別紙

1 事前照会の趣旨

埼玉県病院局(以下「本病院局」という。)は、地方公営企業法に基づき、県立病院事業の管理・運営を行っております。
 これまで、本病院局においては、寄附金の受入れを行っておりませんでしたが、今後は、寄附者から寄附の申し出があった場合、寄附金を受け入れることで、患者・県民の「厚意・支援」を県立病院の充実・強化に一層反映させていきたいと考えています。
 ところで、所得税法第78条第2項第1号及び法人税法第37条第3項第1号に規定する「国又は地方公共団体に対する寄附金」については、原則として所得税においては所得控除の対象、法人税においては損金算入されることとなっています。しかし、個人及び法人が支出した寄附金が、国又は地方公共団体(以下「国等」という。)において採納の手続を経たとしても、その寄附金が「特定の団体」に交付されることが明らかである等、最終的に国等に帰属しないと認められるものは、国等に対する寄附金には該当しないこととして取り扱うこととされています(所得税基本通達78-6、法人税基本通達9-4-4)。本病院局が寄附を受け入れるに際しては、各県立病院が受付窓口となり、寄附金を受け入れた県立病院の病院長名で納入通知書及び領収書を交付する予定です。
 ついては、寄附者が本病院局(県立病院)に対して支出する寄附金(以下「本件寄附金」という。)については、所得税法第78条第2項第1号及び法人税法第37条第3項第1号に規定する「国又は地方公共団体に対する寄附金」に該当するものとして取り扱ってよろしいでしょうか。

2 事前照会に係る取引等の事実関係

(1) 本病院局の組織等は次のとおりです。
 本病院局は、地方公営企業法第14条に基づき定められた「埼玉県病院事業の設置等に関する条例」により設置されたものであり、地方公営企業法に基づき、県立病院事業の管理・運営を行っております。
 地方公営企業法は、病院事業など地方公共団体の管理・運営する組織について、財務・職員の身分等を定め、その経済性を発揮するとともに本来の目的である公共の福祉の増進を図るように運営することを確保するための法律です。
 この地方公営企業法第7条《管理者の設置》では、地方公営企業を経営する地方公共団体に「管理者」を置くことができるとされており、本病院局にも管理者として「埼玉県病院事業管理者」(以下「本病院事業管理者」という。)を設置しております。
 なお、この管理者は「地方公共団体の長の補助職員」として位置づけられておりますが、地方公営企業法第8条《管理者の地位及び権限》では地方公営企業の業務に関して管理者の名において行った行為は「地方公共団体を代表する」ものとされ、その法律上の効果は権利義務の主体である地方公共団体に帰属するものであります。
 そして、「埼玉県病院事業の設置に関する条例」に基づき、本病院局に県立病院及び病院長を設置し、各県立病院において本病院事業管理者の権限に属する事務を行っています。

(2) 本件寄附金の受入れに関する概要は次のとおりです。

イ 寄附金の受入れ
 本件寄附金は、地方公営企業法第17条《特別会計》の規定により、埼玉県の特別会計である埼玉県病院事業会計に受け入れることになります。
 なお、本件寄附金は、埼玉県病院事業会計決算書により県議会へ報告します。

ロ 寄附金の受付窓口及び領収書等の交付
 各県立病院は、寄附者から寄附申出書を受領し、納入通知書兼領収書を寄附者に対し交付します。
 寄附者は、当該納入通知書兼領収書に基づき、埼玉県病院事業出納取扱金融機関(埼玉りそな銀行本支店)に振り込み、又は各県立病院窓口に現金を納付します。
 なお、収納に当たっては、各県立病院が本件寄附金の受付窓口となることから、各病院長名で納入通知書兼領収書を寄附者にあて、交付します。

ハ 寄附金の運用・運営
 受け入れた本件寄附金は、埼玉県立病院の医療体制の充実を図るために必要な医療機器を購入するなど、目的に沿って適切に活用します。
 なお、受け入れた寄附金の使用方法は、本病院局と各県立病院で協議の上、決定します。

3 2の事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由

本件寄附金については、次のとおり、「特定の団体に交付されることが明らかであるなど最終的に国等に帰属しないと認められるもの」(所得税基本通達78-6、法人税基本通達9-4-4)には該当せず、所得税法第78条第2項第1号及び法人税法第37条第3項第1号に規定する「国又は地方公共団体に対する寄附金」に該当するものとして取り扱われるものと考えます。

(1) 本病院局は、地方公営企業法第7条に基づく地方公営企業の業務執行を行う本病院事業管理者の権限に属する事務を処理させるため、「埼玉県病院事業の設置等に関する条例」に基づき設置された、埼玉県の行政組織であること。

(2) 本病院局が行う病院事業の経理は、地方公営企業法第17条の規定により、地方公共団体の特別会計により行うこととされており、本件寄附金についても、埼玉県病院事業会計(県の特別会計)で受け入れていること。

(3) 受け入れた本件寄附金は、埼玉県立病院の医療体制の充実を図るために必要な医療機器を購入するなどの目的に沿って運用され、その使用方法は本病院局と各県立病院で協議の上決定すること。

(4) 本件寄附金の受領に際し、各県立病院の病院長名で納入通知書兼領収書が寄附者に交付されるが、これは、本病院事業管理者の権限に属する事務処理のうち、各病院に係る収入徴収の権限について、各県立病院の病院長に委任することを規定した「埼玉県病院事業財務規程」に基づくものであること。