4 各国税務当局との協力

(1)開発途上国に対する技術協力

〜 アジア諸国を中心とした開発途上国への技術協力 〜

 国税庁では、政府開発援助(ODA)の技術協力の枠組みなどの下、開発途上国の税務行政の改善、日本の税務行政に対する理解者の育成などを目的に、アジア諸国を中心として、開発途上国に対する技術協力に積極的に取り組んでいます。
 令和3(2021)年度は、前年から引き続き新型コロナウイルス感染症の影響で外国からの研修員の受入れや海外への講師派遣が困難であったことから、オンラインを活用するなどして、できる限り多くの研修を実施できるよう努めました。

技術協力の概要

1 開発途上国への職員派遣

 開発途上国の税務当局からの要望を受けて、現地で開催される研修に職員を講師として派遣しています。令和3(2021)年度は、ベトナムなどに対してオンラインで講義などを行いました。
 また、開発途上国の税務行政に対して継続的なアドバイスを提供することを目的として、JICAの「長期専門家」としても職員を派遣しています。令和3(2021)年度は、インドネシア、フィリピン、ベトナム、ラオスで職員が活動しました。

2 国内での受入研修の実施

(1) 国際税務行政(ISTAX) 複数の開発途上国の税務職員を対象とした研修であり、日本の税制・税務行政全般について講義などを行っています。この研修には、中堅職員を対象とした一般と幹部職員を対象とした上級があります

(2) 国別研修 1か国の開発途上国の税務職員を対象とした研修であり、その国からの要望に沿った講義などを行っています。

(3) アジア国際課税 アジア諸国の税務職員を対象とした研修であり、「国際課税」に関する講義を中心に行っています。

(4) 国税庁実務研修 世界銀行などの奨学金制度を利用し、日本の大学院(修士課程)に留学している開発途上国の税務職員を対象とした研修であり、日本の税制・税務行政全般に関する講義などを行っています。令和3(2021)年度は、慶應義塾大学及び政策研究大学院大学の各大学院に在籍している留学生9名が参加しました。

受入研修の実施状況(単位:国、人)
  平成29年度 平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度
国際税務行政
(ISTAX)(一般)
国数 15 14 16 - 14
人数 15 14 16 - 14
国際税務行政
(ISTAX)(上級)
国数 9 9 11 - 10
人数 9 9 11 - 10
国別研修 国数 4 6 3 1 2
人数 79 86 32 15 136
アジア国際課税 国数 6 5 7 - 6
人数 12 7 7 - 11
国税庁実務研修 国数 11 11 12 7 8
人数 15 17 15 9 9

(2)その他の技術支援

〜 OECDアジア太平洋租税・金融犯罪調査アカデミー 〜

 OECDアジア太平洋租税・金融犯罪調査アカデミーは、国税庁がOECDと連携して開催している、アジア・太平洋地域の租税犯罪調査官等を対象にした租税犯罪やマネーロンダリングなどの捜査手法、各国間の国際協力などに関する研修です。令和元(2019)年5月の税務大学校和光校舎での開講以降、令和3(2021)年度末までにオンライン形式での開催を含め、計9回研修を開催しました。

(3)税務行政が直面する問題解決に向けた各国間の協力

 各国税務当局間での協力や経験の共有を図るため、国税庁では、OECD税務長官会議、アジア税務長官会合などの国際会議に積極的に参加しています。

イ OECD税務長官会議

 OECD税務長官会議は、OECD加盟38か国及び非加盟14の国と地域(令和4(2022)年5月現在)の税務当局の長官クラスが参加し、税務行政の幅広い分野にわたって各国の知見・経験の共有等を行う場です。令和3(2021)年12月には、第14回会合がオンライン形式で開催され、国際課税ルールに関する新たな合意の実施に向けた執行上の課題や新型コロナウイルス感染拡大後の各国税務当局の対応等について意見交換が行われました。

ロ アジア税務長官会合

 アジア税務長官会合は、アジア太平洋地域における18か国・地域の税務当局の長官クラスが参加し、域内の協力と知見の共有を図るための議論を行う場です。
 令和3(2021)年11月には、第50回会合が国税庁ホストでオンライン形式により開催され、税務行政のデジタル化への取組や徴収共助に関する取組等について意見交換が行われました。