人材派遣、職業紹介 1,582 23.8
9 その他の飲食料品 976 27.6
10 分類不能 941 20.0
● (参考)「その他の・・・」の具体的な業種の内容は次のとおりである。
業種目 大分類 業種内容
その他の飲食 料理・旅館・飲食店業 カラオケ、焼肉、うなぎ など
その他の食料品(製造) 製造業 漬物製造販売、粗茶加工 など
その他の飲食料品 卸売業 土産品卸売、食料品卸 など

3 黒字でありながら赤字を装って申告している法人に対する取組

本来、黒字でありながら赤字を装って申告することにより納税を免れている法人は、国民の公平感を著しく損なうものですから、国税局・税務署では、こうしたいわゆる仮装赤字法人に対して、重点的な調査に取り組んでいます。
 平成23事務年度においては、1,867件の無所得申告法人に対して調査を実施したところ、非違があった法人は1,289件、不正な経理を行っていた法人は521件でした。
 また、調査した無所得申告法人の11.7%に当たる219件は、本来黒字申告すべき法人でした。

その結果、追徴した法人税額の合計は7億6,300万円となりました。

4 意図的な無申告法人に対する取組

調査した無申告法人の4割が黒字

事業を行っているにもかかわらず申告していない法人は、最低限の義務さえも履行しておらず、国民の公平感を著しく損なうものですから、国税局・税務署では、こうしたいわゆる稼働無申告法人に対する調査等に重点的に取り組んでいます。
 平成23事務年度においては、事業を行っていると見込まれる無申告法人に対して調査を実施したところ、その4割が本来黒字申告すべき法人でした。
 なお、その申告すべき所得金額の合計額は8億1,900万円に上り、法人税について1億9,400万円の追徴課税を行いました。
 また、調査の対象となった無申告法人の96.7%について、消費税2億3,500万円の追徴課税を行いました。

5 消費税課税回避及び不正還付法人に対する取組

消費税は、預り金的性格を有するため、国民の関心が極めて高く、適正な税務執行が強く求められています。

このような状況の下、消費税について課税を免れたり、虚偽の申告により不正に還付金を得るケースも見受けられるため、こうした悪質な納税者に対しては厳正な調査を実施しています。

平成23事務年度においては、254件の消費税還付申告法人に対し調査を実施し、2億6,400万円の消費税額を追徴しました。

また、そのうち26件は不正に還付を受けていました。