平成19年分の所得税の確定申告を行った申告者数は2,362万人であり、国民の5人に1人が確定申告を行っていることになります。特に、還付申告者数は、1,200万人を超え、確定申告の半数以上を占めています。
 国税庁は、所得税の申告者数の増加、多様化に対応して、納税者の満足度を高めるため、申告に関連するコストをできるだけ小さくするとともに、従来にない良質なサービスを提供するように工夫しています。

(1) 自書申告の推進

 自書申告とは、納税者が自ら申告書を作成して、税務署に提出していただくことです。申告納税制度の原則からいっても、納税者が税の仕組みを理解し、自ら申告書を作成することは非常に重要であり、確定申告期に申告相談会場などに来られる納税者に対しても、自書申告をお願いしています。自書申告を一層定着させるため、平成13年分の確定申告から申告書の様式を全面的に改訂し、記載事項を簡素化しました。
 今後も、多数の確定申告書の提出が見込まれていますが、より多くの納税者が自発的かつ適正に確定申告を行えるよう、前述のe-Taxや国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」など、ITを活用した施策を積極的に行うこととしています。また、申告相談の必要な納税者には、利便性の高い環境を設けて満足度を高めていただけるようにするとともに、限られた定員で申告事務を効率的に処理することとしています。
個人申告件数の推移のグラフ

(2) 閉庁日における申告相談などの実施

 「申告相談が平日だけの対応では困る、閉庁日にも対応してほしい」という納税者からの声を受けて、平成15年分の確定申告期から、確定申告期間中の日曜日に2回、確定申告の相談などを実施しています。
 平成19年分の確定申告期においては、前年の実績を踏まえつつ、複数の税務署が合同で署外に会場を設置するなどの見直しを行い、平成20年2月24日と3月2日に、228の税務署を対象として税務署内や署外の合同会場などにおいて申告相談などを行いました。
 今回の2日間についてのアンケートの結果、サラリーマンを中心に医療費控除、住宅ローン控除などの相談が多く、利用された納税者からは高い評価を受けています。
 今後の対応については、これまでの実績を十分検討して、平成20年分の確定申告期までに公表することとしています。

[参考]還付申告・更正の請求

 源泉徴収された税金や予定納税をした税金が年間の所得について計算した税金の額より多いときには、還付申告をすることによって、納め過ぎた税金が戻ってきます1
 また、計算に誤りがあったために納税額を過大に申告した場合など、既に行った申告について、納税額が多過ぎた場合や還付金額が少なかった場合には、更正の請求2をすることができます。
 国税庁では還付申告や更正の請求に対し、関係法令に基づき、適正かつ迅速な処理を図っています。

[参考]災害などにあった場合

  1. (1) 災害などの理由により申告、納付などをその期限までにできないときは、所轄の税務署長に期限の延長を申請し、その承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限が延長されます。
  2. (2) 地震、火災、風水害などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告で丸1 「所得税法」に定める雑損控除の方法、丸2「災害減免法」に定める税金の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部を軽減することができます。
  3. (3) 災害などにより、財産に相当の損失を受けた場合や国税を一時に納付することが困難となった場合には、税務署長に申請し、その許可を得ることにより、納税の猶予を受けることができます。

[地方税当局との協力]

 地方税の中には、対象となる納税者や税の仕組みが国税と共通しているものがありますので、納税者の申告手続の簡略化を図るために、制度面や執行面において、国税(当局)と地方税(当局)との間で緊密な連携を図っています。例えば、制度面では、所得税の申告をした納税者は、地方税である個人事業税や個人住民税の申告をしなくても済みます。また、消費税と地方消費税の申告なども同一の手続で行うことができます。執行面では、多くの市区町村で所得税の申告の相談などを行っています。このほか、国税当局と地方税当局が共同して、申告説明会の開催や税務広報を実施しています。こうした執行面の相互協力は、国税当局と都道府県・市区町村の各地方税当局との協議に基づいて実施しています。


  1. 1 一定の要件に該当する場合には、還付加算金が加算されます。
  2. 2 更正の請求は、定められた期間内に、誤りの内容などを記載した更正の請求書を税務署に提出することにより行います。