開催日及び場所 平成29年6月22日(木) 福岡合同庁舎5階 共用第2会議室
委員 委員 青野  弘(青野公認会計士事務所 公認会計士)
委員 屋宮 憲夫(福岡大学 法学部教授)
委員 堺  祥子(井口・堺法律事務所 弁護士)
審議対象期間 平成29年1月1日(日)から平成29年3月31日(金)
契約締結分の概要説明 審議対象期間に係る契約締結分及び契約実績状況調書の概要を説明
抽出事案 4件 (備考)
  競争入札(公共工事) 1件
契約件名 (H28)南崎住宅2号棟外1住宅 エレベーター改修工事
契約相手方 株式会社日立ビルシステム九州支社 (法人番号 2010001027031)
契約金額 36,720,000円(税込)
契約締結日 平成29年3月15日
担当部局 福岡財務支局
随意契約(公共工事) -件 -
競争入札(物品役務等) 3件
契約件名 監視艇つしま船体維持上架(中間検査受検)一式
契約相手方 有限会社前田造船所 (法人番号 7250002010932)
契約金額 9,180,720円(税込)
契約締結日 平成29年1月11日
担当部局 門司税関
契約件名 長崎税関監視艇建造 1隻
契約相手方 三菱重工業株式会社 (法人番号 8010401050387)
契約金額 1,587,600,000円(税込)
契約締結日 平成29年3月30日
担当部局 長崎税関
契約件名 平成28年度サーバーラック免震装置の設置業務
契約相手方 株式会社富士通エフサス西日本本部 (法人番号 8010401056384)
契約金額 3,996,000円(税込)
契約締結日 平成29年2月14日
担当部局 福岡国税局
随意契約(物品役務等) -件 -
うち応札(応募)業者数
 1者関連
2件
契約件名 長崎税関監視艇建造 1隻
契約相手方 三菱重工業株式会社 (法人番号 8010401050387)
契約金額 1,587,600,000円(税込)
契約締結日 平成29年3月30日
担当部局 長崎税関
契約件名 平成28年度サーバーラック免震装置の設置業務
契約相手方 株式会社富士通エフサス西日本本部 (法人番号 8010401056384)
契約金額 3,996,000円(税込)
契約締結日 平成29年2月14日
担当部局 福岡国税局
委員からの意見・質問
それに対する回答等
次ページ以降のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし
意見・質問 回答
【事案 1】
契約件名 (H28)南崎住宅2号棟外1住宅 エレベーター改修工事
契約相手方 株式会社日立ビルシステム 九州支社 (法人番号 2010001027031)
契約金額 36,720,000円
契約締結日 平成29年3月15日
担当部局 福岡財務支局
 
 エレベーターの改修工事は、当委員会において抽出実績がないことから業務内容について確認したい。
 また、複数応札があり競争が働いているにもかかわらず高落札率となっていることから、予定価格の算定方法等について確認したい。
 
 震災以降、耐震強化に対する同規模、同種の改修工事を実施する事業者は多かったと思われるがそのような案件について調査はされたのか。  特に調査は実施していないが、当局においても過去2件の工事実績があり、本件改修工事のように既設の部品を利用した工事は、当初設置したメーカー以外が受注するのは難しいと聞いている。
 予定価格の算定において、見積書を徴求しているが、見積書は前回の工事実績業者から徴求し掛率を乗じて算出しているのか、それとも違う業者なのか。  見積書の徴求は、前回の実績業者ではない。複数者、見積りをお願いしたものの協力していただいた業者は、今回の落札業者のみであった。
 1者のみの見積書の徴求になっているが、予定価格算定においては、当該業者と協議しながら進めたということか。  当該業者からは、各設備毎の項目の見積りを徴したのみであり、その価格に当局で決定した掛率を乗じて予定価格を算定している。
 今回の落札業者は、他の競争者の参加が困難と予測することはできたと考えるが如何か。  電子入札システムでの入札であるため、誰が参加しているか分からない状況ではあるが、既設部品を利用した工事であるため他者の参加は難しいとの予測は可能であったものと思われる。
 貴局が管理している公務員宿舎において、エレベーターが設置されている住宅はどの程度か、また、今後の改修状況は。さらに設置されているエレベーターの設置メーカーの状況は。  エレベーターが設置されているものは、20棟あり、うち改修済が5棟、改修不要が5棟、今後改修予定が10棟である。設置メーカーは複数者ある。
意見・質問 回答
【事案 2】
契約件名 監視艇つしま船体維持上架 (中間検査受検)一式
契約相手方 有限会社前田造船所 (法人番号 7250002010932)
契約金額 9,180,000円(税込)
契約締結日 平成29年1月11日
担当部局 門司税関
 
 今回の船体維持上架作業については、以前に比べれば応札者も増え、競争も働いたのではないかと考えられるが、落札率は高止まりとなっている。
 入札状況を確認させていただき、競争が働いた経緯について説明いただくとともに、高落札の理由が再入札である場合は、予定価格が適切であったか確認させていただきたい。
 
 修繕項目に係る予定価格の算出について、見積書をメーカー等から個別に取得しているが、造船所等からまとめて取得することはできないのか。  造船所からの入手も可能であるが、結果的に造船所から各装備品メーカーに手配をすることになるため、見積もり額に造船所のマージンが含まれる可能性が高いことから、メーカー等から直接取得することで適正な予定価格が算出されるものと考える。
 4回目の再度入札で1者となっているが、3回目の段階で終了とならないのか。  3回目の再度入札の結果、残る1者となったが、当該者が辞退を申し出なかったため、4回目の再度入札を実施したものである。
 応札が残る1者となっても、入札は成立するのか。  仮に全ての者が辞退となれば、再度公告入札若しくは不調随意契約への移行となるが、今回は1者が辞退を申し入れなかったため、入札は成立していると考えている。
 今回は前回より応札者も増えており、競争性が確保されていることは評価できるが、第1回目の入札金額が、全て高く応札している。過去の類似する案件での各社の応札状況を確認したい。  今回応札している者のうち、落札者含む2者は当関で発注する監視艇の維持上架にはほぼ毎回参加しているが、残る1者は最近応札に参入した者であり、現時点では落札実績はない。
 1回目から全て落札者が最低価格で入札しているが、それについて考えられる点はないか。  今回の監視艇つしまには船体動揺低減を目的としたフィンが設置されているため、船体の陸揚げには技術を要し、当関所属の他船に比し上下架費用が高めに設定されている。なお、契約者は同船の整備入札を何度も落札しており、蓄積したノウハウを有しているため、他社より安価に落札しているものと考えられる。
意見・質問 回答
【事案 3】
契約件名 長崎税関監視艇建造 1隻
契約相手方 三菱重工業株式会社 (法人番号 8010401050387)
契約金額 1,587,600,000円(税込)
契約締結日 平成29年3月30日
担当部局 長崎税関
 
 非常に高額な取引であるが、一者応札で高落札率となっている。造船業者は多数存在すると思うが、一者応札となった経緯・状況及び予定価格の算定につき説明願いたい。また、落札業者と設計業者との関係性の有無、設計に伴う予定価格情報の取扱いについて確認したい。  
 長崎税関が保有している監視艇の建造業者は、今回の落札業者と大型監視艇建造実績のある他者B社の2者であるのか。  今回の落札業者とB社が全国の税関で建造実績があるのは、大型監視艇のみである。長崎税関において保有する大型監視艇は、「なんせい」のみであることから、他の2艇については、別の造船業者が受注・建造を行っている。
 税関における大型監視艇建造実績について、先の2者以外の受注実績はあるのか。  大型監視艇の建造受注実績は2者のみである。
 中型及び小型監視艇においては、他の造船業者が受注・建造を行っている。
 先の2者に入札参加の慫慂は行ったもののB社においては、他船舶の建造スケジュールにより入札参加を辞退されたということか。  入札参加に必要な証明書等提出期限においても連絡がなかったためB社に確認を行ったところ、そのような説明があった。
 建造時期をずらして競争参加者を確保することは困難であったのか。  監視艇は年間1隻ベースで建造を行っているが、今回は約16億円の予算が必要となる。約16億円の建造費は一括払いではなく、複数回に分割し、複数年度で支払うこととなり、建造時期をずらすことは困難であった。
参考資料にある平成22年度に契約が締結された大型監視艇の契約金額は、11億5千万円程度であり、今回は約16億円程度になっているが、同じ大型監視艇でこれほど金額に差があるのは何故か。  予算要求時の段階で、直近の大型監視艇建造受注業者であるB社から見積りを徴取したところ、消費税率の改定以外に、人件費・資材費の価格上昇により調達価格が増える見込みであることが判明した。
 特に主機関については、海外メーカーからの調達となるが、排ガス規制による型式変更、かつ、今回調達を行う監視艇の主機関は、過去に調達した監視艇と比較し出力が大きいことから、調達価格が大幅に増加している。
予定価格調書は設計業者が作成した船価計算書が基となっているということであるが、監視艇の装備品等については見積書を入手し、85から95%程度の掛け率をかけ計算を行っている。テレビ・冷蔵庫等の市況品についても計上されているが、その計算価格と落札業者の一回目の入札金額が、きわめて類似している。
 設計業者は契約上守秘義務があり、予定価格もその範疇に含まれるとの理解であるが、予定価格と入札金額の類似について、発注者としてどのように考えられたか。
 契約締結後に落札業者より、契約金額に対する内訳書を提出させ、予定価格調書との差額について確認を行っている。調達項目の計上について、当方と落札業者との間で、考え方が多少異なる部分があり、完全な比較はできないが、各調達項目において、比率が同一であるということはなかった。
大型監視艇は全国の税関で5艇あるとのことであるが、門司税関では保有しているか。  (門司税関)
門司税関は4艇保有しているが、3艇が中型、もう1艇はさらに小型の港湾艇であり、大型監視艇は保有していない。
大型監視艇のような高速艇は、他の官公庁・政府機関においては保有されていないのか。  海上保安部、自衛隊においては、税関より調達実績はあるものと考える。
ただし、税関の監視艇より、更に大型、かつ高性能の船舶であり、税関監視艇の調達において参考とならないものと考える。
意見・質問 回答
【事案 4】
契約件名 平成28年度サーバーラック免震装 置の設置業務
契約相手方 株式会社富士通エフサス (法人番号 8010401056384)
契約金額 3,996,000円(税込)
契約締結日 平成29年2月14日
担当部局 福岡国税局
 
 一者応札でありかつ高落札率となっている。業務の内容、入札状況、一者応札となった経緯、予定価格の算出方法等について確認したい。  
 予定価格全体に占める免震装置本体価格の割合が大きいため、競争が働きにくいのではないか。  物品の購入と同じで本体部分についても競争は働くと考えている。
 一者応札の要因として、年度末に近いなど時期的なものが関係しているのか。  業者に確認したわけではないが、時期的なものは関係ないと考えている。
 応札者が少ないのは競争性確保の観点からは問題であり、一者応札となった要因について調査すべきではないか。  本件は今年度限りの調達であるため、入札辞退者等から原因等について聴取していない。例年調達してる事案については、原因等を分析し仕様書等の見直しを検討している。
 本体価格の参考見積は、契約業者と関連のある者から徴取したのか。  参考見積を依頼した2者のうち、1者は契約業者である。
 契約業者が免震装置を製造しているのか。  契約業者は販売代理店である。
 今回免震装置を設置したサーバーラックに収納されているサーバーのメーカーは何か。  富士通、東芝、IBM製のサーバーが収納されている。
 再度入札で3回入札が実施されているが、参考見積金額に比べ、1回目の入札金額は少し割高ではないかと思われる。これは他に競争者がいない場合によくある傾向であり、また、サーバーの移設等があるため、収納されているサーバーのメーカーの取扱業者に有利ではないか。  参考見積を徴取した時の免震装置とは別のメーカーの免震装置が納品されており、本体価格に違いがあることも想定される。
また、今回の移設等作業は複雑なものではなく、収納されているサーバーも複数のメーカー製であるため、特定のメーカーの取扱業者に有利とは考えていない。
【委員会の審議結果】  
 今回抽出した4つの事案については、いずれも適法かつ適正な調達手続きが尽くされていることを確認した。
 調達事案について全体的な意見を申し上げると、入札参加資格等級の拡大等により、全体的に一者応札事案は減少している。
 一者応札、随意契約事案については、ほとんど競争性の確保が困難な調達に限られており、全体的に競争性がかなり確保されているものと評価できる。
 公共工事においては、一者応札事案が1件と少ないが、応札状況を見ると高落札率の事案が少し増加傾向にある。
 また、少数ながら競争が成立することが期待できる一者応札事案も見受けられることから、今後も競争性を高めるために一者応札の解消に向け、なお一層の取組みを期待したい。
 
(第1事案について)
 本件工事のようないわゆるアフターマーケットと呼ばれる、設備設置後の保守点検改修などは競争を維持するのが非常に難しいため、今後、独立系の事業者等に部品や技術開示ができることを明確に情報提供することや、エレベーターを設置する際の契約書に、部品提供や技術情報の開示を行うような事を明確にしておくことも効果的と思われる。
 また、本件工事のように設置メーカー毎に発注するのではなく、異なるメーカーをセットで発注することで、それぞれの子会社や独立系の会社が参加し競争性が働くものと思われるため、今後検討していただきたい。
 
(第2事案について)
 等級の拡大等に努め、応札者が増えたことは高く評価できる一方、応札状況については全ての応札者が当初から入札額を高く入れ、結果的に残った1社がほぼ予定価格と同価で落札している。今後も同様の応札が続くか否か注視し、仮に同形態が続くようであれば問題視すべきと考える。
 
(第3事案について)
 監視艇の設計受注業者が少数であり、建造受注業者も少数の状況となっている。
 また、応札価格が予定価格に非常に近い状態が見受けられたところである。
 設計から建造まで受注業者が一部に限られ、競争性が働きにくい市場になっていると見受けられる。
 これが全国の税関における監視艇調達において続いている状況であるかが、一つの問題であると考える。
 また、このような調達は一つの税関においてかなりの長期間に一回となるようであるが、監視艇の調達を各税関で行うことが適切なのかどうか疑問に思うところはある。監視艇の建造について、予定価格の算定、競争性の確保など、特定の部門において適切な一括管理を行っていくことが効果的ではないかと考える。
 全国的な一括調達について提案することを検討すべきではないかと考える。
 
(第4事案について)
 汎用性がある物品であり、販売業者が多く存在することが想定されため、一者応札の解消が重要である。このような事案については、情宣活動を積極的に行うなど、応札しやすい環境を醸成し一者応札の解消、競争性の確保に努めていただきたい。
 また、予定価格の算出に当たり、販売価格が公表されていない物品の実勢価格を聴取する場合は、販売業者ではなく、直接製造メーカーに対して実施する方が有効であり、入札に参加することが想定されない第三者から情報収集することが好ましいと考える。