1 令和元事務年度における所得税の調査等の状況

新型コロナウイルス感染症の影響もあり調査等件数は減少したが、1件当たりの追徴税額は増加

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

  • 実地調査の件数は、特別調査・一般調査が2,386件(前事務年度2,697件)、着眼調査が598件(前事務年度832件)であり、簡易な接触の件数は16,424件(前事務年度25,674件)となっています。
  • これらの調査等の合計件数は19,408件(前事務年度29,203件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は12,744件(前事務年度19,233件)となっています。

(2) 申告漏れ所得(調査等の対象となった全ての年分の合計)金額の状況

  • 実地調査による申告漏れ所得金額は、223億9百万円(前事務年度258億6千万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは203億5千8百万円(前事務年度226億4千5百万円)、着眼調査によるものは19億5千1百万円(前事務年度32億1千6百万円)となっています。
  • また、簡易な接触による申告漏れ所得金額は126億4千2百万円(前事務年度170億5千8百万円)となっており、調査等合計では349億5千1百万円(前事務年度429億1千8百万円)となっています。

(3) 追徴税額(調査等の対象となった全ての年分の合計で加算税を含む。)の状況

  • 実地調査による追徴税額は、37億3千2百万円(前事務年度44億3千1百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは35億8千2百万円(前事務年度40億8千9百万円)、着眼調査によるものは1億5千1百万円(前事務年度3億4千2百万円)となっています。
  • また、簡易な接触による追徴税額は7億9千4百万円(前事務年度12億1千万円)となっており、調査等合計では45億2千6百万円(前事務年度56億4千1百万円)となっています。

(参考)

  1. 1 実地調査(特別調査・一般調査)とは、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査を行うもので、特に、特別調査は、多額な脱漏が見込まれる個人を対象に、相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施しているものです。
  2. 2 実地調査(着眼調査)とは、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実地に臨場して短期間で行う調査です。
  3. 3 簡易な接触とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものです。

〇 所得税の調査等の状況

区分 実地調査 簡易な接触   調査等合計  
          特別・一般   着眼        
項目 対前年比 対前年比 対前年比 対前年比 対前年比
1 調査等件数 2,697   832   3,529   25,674   29,203  
2,386 88.5% 598 71.9% 2,984 84.6% 16,424 64.0% 19,408 66.5%
2 申告漏れ等の 2,287   669   2,956   16,277   19,233  
非違件数 2,035 89.0% 480 71.7% 2,515 85.1% 10,229 62.8% 12,744 66.3%
3 申告漏れ 百万円 22,645   3,216   25,860   17,058   42,918  
所得金額 20,358 89.9% 1,951 60.7% 22,309 86.3% 12,642 74.1% 34,951 81.4%
4 追徴税額 本税 百万円 3,439   298   3,737   1,204   4,940  
2,954 85.9% 135 45.3% 3,089 82.7% 768 63.8% 3,856 78.1%
5 加算税 百万円 650   44   694   6   701  
628 96.6% 16 36.4% 644 92.8% 26 433.3% 670 95.6%
6 百万円 4,089   342   4,431   1,210   5,641  
3,582 87.6% 151 44.2% 3,732 84.2% 794 65.6% 4,526 80.2%
7 一件当たり 申告漏れ 千円 8,396   3,865   7,328   664   1,470  
所得金額 8,532 101.6% 3,263 84.4% 7,476 102.0% 770 116.0% 1,801 122.5%
8 追徴税額 本税 千円 1,275   358   1,059   47   169  
1,238 97.1% 225 62.8% 1,035 97.7% 47 100.0% 199 117.8%
9 加算税 千円 241   53   197   0   24  
263 109.1% 27 50.9% 216 109.6% 2 - 35 145.8%
10 千円 1,516   411   1,256   47   193  
1,501 99.0% 252 61.3% 1,251 99.6% 48 102.1% 233 120.7%

(注)

  1. 1 令和元年7月から令和2年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
  2. 2 上段は、前事務年度の計数である。
  3. 3 「簡易な接触」の件数には、添付書類の未提出に対する提出依頼を行った件数等を含む。
  4. 4 追徴税額(本税)には、復興特別所得税額を含む。
  5. 5 実地調査の件数は、所得税と消費税の実地調査件数である。

(参考) 譲渡所得の調査等の状況

所得税のうち譲渡所得に係る調査等の件数が、390件(前事務年度871件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数が、311件(前事務年度734件)となっています。申告漏れ所得金額(調査等の対象となった全ての年分の合計)は、32億2千9百万円(前事務年度53億3千2百万円)となっています。

事務年度 平成30事務年度 令和元事務年度 対前事務年度
 項目
1        
調査等件数 871 390 44.8
  土地建物等 818 354 43.3
  株式等 53 36 67.9
2        
申告漏れ等の
非違件数
734 311 42.4
  土地建物等 685 275 40.1
  株式等 49 36 73.5
3         ポイント
申告漏れ割合
21
84.3 79.7 ▲4.5
  土地建物等 83.7 77.7 ▲6.1
  株式等 92.5 100.0 7.5
4     百万円   百万円  
申告漏れ所得金額 5,332 3,229 60.6
  土地建物等 4,662 2,761 59.2
  株式等 670 467 69.8
5     千円   千円  
1件当たり申告
漏れ所得金額
41
6,121 8,278 135.2
  土地建物等 5,699 7,800 136.9
  株式等 12,636 12,979 102.7

(注)

  1. 1 土地建物等は、土地建物(分離譲渡所得)及び金地金等(総合譲渡所得)である。
  2. 2 土地建物等は、課税年分ごとに1件としている。

2 令和元事務年度における消費税(個人事業者)の調査等の状況

新型コロナウイルス感染症の影響もあり調査等件数は減少したが、1件当たりの追徴税額は増加

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

  • 実地調査の件数は、特別調査・一般調査が1,671件(前事務年度1,884件)、着眼調査が277件(前事務年度430件)であり、簡易な接触の件数は1,795件(前事務年度3,104件)となっています。
  • これらの調査等の合計件数は3,743件(前事務年度5,418件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は2,470件(前事務年度3,903件)となっています。

(2) 追徴税額(調査等の対象となった全ての年分の合計で加算税を含む。)の状況

  • 実地調査による追徴税額は、17億8千9百万円(前事務年度17億9千9百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは17億5百万円(前事務年度16億3千8百万円)、着眼調査によるものは8千3百万円(前事務年度1億6千1百万円)となっています。
  • また、簡易な接触による追徴税額は1億7千1百万円(前事務年度3億7千7百万円)となっており、調査等合計では19億6千万円(前事務年度21億7千6百万円)となっています。

〇 消費税(個人事業者)の調査等の状況

区分 実地調査 簡易な接触   調査等合計  
  特別・一般   着眼        
項目 対前年比 対前年比 対前年比 対前年比 対前年比
1 調査等件数 1,884   430   2,314   3,104   5,418  
1,671 88.7% 277 64.4% 1,948 84.2% 1,795 57.8% 3,743 69.1%
2 申告漏れ等の 1,491   387   1,878   2,025   3,903  
非違件数 1,370 91.9% 240 62.0% 1,610 85.7% 860 42.5% 2,470 63.3%
3 追徴税額 本税 百万円 1,367   133   1,499   368   1,867  
1,411 103.2% 69 51.9% 1,480 98.7% 151 41.0% 1,630 87.3%
4 加算税 百万円 272   29   300   9   309  
295 108.5% 14 48.3% 309 103.0% 20 222.2% 330 106.8%
5 百万円 1,638   161   1,799   377   2,176  
1,705 104.1% 83 51.6% 1,789 99.4% 171 45.4% 1,960 90.1%
6 一件当たり 追徴税額 本税 千円 725   308   648   118   345  
844 116.4% 249 80.8% 760 117.3% 84 71.2% 436 126.4%
7 加算税 千円 144   66   130   3   57  
176 122.2% 52 78.8% 159 122.3% 11 366.7% 88 154.4%
8 千円 870   375   778   121   402  
1,021 117.4% 301 80.3% 918 118.0% 95 78.5% 524 130.3%

(注)

  1. 1 令和元年7月から令和2年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
  2. 2 上段は、前事務年度の計数である。
  3. 3 消費税の追徴税額には、地方消費税(譲渡割額)を含む。