開催日及び場所 平成24年9月21日(金)福岡合同庁舎5階 福岡合同庁舎共用第2会議室
委員 委員 屋宮 憲夫(福岡大学 法学部教授)
委員 林 桂一郎(西日本綜合法律事務所 弁護士)
委員 横山 研治(立命館アジア太平洋大学 国際経営学部長)
審議対象期間 平成24年4月1日(日)〜平成24年6月30日(土)
契約締結分の概要説明 審議対象期間に係る契約締結分及び契約実績状況調書の概要を説明
抽出事案 4件 (備考)
  競争入札(公共工事) -件 -
随意契約(公共工事) -件 -
競争入札(物品役務等) 2件
契約件名
:複合機賃貸借及び保守契約
契約相手方
:京セラドキュメントソリューションズジャパン株式会社
契約金額
:8,366,778円
契約締結日
:平成24年4月2日
担当部局
:福岡財務支局
契約件名
:通関事務総合データ通信システム(税関LAN)更改
契約相手方
:株式会社 富士通エフサス
契約金額
:220,290,000円
契約締結日
:平成24年6月15日
担当部局
:門司税関
随意契約(物品役務等) 1件
契約件名
:福岡国税局管内税務署エレベーター保守業務 筑紫・長崎税務署・若松合同庁舎
契約相手方
:シンドラーエレベータ 株式会社
契約金額
:2,192,400円
契約締結日
:平成24年4月2日
担当部局
:福岡国税局
応札(応募)業者数1者
関連
1件
契約件名
:鹿児島税関支署固定式X線貨物検査装置(オートクリアー社製)保守業務請負契約
契約相手方
:加賀ソルネット 株式会社
契約金額
:861,000円
契約締結日
:平成24年4月9日
担当部局
:長崎税関
委員からの意見・質問、それに対する回答等 別紙のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし
意見・質問 回答
【事案 1】
契約件名
:複合機賃貸借及び保守契約
契約相手方
:京セラドキュメントソリューションズジャパン株式会社
契約金額
:8,366,778円
契約締結日
:平成24年4月2日
担当部局
:福岡財務支局


 落札率がかなり低率であり、入札状況や予定価格の算定方法の確認のため抽出した。
 
 積算にあたり、パンフレット等の一般に公表されている価格を基に予定価格を算定しているが、実勢価格と乖離があるのではないか。予定価格に市場価格を反映させることは難しいのか。  予定価格の算定に当たっては、一般的な公表資料に基づいて積算しているが、実際の取引はかなり低い額となっているのが現状である。
 実際の市場価格を予定価格にどのように反映させていくかということについては、検討する必要があると考えている。
 各社それぞれ自社のモデルがあり、すべてが品質的に全く同じではないと思われるが、品質の違いと価格の問題についてはどのように考えているか。  導入する機種については、仕様書において当方が求める最低限必要な機能等を提示しており、参加業者の納品予定の機種については、条件を満たす機種以上の製品であれば可とするなどの対応をしている。
 予定価格の算定で、3社のメーカーの製品について価格比較を行っているが、今回の落札業者の製品は含まれていない。落札業者の製品は考慮しなかったということか。  落札業者は今回はじめて入札に参加しており、今回の発注に際しては、現在、当方に設置しているメーカ−の製品で比較したものであるため、比較の中には含まれていない。
 保守契約の範囲は、保守管理のみで、トナー等の消耗品は含まれていないという理解でよいか。  トナー等の保守業務に必要な消耗品は業者負担である。フィニッシャー機能付の複写機で使用するステープラー針やコピー用紙については当方の負担である。
 リース契約をして保守をさせるという発注の仕組みと契約書の書式等が合致していない点がみられるが、検討の余地があるのではないか。  今後、契約にあたっては、契約書の書式等についても十分検討して事務を進めたい。
意見・質問 回答
【事案 2】
契約件名
:通関事務総合データ通信システム(税関LAN)更改
契約相手方
:株式会社 富士通エフサス
契約金額
:220,290,000円
契約締結日
:平成24年6月15日
担当部局
:門司税関


 総合評価落札方式についての実施状況、予定価格の算定方法及び調査基準価格を下回ったことにより実施した調査結果を確認したい。
 
 総合評価の審査については誰が、何人くらいで行ったのか。  パソコン等システム関係の業務に従事している総務部システム企画調整室の担当者2名と、会計課担当者及びシステム関係に詳しい会計課職員2名の計4名で行った。
 先方から提出された書類を読み比べながら、相対的な評価を行ったということか。  その通りである。先方が提出してきた機能証明書等の各項目について審査を行い、有効度合いに応じて配点している。
 予定価格調書の詳細内訳で、ハードウェアとソフトウェアのメーカーがそれぞれ記載されているが、どのような理由でこのメーカーが挙がっているのか。  現在、当関で使用している機器及びソフトウエアを算定の基準とした。
 ハードウェアとソフトウェアについては、現在使用中のメーカーを採用することが大前提になっているのか。  予定価格を積算する上で基準を設ける必要があったことから、現在使用中の機器等を参考にしたまでであり、より優れた性能のものがあれば、どこのメーカーでも差支えない。
 現在使用している機器との連続性、継続性を考えると、現在使用しているメーカーに限定しなければならないのではないか。  機器切替時のデータ等の移行については、スムーズに行えるよう担当係で調整しており、メーカーを限定する必要はない。
 門司と長崎の両税関の入札に参加している者が2者いるが、技術点の評価得点の合計が門司では高く配点されている者が長崎では低くなっており、反対に長崎で高得点を得ている者が門司では低くなっている。
 総合評価は専門の担当者が行っているとのことであるが、同じ入札参加者が提出しているにも関わらず、このような結果になった理由は何が考えられるか。
 当関の配点の特色として、提案内容の有効性が高いものと低いものとの間で、配点に大きな差をつけている。提案を採用するかしないかの2つの選択肢であることと、配点を細分化しても、その判断が困難であると考えたためであるが、このことが点差に影響を与えているかも知れない。
 長崎税関に提出された書類と見比べていないので何とも言えないが、当関の配点については、提出された資料から判断した結果である。
 長崎税関も相対評価されているのか。入札にはどのような業者が参加しているのか。 (長崎税関回答)
 相対評価を行っている。参加者は、日立、NEC、NTTデータカスタマ、東芝の4者である。
 相対評価ということであれば、技術点の高かった業者は、他の業者と比べると提案内容が良かったと言えるのか。 (長崎税関回答)
 その通りである。
意見・質問 回答
【事案 3】
契約件名
:鹿児島税関支署固定式X線貨物検査装置(オートクリアー社製)保守業務請負契約
契約相手方
:加賀ソルネット 株式会社
契約金額
:861,000円
契約締結日
:平成24年4月9日
担当部局
:長崎税関


 1者応札となっておりますが、落札率は非常に低くなっております。同時期に実施されている同種の入札では同じく1者応札となり高い落札率となっていますが、抽出事案の落札率が低くなった理由と、競争が成立しない理由を確認したいと思います。
 
 加賀ソルネットには予定価格の情報は入っていなかったのか。  入っていなかった。
 装置はオートクリアー社製であるが、納入業者はどこか。加賀ソルネットとは関係ないのか。  納入業者は、加賀ソルネットの親会社である加賀電子である。
 仕様書の「4.作業者条件」に「メーカー研修を修めた者、または同等の研修を修めた者とする。」とあるが、系列会社以外の会社が研修を行うことがあるのか。  メーカー研修は、アメリカにおいて実施しており、その参加者は系列会社のみと聞いている。
 部品の関係で他の企業はあきらめたと思うが、これは競争が成立しない分野か。  競争は難しいと考える。
意見・質問 回答
 【事案 4】
契約件名
:福岡国税局管内税務署エレベーター保守業務 筑紫・長崎税務署・若松合同庁舎
契約相手方
:シンドラーエレベータ 株式会社
契約金額
:2,192,400円
契約締結日
:平成24年4月2日
担当部局
:福岡国税局


 競争入札が不落となり、随意契約を結んでおられますが、何故不落となったのか入札状況等を確認したいということ、また、同日実施されている同種の入札3件については入札が有効に成立していますが、抽出事案との違いは何かを確認したいと考え抽出した。
 
 今回、国税局が示してくれたエレベーターの保守契約の仕組みの分析結果については、これまでメーカーとの随意契約しかできないと思われていた、エスカレーターやエレベーター、コンピュータシステムの保守契約においても、競争入札が有効に成立するということを示した画期的なものであったと思う。  
 今回エレベーターの入札に参加したメーカー系でないA社については、どのような会社か。 
 完全な独立系の会社か。
 A社については、エレベーターのメーカー系列ではなく、いわゆる機器のメンテナンス会社である。
 そのため、POG契約であれば十分に競争に参加できる能力を保有しているものと考えているが、フルメンテナンス契約の場合は、主要部品の調達コスト等の関係でメーカー系の保守業者に比較し割高となるものと考えている。
 A社は、いつから国税局の入札に参加しているのか。  当局の入札に関しては、本年度初めて参加している業者である。
 財務支局の入札には以前から参加しているのではないかと思うが。
 財務支局の入札においては、独立系の業者の入札参加についてどのような感想をお持ちですか、また、何らかの影響はあると思うか。 (福岡財務支局回答)
 どの程度の影響があるかは分からないが、独立系の業者が入札に参加することにより、以前はメーカー系業者との随意契約であったものが、競争入札による契約となっており多分に影響はあるものと認識している。
 抽出案件については、あらかじめ交換すべき主要部品が想定されていて、A社についてはメーカーから主要部品を調達しなければならないことから、落札できていないということでいいか。  抽出案件については、高額な部品の交換が必須であったことからメーカーに部品の見積もりを取っているものと考えられるが、その部品コストの差が入札金額の差となっているものと推察している。
【委員会の審議結果】  
 今回、抽出した4件の事案については、各部局とも適法かつ適正に調達の手続がなされていたことを確認させていただいた。
 全体の調達状況と各案件について、意見を付させていただく。
 全体の調達の状況については、今回は一者応札や随意契約の比率が下がっているということで、この点で非常に改善が進んでいることを確認させていただいた。残っている分野は、競争性を担保することが困難なX線装置の保守、情報システムの保守分野等であり、今後この点の改善が課題となる。
 公共工事及び請負役務の分野については落札率がかなり低下しているが、この点は競争による価格の低下がメリットとして現れているものと考えられる。
 
 低価格での落札となった場合、工事状況の確認や管理など、低価格であっても品質が十分に保障されるよう管理監督が必要となるということを申し上げたい。  
(第1事案について)
 予定価格の算定については、調整を行うなど努力しているが、落札率がかなり低率という結果となっている。業者価格表など一般的な価格を使った予定価格の算定が実態から乖離しているという状況がみられることから、実勢価格も加味して予定価格を算定することが重要ではないかと思われる。
 また、契約にあたっては、発注の形態と契約書の書式の正確性についても、確認していただきたい。
 
(第2事案について)
 総合評価方式は技術点で性能、効果等について具体的評価が加味されており、高く評価できる入札方式であり、有効な調達方法であることを確認した。
 ただし、総合評価の精度を上げていくということも重要な課題であると思われる。
 同時期の入札で、同じ入札参加者の評価が、2つの部局で大きく異なっていたため、これらの参加者が提出した提案書の内容について、相互に確認した上で、内容が同じであった場合は、なぜ評価が異なったのか事後に検証してみることが大切である。
 
(第3事案について) 
 予定価格を応札業者以外の者から聞取りしており、落札額が適正かどうか評価できる算定方式を取ったことは評価できる。X線装置の保守業者は1社応札がほとんどであり、競争性の確保が難しいということであれば、X線装置と保守業務を一体とした調達を検討するべきである。
 
(第4事案について) 
 エレベータ保守業務についても、メーカ−と保守業者の競争が望める分野であることが確認できた。メーカー側が保守業者に部品を高額で売りつけるということが適正な取引の障害となるようであれば独占禁止法違反となる虞があることから、保守業者にヒアリングを実施するなど業界の取引実態を把握していただきたい。