1 平成30事務年度における相続税の実地調査の状況

(1)実地調査件数及び申告漏れ等の非違件数

相続税の実地調査は、平成28年に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案等について実施しました。
 実地調査の件数は484件(平成29事務年度461件)、このうち申告漏れ等の非違があった件数は429件(平成29事務年度398件)で、非違割合は88.6%(平成29事務年度86.3%)となっています。

(2)申告漏れ課税価格

申告漏れ課税価格は122億9千2百万円(平成29事務年度117億3千4百万円)で、実地調査1件当たりでは2,540万円(平成29事務年度2,545万円)となっています。

(3)申告漏れ相続財産の金額の内訳

申告漏れ相続財産の金額の内訳は、金額が多い順番に、現金・預貯金等が40億8千7百万円(平成29事務年度43億9千5百万円)、土地が10億4千5百万円(平成29事務年度7億7千3百万円)、有価証券が8億3千2百万円(平成29事務年度8億2千8百万円)となっています。

(4)追徴税額

追徴税額(加算税を含む。)は22億7千9百万円(平成29事務年度20億4千6百万円)で、実地調査1件当たりでは471万円(平成29事務年度444万円)となっています。

(5)重加算税の賦課件数

重加算税の賦課件数は50件(平成29事務年度54件)、賦課割合は11.7%(平成29事務年度13.6%)となっています。

相続税の調査事績

事務年度等 平成29事務年度 平成30事務年度  
項目 対前事務年度比
1 実地調査件数
461 484 105.0
2 申告漏れ等の非違件数
398 429 107.8
3 非違割合
(21
ポイント
86.3 88.6 2.3
4 重加算税賦課件数
54 50 92.6
5 重加算税賦課割合
42
ポイント
13.6 11.7 ▲ 1.9
6
(注)
申告漏れ課税価格
百万円 百万円
11,734 12,292 104.8
7 6のうち
重加算税賦課対象
百万円 百万円
2,699 2,231 82.7
8 追徴税額 本税 百万円 百万円
1,719 1,933 112,5
9 加算税 百万円 百万円
327 346 105.8
10 合計 百万円 百万円
2,046 2,279 111.4
11 実地調査
1件当たり
(注)
申告漏れ
課税価格
61
万円 万円
2,545 2,540 99.8
12 追徴税額
101
万円 万円
444 471 106.1

(注) 「申告漏れ課税価格」は、申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適用財産を含む。)から、被相続人の債務・葬式費用の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものである。よって、「III 参考計表」の「1 申告漏れ相続財産の金額の推移」の金額と一致しない。

2 平成30事務年度における相続税の簡易な接触の状況

相続税の簡易な接触の状況

国税庁においては、実地による税務調査を適切に実施する一方で、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの接触(以下「簡易な接触」といいます。)を実施し、適正申告の確保に努めています。
 平成30事務年度における簡易な接触の件数は437件(平成29事務年度587件)、このうち申告漏れ等の非違及び回答等があった件数は292件(平成29事務年度400件)で、この割合は66.8%(平成29事務年度68.1%)となっています。

相続税の簡易な接触の事績

事務年度等 平成29事務年度 平成30事務年度  
項目 対前事務年度比
1 簡易な接触件数
587 437 74.4
2 申告漏れ等の非違件数
196 158 80.6
3
(注1)
回答等の件数
204 134 65.7
4 申告漏れ等の非違及び
回答等の件数(23
400 292 73.0
5 非違及び回答等の割合
41
ポイント
68.1 66.8 ▲ 1.3
6
(注2)
申告漏れ課税価格
百万円 百万円
5,505 6,123 111.2
7 追徴税額 本税 百万円 百万円
338 454 134.4
8 加算税 百万円 百万円
26 31 121.0
9 合計 百万円 百万円
364 486 133.5
10 簡易な接触
1件当たり
(注2)
申告漏れ課税価格
61
万円 万円
938 1,401 149.4
11 追徴税額
91
万円 万円
62 111 179.3

(注)

  1. 1 「回答等の件数」とは、無申告が想定される者への書面照会に対する回答件数や、書類の提出依頼に対する書類提出件数のことをいう。
  2. 2 「申告漏れ課税価格」は、申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適用財産を含む。)から、被相続人の債務・葬式費用の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものである。