別紙

1 事前照会の趣旨

当組合は、宗像市及び福津市を構成団体とし、両市の水道事業及び消防事業等を共同処理する地方自治法上の一部事務組合です。
 当組合は、行財政改革の一環として、事務組合職員を採用せず、構成団体である宗像市及び福津市からの派遣職員と外部委託により運営を行うことを基本方針としていますが、これまで、個別に外部委託していた水道事業業務について、一体的に管理業務を行うことにより水道料金の抑制と安全・安心な水の安定供給を持続するため、現在、北九州市上下水道局への委託(以下「当包括業務委託」といいます。)に向け準備を進めており、その手法として、地方自治法第252条の16の2に規定する「事務の代替執行」によることを予定しています。
 水道事業業務については、特別会計を設置し経理していますが、事務の代替執行により、当組合が支出する委託料(以下「本件委託料」といいます。)については、当該支出が、権限配分に伴う税財源の移転の性格を有するものではないことから、消費税法上、資産の譲渡等の対価に該当するものと取り扱ってよいか照会します。

2 事前照会に係る取引等の事実関係

(1) 当包括業務委託手法

当組合が北九州市上下水道局に事務の管理・執行を委託する方法は、地方自治法第252条の16の2に規定する事務の代替執行を前提とします。

(2) 当包括業務委託に含まれる主な業務

  • イ 給水に関する事務
  • ロ 水道料金、手数料等の徴収に関する事務
  • ハ 水道施設の建設改良工事に関する事務

(3) 当包括業務委託後も当組合で行う業務

  • イ 議会・監査・情報公開事務
  • ロ 予算・決算の決定事務
  • ハ 水道料金の決定事務
  • ニ 指名・入札・契約業務

(4) 当包括業務委託に係る費用の算定及び負担

当包括業務委託に係る費用は、当組合長と北九州市上下水道局長が協議して定め、当組合が負担金と経理することにより負担します。

(5) 事務の代替執行制度の概要

イ 根拠法令

地方自治法第252条の16の2から同法第252条の16の4まで

ロ 制度の概要

平成26年の地方自治法の改正により創設され、普通地方公共団体の事務の一部の管理執行を、当該普通地方公共団体の名において、他の普通地方公共団体に行わせる制度です。
 普通地方公共団体が、他の普通地方公共団体に当該事務を代替執行させることにより、事務を任せた普通地方公共団体が自ら当該事務を管理執行した場合と同様の効果が生じます。当該事務についての法令上の責任は事務を任せた普通地方公共団体に帰属したままで、当該事務を管理執行する権限の移動も伴いません。

ハ 財源

代替執行事務に要する経費は、すべて、事務を任せた普通地方公共団体が事務の代替執行をする普通地方公共団体に対する負担金として予算に計上し、負担すべきその経費の支弁の方法は規約の中で定めます。

ニ 一部事務組合に対する準用規定

当組合は、地方自治法上、一部事務組合に該当しますが、同法第292条の規定により普通地方公共団体に関する規定が準用されるため、当組合も、事務の代替執行制度について同法第252条の16の2から第252条16の4までの規定が適用されます。

3 事前照会者の求める見解となることの理由

(1) 法令の規定等

イ 消費税の課税の対象

消費税法では、国内において事業者が行った資産の譲渡等を課税の対象としています(消法4@)。また、資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供とされています(消法21八)。

ロ 国又は地方公共団体の消費税法上の事業単位

消費税法では、国又は地方公共団体が、一般会計に係る業務として行う事業又は特別会計を設けて行う事業については、その一般会計又は特別会計ごとに一の法人が行う事業とみなして、同法を適用することとされています(消法601)。

ハ 一部事務組合における消費税の課税関係

一部事務組合は、二以上の地方公共団体がその事務の一部を共同して処理するために設ける特別地方公共団体で、地方自治法において、普通地方公共団体に関する規定が準用され(地方自治法292)、会計の区分の規定(地方自治法209)についても準用されます。
 したがって、一部事務組合の場合、会計については普通地方公共団体と同様と考えるべきものであり、消費税法の適用についても、基本的には普通地方公共団体と同様に解するものと考えられます。

(2) 地方公共団体が支払う委託料についての取扱い

地方公共団体は、一般的には、その事務・事業について、他者に委託して行うことができます。この委託については、私法上の委託のほか、地方自治法に基づく、公の施設の管理運営の委託(地方自治法244の23)や事務の委託(地方自治法252の14)のような公法上の委託があります。
 このうち、清掃業務を委託するような私法上の委託に対して支出される委託料は、消費税法上の「資産の譲渡等の対価」に他ならず、消費税の課税の対象となります。
 公法上の委託に対して支出される委託料も、原則として「資産の譲渡等の対価」に該当するものと考えられますが、委託した団体が、委託の範囲内において事務を管理執行する権限を失うとともに、受託した団体が、委託した団体の区域内において、自らの名により、自らの事務として管理執行を行う場合のように、委託料が権限配分に伴う税財源の移転の性質を有するものに該当する場合には、消費税法上の「資産の譲渡等の対価」には該当しないものと考えられます。

(3) 当てはめ

イ 消費税申告の単位

当組合は、一部事務組合ですが、水道事業業務について、特別会計を設置し経理していますので、当該特別会計を一の単位として、消費税の申告を行う必要があります。

ロ 本件委託料の取扱い

当包括業務委託は、地方自治法第252条の16の2に規定する「事務の代替執行」によることを予定しています。
 この場合、委託する水道事業業務については、当組合の名において、北九州市上下水道局に行わせることとなり、事務を任せた当組合が自ら当該事務を管理執行した場合と同様の効果が生じます。また、当該事務についての法令上の責任は事務を任せた当組合に帰属したままであり、当該事務を管理執行する権限の移動もありません。
 したがって、本件委託料については、権限配分に伴う税財源の移転の性格を有するものではないことから、消費税法上、資産の譲渡等の対価に該当するものとして取り扱うことが相当であると考えられます。