開催日及び場所 平成21年6月18日(木) 福岡合同庁舎5階共用第2会議室
委員 委員 屋宮 憲夫(福岡大学 法学部教授)
委員 林 桂一郎(西日本綜合法律事務所 弁護士)
委員 横山 研治(立命館アジア太平洋大学 国際経営学部長)
審議対象期間 平成21年1月1日(木)〜平成21年3月31日(火)
契約締結分の概要説明 審議対象期間に係る契約締結分及び契約実績状況調書の概要を説明
抽出事案 4件 (備考) 
競争入札(公共工事) 2件
契約件名
:松崎住宅新築工事(U期)監理委託業務
契約相手方
:株式会社九州都市整備センター
契約金額
:18,900,000円
契約締結日
:平成21年3月26日
担当部局
:福岡財務支局
契約件名
:小倉税務署屋上緑化工事
契約相手方
:平成建設株式会社
契約金額
:9,450,000円
契約締結日
:平成21年1月28日
担当部局
:福岡国税局
随意契約(公共工事) -件
競争入札(物品役務等) 1件
契約件名
:インターネット環境整備工事請負契約一式
契約相手方
:エヌ・ティ・ティ・データ・カスタマサービス株式会社九州支社
契約金額
:4,038,300円
契約締結日
:平成21年3月10日
担当部局
:長崎税関
随意契約(物品役務等) 1件
契約件名
:コンテナ貨物大型]線検査装置の賃貸借
契約相手方
:株式会社IHI九州支社 株式会社ティ・エフ・アイ
契約金額
:2,305,170円
契約締結日
:平成21年2月26日
担当部局
:門司税関
応札(応募)業者数1者関連 3件 ※ 競争入札(公共工事)の「松崎住宅新築工事(U期)監理委託業務」、競争入札(物品役務等)の「インターネット環境整備工事請負契約一式」及び随意契約(物品役務等)の「コンテナ貨物大型]線検査装置の賃貸借」
委員からの意見・質問、それに対する回答等 別紙のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容 なし
意見・質問 回答
【事案 1】
契約件名
:松崎住宅新築工事(U期) 監理委託業務
契約相手方
:株式会社九州都市整備センター
契約金額
:18,900,000円
契約締結日
:平成21年3月26日
担当部局
:福岡財務支局
 
 宿舎新築工事の監理委託業務とは、具体的にどのようなものか。  建設業法、建築基準法、建築士法等に定められた建物建設工事に係る監督業務を国に代わって行うものである。
 設計者は内容を熟知しており、監督も同一の者が行うほうがよいと考えられるが、建築士事務所でA等級の者は何者か。
 また、設計業務の応札状況はどうか。
 A等級は22者である。
 松崎住宅新築工事(U期)の設計業務には4者が、また、白鳥住宅2号棟新築工事の設計業務には6者が応札している。
 なお、設計と監督が同一の者であるほうがよいかについては、別業者の場合は監督時に設計内容を再確認できるという利点もあり、一概に断定はできない。
 他の監理委託業務の応札状況はどうか。  過去には10者近い応札があったが、平成20年度は少ない応札者数となっている。
 応札業者は1者応札であることを知り得るのか。  電子入札システムで開札していることから、入札参加者数は開札後でなければ分からない。
 なぜ、1者応札になったと考えるか。  同様の白鳥住宅2号棟新築工事の案件は2者入札となっていることから、業者が応札するか否かは、該当案件の業務履行期間における他の業務量を踏まえて判断しているのではないか。
意見・質問 回答
【事案 2】
契約件名
:小倉税務署屋上緑化工事
契約相手方
:平成建設株式会社
契約金額
:9,450,000円
契約締結日
:平成21年1月28日
担当部局
:福岡国税局
 
 落札率が高いが、予定価格が低かったということか。  当該調達案件の前に、「長崎税務署屋上緑化工事」の入札を行っており、その入札状況を踏まえて予定価格を積算している。
 その結果、予定価格を下回った業者が1者であり、当該調達案件の落札率が98.5%と高くなったものと考えている。
意見・質問 回答
【事案 3】
契約件名
:インターネット環境整備工事請負契約一式
契約相手方
:エヌ・ティ・ティ・データ・カスタマサービス株式会社九州支社
契約金額
:4,038,300円
契約締結日
:平成21年3月10日
担当部局
:長崎税関
 
 予定価格の積算資料の配線工事費は、2者の見積金額の平均値としているが、その見積金額の聴取先はどのような者か。  長崎市内の電気・通信工事等を行っている業者である。
 なお、参考見積金額を聴取するに当たっては、入札参加資格を有しないなど、当該調達案件の入札に参加する可能性のない者を選択している。
 参考見積金額を基に予定価格の積算を行う方法は一般的なものか。  頻繁に使用する方法ではないが、より市場価格に近い積算を行う観点から、工事については工事業者の参考見積金額を、また、販売されている機器等についてはインターネット情報による価格を採用することがある。
 当該調達案件は、ルータ・サーバ等を設置し、セキュリティ等のシステムを構築する高度な業務との説明を受けたが、このような業務の入札に参加できる業者は何者程度あるのか。  大手メーカー系を含めれば、長崎市内で5、6者、福岡には当該案件の落札者を含め数者あると思われる。
 当該調達案件は、入札説明を受けた者が3者であったものの、結果として1者入札となっている。
 入札を辞退した業者から聴取した理由として、「業者の繁忙期でもあり人員の手配が困難」との説明を受けたが、当該調達案件における作業日数はどの程度か。
 予定価格調書の積算資料に記載のとおり、監督及び技術者の作業日数としては10人日程度が必要と見込まれる。
意見・質問 回答
【事案 4】
契約件名
:コンテナ貨物大型]線検査装置の賃貸借
契約相手方
:株式会社IHI九州支社 株式会社ティ・エフ・アイ
契約金額
:2,305,170円
契約締結日
:平成21年2月26日
担当部局
:門司税関
 
 結果として、応募者がなく随意契約となっているが、業者から徴取した見積金額が予定価格を超えていた場合は、どのような手続きをとるのか。
 また、相手方の見積金額に歩み寄ることはないのか。
 随意契約を行うことになると考える。
 予定価格の積算に誤りがない以上、再度の公募を行うことはない。
 また、相手方の見積金額に歩み寄ることはあり得ない。
 予定価格の積算はどのように行っているのか。  原契約者及び同業他社からの聴取のほか、インターネットや物価資料等の価格をベースとして積算している。
 当該契約において、メーカーである株式会社IHIはどのように関わっているのか。
 また、当該装置は、メーカーである株式会社IHIから、リース会社である株式会社ティ・エフ・アイに対して売却されたものか又はリースされているものか。
 本契約には機器の保守作業も含んでおり、機器の賃貸借は所有者であるリース会社(株式会社ティ・エフ・アイ)が行い、保守業務はメーカー(株式会社IHI)が行う契約内容となっている。
 なお、当該装置は、リース会社の所有物である。
 メーカーとの保守契約をしないという選択肢はあるのか。  当該検査装置は専用設計されたもので、国内では税関のみが設置しており、そのメーカーは国内に2社しかないと聞いている。
 高度な技術を有する業者であれば保守業務の履行が可能かも知れないが、技術面・費用面においても保守業務を別契約とすることは合理的ではないと思われる。
 再リースで契約金額が下がるものを、引き続き借り入れるという調達について、公募を行い競争性を確保しようとすることに意義はあるのか。  一般的に、リース会社が所有する物を第三者が借りて、それを「また貸し」することは、考えにくいことではあるが、可能性として皆無ではない以上、調達手続きの透明性と競争性の確保の観点から、公募を実施することとしている。
【委員会の審議結果】  
 抽出した4事案については、適正な手続きに基づく入札が行われ契約がなされていることを確認した。
 なお、福岡国税局が、平成21年度の調達手続きにおいて、仕様書の見直し等により一者応札の解消を図り、競争性の確保に努めている点は評価できるところであり、各部局においても同様に競争性の確保を図っていただくようお願いする。
 では、委員会として審議・検討した結果を報告させていただく。
 
 事案1の松崎住宅新築工事(U期)監理委託業務については、設計委託業務に関わった業者が監理委託業務の入札にも参加しており、他の業者の参入が見られない状況となっている。
 今後、同様の調達にあたっては、設計委託業務に関わった業者以外の者等、多くの業者に参入を促すような改善措置がないかを検討してもらいたい。
 
 事案2の小倉税務署屋上緑化工事については、同種の調達案件である長崎税務署屋上緑化工事の入札結果を予定価格の積算に反映させたことは、予定価格の精度の向上に繋がっている。
 今後の同種の調達においても、先例を踏まえた予定価格の算定に配意していただきたい。
 
 事案3のインターネット環境整備工事請負契約一式については、入札参加資格のない業者から参考として見積金額を聴取しており、予定価格の積算に当たって情報の保秘を図るなどの工夫を行っている点は評価できる。
 しかし、一者応札であった点については、今後、1履行可能な業者の参入を促す措置、2より長い公告期間を確保する、3業者の繁忙期を避ける、等の競争性の確保に繋がる工夫を図っていただきたい。
 
 第4事案のコンテナ貨物大型]線検査装置の賃貸借一式については、リース物品である検査装置を引き続き再リースする場合、公募を実施しても競争性を確保することは非常に困難と思われることから、新規に設置する場合の調達手続きにおいて、十分な競争性が働くように留意する必要がある。
 なお、全国にメーカーが2社しかない特殊な装置であることから、全国の税関の情報交換により競争性が確保されているかについて検証する必要も認められる。
 また、このような特殊な装置の調達にあたっては、全国の税関又は一定の地区の税関が一括調達を行うなどのスケールメリットを活かしたコストダウンの方法も考慮しなければ、競争性が有効に機能しないのではないかといった点も危惧されることから、このような点についても検討いただきたい。