審査報告

令和3年広島国税局清酒鑑評会につきまして、出品状況及び審査結果をご報告申し上げます。

まず、出品区分についてですが、昨年と同様に、清酒の製法品質基準に基づいた製造方法による「吟醸酒」部門、「純米酒」部門及び通常よりも高い温度で評価を行う「燗酒」部門の3部門に区分して行いました。

それでは、出品状況についてご報告いたします。
 3部門のうち、「吟醸酒」部門には63点、「純米酒」部門には64点、「燗酒」部門には53点と、全体で70製造者から180点の出品がありました。

次に審査の状況についてご報告いたします。
 出品酒の品質評価は、酒造技術指導機関、独立行政法人酒類総合研究所の職員、清酒製造者など、清酒の製造技術に詳しく、かつ官能評価能力に優れた方々と、広島国税局鑑定官室員併せて10名により、去る9月29日、30日の2日間で慎重かつ厳正に行いました。

品質評価は、全ての出品部門に共通した考え方として、製造技術の高さが反映され、清酒としての品質の良好さを備えたものを選ぶことを基本として行いました。
 その上で、「吟醸酒」部門では、吟醸香に代表される香りを主体として香味の調和がとれていることに重点をおいて評価いたしました。
 「純米酒」部門では、純米酒らしい味に重点を置きながら香味の調和を重視して評価いたしました。
 「燗酒」部門では、燗酒にしたときの香味の調和を重視して評価いたしました。

この品質評価結果と出品規格等を併せて審査した結果、「吟醸酒」部門25点、「純米酒」部門25点、「燗酒」部門21点、合わせて71点の出品酒を優等賞にふさわしいものと認めました。

出品酒の品質について申し上げますと、管内各製造場がそれぞれの高度かつ個性的な製造技術により醸しだされた、総じてレベルの高い酒質であったといえます。

「吟醸酒」部門では、特に香りについて吟醸酒の特徴である華やかな香りのもののほか、個性的な香りのものも散見されました。また、味についても、新酒と同様の状態が保たれているものに加えて、数か月の熟成による調和がとれたものも多く、とてもよく仕上がっていました。

「純米酒」部門では、熟成酒や生もと等、様々なタイプの酒質のものが出品されていました。特に味の面では、純米酒らしく原料米の特性をうまく生かしたものが多く、食事と合わせてもさらに美味しく飲めるタイプのものも多くみられました。

「燗酒」部門では、純米酒に加えて本醸造酒などさらにさまざまなタイプのお酒が出品されていましたが、いずれも温めることにより一段とうまみを増し、香りもさらに引き立つものばかりでした。温めて飲んでもおいしい清酒ならではの、伝統的な楽しみ方を消費者に提案できるものと思います。

このように高い品質の出品酒が数多くあった中において、見事に優等賞を受賞されました製造場の皆様方の努力に敬意を表し、心からお祝いを申し上げます。
 また、この度惜しくも受賞を逃された製造場におかれましてもその差は僅かなものであり、今回の結果をもとにさらなる技術研鑽に励んでいただき、今年以降の製造技術に生かしていただきたいと思います。

当鑑評会は、酒造技術の進歩・発展を促し、管内清酒の品質向上を図ることにより、酒類業の健全な発達に資することを目的として開催しております。本年の審査についても、コロナウイルス対策に配慮した審査方法で行いました。今後も、製造者等の皆様方からのご意見等を参考にしながら、新型コロナウイルスの感染状況を見つつ、この鑑評会の目的が達成されるよう努めてまいりたいと考えておりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。

結びになりましたが、いよいよ本格的な清酒造りの季節となります。各製造場の皆様をはじめ関係各位が、製造技術の更なる研鑚に努められ、優良な品質で個性豊かな製品を消費者に提供して、伝統ある中国地方の清酒の名声がますます広がりますことを祈念いたしまして審査報告といたします。

令和3年10月29日
広島国税局主任鑑定官 増田 達也