開催日及び場所 | 平成22年6月14日(月) 福岡合同庁舎5階共用第4会議室 | |
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委員 | 委員 屋宮 憲夫(福岡大学 法学部教授) 委員 林 桂一郎(西日本綜合法律事務所 弁護士) 委員 横山 研治(立命館アジア太平洋大学 国際経営学部長) |
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審議対象期間 | 平成22年1月1日(金)〜平成22年3月31日(水) | |
契約締結分の概要説明 | 審議対象期間に係る契約締結分及び契約実績状況調書の概要を説明 | |
抽出事案 | 4件 | (備考) |
競争入札(公共工事) | 2件 |
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随意契約(公共工事) | -件 | − |
競争入札(物品役務等 | 2件 |
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随意契約(物品役務等) | -件 | − |
応札(応募)業者数1者関連 | 1件 | ※ 競争入札(物品役務等)の「監視艇『なんせい』主機関整備工事」 |
委員からの意見・質問、それに対する回答等 | 別紙のとおり | |
委員会による意見の具申又は勧告の内容 | なし |
意見・質問 | 回答 |
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【事案1】
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落札率が極めて低率である点に着目して抽出した。 すべての応札業者が予定価格以下で入札しているが、予定価格の積算はどのように行ったか。 | 本件は鉄筋コンクリート造建物の解体撤去工事であり、当局職員で予定価格を積算するのは困難であったことから、解体撤去工事に精通している設計会社と契約して積算業務を委託した。積算された内容を見ると、一般労務費について福岡県内の労務費の単価を採用しているなど地域性が考慮されており、また、評価先例と比較しても価格の均衡性が保たれていることが確認できたことから、妥当な実勢価格であると判断して予定価格に採用した。 |
公共工事の応札状況や落札率は、工事発注時期における建設業界の需給バランスの影響を受けるものと考える。 そこで、工事発注時期の需給バランスを予定価格算定の際に勘案することとして、例えばプラスマイナス20〜30%程度の影響額を予定価格に反映させることはできないのか。 | 工事発注時期の需給バランスによって応札状況及び落札率に影響が出ることは理解できるが、それを正確に予測して予定価格に反映させることは困難であると考える。 本件の場合、当局は設計会社に対して工事発注時期及び完了時期を示しておらず、したがって、設計会社が需給バランスを予測することは不可能であったが、仮に時期を示したとしても、将来の需給バランスの正確な予測と予定価格への反映は困難であることから、一般的な実勢価格として予定価格を算定するものと考える。 |
民間精通者である設計会社の積算について、評価先例との均衡性を確認し、妥当な実勢価格であると判断したとのことであるが、すべての入札価格が予定価格をかなり下回っている事実を見ると、何か特殊な要因があったのではないかと推測するが、福岡財務支局はその点をどのように分析しているか。 | 低価格入札調査で落札した業者から聴取した結果、本件落札者はリサイクルプラントを自社保有しており廃棄物処理を外注する必要がなかったことと、営業努力による間接経費の節減を低価格の理由に上げている。 また、業界関係者からは、工事発注時期の1月に他の公共工事が少なかったと聞いており、委員のご指摘どおり、需給バランスにより売り手市場となり入札参加業者に何としても落札したいとの意思が働いた可能性はある。 |
落札価格と予定価格とが乖離した理由は、工事発注者、予定価格の積算者(設計会社)及び工事受注業者の三者間で、工事方法に関する認識が異なっていたためではないか。 | 認識の相違があったとは考えられない。 工事方法は、設計会社から詳細に聴取した上で仕様書に記載しており、また、入札説明においても参加者に十分な説明を行ったことから、三者間の工事方法に関する認識は共通していたはずである。 |
低価格入札の場合、コスト割れの可能性があり、作業の品質維持に注意を払う必要がある。 特に、本件の場合、アスベストを含む建材の廃棄物はどのように処理されたか。 また、工事発注者の責任として、当該処理が適法に実施されたか確認しているか。 |
事前の検査の結果、飛散性アスベストは検出されなかった。また、非飛散性アスベストについては、含有する建材の処理方法を仕様書で詳細に規定するとともに、処分の各段階の写真を提出させており、適法に処分されたことを確認している。 |
意見・質問 | 回答 |
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【事案2】
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落札率が極めて高い点に着目して抽出した。 落札者以外に入札に参加した2社について、入札価格の内訳等は見ているか。例えば、直接工事費と間接工事費の比率の類似性はどうか。 | 入札価格の内訳書については、落札者からは提出を受けているものの、落札者以外の入札参加業者には提出を求めていない。理由は、落札できなかった者に対して更なる負担を掛けないためである。 したがって、ご質問の類似性については検討していない。 |
本入札案件の競争入札参加資格を有する業者は何社あるのか。 | 平成22年4月15日現在で1,224社である。 |
登録者数が1200社以上に対して応札者数が3社というのは少なすぎる感があり、落札率も高率であるが、門司税関は原因をどう分析しているか。 例えば、特殊な工法であったり、特殊な機械設備を要する工事なのか。 |
登録者数1200社以上に対して、そのうち3社しか応札しなかった原因については当関は不知であるが、工法及び使用する機械設備は一般的なもので、特殊なものではない。したがって、工法や機械設備が入札参加の制約になったとは考えていない。 具体的には、工法は、敷地の地質に応じて羽根付きシャフトを回転貫入させるアンカー(杭)工法を選択しており、機械設備は1.5トン級の小型パワーショベルのアーム先端にトルクモーターを取り付けた程度のものである。 |
過去に門司税関で同種の工事を発注した実績はあるか。また、葛葉宿舎の近隣で、同種の工法で施工された工事の実績等を把握しているか。 | 当関では、過去に同種の工事を発注した実績はない。 なお、近隣の工事実績についてインターネットで調べた結果、崖地の法面工事に同じ工法を採用した事例を把握している。 |
入札参加者に、他の応札者の状況が知れるようなことはなかったか。 | 入札説明に参加した業者は3社で、そのうち入札を辞退した者はいない。 また、入札説明は3社ともすべて別の日に実施しているため、他社の参加状況を知りうる状況にはなかったと考えている。 |
予定価格の内訳のうち、最も費用の掛かる部分について参考見積額を採用して積算しているが、どこの業者から見積りを取ったのか。 また、見積りを取った業者と落札者とは関係があるか。 | 予定価格算定の基礎資料を作成した設計会社から聴取したところ、本州中部地方に所在する会社から参考見積りを取っており、受注者とは一切関係がないとのことであった。 |
意見・質問 | 回答 |
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【事案3】
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一者応札で、落札率が極めて高い点に着目して抽出した。 予定価格の算定はどのように行ったか。 |
船舶整備の場合、市販の物価資料等には予定価格算定のための基礎的資料が掲載されていない。 そのため、本件の場合は、船舶業界の複数の業者に対して各作業工程の工賃等に関するヒアリングを実施し、それらを積み上げて予定価格を算出した。 |
ヒアリングは、何社に対して実施したか。また、どこの業者か。 | 本船舶の主機関(エンジン)はドイツのメーカーが製作しており、同社製のエンジンを専門に整備する業者は福岡県に2社存在している。 そのうちの1社が本件落札者であり、落札者を含めて合計3社にヒアリングを実施した。 |
エンジンに特殊性があるため、一者応札になったということか。 | 仕様書には整備業者を限定するような制約は一切設けていないが、メーカーの整備資格を保有する業者しか応札して来ないのが現状である。 業界関係者に理由を聴取したところでは、メーカーが作成した整備マニュアルが無いとエンジン整備は困難であり、整備資格を保有しない業者が落札して過去に契約不履行を起こした事例もあるやに聞いている。 因みに、同社の整備資格を保有する業者は国内に8社あり、九州では福岡県に2社があるが、落札者以外の1社は入札に参加しなかった。 |
長崎税関が保有する監視艇のエンジンは、いずれも同社製のエンジンか。 | そのとおりであり、3隻すべてが同社製エンジンを搭載している。 因みに、門司税関が保有する監視艇についても、5隻のうち4隻が同社製のエンジンを搭載し、残る1隻はアメリカのメーカー製のエンジンを搭載していると聞いている。 |
意見・質問 | 回答 |
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【事案4】
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同時期に行われた文書裁断機の入札を含めて、事務機器の落札率がかなり高い点に着目して抽出した。 カラーレーザープリンタの予定価格の算定に当たり、特定の製品を参考にしたとの説明であるが、理由はなぜか。 |
カラーレーザープリンタの製造メーカーは大手5社を筆頭に数多く存在するが、その中で、両面印刷の速度をはじめとする仕様が当局の求める内容に最も近く、かつ、価格が安価である製品を参考にした。 ほとんどの応札業者が、すべてのメーカーの製品を取り扱うことができるが、落札者が納品した製品は当局が参考にした製品であったことからも、価格が安価であることの表れと考える。 |
予定価格の算定に当たり、調整率を用いているが、どのような場合に調整率を用いているか。 | 調整率は物品購入の入札案件においてよく用いている。理由は、役務提供と異なり市販品には定価が設定されていることが多いが、実際の入札は定価より安く行われることから、予定価格を実勢価格ないし実際の入札価格に近く設定するため、過去の入札状況等を参考にした調整率を用いている。 |
本件の仕様を満たす市販品はいくつあるか。仕様に厳しい条件をつけすぎたことが、競争性を阻害する要因になったのではないか。 | 仕様を満たす製品は二つ、それぞれ別のメーカーの製品である。 なお、繰り返しになるが、ほとんどの応札業者においてすべてのメーカーの製品を取り扱うことができることから、仕様を満たす製品の数が少なかったとしても、特に競争性を阻害する要因とはならないと考える。 |
本件の応札者数は2社であり、競争参加資格を有する業者数がかなり多いと想定されることからしても、競争性が十分に確保されたか疑問が残る。応札者数が2社となった理由をどう考えるか。 | 同種案件の過去の入札状況と比較すると、応札者が減少してきている。因みに前回は一者応札であったため、今回は若干改善されたとも言えるが、過去には9社が応札した時期がある。 2社となった理由は、同様の案件の入札を繰り返すうち、業者間におけるメーカーとの取引条件、企業努力、財務内容等の差で、応札しても落札できる業者が徐々に絞り込まれた結果、落札できなかった業者が次第に応札しなくなり、2社だけが残ったものと推測する。 |
入札説明会には7社が参加しているのに、2社しか応札していないが、入札しなかった企業から理由の聴取は行ったか。 | 入札に参加しなかった企業のうち2社から理由を聴取している。1社の回答は、調達数量を納期までに納品できる見込がないため、もう1社の回答は、A3対応機とA4対応機とで仕様を分けてそれぞれ入札を実施したが、片方のみの入札はできないと勘違いした旨であった。 |
同時期に行われた事務機器の入札案件4件すべてを今回の落札者が落札しており、不自然な落札状況に見える。 同一の業者がすべて落札できた理由はなぜか。 |
本件の落札者が他の事務機器についても落札できた理由としては、メーカーとの取引条件における優位性や、同時期に複数案件を落札することによる輸送コスト、納品や設置にかかる人件費コストの節約等、いわゆるスケールメリットを入札価格に反映させたのではないかと考える。 |
【委員会の審議結果】 | |
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全体的に、各部局とも一者応札の比率が大きく減少してきており、競争性の確保が進んでいる。また、随意契約の割合、金額ともに減少してきており、各部局の調達が全体的に改善されていることを委員会は評価している。 本日の審議案件については、4件とも法令を順守し、適正な手続で調達が行われたことを確認できた。 今後とも、各部局は一者応札の解消をはじめ、調達の改善に努力していただきたい。 それでは、委員会として審議・検討した結果を報告させていただく。 |
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第1事案の簀子住宅4号棟解体撤去工事については、落札価格が著しく低く実質的にコスト割れしている可能性があることから、作業の品質維持が図られているか注意を払う必要がある。 特に、アスベストをはじめとする廃棄物の処理においては安全対策が極めて重要であることから、仕様書どおりに、法令を順守して正しく廃棄処理がなされているか、今後も低落札率の案件については、契約の履行状況の確認が極めて重要である。 |
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第2事案の門司税関葛葉職員住宅(一)3号棟敷地不同沈下対策工事については、応札者数が3社と少なかったことが高い落札率に繋がったのではないかと考えられ、もう少し多くの業者が入札に参加するよう努力する必要があるのではないか。 また、本件の場合は県外の、それも遠方の業者から見積りを取るなど情報漏洩対策を行っているが、一般的に、予定価格の算定が容易な工事案件で、かつ、競争性が低い場合は、予定価格に近い価格での応札が集中する傾向にあるので、その点に注意が必要である。 |
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第3事案の監視艇主機関整備工事については、長崎及び門司の両税関が保有する監視艇について、エンジンメーカーとの関係から特定の業者しかエンジン整備等のサービス業務を受注できない状況であるとすれば、競争性が阻害され一者応札になり易く好ましくない。 長崎及び門司以外の税関でどのように整備や修理が行われているかを確認し、全国の税関でも同じ状況とすれば、他の船舶整備業者が入札に参加できて競争性が確保されるよう、組織的な問題として検討を行うべきである。 |
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第4事案のカラーレーザープリンタの購入については、応札者数が2社と少なかった原因が仕様書の条件を厳しくしすぎたためであると考えられ、競争性を高める観点からは仕様に付す条件をどうしても必要なものに絞る必要があると考える。 また、特定の業者に調達が偏りすぎる場合は健全な競争性が確保されているとは言いがたいことから、偏りの原因を過去の入札状況等から検証してみるなど、事務機器の入札に関して競争性が阻害されていないか等を検討する必要があると考える。 |