審査報告

平成29年広島国税局清酒鑑評会につきまして、出品状況及び審査結果をご報告申し上げます。

まず、出品区分についてですが、製造者が意図した製品の特徴に従って出品部門を選択できるよう、「香りを主たる特徴とする清酒」部門、「味を主たる特徴とする清酒」部門及び「燗酒」部門の3部門に区分して行いました。

それでは、出品状況についてご報告いたします。
 3部門のうち、「香りを主たる特徴とする清酒」部門には67点、「味を主たる特徴とする清酒」部門には63点、「燗酒」部門には57点と、全体で70製造者から187点の出品がありました。

次に審査の状況についてご報告いたします。
 出品酒の品質評価は、中国地方各県の酒造技術指導機関、公立大学法人県立広島大学、独立行政法人酒類総合研究所の職員、清酒製造及び小売店関係者など、清酒の製造技術に詳しく、かつ官能評価に優れた方々と、広島国税局鑑定官室員併せて28名により、去る9月28日、29日の予審、10月4日の決審と3日間をかけて、慎重かつ厳正に行いました。

品質評価は、全ての出品部門に共通した考え方として、製造技術の高さが反映され、清酒としての品質の良好さを備えたものを選ぶことを基本として行いました。
 その上で、「香りを主たる特徴とする清酒」部門では、吟醸香に代表される香りを主体として香味の調和がとれていることに重点をおいて評価いたしました。
 「味を主たる特徴とする清酒」部門では、清酒らしい味に重点を置きながら香味の調和を重視して評価いたしました。
 「燗酒」部門では、燗酒にしたときの香味の調和を重視して評価いたしました。

この品質評価結果と出品規格等を併せて審査した結果、「香りを主たる特徴とする清酒」部門26点、「味を主たる特徴とする清酒」部門23点、「燗酒」部門22点、合わせて71点の出品酒を優等賞に相応しいと認め、広島国税局長に推挙し、本日ここに優等賞授与の運びとなりました。

今回の出品酒についての総評を申し上げますと、各製造場の高度な醸造技術と管理技術により造り出された優れた品質のものが多数出品されていました。

「香りを主たる特徴とする清酒」部門では、落ち着いた香りから華やかな香りまでさまざまなものがありましたが、それぞれに上品な味やふくらみのある味、また熟成による旨みがあり、香味がよく調和していました。

「味を主たる特徴とする清酒」部門では、上品な甘味があるもの、適度な酸味によりキレのよいもの、旨みの余韻を感じさせるもの、熟成によりなめらかな口当たりになったものなど幅広いタイプのものが見られました。

「燗酒」部門では、お燗をつけることによりふくよかな味わいが広がるものや、芳醇な香りが立つもの、適度な熟成により柔らかく調和したもの、すっきりとしていて口当たりの良いものなど多くのタイプがあり、清酒の奥深さを感じることができました。

このように高い品質レベルの競争の中から、本日晴れて受賞されました製造場の皆様方には心からお祝いを申し上げるとともに、敬意を表する次第であります。
 また、この度惜しくも受賞を逃された製造場におかれましては、その差はごくわずかなものであります。今回の結果に気を落とされることなく、今期の製造に向けて一層の精進をお願いいたします。

当鑑評会は、酒造技術の進歩・発展を促し、管内清酒の品質向上を図ることにより、酒類業の発達に資することを目的として開催しております。今後も、製造者及び品質評価員の皆様方からのご意見等を参考にしながら、この鑑評会の目的が達成されるよう努めてまいりたいと考えておりますので、ご理解とご協力を賜りますとともに、ご意見ご要望等をお寄せくださいますようお願い申し上げます。

終わりになりましたが、いよいよ本格的な酒造りの季節となります。各製造場の皆様をはじめ関係各位が、醸造技術及び貯蔵管理全般にわたり、更なる研鑚に努められ、品質が優良で個性豊かな製品を消費者に提供することにより、伝統ある中国地方の清酒の名声が国内にとどまらず、遠く海外にまで広がりますことを祈念いたしまして審査報告といたします。

平成29年10月27日
広島国税局鑑定官室長  小山 淳