財務省第10入札等監視委員会定例会議議事概要

開催日及び場所
平成20年6月20日 (金) 広島合同庁舎1号館会議室

委員
 相澤 吉晴 (広島大学大学院社会科学研究科教授)
 瀧   敦弘 (広島大学大学院社会科学研究科教授)
 吉岡   浩 (吉岡法律事務所 弁護士)

審議対象期間

平成20年1月1日 (火) 〜 平成20年3月31日 (月)

契約の概要説明
審議対象期間における契約案件の概要
抽出事案
4件
(備考)

競争入札(公共工事)

1件
契約件名  : (H19)両三柳住宅新築工事
契約相手方 :株式会社荒木組・蜂谷工業株式会社
          経常建設共同企業体
契約金額  :441,000,000円
契約締結日 :平成20年3月31日
担当部局  :中国財務局
競争入札(公共工事)
1件
契約件名   :税務大学校広島研修所空調設備改修工事
契約相手方  :株式会社タイトー設備工業
契約金額   :4,357,500円
契約締結日 :平成20年1月10日
担当部局     : 広島国税局
競争入札(物品役務等)
1件
契約件名     : 国有財産の樹木伐採等業務
契約相手方 : 株式会社緑松
契約金額   : 283,500円
契約締結日 : 平成20年2月12日
担当部局   : 中国財務局
随意契約(物品役務等)
1件
契約件名     :土地精通者公募関係 ほか
契約相手方 : 財団法人日本不動産研究所広島支所 ほか
契約金額   : 2,822,200円 ほか
契約締結日 :平成19年11月18日 ほか
担当部局     : 広島国税局
委員からの意見・質問、それに対する回答等
下記のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容
なし

委員からの意見・質問、それに対する回答等

【審議対象期間の契約事案】

意見・質問 回答

 応札者1者の件数を表示している主旨は何か。

  通常、入札においては、複数の業者から応札があり、競争により落札者が決定される。応札者が1者の場合には、競争原理に基づく入札と若干異なる点もあり、その件数を記載したものである。

 応札者が1者の割合は、他の国税局でも同様か。

  他局の状況については、把握できていない。
  応札者数が少ないと予想される入札案件は、例えば入札参加資格における等級を外すなど、応札者数が増えるような工夫をしている。
  なお、結果的には1者となっているが、入札説明書を取得していながら、応札しない業者もあり、各々の業務については複数の業者が検討している案件がほとんどである。

【抽出事案の説明及び審議】

1.(H19)両三柳住宅新築工事

意見・質問 回答

  競争参加資格を「建築一式工事A及びB等級」とした理由は何か。

  本事案は、予定価格が税込み494,463,239円であることから、財務省所管会計事務取扱規則に定める「予定価格に対応する等級別格付表」により、業種区分「建築一式工事のB等級」に格付けされている者が該当する。
  なお、本予定価格区分は平成12年12月に改正され、B等級の場合、改正前は2億2千万円以上4億5千万円未満であったが、改正後は3億円以上7億2千万円未満と予定価格の幅が大きく改正された。その際、通達により「B等級に対応する工事にあたっては予定価格が4億5千万円以上の場合、A等級に格付けされた者を参加させることができる」とされた。
  この通達を適用して、本案件の等級格付けの設定を、業種区分「建築一式工事のA及びB等級」に格付けされている者とした。

 入札者がいずれも共同企業体となっているのはなぜか。

  本事案の工事場所である山陰地方においては、業種区分「建築一式工事」にB等級以上の単独企業体がいないため、以前から共同企業体として競争参加者資格審査を受けている。

  契約業者は、他の宿舎建設工事も受注しているのか。

  他には、平成19年5月に岡山市内の津島住宅新築工事の案件を受注しており、今回が2回目である。

 契約金額が4億円を超えるが、全国的にみて大きな案件か。

  4億円が特別大きい案件ということではない。むしろ、本案件は宿舎建設工事の中では小さい方の部類に入る。

【抽出事案の説明及び審議】

2.税務大学校広島研修所空調設備改修工事

意見・質問 回答

 入札参加資格の設定について、「C等級業者が少数と見込まれるため、B等級の業者まで参加させた」とあるが、C等級の業者は多数いるのに入札に参加しないということか。

 当該事案の管工事については、過去の実績から応札者が少ないと予想されたため、業者に門戸を広げ適正な競争原理を確保するという観点から、入札参加資格の等級に上位のB等級を含めて設定した。
  C等級の業者は多数いるが、応札者は少ない状況である。

 入札結果では、B等級の業者の入札金額が最も高いが、本来業者の規模に応じ低価になるのではないか。
  また、第1回の入札において、業者によって入札金額にかなりの差があるが、改修工事内容の説明が難しいことが原因で発生するのか。

 一般的には、大規模業者が低価で施工できると思われるが、当該工事の結果は異なる。
  当該工事の主な内容は、空調設備の調達と取替工事であることから、業者への説明が難しい事案ではなく、入札金額の差は、例えば空調機器の調達価格の違い等も一因と考えられる。

 入札を繰り返し、結果的に5回の入札を実施することにより、落札者が決定されているが、予定価格以下になるまで、何回でも実施できるのか。

 入札回数について、明確な定めはないが、基準として3回程度と考えている。
  今回の場合は、最低入札価格と予定価格との差が少額だったため、入札執行責任者の判断において、第4回以降の入札を実施したものである。

 電子入札であっても、入札を繰り返した結果、自社の入札金額が最低入札価格となれば、応札者は自社のみであると判明する場合がある。
  その場合には、結果的に予定価格に近い価格で落札することになるのではないか。

 ご指摘の事例の場合には、入札に参加しているのは自社のみと、分かる場合があるかもしれない。
  繰返し入札を実施した結果、予定価格に近い価格で落札した場合には、適正な予定価格の積算ができたものと考えている。

 入札参加者が、再度入札において全員辞退した場合はどうか。
  また、不調随契の場合には、最終的に最低価格で入札した業者と契約することになるのか。
 入札参加者全員が辞退した場合は、次のいずれかを選択することになる。
 1最低入札価格の業者から見積書を徴して不調随契とする。
 2予定価格又は仕様書などを見直した上、改めて、入札公告からの手続き(「再度公告入札」)を行なう。
  不調随契は、業者と合意に至らなければ契約できないことから、やむを得ず再度公告入札となる事案もある。
  なお、不調随契は、多くの場合に最低価格で入札した業者と契約することになる。

【抽出事案の説明及び審議】

3.国有財産の樹木伐採等業務

意見・質問 回答

予定価格と落札金額との差が大きいのはなぜか。

 本案件の業務内容は、伐採、解体、撤去業務であるが、建設工事とは違い材料費等は必要とせず、主にかかる費用は労務費、運搬費、処分費である。従って、従業員を常時雇用している業者、トラックなどを保有している業者、処分場を保有している業者については、企業努力によりコストをかなり落とすことができると考えられる。
  本件契約業者については、従業員を常時雇用し、トラックも保有しているほか、仕事の有無にかかわらず必要となる固定費については考慮していないとしている。
  このため、入札金額については、処分場を保有していないことから、そのコスト相当額のみを計上したようだ

 契約の履行上、特に問題はなかったのか。

 業務完了検査では、問題なく履行していることを確認している。

【抽出事案の説明及び審議】

4.土地評価精通者公募関係

意見・質問 回答

 土地評価精通者は、不動産鑑定士などの資格がなくても可能か。

 税務署の土地評価精通者については、例えば、農協の役職員にも応募資格があり、不動産鑑定士の資格が必要ということはない。
  意見を求める土地の時価に対する意見価格を提出できれば、問題はない。

 標準地の時価が算出されれば、その地点からの距離等により価格を算定することはできないか。
  多数の地点の時価を算出する必要があるのか。

 意見価格を依頼する標準地は、各市町村ごとに代表的な地点や何丁目にいくつということで、連年継続的に地点数を定めている。

 路線価は、時価(通常取引される価格)か。
  また、最終的に路線価を決定するのは、国税局長か。

 標準地の意見価格としては時価を求めているが、路線価は、評価の安全性という面から、その8割程度で算出されている。
  また、路線価は国税局長が決めており、いつでも閲覧できる。

 国土交通省による地価公示の価格と路線価は、どのような関係にあるか。

 路線価の算出に当たって、地価の公示価格も参考として利用している。