開催日及び場所 平成24年6月15日(金) 福岡合同庁舎4階 福岡財務支局 大会議室
委員 委員 屋宮 憲夫(福岡大学 法学部教授)
委員 林 桂一郎(西日本綜合法律事務所 弁護士)
委員 横山 研治(立命館アジア太平洋大学 国際経営学部長)
審議対象期間 平成24年1月1日(日)〜平成24年3月31日(土)
契約締結分の概要説明 審議対象期間に係る契約締結分及び契約実績状況調書の概要を説明
抽出事案 4件 (備考)
  競争入札(公共工事) -件 -
随意契約(公共工事) -件 -
競争入札(物品役務等) 4件
契約件名
:(H23)香椎住宅外1住宅風呂釜取替工事
契約相手方
:株式会社 千代田工業所
契約金額
:24,675,000円
契約締結日
:平成24年1月12日
担当部局
:福岡財務支局
契約件名
:門司税関鋼製浮桟橋建造工事
契約相手方
:有限会社 前田造船所
契約金額
:40,425,000円
契約締結日
:平成24年3月15日
担当部局
:門司税関
契約件名
:鹿児島空港国際線ターミナルビル用車庫シャッター改修工事
契約相手方
:上山建設 株式会社
契約金額
:2,079,000円
契約締結日
:平成24年1月31日
担当部局
:長崎税関
契約件名
:窓口受付システム(自動発券機)の購入
契約相手方
:株式会社 福助屋
契約金額
:3,549,000円
契約締結日
:平成24年1月30日
担当部局
:福岡国税局
随意契約(物品役務等) -件  
応札(応募)業者数1者
関連
-件  
委員からの意見・質問、それに対する回答等 別紙のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし
意見・質問 回答
【事案 1】
契約件名
:(H23)香椎住宅外1住宅風呂釜取替工事
契約相手方
:株式会社 千代田工業所
契約金額
:24,675,000円
契約締結日
:平成24年1月12日
担当部局
:福岡財務支局


 対象期間内での一番高額な公共工事であり、同工事の入札状況や予定価格の積算の確認のため抽出した。
 
 積算にあたり、メーカーから参考見積りを徴取されたとのことであるが何社から徴取されたのか。
 また、参考見積りはメーカーによって大きな差はあったのか。
 参考見積りは3社から徴取した。
 見積額はメーカーによって多少の開きはある。
 落札業者が使用する製品は、見積りを徴取したメーカーのものであったのか。  見積りを徴取したメーカーのものであり、見積りを徴取した中でも一番安い製品であった。
 本件工事で使用される製品のメーカーはいろいろあり、メーカーによって、仕様、品質はちがってくると思われるが、本件工事で求めている仕様と同じレベルとはどういった観点で判断されるのか。  本件工事で使用される製品が、仕様書に記載された最低限必要な機能等の要件を満たす製品であるかどうかについては、参加業者から使用する予定の製品の仕様を事前に提出させたうえ、要件を満たしているか当方で確認を行い判断している。
 入札状況を見ると、最高値の業者が他の業者に比べ応札金額が突出しているが、理由として何か考えられるか。  落札結果について個別に詳細な確認はしていない。
 最高値の業者は安い製品のメーカーとの取引がなかったのではないか、また、集合住宅における給湯器等の取替工事のノウハウをもっていなかったために、機器取替えにかかる人件費等が嵩んだのではないか、といったことが考えられる。
 入札状況を見ると、業者間の価格差が、作為的ともとられるような差になっているが、この点は今後の同種工事の入札状況を注意していく必要があると思われるが如何か。  同種工事における今後の入札状況については、今後注視していきたいと考えている。
 本件は調査基準価格が設定されており、低価格調査を実施されているかと思われるが、製品価格において積算価格と落札業者の算定価格とは大きな開きはあったのか。  当方の積算においてはメーカー見積価格に市場価格を反映させた調整率をもって製品価格として算出しているが、その価格と契約業者の製品価格はそれほどの開きはなかった。
 調査基準価格算定内容を確認すると、運用率が87%と基準価格としては高いレベルと思われるが、この算定基準というのは内規等で定められているものなのか。  調査基準価格の算定方法については、規程(運用方針)が定められており、それに基づき算定されたものである。
意見・質問 回答
【事案 2】
契約件名
:門司税関鋼製浮桟橋建造工事
契約相手方
:有限会社 前田造船所
契約金額
:40,425,000円
契約締結日
:平成24年3月15日
担当部局
:門司税関


 今回の調達案件のうちで、本契約は相対的に高額調達(落札率86.9%)となっており、特殊な調達案件であり、入札状況、入札参加者数、工法、応札価格及び予定価格の算定方法等の内容を確認するため、今回の抽出案件とした。
 
 比較的珍しい工事と思われるが、だいたいの感覚で類似の工事は日本全国でどれくらいあったのか。  国内での工事件数は調べていないが、浮桟橋建造工事は、国内で結構あると思われる。
造船所の業務としては、一般的な業務と思われる。
 専門的な技術が必要な潜水機雷調査の実施があり、一般の工事よりもコストが余計に掛かる工事であったのか。  機雷調査は、機雷残存地域というものが指定されているため、その指定地域内では行わなければならない業務となる。
 落札結果として1者のみが予定価格の範囲内だが、予定価格の算定で不慣れな点があったことから少し安めに予定価格を算定した可能性はあるのか。  予定価格を下回った業者は1者のみであるが、11回目の入札で落札されたこと、2応札者のうち第2位の者は予定価格に比較的近い入札価格であることから、適切な予定価格を算出したと考えている。
 浮桟橋建造工事の前に設計・積算業務も外部委託したのか。
 また、落札者と設計・積算委託業者は同一か。
 設計・積算業務は外部委託しており、浮桟橋建造工事落札者と同一である。
 入札公告が平成24年1月11日であり、予定価格調書の添付資料に落札者と他の業者の見積書が平成23年5月の日付で添付されているのが確認されたが、積算業務は、入札を実施したのか。  積算業務は、設計と併せて入札している。
 設計・積算業務の入札参加者数は、何者か。  3者である。
 浮桟橋建造工事入札参加者の中に、落札者以外で設計及び積算の入札に参加した者はいるのか。  記憶が定かでない(後日、確認したところ、落札者及び設計業者2者の3者であり、落札者以外に設計・積算の入札に参加した者はいない)。
 入札状況調書を確認すると予定価格を下回っているのが設計・積算に加わった落札者1者のみであり、それ以外の応札者6者は予定価格を上回っている。
 何故、落札者のみが予定価格を下回り、他の応札者は、全て予定価格を上回っているのか。
 設計・積算業者かつ落札業者であるということと工事の入札は、何らかの関連性があるのか。
 予定価格の積算について業務委託したもののうち、当方で採用したのは、価格ではなく工数(労働時間)であり、当方が独自に算定している工賃単価を乗じて積算を行っている。その他の部分についても、一般に市販されている物価資料や当方が毎年近隣造船所に対する調査により作成している資料を基に積算しており、基本的には、積算業務委託により提出された価格は採用していない。
 本件のような特殊な調達であることから、設計及び積算と建造工事を別々に入札という機会を設けたところであるが、結果的に設計、積算を行った業者と建造工事業者がたまたま一致したということか。  そのとおりである。
 当方は、発注情報については、平成23年4月1日に第2四半期発注予定である旨の公表を行っており、予算の都合等により遅れがあったものの、第4四半期に入札公告を行っている。
 入札説明期間は、設計・積算実施者のみが有利とならず、他の応札者も十分な時間を確保できるよう50日を確保している。
 また、参考までに設計者に作成依頼した予定価格と当方が作成した予定価格との金額は相当の差があり、設計者が作成した予定価格とはかけ離れたものと認識している。
 それでは、予定価格は、委託業者に作成させたものをもう一度、部局で独自に算定し直し作り直しているということか。  そのとおりである。
 そうすると落札者は、たまたま安く入札書を提出したのか。  そのとおりである。
 落札後、落札者に対し入札金額についてのヒアリングを行ったところ、何とか工事を取りたかったので、自社の儲けを圧縮し価格面で頑張ったとのことであった。
 実際問題として、設計・積算の業者と建造業者を別々にすることは、可能であるか。  設計・積算を行った業者が建造の入札に参加できないということであれば、入札参加資格を持っている者を入札参加から除外するという形となる。
 また、造船所としては、当然設計・積算業務の方が金額が安いため、設計・積算業務の入札に不参加という形になると考えられる。
 当方としては、入札参加資格のある者をむやみに除外しない調達を考えている。
 建築工事では、設計業者と建設業者がそれぞれ独立していると思われるが、そういうわけにはいかないのか。  設計専門の業者もいるが、今回の競争入札では造船所に勝てなかったという結果であった。
 浮桟橋建造工事は、調達の類型が「物品」であるが、名称が工事であることから、入札参加資格の類型が工事とならないか。  「物品の製造(船舶類)」となる。
オーダーメイドした物品(浮桟橋)を納品(岩壁に据え付け)することとなる。
意見・質問 回答
【事案 3】
契約件名
:鹿児島空港国際線ターミナルビル用車庫シャッター改修工事
契約相手方
:上山建設 株式会社
契約金額
:2,079,000円
契約締結日
:平成24年1月31日
担当部局
:長崎税関


 競争入札は成立しているが、対象期間内で唯一の公共工事であり、同工事の入札状況や予定価格の算定の状況を確認したいため抽出した。
 
 メーカーの価格証明に関して、何社のメーカーから証明を提出させたのか。  既存のメーカーが三和シャッターであるため、同社のものを採用している。
 落札者である上山建設は、どのメーカーのシャッターを採用したのか。  三和シャッターのものである。
 (落札者以外の)○○建設も三和シャッターのものを取り付けるのが、前提だったのか。  仕様書ではメーカーを指定していないため不明である。
 設計上、どこのメーカーも設置できるものなのか。  重量シャッターは受注生産品である。例えば文化シャッター社のものでも可能である。
 三和シャッターに設計図の作成を依頼して、それを仕様書として添付しているという経緯なのか。  既存のものが三和シャッターのものであったので、同社に作図を依頼して、あくまで参考図面として添付している。三和シャッターのものを設置するよう指定しているものではない。
意見・質問 回答
 【事案 4】
契約件名
:窓口受付システム(自動発券機)の購入
契約相手方
:株式会社 福助屋
契約金額
:3,549,000円
契約締結日
:平成24年1月30日
担当部局
:福岡国税局


 競争入札は成立しているが、落札率が非常に高率であることから、契約一覧にある番号発券機の購入と比較しながら、その入札状況や予定価格の積算等を確認したいと考え抽出した。
 
 落札者が納入したのは、ビルコン社のものか。ほかにいくつかの機種は想定していたのか。  ビルコン社製である。他にも同じような発券機の機種は3種類あるが、今回入札に参加した4社は全てビルコン社のものであった。
 1回目で落札できずに、3つの業者が2回目に降りているが、これは何か理由があったのか。  もう既に限界の金額であったのかと思う。
 我々の予定価格の算定がきびしかったのか、業者も取りたいのであるが、これであれば儲けがないと、後から業者から確認した。
 2回目の入札に移る段階で、応札業者に情報提供として、1位の業者の応札価格を開示したのか。  まず、1回目の最低入札金額と業者名を開示し、これは当方の予定価格を超えているため、再度の入札を行うと宣言し直ちに2回目の入札に移行している。
 2位の業者は、最低入札金額と僅差であることは分かっていたのか。  当然、僅差であることは分かっていたと考えられる。
 もうひとつの番号発券機の方の入札状況は分かるか。  3者入札している。
 このうち2者が、今回の自動受付システムの入札にも参加している。他の1者は、別の事務機器のメーカーである。
 1回で落札されたのか。  1回で落札されている。
 こちらのシステムについては、細かい設定作業がある。もうひとつの番号発券機の方は、機械を仕入れて売るだけのイメージである。
 システムについては、細かい設定作業などカスタマイズの人件費的な部分が影響したのかと考える。
【委員会の審議結果】  
 今回、抽出した4件の事案については、各部局とも適法かつ適正に調達の手続がなされていたことを確認させていただいた。
 全体の調達状況と各案件について、意見を付させていただく。
 全体の調達の状況については、今回は4部局とも一者応札がないということで、この点で非常に改善が進んでいることを確認させていただいた。随意契約が残っているが、全て公共料金や長期の契約の一部であり、問題がなかったことを確認させていただいた。
 特に、税関の監視艇関係の保守・点検・修理については、従来から一者応札が残る案件として、委員会で改善を希望していたが、今回は両税関とも監視艇関係の調達は一者応札なしということで、ご努力の成果が現れていると委員会として高く評価したい。
 公共工事の落札率がかなり低下しており、競争による価格の低下が効果として現れていることも確認させていだいた。
 
 逆に、今回の案件も含めて低価格調査対象となる案 件が増えている。調査基準価格がかなり計算上高くなっており、87%でも低下価格受注ということになる。競争を促して調達をしようという制度の下で、低価格受注という範囲が広すぎる可能性もある。
 これはこの部局だけで解決できる問題ではないが、全体に再検討してみる必要があると委員会として考えたところである。
 
(第1事案について)
 低価格調査の際に求めているコスト計算等の細かい資料を基に、もう一度予定価格の算定内容を確認のうえ、今後の予定価格の算定に役立てていただきたい。
 公務員住宅における風呂釜取替工事等の同種工事については、今後の入札状況に不自然な傾向がないか注視していく必要があると思われる。
 また、今回確認させていただいた2件いずれも、資格要件の格付けをAランクからBランクまで広げており、それが入札者の増加に効果的な成果が認められることから、今後も引き続き柔軟な対応をしていただきたい。
 
(第2事案について)
 本案件は、落札業者と他の応札者との金額差がかなり大きいということが特徴的である。
 当該案件の落札者と設計・積算業者が同一業者ということから、落札価格と予定価格の想定について、落札業者と他の応札者での格差が生まれてしまったのではないかという懸念がある。
 当該案件に係る事前の設計と積算を委託発注しているが、価格に係る積算までが必要であったかどうかという点については、検討していただきたい。
 このような特殊な調達案件については、応札者側の予定価格の想定と実際の予定価格の差が大きいため、予定価格を公表し、どのくらいの価格で落札できるかということを競わせる方法もあるが、現時点での国の調達方式では難しいため、今後このような調達方式についても検討するといいのではないかと考えられた(一部の地方自治体では予定価格の事前公表が実施されているため)。
 
(第3事案について) 
 シャッターメーカー1社と地元の施工業者2者の3者の応札が少なく感じる。他社メーカーも参加できるのが望ましい状況ではないかと考えられる。今後各機関にあってもシャッターの新設、改修の発注の際は、複数のメーカーのものが競争できる環境をつくっていくことが重要であると考える。
 
(第4事案について) 
 予定価格の積算が調整率等の想定も含めて、少し低額に過ぎたということから、競争入札ではあるが、実際上、競争による適正な価格の形成が難しい結果となった。これを踏まえ、最新機器の調達に当っては、各種考慮して競争が成り立つ範囲で予定価格を算定していただきたい。過去にない、これから増大していくような物品については、他の国税局の調達価格などの情報収集を行い、この調達価格が適正であったかどうかのフォローアップをすることが重要であると考える。
 また、事務機器、事務用品の落札業者が、特定業者に集中する傾向があり、今後の対応の資料としても本件の落札価格が適切であるかどうかのフォローアップが重要であると考える。