財務省第12入札等監視委員会 平成20年度第2回定例会議議事概要
開催日及び場所
平成20年12月18日(木) 福岡合同庁舎8階共用第9会議室
委員
委員 屋宮 憲夫(福岡大学 法学部教授)
委員 林 桂一郎(西日本綜合法律事務所 弁護士)
委員 横山 研治(立命館アジア太平洋大学 経営管理研究科教授)
審議対象期間
平成20年7月1日(火)〜平成20年9月30日(火)
契約締結分の概要説明
審議対象期間に係る契約締結分の概要を説明
抽出事案
4件
(備考)
競争入札(公共工事)
1件
契約件名
:長崎税関片渕分室解体工事
契約相手方
:株式会社栗原建設
契約金額
:1,837,500円
契約締結日
:平成20年9月11日
担当部局
:長崎税関
随意契約(公共工事)
−件
競争入札(物品役務等)
2件
契約件名
:自動車用燃料油の購入(門司地区)
契約相手方
:コスモ石油販売株式会社北九州支店
契約金額
:単価契約(ガソリン168円/リットルほか)
契約締結日
:平成20年9月26日
担当部局
:門司税関
契約件名
:平成20年度パソコン等の設定に関する業務
契約相手方
:株式会社富士通エフサス九州支社
契約金額
:15,708,000円
契約締結日
:平成20年9月1日
担当部局
:福岡国税局
随意契約(物品役務等)
1件
契約件名
:普通財産の売払い等若しくは貸付け又は管理等に関する業務委託(佐賀地区)
契約相手方
:ミヤケン物流株式会社及び横田耕詞
契約金額
:単価契約(一売買契約報酬額[×(100%-5%)]但し、一契約の売払価額における告示報酬額[×(100%-5%)]が31,500円未満の場合は、一律31,500円ほか10件)
契約締結日
:平成20年7月1日
担当部局
:福岡財務支局
応札(応募)業者数1者関連
3件
※ 競争入札(物品役務等)の「自動車用燃料油の購入(門司地区)」及び「平成20年度パソコン等の設定に関する業務」並びに随意契約(物品役務等)の「普通財産の売払い等若しくは貸付け又は管理等に関する業務委託(佐賀地区)」事案に同じ
委員からの意見・質問、それに対する回答等
別紙のとおり
委員会による意見の具申又は勧告の内容
なし
意見・質問 回答
【事案 1】
契約件名
:長崎税関片渕分室解体工事
契約相手方
:株式会社栗原建設
契約金額
:1,837,500円
契約締結日
:平成20年9月11日
担当部局
:長崎税関
 
 落札率が35%と低く、その理由として発生した鉄屑等の廃材を廃棄ではなく売却したことが想定されるとの説明を受けたが、予定価格を算定する際には廃材を廃棄することとしているのか。  廃棄処分を行うこととして算定している。
 落札率が低いのは実質的に競争が確保されているからと思われるが、解体工事が適切に行われているのかの確認はどのように行ったのか。  現場へ赴き確認を行ったが、適正に整備されており問題はないと考えている。
 廃材にアスベストはなかったのか。
 また、廃材を廃棄処分したことの確認はどのように行っているのか。
 廃材の中にアスベストはない。
 また、廃材の処分については、産業廃棄物処理業者が発行するマニュフェスト(証明書)により確認を行っている。
意見・質問 回答
【事案 2】
契約件名
:自動車用燃料油の購入(門司地区)
契約相手方
:コスモ石油販売株式会社
北九州支店
契約金額
:単価契約(ガソリン168円/リットルほか)
契約締結日
:平成20年9月26日
担当部局
:門司税関
 
 船舶や官用車の燃料油のように常時使用するものや価格変動が多いものについては、従来の入札制度の下においてどれだけの意味・効果があるのかという制度硬直化に基づく不利益が感じられる。  
 従来から入札により調達しているのか。  以前は随意契約により調達していたが、公共調達の適正化を図るため、平成20年度から競争入札に移行し、今回が2回目である。
 1回目も一者入札だったのか。  一者入札である。
 仕様書の場所的要件(納入場所)について、全ての条件を満たすとは、本関及び田野浦出張所それぞれの場所から4キロメートル未満ということか。  そのとおりである。
 仕様書の場所的要件を満たす給油所は、何箇所あるのか。  本関から4キロメートル以内に所在する給油所は9箇所ある。
 また、田野浦出張所から4キロメートル未満に所在する給油所は4箇所あるが、すべて本関から4キロメートル未満に所在している。
 本関から4キロメートル未満ではあるが、田野浦出張所から4キロメートル未満ではない5箇所は、入札から排除されるのか。  場所的要件を満たしていないため、入札に参加できないことになる。
意見・質問 回答
【事案 3】
契約件名
:平成20年度パソコン等の設定に関する業務
契約相手方
:株式会社富士通エフサス九州支社
契約金額
:15,708,000円
契約締結日
:平成20年9月1日
担当部局
:福岡国税局
 
 平成16年度調達パソコンの更新後の機種及び既存パソコンの機種は何か。  平成16年度調達パソコンの更新後のパソコンは東芝製であり、また、既存パソコンは主に富士通製である。
 その他のインストールが必要なソフトとは何か。 ウィルス対策ソフトや業務関係ソフトである。
 入札参加申し込みには5者が来ているが、全てが応札要件を具備している者か。  仕様書等の説明を受けた者が応札要件の確認や機能等証明書を提出することにより確認ができるため、5者全てが応札要件を具備しているかは把握できていない。
 本件業務は汎用的なものであり、一般競争入札を行っているものの、結果的に落札率が高く、一者入札となっている。
 実質的に競争が働いているのか。
 5者以外に、仕様書の配付には至っていない大手のメーカー系も入札説明を聞きに来ているが、応札要件を具備しているものの、結果として人員配置が困難と判断し辞退したと聞いている。
 応札要件の「大規模LAN・WANシステム(クライアント総数2,000台以上)の導入実績を有していること」は、入札参加資格の制限として大きな阻害的な効果はなかったと考えてよいか。  大きな阻害的効果はないと考えている。
 WAN運用支援を行っている富士通エフサスが、この調達案件において優位に立てることはないか。  他の業者が落札したとしても、インストール作業等において支障が生じるようなことはないので、富士通エフサスが優位に立つことはない。
意見・質問 回答
【事案 4】
契約件名
:普通財産の売払い等若しくは貸付け又は管理等に関する業務委託(佐賀地区)
契約相手方
:ミヤケン物流株式会社及び横田耕詞
契約金額
:単価契約(一売買契約報酬額[×(100%-5%)]但し、一契約の売払価額における告示報酬額[×(100%-5%)]が31,500円未満の場合は、一律31,500円ほか10件)
契約締結日
:平成20年7月1日
担当部局
:福岡財務支局
 
 当該業務委託を企画競争で募集した理由は何か。  土地境界確定については土地家屋調査士、土地等の売払い及び貸付については宅地建物等取引主任の資格がそれぞれ必要となる。
 また、相手方の能力、経験、事務処理体制や、国の関係法律の熟知度も考慮する必要があることから、企画競争により行ったものである。
 他方、価格面も重要であり、今回の企画競争においても、売払い、貸付、測量等の各業務の手数料について、予定価格を下回ることを選定条件としている。
 佐賀県内の業者が参加しなかった理由や応募者が1者となった経緯について説明願いたい。  今回の6月の公告に先立って、5月にも一度公告を行っている。
 その際、2者から照会があったが、佐賀の1者は他の業務を受注したため辞退し、福岡の1者も交通費等経費の負担を考慮し辞退してしまったため、再度公募するに至っている。
 予定価格の積算内容について説明願いたい。  積算方法は、測量は業者見積り、その他の業務は実処理時間を基準に算定している。
 処理件数は確定しているのか。
 また、測量件数が多いが1者で対応可能か。
 予定件数は、過去の実績を参考にして算定している。
 なお、処理件数の多寡により、契約者のみで対応できない場合は、国の承認を受け再委託を行えることになっている。
【委員会の審議結果】  
 委員会として審議・検討した結果を報告させていただく。 委員会として審議・検討した結果を報告させていただく。
 抽出した4事案については、適正な手続きに基づく入札が行われ契約がなされていることを確認した。
 また、一者入札や随意契約の方式があるが、その経緯も十分合理的であったと評価できる。
 なお、抽出事案全体として今後検討いただくとよいのではないかという点を2点述べさせていただく。
 1 予定価格に対して落札率が50%未満の事案が出てきていることから、より実態に合わせた合理的な算定の方法による予定価格の積算について検討していただきたい。
 2 業者見積りを参考として予定価格を算定する場合は適切な積算価格が重要となるが、特に入札の可能性のある業者からの情報を得ることについては慎重に行うなど、情報収集の方法についても検討していただきたい。
 
 事案1の長崎税関片渕分室解体工事については、予定価格と落札額の開きが大きいが、廃材等をリサイクル業者へ売却することが事前に分かっている場合は、売却収入を考慮して予定価格を算定すべきではなかったかなど、実態に即した算定について検討願いたい。
  また、廃材の処理については、その処理状況を確認することも地球環境保護の点から重要である。
 
 事案2の自動車燃料油の購入(門司地区)については、競争入札を行い透明性・競争性を高めようとしている点は評価できるが、一者入札になっているので、多くの業者が参加できる条件を考えることが重要である。
 その点からみると、「本関と出張所から4キロメートル未満に給油所があること」としているが、それぞれの官署から4キロメートル未満に同じ業者の給油所がなければならないというのは、参加条件の必要性を超えている可能性はないか。
 例えば、本関のみで入札すれば競争が成り立った可能性が認められることから、分割して調達する方法も検討していただきたい。
 次に、情勢に応じて価格変更を行っていることは評価できるが、実勢価格に合わせた変更契約により無駄な支出がないよう、さらに効果的な運用を図っていただきたい。
 
 事案3の平成20年度パソコン等の設定に関する業務については、一者入札となっており、最も制約的な入札要件は「人員確保」と思われるが、各地域ごとに入札するなど、より競争性が働くような方策を検討していただきたい。
 また、導入済みの各種システムを構築した業者が今回のような設定作業等を落札するケースが多く見られるが、WANシステムを構築した業者やその関連会社を設定業務等の入札から排除することはできないのかといった点についても検討いただきたい。
 
 事案4の普通財産の売払い等若しくは貸付け又は管理等に関する業務委託(佐賀地区)については、企画競争入札により、より良いサービスを求める点は評価できるものの、結果として一者入札となっており、企画の優劣を争う機会がない状況になっている。
 地元の業者も入札に参加していないことから、採算性のある業務であることを知らしめるなど、入札参加者が参加しやすいような方策を検討いただきたい。