開催日及び場所 平成21年10月8日(木) 広島合同庁舎1号館会議室
委員
委員 相澤 吉晴(広島大学大学院社会科学研究科教授)
委員 瀧 敦弘(広島大学大学院社会科学研究科教授)
委員 吉岡 浩(吉岡法律事務所 弁護士)
審議対象期間 平成21年4月1日(水)〜平成21年6月30日(火)
契約の概要説明 審議対象期間における契約案件の概要
抽出事案 4件 (備考)
競争入札(公共工事) 1件
契約件名 : (H20)清水ヶ丘住宅新築工事
契約相手方 : 株式会社 土屋組
契約金額 : 365,085,000円
契約締結日 : 平成21年4月23日
担当部局  : 中国財務局
競争入札(公共工事) 1件
契約件名 : 廿日市税務署旧庁舎解体工事
契約相手方 : 株式会社 竹内
契約金額 : 14,175,000円
契約締結日 : 平成21年5月11日
担当部局  : 広島国税局
競争入札(物品役務等) 1件
契約件名 : 普通財産の管理処分に関する契約等又は現況調査等に係る業務委託(広島地域)
契約相手方 : 株式会社 住販
契約金額 : 11,687,093円
契約締結日 : 平成21年4月7日
担当部局  : 中国財務局
競争入札(物品役務等) 1件
契約件名 : 広島国税局管内3地方合同庁舎で使用する電気一式(米子ブロック)
契約相手方 : 中国電力 株式会社 米子営業所
契約金額 : @1,653.75円ほか
単価契約予定調達総額 6,104,469円
契約締結日 : 平成21年4月1日
担当部局  : 広島国税局
委員からの意見・質問、それに対する回答等 下記のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし
意見・質問 回答
【審議対象期間の契約事案】  
 公共工事の競争入札について、「低入札」と記載してあるが、低入札の基準はどのようになっているのか。  低入札の対象となる案件は、予定価格が1千万円を超える工事又はその他の請負契約で、工事では予定価格の7/10、その他の契約では6/10を中国財務局では調査基準価格としているが、その価格を下回って応札者があった場合には、低入札として調査を行うこととしている。
 落札率が30.1%という工事契約があるが、これは低入札の対象外ということか。  この契約は予定価格が1千万円を超えていないので、低入札による調査対象には該当しない。
 1者応札にかかる案件の中で、考えられる要因として「過去に受注実績がある者が有利」との説明があったが、過去に受注実績があるということは応札の動機にはなっても、それが1者応札となる要因にはならないと思うがどうか。  1者応札となっている案件の結果の要因として、過去に受注実績がある者が有利となっているという要因も考えられるとして説明したもので、1者応札の案件がすべてこの要因に該当している訳ではない。過去に受注実績がある者が有利というのは、過去に受注実績がある者がノウハウを持っているという意味で、要因の一つとして挙げたものである。
 合同庁舎にかかる各種保守管理業務において、1者応札の案件と複数の者が参加している案件があるが、同じような種類の保守管理業務であっても、1者応札のものとそうでないものとはどのような点に違いがあるか。  当局が管理官署となっている合同庁舎は中国地方各県に所在しているので、中国地域の競争参加資格を有する者であれば、各県の入札に参加可能である。合同庁舎が所在している地域によっても、応札業者数の状況が若干異なっているのではないかと思われる。
 随意契約の案件の中に、「国有財産の売払にかかる一般媒介契約」があるが、媒介契約の仕組みと契約件数はどうなっているのか。  一般媒介契約というのは、国有財産売却の入札を実施した結果、不落札、あるいは不調となった物件について、宅地建物取引業者の媒介により買受希望者と売買契約するもので、売買契約が成立した場合に媒介手数料を支払うものである。媒介手数料は、国土交通省の告示報酬額の限度額を基にすることとしており、具体的には、国の予定価格は売却価格に一定割合を乗じた額とし、媒介申出者の見積額を徴したうえで媒介契約を締結している。なお、媒介契約を締結した事例は、中国地方管内でもわずかとなっている。
 媒介契約の場合、国有財産の売却価格はあらかじめ決定しているのか。  不落札や不調となった物件について、随意契約を行う場合には、売却価格を公表して買受希望者を受け付けることができる取扱いとなっており、この売却価格で売払いすることになる。
 広島国税局の玉野署及び柳井署の屋上防水改修工事2件について、落札率が低いようだが、理由は何か。  予定価格を公共建築工事に係る実勢施工価格等を参考に積算したが、入札においては、応札業者は、それぞれ玉野署20者と柳井署27者で多くの参加があったことから、落札率が低い案件となった。
【抽出事案の説明及び審議】  
1.(H20)清水ヶ丘住宅新築工事  
 呉市内に所在する合同宿舎清水ヶ丘住宅敷地内に国家公務員宿舎を建設するものであるが、敷地内に所在していた既設宿舎はいつ撤去したのか。  既設宿舎は20年前に解体撤去している。その跡地に合同宿舎清水ヶ丘住宅を、順次計画的に整備してきており、今回の建設で最後となる。
 入札参加者の入札金額をみると、金額に大きな開差がないようであるが、これまでも宿舎の新築工事を実施してきているので、参加者は入札金額が大体この程度であるということはわかっているのか。  一概に何とも言えないが、これまでの入札結果も一つの判断材料として応札しているのではないかと思われる。
 1土屋組が落札したのは初めてか。  当局発注の工事において、以前から何度か入札に参加していたが、落札したのは今回が初めてである。本社は岐阜県であるが、広島市内にも支店を有しており、営業実績を上げるため、この(今回落札となった)価格を入れたのではないかと思われる。
 入札参加資格確認申請書等の提出期間を設定しているが、これは入札参加者全員を対象にしたものか。  参加資格等の審査・確認を行うため、入札参加者全員から提出していただいているものである。
2.廿日市税務署旧庁舎解体工事  
 競争参加資格の等級格付けの設定は、本来のD等級以外にC等級も参加を可能としているが、その理由は何か。  また、解体工事のような事案は、それほど技術性が必要とは認められないため、本来通りの等級区分を拡大する必要性について十分検討したのか。  庁舎の解体工事は、近年実績が少なく入札時の参加者数が不明であったことから、競争性を確保するため、入札参加資格にC等級を加えた。  結果として、32者と多数の応札があったため、今後は今回の実績を踏まえて、等級区分を拡大する必要性について検討を行っていきたい。
 参加資格を取得していない業者が、参加資格の申請をする場合、申請書等提出期間が2週間となっているが、その期間で可能か。  これまでの実例で、2週間の期間内での対応が可能である。
 広島国税局の解体工事は、近年実績がないとのことだが、中国財務局との情報交換はできないのか。  最近は、中国財務局と情報交換する機会が増えており、今後、更に積極的に情報交換を行いたい。
3.普通財産の管理処分に関する契約等又は現況調査等に係る業務委託(広島地域)  
 入札公告に面接の開催とあるが、面接は何のために行うのか。  本件入札については、委託業者の決定に当たって、価格競争に加え、価格以外の要素である業務実施体制の整備や業務実施方法の妥当性等を総合的に審査して落札者を決定する総合評価方式による一般競争入札としている。入札参加者に業務実施体制や業務実施方法についての提案書を提出してもらい、委託業者選定のための審査を行うため、当局が設置した委託業者選定評価委員会による面接を実施したものである。
 広島地域に限らず、中国管内すべての地域で1者応札となっているのはなぜか。  本事案が国有財産の管理処分という国本来の業務を委託するものであり、受託業者は一般的な不動産取引の知識のほか、国有財産関係法令・通達にも熟知した専門性の高い業務処理が求められる。一方、年間の業務委託手数料見込み額が比較的少額となっているなかで、1年間を通じて業務処理を行う必要があるなど、受託業者側の人員や体制の整備・構築が難しいこともあり、対応できる者が限定的となっているためと考えられる。
 落札者を決定するための技術点、評価値というのはどういうものか。  委託業者選定評価委員会による面接を実施した上で、入札参加者から提出された「提案書」を、業務実施体制の整備と業務実施方法の妥当性の観点から総合的な審査を行い、技術点を採点する。審査を行う個別項目については、業務遂行に最低限必要な基礎点部分と入札参加者による独自の提案・工夫などの加点部分に区分している。このようにして行った審査の結果、合格となったすべての入札参加者に入札書を提出してもらい、技術点を入札金額で除した評価値が最も高い者を落札者としている。
 広島地域だけでも、1者応札の状況を改善する努力をしてもらいたい。  本件業務委託については、従前行っていた企画競争においても参加者は1者であった。今回の入札実施に当たっては、競争参加資格等級の緩和を図っているほか、入札公告期間も3週間と十分確保していたが、それでも参加者は1者であった。その原因は、受託業者には、一般的な不動産取引の知識のほか、国有財産関係法令・通達にも熟知した専門性の高い業務処理が求められるほか、受託手数料見込み額が比較的少額となっているなかで、1年間を通じて業務処理ができる人員や体制が求められるためと考えられる。このため、一般的な改善方法で入札参加者を増やすことは難しいものと考えられるが、引き続き入札参加者の増加に向けた方策を検討していきたいと考えている。
4.広島国税局管内3地方合同庁舎で使用する電気一式(米子ブロック)  
 電力自由化で一般競争入札は可能となったが、米子ブロックの規模では、中国電力11者のみの入札であり、入札にかかる事務コスト面から考えても、入札を実施する必要あるのか。  近年は、風力発電をはじめ、新規に発電事業に参入する業者が増加している。それらの業者への入札参加の声かけ等、新規入札参加業者を増やす努力を行い、より安い電力購入のために競争入札を継続していきたい。
 地方のブロックの区分けは、米子、出雲、隠岐の島の3ブロックとなっているが理由は何か。  各地方合同庁舎へ入居している官署がそれぞれ異なるため、各地方合同庁舎ごとに入居官署連名による契約締結が必要であり、3ブロックに区分けしている。   
 今回の官報による入札公告には、英語による入札公告も掲載してあるが、外国企業の参加も考慮しているのか。  本件は、広く外国企業にも入札参加ができる、世界貿易機関(WTO)の枠組みで運用される調達案件に該当し、英語による入札公告も同時に官報に掲載している。