審査報告

平成25年広島国税局清酒鑑評会の表彰式に当たり、出品状況及び審査結果についてご報告申し上げます。

まず、出品区分についてですが、一昨年までは、清酒の製法品質表示基準で規定された特定名称の清酒を出品区分に設定しておりましたが、昨年に引き続き、製造者が意図した製品の特徴に従って出品部門を選択できるよう、「香りを主たる特徴とする清酒」部門、「味を主たる特徴とする清酒」部門及び「燗酒」部門の3部門に区分して行いました。

それでは、出品状況についてご報告いたします。
 3部門のうち、「香りを主たる特徴とする清酒」部門には66点、「味を主たる特徴とする清酒」部門には67点、「燗酒」部門には55点と、全体で74製造者から188点の出品がありました。

次に審査の状況についてご報告いたします。
 出品酒の品質評価は、国立大学法人広島大学、独立行政法人酒類総合研究所、中国地方各県の酒造技術指導機関の職員、清酒製造及び流通関係者等、清酒の製造技術に詳しく、官能評価に優れた方々と、鑑定官室員併せて29名により、去る9月26日、27日の予審、10月2日、3日の決審と4日間をかけて、慎重かつ厳正に行いました。

品質評価は、全ての出品部門に共通した考え方として、製造技術の高さが反映された清酒としての品質の良好さとともに、嗜好性をも兼ね備えた中国地方の清酒として誇れるものを選ぶことを基本として行いました。
 その上で、「香りを主たる特徴とする清酒」部門では、吟醸香に代表される香りを主体として香味の調和がとれていることに重点をおいて評価いたしました。
 次に、「味を主たる特徴とする清酒」部門では、清酒らしい味に重点を置きながら香味の調和を重視して評価いたしました。
 また、「燗酒」部門では、燗酒にしたときの香味の調和に重点を置き、食事をしながら飲んでおいしいお酒を選ぶという観点で評価いたしました。

なお、今年は「味を主たる特徴とする清酒」部門においても、「香りを主たる特徴とする清酒」部門同様、香気成分濃度によりグループ分けするとともに、出品者が表示を希望する古酒、生モト等の情報を表示するなど、一部実施方法を変更して行いました。

この品質評価結果と出品規格等を併せて審査した結果、「香りを主たる特徴とする清酒」部門25点、「味を主たる特徴とする清酒」部門24点、「燗酒」部門22点、併せて71点の出品酒を優等賞に相応しいと認め、広島国税局長に推挙し、本日ここに優等賞授与の運びとなりました。

今回の出品酒についての総評を申し上げますと、各製造場において磨き上げられた優れた醸造技術が遺憾なく発揮されるとともに、貯蔵管理が適切に行われていることが実感できる優れた品質のものが多数出品されていました。
 「香りを主たる特徴とする清酒」部門では、吟醸酒らしい華やかな香りときれいですっきりとした旨味が調和したものが多く見られ、製造技術の高さが実感できる内容でした。
 「味を主たる特徴とする清酒」部門では、キレが良くスッキリとした味のものから、味のまとまりがよく旨味が感じられるものなど、味の特性において個性、特徴を発揮したものが多数ありました。
 「燗酒」部門では、燗酒にすることにより、清酒本来の甘味とふくらみが増してやわらかな味わいが感じられるものや、キリっとして味にしまりが感じられるものなど、清酒の奥深さを実感させるものが多数ありました。

このように品質レベルの高い競争の中から、本日晴れて受賞されました製造場の経営者並びに製造担当者の皆様方には心からお祝いを申し上げるとともに、敬意を表する次第であります。
 また、この度惜しくも受賞を逃された製造場の出品酒も、その品質の差は僅かであり、市場において高い評価を受けるものと期待しております。

当鑑評会は、「酒造技術の進歩・発展を促すとともに、管内清酒の品質向上を図ることにより、酒類業の発達に資すること」を目的として開催しておりますが、今後とも、製造者及び品質評価員の皆様方からのご意見等を参考にしながら、目的の達成が図られる鑑評会となるよう、実施してまいりたいと考えておりますので、ご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

いよいよ、本格的な清酒造りの季節となります。皆様におかれましては、今後ともこれまで蓄積されてきた高い技術力を遺憾なく発揮していただき、多くの消費者からその品質を高く評価されるとともに、中国地方の清酒の名声が国内だけではなく、遠く海外にまで広がりますことを祈念いたしまして審査報告といたします。

平成25年10月29日
広島国税局鑑定官室長 山岡 洋