令和4年 福岡国税局管内酒類鑑評会の結果公表に当たって

新型コロナウイルス感染症による様々な影響が残るなかで、本年の酒類鑑評会におきましても、酒類製造者の皆様から、丹精込めて製造されたお酒を多数御出品いただき、受賞者の決定及び審査結果の公表に至りました。
 受賞された方はもとより、日々技術の研鑽を重ねられ、お酒造りに邁進しておられる各酒蔵の皆様に、心から敬意を表します。
 この酒類鑑評会を通じて、地元をはじめ、日本中、そして世界中の皆様に、北部九州三県のお酒の魅力を知っていただくと共に、麹を使った登録無形文化財である「伝統的酒造り」に興味を持っていただければ幸いです。
 また、本年9月に西九州新幹線が開業し、人々の交流がさらに盛んになり始め、酒類に関するイベントも開催されつつあります。是非、イベントへの参加や酒蔵訪問を通じ、皆様の御支援を賜りますようこれからもお願い申し上げます。

福岡国税局長
高橋 俊一

1 概要

当局では、北部九州三県(福岡県、佐賀県及び長崎県)で製造された清酒及び本格焼酎の品質評価を通じて酒造技術の進歩と管内酒類の品質向上を図り、酒類業の発達に資することを目的として、毎年酒類鑑評会を開催しています。
 本年の酒類鑑評会では、吟醸酒の部に44製造場から90点、純米酒の部に41製造場から73点、本格焼酎の部に37製造場から107点の出品があり、令和4年9月14日に本格焼酎、9月16日に純米酒、9月20日及び9月22日に吟醸酒の品質評価を行いました。

2 方法

品質評価に当たっては、次の点にポイントをおいています。

部門 品質評価のポイント
吟醸酒 吟醸酒にふさわしい上品又は華やかな香りで、吟醸香と味の調和がとれているか。
純米酒 それぞれの評価温度において、純米酒として香味の調和が優れているか。
本格焼酎 麦、米等の原料の違い及び蒸留等の製造方法の違いによる品質特性を考慮し、個性と香りや味とのバランスがとれているか。

3 出品状況

(1) 吟醸酒の部
( )内は前年実績(以下、同じ)
区分
県名
吟醸酒 純米吟醸酒 合計
場数 点数 場数 点数 実場数 点数
福岡 12(11) 18(16) 16(16) 24(23) 19(20) 42(39)
佐賀 7(13) 8(14) 13(11) 20(17) 15(17) 28(31)
長崎 6(6) 9(9) 9(7) 11(8) 10(9) 20(17)
25(30) 35(39) 38(34) 55(48) 44(46) 90(87)
(2) 純米酒の部
区分
県名
燗酒 常温 合計
場数 点数 場数 点数 実場数 点数
福岡 12(12) 13(16) 17(18) 23(25) 18(22) 36(41)
佐賀 6(7) 7(7) 16(16) 20(22) 18(17) 27(29)
長崎 4(3) 4(3) 5(8) 6(10) 5(8) 10(13)
22(22) 24(26) 38(42) 49(57) 41(47) 73(83)
(3) 本格焼酎の部
原料等
県名
麦製 米製 その他製※1 長期貯蔵酒※2 合計
場数 点数 場数 点数 場数 点数 場数 点数 実場数 点数
福岡 14
(12)
26
(22)

(6)

(8)
12
(12)
19
(17)

(11)
14
(19)
20
(21)
66
(66)
佐賀
(1)

(2)

(1)

(2)

(2)

(3)

(0)

(0)

(2)

(7)
長崎 10
(11)
14
(17)

(1)

(1)

(5)

(7)
10
(8)
14
(12)
16
(14)
35
(37)
25
(24)
42
(41)

(8)

(11)
18
(19)
28
(27)
18
(19)
28
(31)
37
(37)
107
(110)

※1 その他製焼酎の原料別内訳(場数/点数)
  酒粕(8/11)、甘藷(7/9)、茶葉(1/2)、胡麻(1/2)、人参(1/1)、しそ(1/1)、そば(1/1)、かぼちゃ(1/1)

※2 長期貯蔵酒の原料別内訳(場数/点数)
  麦製(16/24(内樽貯蔵(5/6))、米製(1/1)、甘藷(1/1)、馬鈴薯(1/1)、わかめ(1/1)

4 結果

入賞製造場名簿のとおりです。

  1. (1) 吟醸酒の部
     豊かで華やかな香りと軽やかな甘みが調和した高品質のものが多くみられました。バナナのような香りを中心に果実を思わせる多様で華やかな香りがあり、純米吟醸酒では米からの旨味を伴った丸みのある味わいのあるもの、吟醸酒では涼やかで切れのある味わいのあるものに仕上がっていました。
  2. (2) 純米酒の部
     穏やかな香りのものや、まろやかで軽やかな熟成感のある香りのもの、米由来の 旨味と甘みの調和したもの、酸味を効かせた味幅のあるものと、バラエティーに富む酒質に仕上がっていました。燗と常温といった温度帯に合わせた豊かな味わいのあるものが多くみられました。
  3. (3) 本格焼酎の部
     主原料の違いや蒸留方法、貯蔵工程の違いにより多種多様な酒質のものが出品されていました。出品の最も多い麦製のものでは、華やかですっきりとした香りで軽快な味わいのものが、様々な主原料のものでは、その原料特徴香を活かした酒質のものが多くみられました。長期貯蔵酒では、貯蔵方法の違いによる香りの豊かさや味わいの丸さや深みを強調したものが多くみられました。