開催日及び場所 平成22年4月8日(木) 広島合同庁舎1号館会議室
委員 委員 相澤 吉晴 (広島大学大学院社会科学研究科教授)
委員 瀧 敦弘 (広島大学大学院社会科学研究科教授)
委員 田邊 尚 (田邊尚法律事務所 弁護士)
審議対象期間 平成21年10月1日(木)〜平成21年12月31日(木)
契約の概要説明 審議対象期間における契約案件の概要
抽出事案 4件 (備考)
競争入札(公共工事) 1件
契約件名
:(H21)両三柳住宅1号棟ほか屋根防水改修工事
契約相手方
:株式会社サンエイ美工
契約金額
:10,815,000円
契約締結日
:平成21年12月21日
担当部局
:中国財務局
競争入札(物品役務等) 1件
契約件名
:電話交換機システムの賃貸借及び保守業務
契約相手方
:KDDI株式会社
契約金額
:15,536,367円
契約締結日
:平成21年10月30日
担当部局
:広島国税局
競争入札(物品役務等) 1件
契約件名
:広島合同庁舎入退館管理システム
契約相手方
:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
契約金額
:31,479,000円
契約締結日
:平成21年11月11日
担当部局
:中国財務局
競争入札(物品役務等) 1件
契約件名
:申告相談事務等に従事する労働者派遣業務
契約相手方
:ヒューマンリソシア株式会社
契約金額
:@5,992.35円
単価契約予定調達総額 5,285,252円
契約締結日
:平成21年12月17日
担当部局
:広島国税局
委員からの意見・質問、それに対する回答等 下記のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし
意見・質問 回答
【審議対象期間の契約事案】  
 政権交代があったが、全体的な傾向として、契約件数は減少しているのか、それとも昨年とあまり変わらないのか。  今回の審議対象期間の総契約件数は27件、昨年の同時期が22件で、件数としては増加している。財務局の場合には、工事、物品役務等とも、契約件数は例年と大きくは変わらないと考えている。
 公共工事の随意契約案件について、一般競争入札を実施したが落札者がいなかったため随意契約によっているが、契約相手方はどのようにして決定したのか。  本件については、まず、一般競争入札を実施している。第1回、第2回と入札を実施したが、予定価格を下回る者がいなかったため、2回目の入札で打ち切った。不落札となった場合には、会計法令上、随意契約によることができることとなっているので、最低入札者から見積書を徴したところ、予定価格を下回っていたので当該者と随意契約を締結したものである。
 入札参加者は自らの見積額に基づいて入札額を決定していると思われるので、その見積額というのはそう変わらないのではないか。  本件の場合は、第1回目で落札しなかったため、見積額を修正したうえで入札額を下げてきたが、第2回目の入札でも落札しなかったため、ここで入札を打ち切った。最低入札者から改めて見積書を徴求したところ、第2回目の入札額よりさらに下回った額を提示してきて、その金額が予定価格を下回っていたので随意契約したものである。
 随意契約の様式の中に「再就職の役員の数」の欄があるが、これは何か。  財務省が所管する公益法人と随意契約を締結した場合には、契約締結日において、当該法人に国の常勤職員であった者が役員として在籍していれば、その人数を公表することとなっている。競争性のない随意契約において、当該契約相手方と役員として再就職した者の関係を示すものである。
 平成21年分所得税・消費税の確定申告時期の署外申告相談会場賃貸借業務では、13会場のうち、3会場が一般競争入札となったが、前年に比べ調達額は下がったか。  13会場の合計調達額は、前年に比べ約15万円の削減となった。
 一般競争入札となった岡山、広島、防府の3会場については、合計で約141万円を削減することができ、一般競争入札の効果が出たと考えている。
 乾式複写機の購入及び保守業務では、保守はどのようなことをするのか。  保守は、5年間の契約を行っており、複写機のメンテナンス及びトナー等補充を行い、コピーの使用枚数によって保守料金が積算される契約となっている。
 予定調達総額は、使用見込み枚数により積算されている。
 広島確定申告テレフォンセンターにおける税理士電話相談業務の971人とは税理士の人数か。  電話相談に対応する税理士の延べ人数である。人数は、前年の実績を参考に電話が多くかかる日は増やし、少ないときには減らして計画している。
 単価は、契約金額欄に記載のある、1人1日当たり2万5千円である。
 所得税確定申告期の税務署等駐車場整理業務第7ブロックの359人は何の人数か。  駐車場整理員の延べ人数である。
 このブロックは、呉税務署、三原税務署及び西条税務署である。
 呉税務署及び三原税務署は署会場であり、西条税務署は署会場と外部会場があり、各駐車場の規模により、整理員の配置は、1人から5人としている。
1.(H21)両三柳住宅1号棟ほか屋根防水改修工事  
 第1回目の入札では参加した6者とも予定価格に達せず、第2回目の入札においては5者が辞退や入札書を提出しなかったことから、参加したのは1者のみとなっており、落札率が高くなっているが、予定価格は適切だったのか。  今年度実施した屋根防水改修工事の落札率は50%台〜70%台となっており、今回の予定価格に特段問題があるとは考えていない。ただし、本件工事は山陰の冬場の工事であることから、業者としては天候不順の対応を見込んでいるほか、工事場所が鳥取県米子市と島根県浜田市と離れていることから、工事場所間の距離的な要因も加味した価格で応札したのではないかと思われる。
 工事発注が冬場となっているが、工事計画はどのように立てたのか。  別途発注した設計業務委託契約が完了した後に工事発注することとなっているが、本件工事にかかる設計業務委託については、落札者となった者が契約を辞退したことから設計業務委託完了が延び、その結果、この時期の発注となったものである。
 冬場の工事発注については、入札参加業者が減る傾向にあるのか。  入札参加者が減るということではなく、山陰の冬場の天候不順が見込まれることから、毎日工事ができないことも考慮されたものと考える。
 入札参加業者を増やすことや落札率を下げるためには、工事の実施時期も重要ではないか。冬場だから工事費が高くなるという面もあるのか。また、工事実施時期を考慮すれば、落札率が下がる可能性があるということか。  屋根防水工事なので、どうしても雨や雪が降ると工事ができないということで工期が延びるため、工事費が割高になるのではないかと思われる。工事実施時期を調整できれば、落札率が下がる可能性はある。冬場の天候にあまり左右されない山陽側の工事においては、落札率が下がっているという状況もある。
2.電話交換機システムの賃貸借及び保守業務  
 電話回線がKDDI(株)の光ダイレクトであるが、今回の電話交換機の更新は、KDDI(株)以外の業者が入札参加できるのか。  今回の電話交換機の更新は、KDDI(株)の光回線を接続した後の電話交換機及び内線電話機の設置であり、技術的に特定の業者しか受注できないということはない。
 しかし、KDDI(株)以外に3社が入札関係書類を受け取りに来たが、結果的に入札参加をしなかった。KDDI(株)以外の業者も入札参加ができるように、今後、仕様内容について、より汎用性の高い内容に変更することを検討したい。
 予定価格の算定において、値引率はどのよう決まるのか。  予定価格の算定においては、各署ごとの機器設置及び配線等の状況を細かく指定したうえで、業者から定価ベースの参考見積書を徴し、その後、この参考見積書をひとつの参考資料として、これまで調達した同種業務の値引実績、原材料の原価等及び市場の実勢価格等を考慮して、値引率を決めている。
3.広島合同庁舎入退館管理システム  
 落札金額と予定価格に乖離が生じているが、予定価格はどのように算出したのか。  予定価格の算出に当たっては、調達すべきシステムや機器類の専門性が非常に高く、一般的な価格が不明であることから、同業種2者から参考見積りを徴求し、調達物品ごとに適正な実勢価格を検討したうえで算出している。
 最も高い応札額とも開差があるが、予定価格の設定は適切だったのか。  予定価格については、実勢価格を検討したうえで、適正に算出している。ただし、全国で同様の入札が実施されていることから、大手のシステム開発業者の参入意欲が強く表れたこともあって、競争が激化し、その結果、全体的に低価格の入札となったのではないかと考えている。
 先行して入札を実施した合同庁舎について、入札状況や予定価格の情報を入手できないのか。  入札を実施した全国すべての合同庁舎の状況はわからない。財務局管理の合同庁舎については、今回入札を実施したのは全国で11箇所あり、その時点で落札金額を公表していたところは分かるが、予定価格については公表していないので分からない。合同庁舎の出入口数でゲートの設置台数が異なるほか、庁舎内の配置状況によりゲート周辺の機器も異なっており、予定価格は各合同庁舎の配置状況に合わせた積算が必要となる。
 副大臣会議において、全国の主要合同庁舎のセキュリティレベルを強化することが決定した中で、全国でばらばらの入札を実施しているが、予定価格などの情報を共有しないと、今回のように予定価格と落札金額に乖離が生じるのではないか。  予定価格については、各財務局に問い合わせても秘密保持の観点から入手することはできなかった。財務局管理の合同庁舎については、平成21年8月下旬から10月上旬にかけて集中的に入札を実施しているため、落札金額でさえ直前に分かったような状況である。
 全国の入札状況はどうなっているのか。  財務局管理の11合同庁舎については、全部で6業者が落札している。
4.申告相談事務等に従事する労働者派遣業務  
 予定価格算定について、6社を参考にしているが、この6社はどのように抽出したのか。  6社は、昨年度の同じ調達案件において実際に入札参加した全ての業者である。
 実勢に最も近いデータであるため、この6社のデータも参考にして検討を行った。
 今回落札したヒューマンリソシア株式会社とは、初めて契約するのか。  この申告相談事務等に従事する労働者派遣業務は、ヒューマンリソシア株式会社と初めて契約するが、他の労働者派遣業務で、同社と契約している業務もある。
 入札参加資格は、本来C等級であるが、これを拡大した理由は何か。  昨年度及び一昨年度ともこの業務を一般競争入札により調達しているが、これまでC等級の業者の入札参加がなかった。このため、入札不調となることが危惧されたため、入札参加資格の等級を拡大し、広く業者を募った。
 地理的に離れている広島会場と岡山会場を一括して、一般競争入札を実施しているが、このようなケースはよくあるのか。  入札の地域単位(ブロック分け)については、業種の状況、地域性及び事務手続き等を勘案して、入札の際に透明性・競争性が確保されるよう検討して行っている。本件は、広島会場及び岡山会場とも交通の利便性のよい大都市の会場であり、また、納税者に対しては、同じ内容のサービスが必要であるため、両会場を一括して入札を実施した。
 本件の労働者を派遣するような業務は、人材をどれだけ有しているかが重要で、公共工事とは違い、入札参加資格の等級のA、B、C、Dは馴染まないのではないか。  入札参加資格の等級格付については、調達予定価格により分けられており、本件業務は、「役務の提供等」の区分に該当するため、これを適用している。
 「役務の提供等」という大きな枠組みであるため、個々の業務については、指摘されているように馴染みにくいものもあるかもしれないが、案件により等級の拡大を検討するなどして対応している。