所得税の申告者数は2,185万人。半数以上は還付申告

 確定申告は、申告納税制度の下、納税者が一年間の所得と税額を計算し、申告納税を行う手続です。申告義務がある方のほか、高額な医療費の支払があったことなどにより、申告により所得税が還付となる方などが確定申告を行っています。平成23年分の所得税の確定申告を行った申告者数は2,185万人に上り、国民の5人に1人が確定申告を行っていることになります。そのうち、還付申告者数は、1,279万人を超え、所得税の確定申告者数の半数以上を占めています。
 国税庁では、確定申告を行う多くの納税者の多様なニーズに対応し、申告に伴う負担を軽減して、簡単・便利に申告を行っていただくことができるよう、様々なサービスの提供に努めています。

個人申告者数の推移のグラフ

(1) ICTを利用した申告の推進

e-Taxと確定申告書等作成コーナーの提供

 国税庁では、近年のICT化の進展を納税者サービスにも積極的に活用し、自宅などからのICTを利用した申告の推進に取り組んでいます。国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」やe-TaxといったICTを利用することにより、納税者は税務署に出向くことなく、いつでも計算誤りのない申告を便利に行うことができます。
 このため、より多くの納税者にICTを利用した申告をしていただけるよう、広報や説明会などの各種施策を実施しています。また、税務署の相談会場においても、「確定申告書等作成コーナー」が利用できるパソコンを配備し、申告相談に来られた納税者にもパソコンを使って申告書の作成・e-Tax送信をしていただくことにより、ICTを利用した申告の利便性を実感していただいています。

ICTを利用した所得税申告書の提出人員のグラフ

「確定申告書等作成コーナー」で作成された所得税申告書の提出人員は790万件

 国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」では、パソコンの画面上の案内に従って金額等を入力すると、所得金額や税額が自動計算され、所得税、個人の消費税、贈与税の申告書や青色申告決算書などを作成することができます。
 また、作成したデータはそのまま当コーナーからe-Taxを利用して送信することができる(贈与税を除きます。)ほか、印刷して税務署に郵送等で提出することができます。
 平成14年分の確定申告期に導入して以来、利用者数は年々増加しており、平成23年分の確定申告期においては、「確定申告書等作成コーナー」で作成された所得税の申告書の提出人員は、相談会場に設置されたパソコンを通して作成されたものを含めて790万件と、全提出人員の36%以上を占めています。このうちの約64%程度がe-Taxにより提出されているところです。
 このコーナーが更に使いやすいものとなるよう、引き続き、利用者からの要望に基づいた改善を行い、より多くの納税者に利用していただけるようにしていきます。

確定申告書等作成コーナーで作成された所得税の申告書の提出人員の推移のグラフ

(2) 多様な納税者ニーズへの対応

確定申告期間中における日曜開庁の実施

 国税庁では、「申告相談が平日だけの対応では困る、閉庁日にも対応してほしい」という納税者からの声を受けて、確定申告期間中の日曜日に2回、一部の税務署を対象として税務署内や署外の合同会場において申告書の受付や申告相談などを実施しています。
 平成23年分の確定申告期においては、平成24年2月19日と26日に実施し、26万1,000件の所得税の確定申告書の提出がありました。
 また、税務署に出向かずに必要な情報や各種様式を入手できるよう、国税庁ホームページなどで確定申告に関する様々な情報を提供しているほか、確定申告に関する各種説明会や小規模な事業者を対象として税理士による無料相談会を実施するなど、多様な納税者ニーズに対応しつつ、限られた定員の中で確定申告事務全体を円滑かつ効率的に実施することとしています。

地方税当局との協力

 地方税の中には、対象となる納税者や税の仕組みが国税と共通しているものがありますので、納税者の申告手続の簡略化を図るために、制度面や執行面において、国税(当局)と地方税(当局)との間で緊密な連携を図っています。例えば、所得税の申告をした場合、税務署から地方税当局にその情報を提供することとなっているので、地方税である個人事業税や個人住民税の申告は必要ありません。
 また、平成23年1月から、国及び地方を通じた税務事務の一層の効率化を図るため、所得税申告書等の地方団体へのデータ提供を開始するなど、ICTを推進することにより、国及び地方団体の行政事務の効率化とコスト削減に努めています。