令和3年 福岡国税局管内酒類鑑評会の結果公表に当たって

新型コロナウイルス感染症の拡大による様々な影響を受けられておられるなかで、本年の酒類鑑評会におきましても、酒類製造者の皆様から、丹精込めて製造されたお酒を多数御出品いただき、受賞者の決定及び審査結果の公表に至りました。
 受賞された方に限らず、北部九州三県(福岡県、佐賀県及び長崎県)の酒蔵では、高品質で味わい深いお酒が造られております。弛まぬ努力を重ねられ、お酒造りに邁進しておられる各酒蔵の皆様に、心から敬意を表します。
 この酒類鑑評会を通じて、地元はもとより、日本中、そして世界中の皆様に、北部九州三県のお酒を楽しんでいただく機会が増えましたら幸いです。また、新型コロナウイルス感染症の感染状況が落ち着き、酒蔵開きが開催されるようになりました際には、是非、酒蔵を訪問していただくなど、御支援を賜りますようお願い申し上げます。

福岡国税局長
平井 康夫

1 概要

当局では、北部九州三県(福岡県、佐賀県及び長崎県)で製造された清酒及び本格焼酎の品質評価を通じて酒造技術の進歩と管内酒類の品質向上を図り、酒類業の発達に資することを目的として、毎年酒類鑑評会を開催しています。
 本年の酒類鑑評会では、吟醸酒の部に46製造場から87点、純米酒の部に47製造場から83点、本格焼酎の部に37製造場から110点の出品があり、令和3年10月19日に純米酒、10月21日及び10月26日に吟醸酒、10月28日に本格焼酎の品質評価を行いました。

2 方法

品質評価にあたっては、次の点にポイントをおいています。

部門 品質評価のポイント
吟醸酒 吟醸酒にふさわしい上品又は華やかな香りで、吟醸香と味の調和がとれているか。
純米酒 料理を食べながら飲用する食中酒にふさわしい味わいがあるか、なめらかさがあるか。
本格焼酎 麦、米等の原料の違い及び蒸留等の製造方法の違いによる品質特性を考慮し、個性と香りや味とのバランスがとれているか。

3 出品状況

(1) 吟醸酒の部
( )内は前年実績(以下、同じ)
区分
県名
吟醸酒 純米吟醸酒 合計
場数 点数 場数 点数 場数 点数
福岡 11(16) 16(23) 16(19) 23(31) 20(24) 39(54)
佐賀 13(13) 14(18) 11(13) 17(19) 17(17) 31(37)
長崎 6(7) 9(10) 7(9) 8(13) 9(10) 17(23)
30(36) 39(51) 34(41) 48(63) 46(51) 87(114)

※令和元酒造年度に製造した出品酒は2点

(2) 純米酒の部
区分
県名
燗酒 常温 合計
場数 点数 場数 点数 場数 点数
福岡 12(17) 16(21) 18(19) 25(25) 22(25) 41(46)
佐賀 7(6) 7(9) 16(12) 22(19) 17(15) 29(28)
長崎 3(5) 3(6) 8(6) 10(7) 8(8) 13(13)
22(28) 26(36) 42(37) 57(51) 47(48) 83(87)
(3) 本格焼酎の部
原料等
県名
麦製 米製 その他製※1 長期貯蔵酒※2 合計
場数 点数 場数 点数 場数 点数 場数 点数 実場数 点数
福岡 12
(13)
22
(22)

(8)

(9)
12
(15)
17
(22)
11
(11)
19
(17)
21
(20)
66
(70)
佐賀
(3)

(4)

(2)

(3)

(3)

(4)

(0)

(0)

(4)
7
(11)
長崎 11
(11)
17
(16)

(0)

(0)

(6)

(8)

(8)
12
(10)
14
(14)
37
(34)
24
(27)
41
(42)

(10)
11
(12)
19
(24)
27
(34)
19
(19)
31
(27)
37
(38)
110
(115)

※1 その他製焼酎の原料別内訳(場数/点数)
  酒粕(7/10)、甘藷(7/8)、茶(2/3)、ごま(1/2)、にんじん(1/1)、しそ(1/1)、ひし(1/1)、はとむぎ(1/1)

※2 長期貯蔵酒の原料別内訳(場数/点数)
  麦製(15/25(内樽貯蔵(4/5))、米製(1/1)、甘藷(3/3)、栗(1/1)、馬鈴薯(1/1)

4 結果

入賞製造場名簿のとおりです。

  1. (1) 吟醸酒の部
     吟醸香と味の調和が優れたものが多くみられました。具体的にはさわやかな香りのもの、甘く華やかな香りがするものなど多様な香りがみられ、総じて穏やかな酸味を感じる、甘くふくらみのある味わいとなっていました。
  2. (2) 純米酒の部
     米や麹を由来とする旨味を有しており、香りが穏やかでキレが良いもの、味わいが濃醇なもの、果実を思わせるフルーティーな香りで軽快な酒質のものまで食中酒としての特性を持ちつつ、バラエティーに富んだ酒質となっていました。
  3. (3) 本格焼酎の部
     本格焼酎は、麦を中心として原料の特性や蒸留方法等の違いによる特徴がよくあらわれていました。フルーティーな香と軽快な味わいを持ったものや、芳醇で香ばしい香りと味にコクのある濃醇なもの、さらに、熟成によるまろやかな味わいがみられるものなど、原料・発酵・蒸留・貯蔵等の各工程に十分配慮がみられました。