1 事前照会の趣旨

当社では、適格退職年金契約による退職給付を実施していましたが、平成23年5月1日に適格退職年金制度を廃止して確定拠出年金制度に移行することとしました。
 適格退職年金制度の廃止に際しては、当社の退職年金規約(以下「本件規約」といいます。)に則り、年金受給中の者(以下「年金受給者」といいます。)に対して信託財産(年金資産)を分配することになりますが、この場合の年金受給者に支払われる当該年金資産の分配に係る一時金(以下「本件一時金」といいます。)を退職所得として取り扱って差し支えないか伺います。

2 事前照会に係る取引等の事実関係

適格退職年金制度の廃止(契約の解除)に当たり、従業員は確定拠出年金制度に移行することとしていますが、年金受給者については、確定拠出年金制度に移行することができないため、本件規約第23条に則り、年金資産を分配することになります。
 本件規約第23条第1項では、「本制度を廃止したときは、年金受給中の者に対して制度廃止後受領すべき年金現価を計算し、その額に相当する信託財産を分配する。ただし、信託財産に不足をきたす場合はその額に比例して信託財産を分配する。」と定めています。
 なお、年金資産の総額は、当該年金現価相当額の合計額を満たしており、各年金受給者の年金現価計算のとおり分配を行います。
 また、同条第2項では、「前項による分配を行った後の残余の信託財産については、加入者及び退職年金給付繰延中の者の責任準備金の割合によりそれぞれ分配する。」と定めていますが、前述のとおり、従業員(加入者)は確定拠出年金制度に移行(年金資産を移換)することとしているため、従業員に年金資産が分配されることはありません。

3 事実関係に対して事前照会者の求める見解となることの理由

所得税基本通達31−1《厚生年金基金等から支払われる一時金》(1)において、適格退職年金契約に基づいて支給される年金の受給資格者に対し当該年金に代えて支払われる一時金のうち、退職の日以後当該年金の受給開始日までの間に支払われるもの(年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものを含む。)は、退職所得とされています。
 この度の適格退職年金制度の廃止により年金受給者に支払われる一時金は、受給者の年金現価相当額が支払われるものであることから、同通達に定める「将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」に該当し、退職所得に当たると考えます。