東日本大震災は、平成23年3月11日(金)14時46分頃、所得税等の確定申告期限の直前ということで、多数の納税者が確定申告会場に来署している中で発生しました。仙台国税局大船渡署の1階が津波により水没したほか、多数の局署の庁舎で内外壁の亀裂・剥落、天井パネルの落下、書棚等の転倒、窓ガラス破損等の被害が生じました。
これにより、震災直後の3月14日は、仙台及び関東信越国税局管内の10署が業務を休止し、34署が窓口事務しか行えない状況となりましたが、4月18日には、庁舎が使用できない大船渡署及び須賀川署を除き、全ての署で通常業務を再開しました(現在、大船渡署及び須賀川署は仮庁舎で業務を継続)。
また、福島原子力発電所事故の影響により、3月14日から28日までの間、関東信越、東京及び名古屋国税局管内の延べ150署で計画停電が実施され、KSKシステム等が利用できず、納税証明書の発行など一部の業務に影響が生じました。
平成23年3月12日に、青森県、岩手県、宮城県、福島県及び茨城県の国税に関する申告・納付等の期限を延長(地域指定)する旨を公表しました(3月15日告示)。
なお、これらの地域については、被災後の状況などを踏まえ、段階的に延長期限の期日を指定し、青森県及び茨城県については7月29日、岩手県、宮城県及び福島県の内陸部等約8割の市町村については9月30日、岩手県及び宮城県の沿岸部の一部の市町村については12月15日、宮城県の石巻市、東松島市及び女川町については平成24年4月2日を期日として指定しました。
また、今般の震災により、延長期限の期日までに申告・納付等の手続が困難な納税者については、個別に期限の延長が認められることから(個別指定)、当該期日や個別指定について周知・広報し、納税者からの相談に適切に対応することとしました。
災害に関する税務上の取扱い等について、震災発生後速やかに、パンフレットやホームページ等を通じて周知・広報を行いました。
平成23年3月22日以降、東日本大震災により被災した納税者等が全国の避難所等に避難している状況を踏まえ、税に関する相談、還付金の支払に関する問い合わせ及び納税証明書の交付等について、避難所等の最寄りの税務署で対応できる体制の整備を図りました。
平成23年4月27日、東日本大震災の被災者等の負担の軽減等を図るため「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」(震災特例法)が成立し、被害を受けた住宅や家財等につき、平成22年分所得税について雑損控除等の適用が可能となる措置などが創設されました。
これに伴い、被災地域を管轄する税務署を中心として多数の申告・納税相談、更正の請求や還付申告書の提出が見込まれたことから、
などの取組を行いました。
今回の震災により住宅や家財等に被害を受けた方は、津波等の被害が甚大な岩手・宮城・福島各県を中心に多数存在し、これらの方は、震災特例法に基づき、平成22年分の所得税について、雑損控除等の適用により所得税の還付等を受けることができることとされました。このため、これらの地域を管轄する仙台国税局では、平成23年11月末までを集中対応期間と位置づけ、記者発表などによる積極的な広報や、個別相談の案内などを行うことにより、被災した方が早期に所得税の還付等を受けることができるように取り組みました。
相続税及び贈与税における土地等の評価は、相続等又は贈与の時における時価によることとされていますが、震災特例法により、平成23年3月10日以前に相続等又は贈与により取得した指定地域内の土地等に係る相続税・贈与税で、同月11日以後に申告期限が到来するものについては、震災による地価下落を反映させるため、相続等又は贈与の時における時価によらず、「震災の発生直後の価額」によることができることとされました。
「震災の発生直後の価額」の算定に当たっては、震災による地価下落の状況を反映した「調整率」を一定の地域ごとに定め、これを平成23年分の路線価等に乗ずる方法により、「震災の発生直後の価額」を評価できることとしており、この「調整率」については、平成23年11月1日に公開しました。
震災の発生直後の価額=路線価等(H23.1.1時点の価額)×調整率
(注) 指定地域は、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県の全域、並びに、埼玉県加須市(旧北川辺町及び旧大利根町の区域)、埼玉県久喜市、新潟県十日町市、新潟県中魚沼郡津南町及び長野県下水内郡栄村。
仙台国税局については、多数の申告・納税相談、更正の請求や還付申告書の提出等に対応するため、平成23年4月25日以降、被災地域を管轄する税務署に対して、管内の他の税務署や国税局からの応援派遣(延べ約22,400人)、東京及び関東信越国税局等からの応援派遣(延べ約1,400人)を行うことにより、必要な要員を確保しました(平成23年12月末日現在)。
平成23年3月19日以降、仙台国税局において、2の県庁及び29の市役所等に対し、延べ約6,400人の職員を派遣し、り災証明書の発行業務等の支援を行いました。
平成23年分確定申告期においては、被害が甚大であった仙台国税局の確定申告期における納税者の方々への対応に万全を期するため、被災地域を管轄する税務署(19署)に対して、管内の他の税務署や国税局からの応援派遣(延べ約7,000人)を行ったほか、国税局の垣根を越えて、
国内全ての酒類製造者に対して放射能汚染防止のための技術情報を提供するとともに、酒類製造場内にある出荷前の酒類及び醸造用水について、放射性物質に関する調査を実施しました。
輸出先からの求めに応じて、輸出される酒類に係る証明書(製造日証明、製造地証明、放射能の検査証明)を発行するとともに、輸入規制をしている国・地域に対して、外務省を通じて規制の緩和等の働きかけを行いました。
被災した酒類製造場等に係る免許等の手続や被災酒類に係る酒税相当額の還付手続等について、弾力的に取扱うこととしました。
酒類製造場が甚大な被害を受けた中小酒類製造者に対して、酒税が軽減される措置が設けられました。これに伴い、適用対象となる損害の範囲など、具体的な要件の判定方法等の取扱いについて定め、酒類業者に対して周知を図りました。
中小酒類業者が活用可能な各種中小企業施策(中小企業等復旧・復興支援補助、東日本大震災復興特別貸付等)に関する情報提供をきめ細かく実施するとともに、各種中小企業施策の活用に関する相談に対し、関係行政機関と協調して適切に対応するほか、酒類業に携わる方々の復興に資する研修会を実施しました。
平成23年4月27日に、東日本大震災の被災者等の負担の軽減等を図るため、震災特例法が施行されました。
また、平成23年12月14日には、東日本大震災の被災者等の負担の軽減及び東日本大震災からの復興に向けた取組の推進を図るため、震災特例法の一部を改正する法律が施行されました。
この震災特例法及び震災特例法の一部を改正する法律において、東日本大震災により被災された方などに適用される主な税制上の措置については以下のとおりです。
所得税 | 東日本大震災により住宅や家財に損害を受けた方は、所得税法に定める雑損控除の方法、災害減免法に定める税金の軽減免除による方法について、平成22年分又は平成23年分のいずれかの年分を選択して、これらの軽減等の措置を受けることができます。 |
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棚卸資産・事業用資産等について東日本大震災により生じた損失については、その損失額を平成22年分の事業所得の金額等の計算上、必要経費に算入できます。 | |
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法人税 | 平成23年12月26日から平成28年3月31日までの間に認定地方公共団体の指定を受けた法人で、復興産業集積区域内に新設されたものについては、指定のあった日から同日以後5年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度において法人税の課税が繰り延べられるよう、次の特例を受けることができます。
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自動車重量税 | 東日本大震災により自動車検査証の有効期間内に被害を受けて廃車となった被災した自動車・二輪車等の所有者の方は、運輸支局又は軽自動車検査協会において自動車・二輪車等の永久抹消登録又は滅失・解体の届出の手続を行い、自動車重量税に係る還付申請書を提出することにより、自動車重量税の還付を受けることができます。 |
被災した自動車・二輪車等の使用者であった方が、平成26年4月30日までの間に、買換車両を取得して自動車検査証の交付等を受ける場合には、運輸支局又は軽自動車検査協会に自動車重量税に係る免税届出書を提出することにより、最初に受ける自動車検査証の交付等に係る自動車重量税が免除されます。 | |
印紙税等 | 地方公共団体又は政府系金融機関等が、東日本大震災により被害を受けた方に対して、他の金銭の貸付けの条件に比し特別に有利な条件で行う金銭の貸付けに係る「消費貸借に関する契約書」について、印紙税が非課税となります。 |
東日本大震災により滅失し、又は損壊したため取り壊した建物及び警戒区域設定指示等が行われた日においてその警戒区域設定指示等の対象区域内に所在していた建物の代替建物を取得する場合等において、その被災された方が作成する「不動産の譲渡に関する契約書」及び「建設工事の請負に関する契約書」についての印紙税が非課税となります。また、その所有権の移転登記等に係る登録免許税が免除されます。 |
※ その他の措置及び詳細については、国税庁ホームページhttp://www.nta.go.jp/index.htmをご覧いただくか、最寄りの税務署にお尋ねください。