開催日及び場所 平成25年9月20日(金)福岡合同庁舎5階 共用第2会議室
委員 委員 屋宮 憲夫(福岡大学 法学部教授)
委員 林 桂一郎(西日本綜合法律事務所 弁護士)
委員 横山 研治(アジア太平洋大学 国際経営学部長)
審議対象期間 平成25年4月1日(月)〜平成25年6月30日(日)
契約締結分の概要説明 審議対象期間に係る契約締結分及び契約実績状況調書の概要を説明
抽出事案 4件 (備考)
  競争入札(公共工事) 1件
契約件名 鳥栖税務署トイレ改修その他工事
契約相手方 株式会社ミズノ
契約金額 13,545,000円(税込)
契約締結日 平成25年6月11日
担当部局 福岡国税局
随意契約(公共工事) -件 -
競争入札(物品役務等) 3件
契約件名 (H25)小倉合同庁舎清掃等業務
契約相手方 北九州ふよう株式会社
契約金額 3,024,000円(税込)
契約締結日 平成25年4月1日
担当部局 福岡財務支局
契約件名 門司税関田野浦出張所庁舎ほか5庁舎及び本関庁舎3号上屋機械警備業務委託
契約相手方 第一警備保障株式会社
契約金額 1,575,000円(税込)
契約締結日 平成25年4月1日
担当部局 門司税関
契約件名 埠頭監視カメラシステム一式の賃貸借契約
契約相手方 三菱重工マシナリーテクノロジー株式会社
エム・エイチ・アイ ファイナンス株式会社
契約金額 121,588,425円(税込)
契約締結日 平成25年6月27日
担当部局 長崎税関
随意契約(物品役務等) -件  
応札(応募)業者数1者
関連
-件  
委員からの意見・質問、それに対する回答等 別紙のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし
意見・質問 回答
【事案 1】
契約件名 (H25)小倉合同庁舎清掃等業務
契約相手方 北九州ふよう株式会社
契約金額 3,024,000円(税込)
契約締結日 平成25年4月1日
担当部局 福岡財務支局
 
 落札率が高率となっており、入札状況について、参加者数、入札価格、高率となった原因及び予定価格の算定方法について確認するために抽出した。  
 予定価格の算定において、過去3年間の落札率を勘案して調整を行っているが、こういう算定方法は、全国的に行っているのか。  他局の状況は把握していないが、予定価格を市場価格に近づけるため、当局の内部規程(通達)で算定方法を定めているものである。
 この方法により予定価格を算定したのは、今回が初めてか。  昨年度も同様の方法で算定している。当局においては、全ての案件ではないが、毎年、同じ業務内容で発注を行う場合は、この方法で予定価格を算定している。
 過去の落札率により調整を行った場合、積算価格と予定価格に差が生じると思われるが、積算と予定価格の関係についてはどのように考えているか。  予定価格の積算については、公表された積算資料等に基づき算定しているが、実際に落札した価格が、市場価格に近いものと考えており、予定価格に市場価格を反映させるという意味で、落札率で調整するという方法で算定している。
 福岡合同庁舎、佐賀合同庁舎の清掃業務については、落札率が低率となっているが、本件と同様の調整は行っていないのか。  福岡合同庁舎については、例年の業務に他の業務を追加し、仕様書の内容を見直していることから、過去の落札率による調整は行っていない。
 佐賀合同庁舎については、調整は行っているが、入札参加業者数が多く、今回は新規参入業者が参加したこともあって、競争が働いた結果、低率となったものと考えている。
意見・質問 回答
【事案 2】
契約件名 門司税関田野浦出張所庁舎ほか
5庁舎及び本関庁舎3号上屋機械警備業務委託
契約相手方 第一警備保障株式会社
契約金額 1,575,000円(税込)
契約締結日 平成25年4月1日
担当部局 門司税関
 
 門司税関が発注している機械警備業務委託については、全般的に極めて低率な落札率であり、何故、このような低率な落札率になるのか説明いただきたい。
 予定価格の積算方法について説明いただくとともに、実勢価格を反映させる工夫等は行われたのか伺いたい。
 「博多地区国際貨物検査センター機械警備業務委託」は、総合警備保障が落札しているが、この入札に第一警備保障が入っていたのか応札状況を説明いただきたい。
 
 第一警備保障は、前年度までの契約でいくつかの庁舎で機械警備を実施していたのか。
 その庁舎には既に第一警備保障の機器が取付けられていたのか。
 田野浦出張所ほか3庁舎については、前年度まで第一警備保障と契約していたので機器も取付けられていた。
 なお戸畑及び若松についてはA社と契約していた。
 A社はいくつかの庁舎に関しては、自社の機器が付いていたわけであるが、入札金額については、差が出てくるのか。  入札を行った結果、実際に継続していない業者が落札している庁舎もあるので、一概に、継続する業者が有利とは言えない。
 積算内訳書を見ると、機器設置費用がかなり大きいことから、もともと機械を設置していれば、有利になるのではないか。  庁舎によっては、そうなる可能性もある。
 他の案件に係る予定価格の算定方法も、業者3社からの見積もりを参考に、予定価格を積算したということか。  そのとおりである。
 業者から提出された見積書は入札金額に比べると、相当な開きがあるということか。  そのとおりである。
 要求している見積書が、一般的な月々の警備料や設置・撤去料というものであり、依頼された業者としては、いわゆる定価で出さざるを得ないというところである。その定価と入札にかかる企業努力が入った実勢価格での開きがあったと考えている。
 第一警備保障は福岡地区の案件でも頑張って入札しているようだが、何か理由はあるのか。  福岡地区の案件ついては、本社ではなく、福岡支社が今回業務目標として、福岡地区の契約を拡大するということで、努力したと聞いている。
 入札状況調書をみると、1番札と2番札以下がかなり開きがある。
 この入札のように1位が非常に安くて2位以下が2倍以上の価格をつけるという入札結果は、他の案件でもこのような傾向があるのか、それとも全体的に近接しているのか。
 入札状況全体を見た感覚はどうか。
 1番札と2番札が僅差の案件もあれば、大差の案件もあることから、一概にどうと言えないところがある。
 他の機械警備の案件で、落札率が他の案件と比較すれば高いものが2件あるが、その要因はなにか。
 また、1件は1者入札だったようだが、もう1件は競争になったのか。
 高落札について、2つの案件に共通しているのが、入札金額を設定する際、目安とするのが、前回の落札金額であるというのを聞いている。
 前回の落札金額が高ければ、それより少し安い金額で入札をする事が考えられる。以前から、この2件については、落札率が高い状況だったので、今回も高くなったと推察される。
 競争の有無については複数者による一般競争入札となった。
意見・質問 回答
【事案 3】
契約件名 埠頭監視カメラシステム一式の賃貸借契約
契約相手方 三菱重工マシナリーテクノロジー株式会社
エム・エイチ・アイ ファイナンス株式会社
契約金額 121,588,425円(税込)
契約締結日 平成25年6月27日
担当部局 長崎税関
 
 長崎税関で今期最大の契約額の案件を抽出。
 埠頭監視カメラの調達は特殊な分野であり、適正な競争が働きにくい分野との認識を持っていますが、今回の入札状況について説明をいただき調達の適切性について検証を行いたい。
 また、当初調達時における長期の保守契約の折り込みの有無について説明をお願いしたい。
 
 埠頭監視カメラの次の機器更新は4年後となるのか。  現行機器は10年使用しているため、不具合等なければ、現行程度の期間は使用するものと思われる。
 予定価格積算調書において、業者からの参考見積りを取得している部分は現地工事費のみか。機器はどうか。  現地工事費のみ参考見積りを取得している。
 機器については、メーカーからの聞取りと、インターネットに公表されている機器についてはインターネットで公表されている価格を採用している。
 システム設計等技術費の人件費はどのように積算しているのか。  人件費については、月刊「積算資料2013年3月号」のソフトウエア開発業務に係る技術者料金を参考とした。
 このような機器はいろんな業者が作製してると思われるが、2者しかできないのか。他に導入している業者はないのか。  いろんな業者が作製している機器を組み合わせてカメラシステム一体として作製することは難しいようである。
 現在、当関は、三菱電機とパナソニックの埠頭監視カメラを導入している。
 現行の埠頭監視カメラはパナソニックと三菱電機とのことであるが、入札説明にこの2者はきたのか。  入札説明にパナソニックはきているが、三菱電機はきていない。
 予定価格積算調書において、メーカーからの聞取りを行っているが、これは落札業者ではないのか。  機器を作製しているメーカーから直接聞取りを実施している。落札者からは聞取りを行っていない。
意見・質問 回答
【事案 4】
契約件名 鳥栖税務署トイレ改修その他工事
契約相手方 株式会社ミズノ
契約金額 13,545,000円(税込)
契約締結日 平成25年6月11日
担当部局 福岡国税局
 
 公共工事の中で、落札率が高率な事案を抽出した。
 この案件の入札状況と高落札率となった原因、並びに業者見積との相違点等について説明いただきたい。
 
 予定価格の算定に当たっては、設計業者が参考資料を提供するとのことであるが、この設計業者に対するコミッションの支払はいくら位か。  設計監理料として、900,000円程度支払っている。
 設計料等は支払うことができるのか。
 また、どのような場合に設計を外部委託し、設計料を払っているのか。
 本体工事とは別に、設計監理業務として発注を行うことは認められている。
 なお、当局においては入札基準に該当する案件については、全て設計等の外部委託を行っており、その完成物として図面のほか、積算資料も併せて提出させている。
 設計の外部委託を行うことにより、予定価格が下がり、実勢価格に近づくという点、競争条件が満たされ落札価格が低下し発注元の予算が有効活用された点、担当者が複雑な業務から解放される点など、発注側に効果的な方式であると思われるが、この部分が本体工事費のほかに支出されるということは、設計監理料もコストとして考慮しなければならないということですね。  そのとおりです。
 今回の予定価格の算定については、自分たちで全て算定するよりも、より実勢価格に近いものであったと考えるか。  設計業者の積算資料には、参考見積として、現在市中で取引されている取引価格(実勢価格)が反映された見積書3件を添付させており、そういう意味からは極めて実勢価格に近いものになっていると考えている。
 今回の入札に関して、1回目の入札が不調で、2回目の入札で98%という高率で落札されたことと、当局が設計監理の外部委託方式を導入していることについて何か因果関係はあると考えているのか。  設計事務所の積算資料は、現在の実勢価格を反映したものとなっていることから、予定価格が実勢価格により近いものとなっており、結果として高落札率となっているものと考えている。
 予定価格の算定に外部のノウハウを取り入れ、客観的な予定価格となっていると考えられるが、入札結果を見ると、業者に厳しい価格となっているようにも考えられる。
 設計業務を外部委託した過去の工事の入札結果については、どのような状況か。
 最近の入札の状況は、1回目の入札で落札されるということがほとんどなく、2回目、3回目の入札を実施している状況である。
 今回の入札では、1回目で最低の価格で入札した業者が2回目で落札しているが、他の入札においても1回目の最低入札業者(1番札)が落札することが多いのか。  それぞれの入札によってまちまちであり、1回目の入札で2番札、3番札を入れた業者が落札するケースも多い。
【委員会の審議結果】  
 今回の抽出案件の全てについて、入札手続きは適法かつ適正に行われており、競争性を高めるために入札参加資格の拡大等に取り組まれていることを確認させていただいた。
 なお、当期の調達状況を見ると、1者応札や随意契約として残っているものは競争性の確保が困難な分野のみが残っているようであるが、一部に以前解消されていたエレベーター等の保守契約など再度1者応札となっているものが見受けられる、引き続き1者応札の解消及び競争性の確保に向けた取組みを継続していただきたい。
 また、同一業務をグループ化、区分して調達するものがあるが、グループ分けの方法により入札結果が違っており、高落札率となったり、1者応札となったりすることから、今後グループ分けの方法について、競争性を高める検討を行っていただきたい。
 
(第一事案について)
 予定価格の算定において、市場価格に近づけるための調整率の適用等の工夫を行っており、適切な予定価格の算定に近づいているものと認められる。
 予定価格と落札価格がかなり乖離をしているような案件にかかる予定価格の算定にあたっては、できるだけ市場価格に近づけるような工夫をすることが重要と思われる。
 
(第2事案について)
 第2事案については、抽出事案以外の案件でもかなり低率の落札率が見られる。
 予定価格と落札価格の差がかなり大きくなっているひとつの例かと思う。
 機械警備業務は、先ほどの財務支局のような観点で予定価格算定について検討できないかということを見直していただきたい。
 
(第3事案について)
 埠頭監視カメラの調達は特殊な案件のため、入札参加者が少数となっている。
 少数の状態が続くと入札に係る調整等が行われる可能性もあり、競争性が保てなくなる恐れがある。
 他の税関と情報を共有し、可能な限りより多くの企業が入札に参加できるような仕様に変更してはどうか。
 予定価格の積算にあたっては、極力落札業者でない第3者の意見を聞取り、適正な積算に努められたい。
 
(第4事案について) 
 今回の調達においては、予定価格の算定に関して外部に業務を委託し、より客観性の高い予定価格を算定しているが、これは大変優れた方式であると思われる。
 今後も、大規模工事等においては外部委託方式を継続し、客観性の高い予定価格の算定をしていただきたい。
 なお、国税局の工事案件に関しては、1回目の入札が不調となる案件が増加しているとのことであるが、2回目以降の入札においても適正な競争が行われているかについて注視が必要と思われる。
 また、今後も同様に1回目不調という入札結果が続くようであれば、入札参加業者間で何らかの情報交換が行われ、競争性が阻害されている可能性もあることから、公共工事に関しては各部局とも入札状況を注視していただきたい。