開催日及び場所 平成24年3月22日(木) 福岡合同庁舎5階共用第2会議室
委員 委員 屋宮 憲夫(福岡大学 法学部教授)
委員 林 桂一郎(西日本綜合法律事務所 弁護士)
委員 横山 研治(立命館アジア太平洋大学 国際経営学部長)
審議対象期間 平成23年10月1日 (土) 〜 平成23年12月31日 (土)
契約締結分の概要説明 審議対象期間に係る契約締結分及び契約実績状況調書の概要を説明
抽出事案 4件 (備考)
  競争入札(公共工事) -件 -
随意契約(公共工事) -件 -
競争入札(物品役務等) 4件
契約件名
:(H23)日の出住宅外38住宅建物定期点検業務
契約相手方
:株式会社 オリエントサービス
契約金額
:2,667,000円
契約締結日
:平成23年10月11日
担当部局
:福岡財務支局
契約件名
:埠頭監視カメラシステム伝送経路変更作業委託
契約相手方
:NECネクサソリューションズ株式会社
契約金額
:43,050,000円
契約締結日
:平成23年10月26日
担当部局
:門司税関
契約件名
:埠頭監視カメラシステム定期保守点検業務請負契約
契約相手方
:有限会社 志布志電設
契約金額
:1,155,000円
契約締結日
:平成23年10月19日
担当部局
:長崎税関
契約件名
:確定申告期におけるPC設定等業務
契約相手方
:東芝情報機器株式会社 九州支店
契約金額
:4,604,250円
契約締結日
:平成23年11月25日
担当部局
:福岡国税局
随意契約(物品役務等) -件  
応札(応募)業者数1者
関連
2件 競争入札(物品役務等)の「埠頭監視カメラシステム伝送経路変更作業委託」及び「埠頭監視カメラシステム定期保守点検業務請負契約」
委員からの意見・質問、それに対する回答等 別紙のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし
意見・質問 回答
【事案 1】
契約件名
:(H23)日の出住宅外38住宅建物定期点検業務
契約相手方
:株式会社 オリエントサービス
契約金額
:2,667,000円
契約締結日
:平成23年10月11日
担当部局
:福岡財務支局


 予定価格と落札価格の格差が大きく、落札率が非常に低率であることから抽出した。
 
 低価格調査をされているかと思うが、当該金額で履行可能と判断されたものは何か。  落札者は、他官庁等の同種業務の実績が多数あり、その人材やノウハウを活かし効率的な業務が実施できること。また、同時期に同種業務を受注していたため一体的に業務を履行することによって、人材を効率的に配置でき、人件費の圧縮等が可能となったものであることから、当該金額で履行可能と判断したものである。
 予定価格からするとかなり低い金額であるが、それぞれの点検における個別的なコスト計算等は行うのか。  落札者からは、応札金額の積算根拠の内訳を提出させ、当方の積算と比較し確認を行っている。
 他の地域の公務員宿舎でも同様の点検業務を実施されているかと思うが、他の地域での落札率の状況は確認されているか。  他の財務局でも公務員宿舎の点検業務は実施しているところであり、落札状況について、ホームページでの公表分で確認したところ、落札率は32%から80%とばらつきがあった。
 財務省会計課から予定価格がより適正になるよう予定価格積算にあたっての考え方が通知されているということであるが、当該通知に基づく積算はどこもされていないのか。
 また、予定価格と入札価格の乖離についてはどこも問題意識をもたれているのか。
 他の財務局における予定価格の積算方法までは確認をしていないので、当該通知に基づく積算がされているのかはわからない。
 予定価格と入札価格の乖離については、どこも問題意識をもっていると思っている。
 競争参加資格条件を「A」等級に「B」等級まで加えられ、「二級建築士」の資格でも業務可能である条件で、入札参加者が3者というのは少ないと感じるが如何か。  入札参加者数の検証等は行っていないが、昨年度の同種業務の入札参加者も3者であり、そのうちの2者は今回も参加していることから、当局管内において、こういった点検業務を行っている建築士事務所が少ないのではないかと考えている。
意見・質問 回答
【事案 2】
契約件名
:埠頭監視カメラシステム伝送経路変更作業委託
契約相手方
:NECネクサソリューションズ株式会社
契約金額
:43,050,000円
契約締結日
:平成23年10月26日
担当部局
:門司税関


 一者応札であり、また落札率が高率であることから抽出した。
 
 このような案件は、そもそも競争させることが無理なのではないかという印象を受けた。
競争するという条件を満たしていないものを、競争があったように見ているものだから、そこに不具合が生じてしまうのであり、もはや競争できるものとして考えるべきではないのではないか。
 埠頭監視カメラは特殊な機器であり、高度な技術を持ったところでないと応札しにくいものと思われる。
今回の案件は、カメラの伝送経路を無線から有線に変更するもので、応札できないことはないと思われるが、既存のシステムのノウハウを習得した上で行わなければならないので、価格競争の面で勝てないとの判断により応札しなかったのではないかと思われる。
 予定価格を積算する場合、既存の機器を設置した業者以外の業者から参考見積もりを取ればよいのではないか。  設置業者以外のところから聴き取る場合、自社の機器ではないことから、既存の機器及びシステムの仕様を全て理解した上で見積もることができるのか疑問が残る。
 競争しづらい案件について、競争以外の方法で交渉する余地があればよいと思われるが、値切ったりするようなことはできないのか。  一般競争入札という形をとっている限り、設定した予定価格を下回って落札された場合はそれ以上の交渉の余地はない。
 このような案件は、既存設備の設置を行った業者に頼らざるを得ないというような業務になると思われるため、一般競争入札だとしても応募する業者はほとんどないだろうと推測される。  
 一般的にこういう情報伝送経路の変更のような作業は起こり得るのか。  想定しなかった所に大きな建物が立つようなことがあれば、電波が遮断されるため経路を変更するということはあり得る。
 この案件は、一般管理費等が生じる設備工事と一体化していると思われるが、この作業は落札者でなく下請けが行っているのか。  実際の作業は下請けが行うこともあるが、工事の指揮・監督は落札者が行っている。
意見・質問 回答
【事案 3】
契約件名
:埠頭監視カメラシステム定期保守点検業務請負契約
契約相手方
:有限会社 志布志電設
契約金額
:1,155,000円
契約締結日
:平成23年10月19日
担当部局
:長崎税関


 一者応札であり、また、同時期に行われた門司税関の同種の業務に比して、落札率が高いことから抽出した。
 
 応札者は事前に予定価格を知ることはできないが、一般的に、企業は公表されている資料等を使い予定価格を予想できるのか。  予定価格が公表されている資料、仕様等を基に積算されている場合、企業が予想した価格と予定価格が同程度になることもあると思われる。
 入札説明を聞きに来た者が、入札を辞退しているが、その理由は何か。  会社都合や埠頭監視カメラシステムという技術的な困難さを理由に入札を辞退した。
 落札者はどのような経緯で入札に参加したのか。  落札者は過去、埠頭監視カメラシステムの保守点検作業を行ったことがあり、今回、入札に参加したものと思われる。
 同時期に、門司税関でも埠頭監視カメラシステム定期保守点検業務の入札が行われ、競争が働いている。本事案の予定価格の積算方法と門司税関の事案の予定価格の積算方法は同じか。  同様の積算方法である。
意見・質問 回答
 【事案 4】
契約件名
:確定申告期におけるPC設定等業務
契約相手方
:東芝情報機器株式会社 九州支店
契約金額
:4,604,250円
契約締結日
:平成23年11月25日
担当部局
:福岡国税局


 当該業務は、平成21年度の第3回定例会議において低落札を理由に一度審議させていただいた。今回、競争入札は成立しているが、これまでの同業務の入札状況の経過等を確認したいと考え抽出した。
 また、同時期に契約された「確定申告期のLANの配線等工事」との関連性についても確認させていただきたい。
 
 21年からシステム管理技術者のレベルを下げて、より実勢に近づけようとしたいうことであるが、実勢は更に低かったと判断される。実勢に近い人件費を見積もって予定価格を計算するということは、余りに低く人件費を見積もるということであり、政治的妥当性が難しいと考えられる。  去年大きく人件費の見直しを行ったが、それでもやはり低落札であった。今回の積算においても、調整を行うことも考えたが、最低賃金の保証の問題や、公表されている積算資料もあり、今回は調整を実施しなかった。
 経年的にみるとA社とB社との2者が互角の戦いで競り合っている。しかしながら、入札状況調書をみると、今回、B社の応札価格が高く感じられる。この原因は如何に。  もともとB社は配線業者であり、今回のLAN配線工事の入札にも参加している。このLAN配線工事は結果として別の者が落札しているが、入札に参加した3業者のうち、このB社を含めて配線業者が2者参加している。このB社の応札価格は、落札した業者のものにかなり近いものとなっていた。
B社としては、得意分野を取りたくて来ているが、それに伴う付随業務として、同じ場所に作業員を派遣する業務もあわよくば取れればということで、この価額で入札してきたと思われる。細かいパソコンの設定などについては、どうしてもAなどのパソコン設定の専門業者が強く、Bが自分のところで採算が取れると判断した価格がこの応札価格であると考えている。Bについては、自社でプログラマーなど抱えていないため、どこからか雇う必要がある。
パソコン設定の専門業者は、自社で抱えているSEやプログラマーなどをこの業務に転用できるため、価格的に安く設定できると思う。
 今回は、パソコン設定の専門業者のC社が参加しているが、過去も参加しているのか。  このパソコン設定等業務について、C社は昨年と一昨年も参加している。2年ともほぼ同じような応札価格で、C社としてはそれなりに利益を確保した上で、入札に参加していると判断される。そういう意味でも当該業務の相場はこの辺りではないかと思う。
 A社については、過去からこの業務を行っており、また、転用できるSEやプログラマーを多く抱えているので、この価格で応札してきたと思われる。
 過去にこのC社が落札したことがあるのか。  このPC設定等業務については、平成20年から行っており、C社が落札したことはない。C社については、他の業務を落札したことはある。
 20年度から21年度に予定価格の算定基準を変更されているが、予定価格を元に戻した場合には落札率はやはり○○%程度になると思われる。この業務自体の技術者の単価、情報と実際の業務の中身や現実に支払っている対価と実態が乖離している可能性がある。A者はかなり低い金額で入札している、これが余りに低いのかどうかが分からない、この価格でもある程度利益がでるとも考えられる。
 説明会に参加した業者には大手の業者も入っている。業務の広域性もあるが、地域ごとに発注した場合には入札に参加する業者が増える可能性があるのか。
 入札に参加しなかった業者の不参加の理由のひとつに、一時期に広範囲に人員を派遣しなければならず、その人員を確保できないということであった。分割発注することによって、入札参加業者が増える可能性はあるが、郡部の方まで受けてくれる業者がなかなかいないため、どうブロック分けするのかが問題となる。
【委員会の審議結果】  
 今回、抽出した4件の事案については、各部局とも適法かつ適正に調達の手続がなされていたことを確認させていただいた。
 委員会のほうから、全体の調達状況と各案件について意見を付させていただく。
 全体の調達の状況については、特に公共工事において落札率が適正化してきているのではないか、競争による契約価格の低下があり、効果的な調達がなされている。一者入札についても財務支局ではなしということに象徴されるように、かなり限られた案件に絞られてきた。競争性の確保が本質的に困難な業務や本年度の特殊事情で一者入札になった案件がみられる。保守点検修理などの業務について、競争が成り立っている部局もあれば、成り立っていない部局もある。ある程度競争が成り立ちうるような部分がなお残されているので、この解消に努めていただきたい。
 
(第1事案について)
 予定価格の算定については適切な調整が必要ではないかと思われるので、調整を行う場合においては、その調整率を適正かつ適切に設定していただき、実態とあまり乖離しないような調達がなされることが重要かと思われる。
 また、業務の内容からして、現在の応札者数が少ないのではないかと思われるので、競争者数が増加するような取組みも必要ではないかと考える。
 
(第2事案について)
 本事案の業務は、基本的に競争入札に適合しにくいものであったと思われる。
 競争者を増加させることは、なかなか困難であると思われるが、重要な点は予定価格の算定を適切に行い、業者の提示する価格が適正かどうかを判断することである。
 できるだけシステムの設置業者以外の業者から情報収集を行うこととし、専門の情報を持っているような機関等からも情報を得ることが可能ではないかと思われる。
 予定価格の適正な算定に努めることが重要である。
 
(第3事案について) 
 門司税関の同種の事案をみると、定期保守点検業務について、落札価格を下げるためには競争性の確保が効果的であると思われる。
競争参加者を開拓することが必要であり、競争が成り立つと落札価格が下がる可能性があると思われる。
 
(第4事案について) 
 本件は、低価格の落札がかなりの年度にわたり特定の業者において続いている。実態に合った価格が判然としない。入札状況調書をみるとかなりの価格差が生じている。同様のシステムの作業については、他の国税局においても実施しているので、他の国税局と情報を共有して比較してほしい。応札価格や応札業者など比較していただき、適切な応札がなされているかどうかを適切な予定価格の調整をどの程度行えばよいかなど確認していただきたい。