開催日及び場所 | 平成27年9月16日(水) 福岡合同庁舎5階 共用第2会議室 | |||||||||||||||||
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委員 |
委員 屋宮 憲夫(福岡大学 法学部教授) 委員 林 桂一郎(西日本綜合法律事務所 弁護士) 委員 横山 研治(立命館アジア太平洋大学 国際経営学部長) |
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審議対象期間 | 平成27年4月1日(水) 〜 平成27年6月30日(火) | |||||||||||||||||
契約締結分の概要説明 | 審議対象期間に係る契約締結分及び契約実績状況調書の概要を説明 | |||||||||||||||||
抽出事案 | 4件 | (備考) | ||||||||||||||||
競争入札(公共工事) | 1件 |
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随意契約(公共工事) | -件 | - | ||||||||||||||||
競争入札(物品役務等) | 3件 |
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随意契約(物品役務等) | -件 | - | ||||||||||||||||
応札(応募)業者数1者関連 | -件 |
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委員からの意見・質問、それに対する回答等 | 別紙のとおり | |||||||||||||||||
委員会による意見の具申又は勧告の内容 | なし |
意見・質問 | 回答 | |||||||||||||||
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【事案 1】
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他の庁舎の清掃業務に対し落札率が高率となっていること及び前回(平成22年度)同案件を審議した際の入札参加業者が9者であったが今回2者と減少していることから抽出した。入札状況、落札率が高率及び落札者が2者となった原因、予定価格の算定方法等について説明願いたい。 | ||||||||||||||||
予定価格の算定において、過去の落札率を加味し、より実勢価格に近い計算方法としたことが高落札となった要因との説明であるが、もともと清掃に係る人件費をかなり低い金額に抑え応札した金額を実勢価格に合わせることが、相場の金額と乖離を生じさせたものと思われるが、予定価格の計算が少し行き過ぎたということはないか。 | 本件の予定価格は、国土交通省が発出している積算要領の標準歩掛及び労務単価を基に積算価格を算出しており、より実勢価格に近付けるため過去の落札率を加味し調整した率を積算価格に乗じて予定価格としており適切な金額と考えている。 | |||||||||||||||
清掃業務においては、落札金額を公表している中、過去からあまり業務内容が変わらないため落札金額がある程度推測し易いと思われる。入札状況を見ると落札したA者と2順位のB者の応札金額には1千万円も差があり、B者は到底落札できない金額で応札していると推測できたと思われるが如何か。 | B者にヒアリングを行っていないため具体的には分からないが、今年度は平成26年度と比較すると仕様も変わっているため、積算の内容も変わり予定価格が上がるものと推測し応札したのではないかと考えられる。 | |||||||||||||||
落札金額が推測される中、B者は、予定価格より1千万円以上の乖離がある金額で応札している状況を見ると本当に競争し、落札しようとして参加しているのか疑問に思うが如何か。 | B者は、利益を検討したうえで応札していると思われる。A者は、4年連続で請負っており本件業務に対し十分なノウハウがあること、また清掃員も手馴れていること、他の営業に有益に働くという理由で本件業務に対し積極的に応札していると聞いているところである。 | |||||||||||||||
本件は清掃業務の競争者が24年度から急激に減少し実質的な競争が成り立たない価格になっている。平成24年度の落札金額が非常に低価格・低率となり実勢価格と考えているものが急激に落ちたということで、競争者が競争できない状況が作られたのではと考えられ、戦略的に競争を排除しようという意図で取引が行われたのではないかと疑問が残ることから、平成22年度以降の入札状況等について確認したいと考えている。 | 了解した。 |
意見・質問 | 回答 | |||||||||||||||
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【事案 2】
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門司のような港町で1者応札となった理由・経緯及び高落札率となった理由について説明いただきたい。 | ||||||||||||||||
予定価格の積算の際に3者からバージ船による引渡し価格を聴取しているが、聴取した3者の中に契約相手となった会社は入っているのか。 | 契約相手方となった会社からも聴取している。 | |||||||||||||||
市場の価格が変動した場合の契約単価の見直し方法について具体的に説明願う。 | 「契約単価改定基準」を作成している。 具体的には、経済産業省が公表する「石油製品小売市況調査」の福岡県に係る軽油1L当たりの平均店頭現金売価格について、3月末の公表価格と直近に公表された価格に5%以上の変動が生じた場合、契約単価を変更することとしている。 |
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契約見直しの際に公表される「石油製品小売市況調査」の単価を積算の際に採用することは難しいのか。 | 公表されている内容が門司港または関門港と地域が特定されていれば予定価格積算の際に参考とすべきであるが、県単位の公表のため難しいと考えている。 | |||||||||||||||
市場の変動に合わせて契約単価を見直すことが、高落札率となった理由について再度説明願う。 | 予定価格を3月の開札直前に見直すことで、直近の市場価格に近い金額を予定価格としていたと考えている。 1回目の入札では、参加者はある程度の利益等を考慮して入札した結果、予定価格を越えたため、2回目の入札で価格を下げた結果が市場価格に近い金額になったものと思われる。 |
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2回目の入札において価格を下げたのは、「契約単価改定基準」が設けられた事により、市場価格が高騰した場合でも、ある程度柔軟に価格交渉が行なえると判断したものか。 | そのように考えている。 | |||||||||||||||
予定価格積算の際、聞取した3者のうち最も安価な金額を提示した会社は今回の入札に参加していないのか。 | 今回の入札には参加していない。 聞取りした者の中には入札参加資格を持っていない会社もある。 これは、漁協系の会社であれば、組合員に対する販売を主としているなどの理由で官公庁との契約に消極的な場合もある。 |
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入札参加資格をA等級に拡大する方向で検討するとの説明だったが、A等級の資格を持つ業者は給油設備を持っているのか。 | 今回、入札説明の際に話を聞きに来たA等級の参加資格を持つ業者が自社の給油設備を所有しているか否かは確認していない。 しかし、仕様書に定める方法での給油は可能ということだったので、次年度、A等級を参加資格に入れることで、この業者は入札には参加するものと考えている。 |
意見・質問 | 回答 | |||||||||||||||
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【事案 3】
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この事案は、大変高額な調達でありながら一者応札となっている。 平成26年度にも同様の案件があったが、この時は複数の応札があっていた。今回1者応札となったのは、何か理由があるのか説明をお願いしたい。 |
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落札者は、監視艇搭載監視カメラの機器につき、自社で開発・製造しているものはあるか。 | 夜間取締用の赤外線カメラは自社開発であり、昼間帯のカメラについては、レンズ部分はレンズメーカーから購入し、自社で製造を行っている。 | |||||||||||||||
前年度に応札した他企業についても同様と考えて良いか。 | 同様に当該企業で製造していると伺っている。ただし、カメラ部以外の部分については、他社製品を組み合わせ納入することとなる。 | |||||||||||||||
前年度応札業者は、本仕様においては自社に競争力がないと判断したということか。 | 本仕様条件では、応札しても利益を得るには至らないと判断したものと思われる。 | |||||||||||||||
落札者側は相当努力・安売りをして、本契約案件へ参加しているということか。 | 税関監視艇への搭載監視カメラについては、市場規模も大きくないものの落札企業は、当該分野に経営資源を集中しているが、他企業では、そのような状況にないことから、結果として落札企業の競争力が高くなっているものと思われる。 | |||||||||||||||
他税関の同様の案件では2者の応札があったということであるが、どこの会社であるかは調べているか。 | 前年度応札業者に対し、入札への参加慫慂を行い、後日、不参加の旨回答があった際に、先方より、直近案件までは、入札に参加している旨の話があっている。 | |||||||||||||||
(関連して門司税関へ質問) 門司税関においても同様の監視艇搭載監視カメラの入札案件があるが、同様の状況と考えて良いか。 |
落札業者は、長崎税関と同じ社となっている。なお、前年度においては、3者の応札があったものの、1者は長崎税関側と同様の理由であり、もう1者については、平成26年度には、監視艇搭載監視カメラ事業からは撤退する旨の連絡をもらっている状況である。 |
意見・質問 | 回答 | |||||||||||||||
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【事案 4】
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落札率が高率であることから、予定価格の算定方法や入札の状況を確認したい。 | ||||||||||||||||
落札率が99.8%と高率であるが、予定価格はどのように算定しているのか。 また、2番目以降の業者の数字を見ると実質的な競争は働いていると思われるが、落札の状況はどうか。 |
予定価格の積算については、設計図面と併せて設計事務所に外部委託している。その積算を基に、直接工事費は過去の実績による調整率等を勘案するなど更に見直しを実施。共通費は、国土交通省建築工事積算基準に基づき積算している。 直接工事費の内訳を確認したところ、予定価格<入札金額となっており、昨今の費用の高止まりが影響しているものと思われる。共通費は予定価格>入札金額となっている。これら項目ごとの合計が最終的に高落札になったと思われる。2、3順位の業者の内訳も確認したところ、同様の状況であり、項目ごとの合計が予定価格を超えたものである。 |
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予定価格は設計業者が算定しているが、工事受注業者との関係で、関連性というものは確認されたのか。 | 発注図面等に設計業者の名前は記載されておらず、また、工事入札の段階で設計業者と顔を合わせることはないことから、何らかの接触があるとは考えていないが、関連性については確認していない。 | |||||||||||||||
当該設計業者は、このような公共施設の改修工事の設計を主に行っている業者なのか。 | 当方の工事では主に改修工事を依頼している。 | |||||||||||||||
改修工事の場合、設計だけでなく施工監理も行っていると思うが、工事業者との接触はよくある設計業者なのか。 | 施工監理については、設計した業者が受注することが多いが、今回は工事発注後に接触している。 |
【委員会の審議結果】 | |
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今回抽出した4つの事案については、いずれも適法、適正な調達手続きが取られていることを確認した。 調達案件について全体的な意見を申し上げると、公共工事について高落札率の案件が増加傾向にあるので今後その増減を注視していただきたい。 随意契約案件は、競争性の確保が困難な案件であることを確認した。また、1者応札案件についても、保守点検、再リース、システム改修など競争性の確保が困難な案件が多く、1者応札もやむを得ない案件が多いことを確認した。 1者応札については、各部局とも競争参加資格等級の拡大など競争性の確保に向け努力していることを確認した。ただし、いくつか競争が成立してもおかしくないと思われる調達物品も見受けられるので、更に競争性を確保するよう尽力いただきたい。 競争入札が成立した案件の中にも、競争参加者が2者のものは競争が十分働いてないと思われるため、競争参加資格等級の拡大など競争者数の増加に向け一層取り組んでいただきたい。 |
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(第1事案について) 本件清掃業務については、平成24年度から応札者数が急落し非常に少ない状況にある。実質上競争が働かない状況が続くことは好ましいことではないため、委員会としてこの実態の調査を進めたいと考えており次回の委員会において22年度以降の入札状況等について説明をお願いしたい。 |
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(第2事案について) 現状では1者応札の解消が困難な状況であるが、入札参加資格をA等級に拡大する方向で検討するとの説明のとおり、資格等級の拡大について検討を進め1者応札の解消に努めていただきたい。 |
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(第3事案について) 1者応札への転換が急速に進んでいるように見受けられる。監視艇搭載カメラシステムについて、他税関案件の応札状況を注視していただき、応札者の独占が進んでいないかどうか、また、事業者間で、税関監視艇搭載監視カメラは、特定の者といった市場の分割が行われていないか、注意していただきたい。 次回の同種調達案件でも注意をしていただきたい。 |
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(第4事案について) 非常に高い落札率であるが、不自然な点は見受けられない。 今後は、多くの業者が高めに協調的な応札を行い徐々に価格を下げていき、1位の業者が決まった段階から価格を随意契約的に決めていく仕組みが働く可能性があるため、このように予定価格をほとんどの業者が超えるような応札が続かないかどうか、注意を払っていただきたい。 予定価格の積算を設計業者等に依頼する場合、予定価格の情報が事業者に流れないか点検し、守秘性・機密性を十分に確保していただきたい。 |