開催日及び場所 平成26年6月19日(木)福岡合同庁舎5階 共用第2会議室
委員 委員 屋宮 憲夫(福岡大学 法学部教授)
委員 林 桂一郎(西日本綜合法律事務所 弁護士)
委員 横山 研治(アジア太平洋大学 国際経営学部長)
審議対象期間 平成26年1月1日(水)〜平成26年3月31日(月)
契約締結分の概要説明 審議対象期間に係る契約締結分及び契約実績状況調書の概要を説明
抽出事案 4件 (備考)
  競争入札(公共工事) 2件
契約件名 (H25)古賀住宅8、12〜16号棟外1住宅
耐震改修工事
契約相手方 株式会社エスケイジ
契約金額 19,677,000円(税込)
契約締結日 平成26年1月27日
担当部局 福岡財務支局
契約件名 筑紫税務署エレベーター改修工事
契約相手方 三菱電機ビルテクノサービス株式会社
九州支社
契約金額 16,200,000円(税込)
契約締結日 平成26年3月3日
担当部局 福岡国税局
随意契約(公共工事) 1件
契約件名 熊本空港国際線旅客ターミナルビル
汚水処理施設ポンプ等取替工事
契約相手方 有限会社熊本環水
契約金額 2,768,850円(税込)
契約締結日 平成26年1月14日
担当部局 長崎税関
競争入札(物品役務等) 1件
契約件名 門司税関広域監視艇建造
契約相手方 瀬戸内クラフト株式会社
契約金額 419,040,000円(税込)
契約締結日 平成26年2月4日
担当部局 門司税関
随意契約(物品役務等) -件  
応札(応募)業者数1者関連 2件
契約件名 熊本空港国際線旅客ターミナルビル
汚水処理施設ポンプ等取替工事
契約相手方 有限会社熊本環水
契約金額 2,768,850円(税込)
契約締結日 平成26年1月14日
担当部局 長崎税関
契約件名 門司税関広域監視艇建造
契約相手方 瀬戸内クラフト株式会社
契約金額 419,040,000円(税込)
契約締結日 平成26年2月4日
担当部局 門司税関
委員からの意見・質問
それに対する回答等
別紙のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし
意見・質問 回答
【事案 1】
契約件名 (H25)古賀住宅8、12〜16号棟
外1住宅耐震改修工事
契約相手方 株式会社エスケイジ
契約金額 19,677,000円(税込)
契約締結日 平成26年1月27日
担当部局 福岡財務支局
 
 落札率がかなり低率の落札となっており、応札状況、予定価格の算定方法、低入札価格調査の実施状況について確認したい。  
 部分スリット工事というのは、発注する際に入札参加者にとって、大体予想される工法であるのか。  工法については、仕様書でスリット設置工事である旨記載し、図面上、スリットの設置個所を明示しているため、参加者は内容について十分理解して応札している。
 落札者だけでなく、応札した他の1者も予定価格と比べるとかなり低い価格で応札しているが、予定価格が市場価格と比べ高すぎるという可能性はないのか。  本件は、工期が1〜3月ということもあり、多くの業者が手持ち工事を抱えている状況の中で、今回の参加業者は、手持ち工事がないなどの理由でどうしても落札したいと考え、経費を削減する等の企業努力をした結果、全体として低い応札価格となったものであり、予定価格は適切なものと考えている。
 参加業者は2者ともD等級業者であるが、参加資格をC等級まで広げているのは、できるだけ競争性を高めようということか。  予定価格からするとD等級が対象となるが、時期的に参加業者が少ないことも想定されたため、競争性を高めるためにC等級まで広げたものである。
意見・質問 回答
【事案 2】
契約件名 門司税関広域監視艇建造
契約相手方 瀬戸内クラフト株式会社
契約金額 419,040,000円(税込)
契約締結日 平成26年2月4日
担当部局 門司税関
 
 門司税関の「門司税関広域監視艇建造1隻」については、参加業者が複数見込める案件であったと思われるが、1者応札案件となっている。部局で今回の案件に参加が可能と思われる業者数等について事前に把握してあれば説明をお願いしたい。また、今回なぜ1者応札となったのかその経緯や理由等について説明をお願いする。  
 予定価格の作成を外部委託したということだが、この外部委託というのは具体的にどういう事か。  今回設計をした船舶を建造する場合に必要となる、造船所作業員の人工の算出、購入品の見積書の取得を行い、船価調書として提出させたものである。
 設計者は瀬戸内クラフト株式会社に所属しているのか。また、費用的には(契約金額の)1パーセントとか10パーセントとか決まった割合があるのか。  瀬戸内クラフトには所属しておらず、船舶の設計を業として行っている者である。
 この設計者には、設計図面等と船価調書の作成を一つの業務として契約している。
 今回の監視艇については、監視カメラシステムも一緒に設置されるのか。  監視カメラシステムは建造に含まれていないため、別途調達としている。
 搭載は、建造のスケジュールに合わせて造船所に納品され、設置されることとなる。
 70トンという総排水量は船舶として大きい部類に入るのか。約10ヵ月船台を占拠されるのを造船所は嫌うという説明だったが、4億の契約金額と船の大きさ、10ヵ月の工期の関係について説明願いたい。  中小の造船所は、船台が1台又は2台程度のことが多く、仮に船台が1台のみの造船所が建造を受注すると、船舶の修繕や定期ドックを受け入れられず、顧客を逃がすリスクとなる可能性がある。
 また、造船所によっては、工期が比較的短い小型船を数多く受注する方が利益率が良いと考えるところもある。
 なお、70トンは、当関において大きい船舶の部類であり、中小の造船所で屋根付きの作業場を有しているところは少ない。
 長崎税関も同様に監視艇を所有していると思うが、長崎税関と門司税関とで受注者が競合する事もあるのか。
 また、入札への参加は中国、九州・沖縄などの造船所に地域を限定しているのか。
 同時期に発注することがないので、競合することはない。
 地域については、入札参加資格において、中国又は九州・沖縄地域競争参加資格を有する者としているが、関東の造船所でも中国、九州・沖縄地域での登録は可能であることから、全国的に応札は可能と考えている。
 将来的に複数業者の応札を確保するにはどうすればよいと考えているのか。  今回、約10ヵ月の調達期間を設けたが、結果、1者となったため、今後は中小企業が参加しやすいように、引渡しの時期を含め調達期間を延ばすなどの検討をしたいと考えている。
 競争参加資格については2項目定めてあり、どちらも高い基準ではないという説明だったが、資格審査において不合格となった者については、なぜ建造実績としては認められなかったのか。  今回、建造実績を求めた理由は、取締船を建造した実績を確認することにより、事前に確実な履行ができることを把握するのが目的であるため、同様の構造であって、同種及び同程度である必要がある。
 不合格となった者は、同様の構造ではあったものの、今回調達する船と比べて3分の1以下の大きさであること、及び取締船ではなく旅客船であったことから、実績を求める趣旨から判断し不合格とした。
 建造時における質の確保という点で、積算内訳に詳細設計審査、施工管理の項目があり、造船所が行うということで積算していると思われる。これは造船所が建造してその審査及び監督も造船所が自ら行うということか。  仕様書において、「本船基本設計を行った設計者(監督員)から必要な図面供用等を受けること、承認図書の承認、技術的な確認を受けることとする。」と定めており、造船所自らが審査等を行うということではない。
 また、設計者から意図伝達等を受けることについても、造船所の所掌として行うこととしている。
 船舶建造を監督員の下で常に監督を受けながら進めていく事となっているが、その監督業務に係る部分を予定価格で積算しているのか。  この監督は、造船所の施工管理技術者が行う建造全体の進捗状況を把握する業務ではない。
 仕様書で定める監督は、建築工事でいう工事監理に該当し、設計書どおりに詳細設計がなされているか、また、その詳細設計どおりに船が作られているかについて、設計者が監理するという業務で、その業務に対する費用を積算している。
意見・質問 回答
【事案 3】
契約件名 熊本空港国際線旅客ターミナルビル汚水処理施設ポンプ等取替工事
契約相手方 有限会社熊本環水
契約金額 2,768,850円(税込)
契約締結日 平成26年1月14日
担当部局 長崎税関
 
 本件については、一般的な工事であると思われるが、2回も不落となっている。
 本案件に対する業者の問い合わせの状況や仕様書の交付状況から、1者応札となった経緯、また結果的に随意契約を結んだ経緯について説明をお願いする。
 
 本案件について、随意契約となっているがこの場合は、予定価格は先に作成するのか。  
 相手方の金額で合意して契約するのか。
 また、算定方法は相手方が出してきた金額を予定価格としているのか。
 予定価格は先に作成している。 また、提出された見積書を参考に予定価格を算出している。
 監視カメラシステムの再リースについて、公募を実施した結果、1者であったと記載があるが、再リース契約で公募をする意味があるのか。  別業者が参入する可能性がゼロではないため、排除しないよう確認のために公募をしたものである。
 形式上公募を行っているようであるが、再リース契約で過去に別業者が落札したという例はあるのか。  実績はないものと思われる。
 監視カメラシステムの再リース契約について、所有者はシステムを作った者なのか、リース会社に所有権も移転しているのか。  契約の相手方はファイナンス会社となっている状況である。
 システムを作った業者に対して別のファイナンス会社が参入してくるということはあるのか。  受注する業者は、系列会社のファイナンス会社であるため、他社が入る余地は現実にはないと思われる。
 入札参加資格については地域ごとなのか、官庁ごとに違うのか。  財務省北九州地区の入札参加資格である。
 南九州地区の資格を持っていても北九州地区の資格を持っていると見なされないのか。  見なされないこととなっている。
 1回目の入札時には価格差が大きかったということであるが、入札額が高かったということか。  そのとおりである。
 3回目の公募で受注者が決定した時は予定価格は教えていないのか。  そのとおりである。
 1回目の入札の応札価格が高すぎると思われるが、どうしてこういう価格になったのか。  聞き取りをしたところ、仮設事務所を設置したりする経費が入っており、勘違いであったようである。
 施設そのものを設置(建築)した業者は応札業者に入っていないのか。  施設が古くて当時の施工者は定かではないが、今回の入札には応札はなかった。
 入札に参加するためには、先ず、その地区の入札参加資格を取ることが必要ということであるが、そうすれば地域をまたいで参加できるということでよいか。  それぞれの地区での入札参加資格をとれば参加はできるため、こちらからいくつかの業者に対して北九州地区の参加資格を取るよう打診はしたが、それに応える業者がなかった。
 全国一括(統一)の参加資格になっていないのは、規則があるからということか。  取扱規則で定められているからである。
意見・質問 回答
【事案 4】
契約件名 筑紫税務署エレベーター改修工事
契約相手方 三菱電機ビルテクノサービス
株式会社九州支社
契約金額 16,200,000円(税込)
契約締結日 平成26年3月3日
担当部局 福岡国税局
 
 本件については、公共工事でありながら落札率が59.9%と非常に低い低落札事案となっている。なぜこのように低い落札率となったのかその経緯について説明をお願いする。
 また、低価格調査を行っていると思われるので、その調査結果についても説明をお願いする。
 
 仮の話であるが、SI社が入札に参加して1番札で入札した場合はどうなるのか。  十分考えられる事ですが、今回はエレベータの仕様書にロープ式と明記したことから、ロープ式を持たないSI社は参加できません。
 品質上問題のある業者を、入札から排除する法令上の規定はあるか。  そのような規定はありません。
 仕様書において、基準を満たす要件を記載することにより、品質上問題がある物が調達されないようにしている。
 それでは、入札案件ごとに排除する条件を考えなければならないのか。  基本的には入札参加者を排除することはできません。
 不落の場合は予定価格が低すぎて、案件によっては予定価格が高すぎるという説明があったが、この数年の入札状況を見ると二極化が進んでいるように感じられる。例えば、人件費が主要な部分を占める調査業務や清掃業務については、予定価格の半分程度の落札率となっている。一方案件によっては予定価格が安すぎるという案件もあり、実勢価格との違いが際立っている案件も目立つようになってきている。  
 メンテナンスは、落札した三菱電機ビルテクノが行うのか。  メンテナンスについては、メーカーでなくても履行できる業者がいることから、別途調達を行う予定である。
 三菱、O社、SA社はエレベーターメーカーであるが、T建設はどこのエレベーターを入れるつもりだったのか。もしかしたらSI社製ではなかったのか。  そのようなケースも考えられるが、今回は仕様をロープ式としていたことから、SI社製は設置できないものと考えている。
 今回の案件は、標題はエレベータ改修となっており、応札業者も4社となっているが、実際はエレベーターを全部取り換える工事となっている。
 新設工事であれば、複数社が入札に参加して競争が行われることが普通であると思われるが、今回は結局3社が辞退して1者応札となっている。
 申し込み業者が手持ち工事等があり辞退した等の説明があったが、なぜそのような状況になったのか不思議である。
 メーカーとしては、三菱の他、日立、東芝、SECエレベーターに入札参加を呼びかけたが、結局入札に参加したのは三菱だけという結果になった。
 SI社製のエレベーターを取り換えるということは、他のメーカーにとっては大きなチャンスであると考えられるが、なぜ1者だけとなったのか疑問が残る結果である。  その点については、おっしゃるとおりである。
 3社の辞退届はいつ提出されたのか。  1社は、電子入札時に入札書に辞退と表示、1社は入札書の受領期限日に文書で、1社は説明書を返還する際に口頭で辞退を届け出ている。
【委員会の審議結果】  
<総括意見>
 今回抽出した案件については、各部局とも法令に基づいた適法でかつ適正な調達手続が行われていたことを委員会として確認した。
 全体の調達状況を見ると、1者応札案件は少ない件数で推移しており、特に財務支局においては今期の1者応札は0件であり、1者応札の解消に努力されていることが認められる。
 随意契約案件も各部局数件ずつあったが、いずれも競争性を確保することが困難と思われる案件がほとんどであった。
 1者応札案件の内容についても、監視艇の保守など競争性を確保することが困難なものが多かった。
 しかし、抽出案件を含めて1者応札の解消を図れる案件も散見されることから、引き続き1者応札の解消に向けた取り組みを進めていただきたい。
 また、不調による随意契約が2件あったが、前回の対象期間と同様に人件費等の上昇の状況が窺えることから、予定価格の積算においては、実勢価格を反映させることが重要であると考えられる。
 今回の国税局の案件は、そのような点では努力された案件であったと認められる。
 今後の入札においては、現在の物価等の上昇傾向から、応札する業者が一旦高い価格で入札してみるという状況も考えられることから、今後も、実勢価格の予定価格への反映及び入札価格の状況を注視していく必要がある。
 
<第1事案について>
 競争参加資格を拡大して入札を実施している点は、競争性を確保するための手段をつくしたものと評価できる。
 ただし、今回の応札業者は2者となっており、今後も競争者数を確保できるよう努力することが重要と思われる。
 また、結果として落札価格が予定価格とかなり乖離しており、今後の予定価格と実勢価格の状況について注視し、適切な予定価格の設定に努めていただきたい。
 
<第2事案について>
 第2事案については、結果として1者応札となっている事案ではあるが、従来の事例では複数者の応札があり競争が成立していた実績もあるので、今後は他の税関の入札状況なども注視するとともに、先程の説明にもあったとおり、調達期間の延長などを含め、より競争性が確保できないかを更に検討いただきたい。
 
<第3事案について>
 1回目の入札が不調となり2回目の入札を実施する際に、等級を拡大したり、条件を緩和する等競争性確保の努力が認められ非常に評価できる。
 北九州地区の入札参加資格者が南九州地区の工事に参加できないことになっている。
 財務省の規則によって参加資格が縛られているからということであるが、これについては一部局で検討する事は難しいと思うが、実態に合わせた参加資格の設定を検討してはどうか。
 
<第4事案について>
 予定価格の積算において実勢価格に配慮した結果、低い落札率となったことについては理解できた。
 今回の入札においては、辞退者が多く結果として1者応札となっており、今後も同様の入札において1者応札となるような事態がないかという点について注視が必要である。
 また、エレベーターについては、設置後の保守、点検、修理などのアフターマーケットが存在するが、この分野において設置業者のみが入札に参加する事態、いわゆる1者応札とならないよう注視が必要である。