1 事前照会の趣旨
当社は、その事業年度を4月1日から翌年3月31日までとする内国法人です。
当社は、決算賞与の支給基準条件を設定し、これを達成した場合には、従業員に翌事業年度の4月末までに賞与を支給することとしています。
決算賞与の支給基準条件は、例えば、「当社が当年度において粗利○○円以上を達成した場合」などの条件を設定することを予定しており、1月中に取締役会で設定します。また、同時に、従業員ごとの決算賞与金の額(以下「本件決算賞与金額」といいます。)を決定し、別紙2により従業員に通知します。そして4月に入って支給基準条件が達成されているか確認し、達成されていれば、従業員ごとの個別成績評価を行って追加賞与金の額(以下「本件追加賞与金額」といいます。)を算定し、本件決算賞与金額と本件追加賞与金額を合計した金額を賞与として現金で支給します。
なお、当社は確定した決算において、本件決算賞与金額を未払金に計上し、本件追加賞与金額を賞与引当金に計上します。
当社が支給する賞与のうち、本件決算賞与金額について、法人税法施行令第72条の3第2号の適用により、別紙2により通知をした事業年度(以下「本件事業年度」といいます。)の損金の額に算入して差し支えないか、ご照会申し上げます。
2 事前照会に係る取引等の事実関係
  1. (1) 本件決算賞与金額及び本件追加賞与金額の交付手順は次のとおりです。
    1. イ 1月中に取締役会で支給基準条件を設定し、別紙2の金額(本件決算賞与金額)を決定し、別紙2の書式にて従業員に通知し確認・押印させます。
    2. ロ 4月に入って、支給基準条件が達成されているかを確認します。
    3. ハ 支給基準条件が達成されている場合には、個人別成績評価を行い、別紙23による追加賞与金の金額(本件追加賞与金額)を算定します。
    4. ニ 確定した決算において、本件決算賞与金額を未払金に計上し、本件追加賞与金額は賞与引当金に計上します。
    5. ホ 本件決算賞与金額及び本件追加賞与金額を合計して4月末までに従業員に現金支給します。
      また、ロで支給基準条件が達成されていない場合には、ハ、ニ、ホの手順は行いません。
  2. (2) 本件決算賞与金額は、法人税法施行令第72条の3第1号に掲げる賞与の額には該当しないことを照会の前提とします。
3 事前照会者の求める見解となることの理由
法人税法施行令第72条の3第2号では、使用人賞与の損金算入時期について、1その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること、21の通知をした金額を当該通知をしたすべての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から一月以内に支払っていること、3その支給額につき1の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること、の要件のすべてを満たす賞与については、使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度において支給されたものとして、各事業年度の所得の金額を計算することとされています。
当社は、本件事業年度中において、賞与の支給基準条件を設定し本件決算賞与金額を各従業員に通知し、当該支給基準条件を達成した場合には、翌事業年度の4月末までに本件決算賞与金額を支給することとしており、また、その支給額を本件事業年度において損金経理することとしています。
したがって、本件決算賞与金額については、法人税法施行令第72条の3第2号に掲げられた要件の全てを満たしていると考えられることから、従業員にその支給額を通知した日の属する事業年度である本件事業年度において損金の額に算入できると考えます。