納税者に、自発的かつ適正に申告・納税していただくためには、あらゆる機会を通じて、納税の義務を理解していただくことが何よりも重要です。また、税に関する情報を提供したり、税に関する疑問に回答することも大切です。
このため、「納税者が知りたい情報をいつでも必要な時に税務署に行かなくても入手できること」、「広報の内容が納税者の視点に立った分かりやすい表現であること」、「納税者の意見を広く求め、事務運営の改善に反映させていくこと」といった基本的な考え方に基づいて、広報などを実施しています。
具体的な広報活動としては、国税庁ホームページ(平成19年度アクセス件数109,779千件)を中心に、テレビ、新聞などのマスメディア、税務署や市区町村に用意したパンフレットなどの各種広報媒体や各種の説明会を通じて、税の意義や役割、税の仕組みなどのさまざまな情報を提供しています。
また、国税庁では、税に関する一般的な質問・相談について、電話などで回答するほか、一般的な税法の解釈・取扱いについても情報提供しています。
国税庁ホームページでは、身近な税の情報や当庁の業務内容、統計情報、記者発表資料、納税者に役立つ法令解釈通達や質疑応答事例などの情報を提供するほか、申告書などの様式をダウンロードできるようにしています。また、国税庁ホームページは、情報を提供するだけでなく、「e-Tax」や「確定申告書等作成コーナー」といったITを活用した納税者サービスの窓口としての機能も有しています。
そのため、誰もが容易に利用できるよう、検索機能や案内機能の向上を図るとともに、文字拡大・音声読み上げ機能など視覚に障害がある方や高齢者の方の利便性にも配意しています。
国税庁ホームページにより提供されている情報は、以下のようなものがあります。
国税庁では、次代を担う児童・生徒が、民主主義の根幹である租税の意義や役割を正しく理解し、社会の構成員として税金を納め、その使い道に関心を持ち、さらには納税者として社会や国の在り方を主体的に考えるという自覚を育てることを目的に、租税教育の充実に向けて、支援を行っています。
租税教育は、社会全体として取り組むべきものとの考えの下、学校教育の場においては、各都道府県に設置した、国、地方公共団体、教育関係者などからなる租税教育推進協議会を中心に、広く関係民間団体の協力を得て、租税教室の開催や租税教育用副教材の作成・配付、作文募集などを行っています。
また、児童・生徒が自ら税に関する課題を見つけ、学び、考え、主体的に判断し、問題を解決する資質や能力を育てる場として、東京上野税務署内に租税教育専用の施設「タックス☆スペースUENO」を設置しています。税務署見学や税の学習を希望する全国の児童・生徒をはじめ、大学生・社会人など多くの方々にご利用いただいております。
税務大学校和光校舎にある租税史料室では、日本の税に関する歴史的資料を網羅した唯一の専門施設として、数多くの貴重な所蔵史料を広く一般の方々に公開しています。
また、専門のスタッフが収集した史料の歴史的考察や、租税制度の研究も行っており、租税史研究に携わる専門家のみならず、中高生から社会人まで幅広い方々にご利用いただいております。
なお、所蔵史料の解説など、詳しくは、国税庁ホームページ税務大学校コーナーhttp://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/index.htmをご覧ください。
国税庁は、税に関する手続や税制改正の内容などについて、納税者に理解を深めていただくため、全国の税務署において説明会を開催しています。
具体的には、確定申告を行う納税者が申告書や決算書を作成するための説明会、源泉徴収義務者を対象とした年末調整説明会、改正税法に関する説明会、新設法人のための説明会など、税に関する情報提供を行うためのさまざまな説明会を開催しています。
各種説明会 | |
---|---|
開催回数(回) | 17,991 |
参加人員(千人) | 939 |
国税庁は、納税者の税に関する疑問・相談に答えるため、税務全般について経験豊かな税務相談官などを全国の税務相談室に配置して、電話などにより、一般的な税務相談に対応しています。また、東京、名古屋、大阪の各国税局の税務相談室には、外国人のための英語による税務相談窓口を設けています。
一方、これまで税務相談室や税務署がそれぞれ個別に対応していた電話相談について、原則として税目別の相談体制をとることにより、均一で、質の高い、迅速な回答をすることができるものと考えられることから、納税者の利便性のさらなる向上を図るため、国税局(国税事務所)ごとに設置する電話相談センターで集中的に受け付ける取組を進めています。
電話相談センターは、平成19年までに全国税局(国税事務所)に設置されました。平成19年において、電話相談の集中受理は、全国524署のうち284署を対象としており、平成20年には全署に拡大することとしています。
なお、電話では対応が難しい複雑で個別の事実確認が必要な税務相談などについては、所轄税務署で予約を受けた上で面接することとして、よりスムーズな対応に努めています。
国税庁は、法令解釈通達の公表や税務相談室における税務相談などを通じて、一般的な税法の解釈・取扱いについての情報を提供しています。
また、納税者が実際に行う取引などについての税法の適用が不明な場合は、税務署などで事前照会に応じています。このうち、文書による回答を求める旨の申出があったときには、同様の取引についての税法上の取扱いが明らかになっていないなど一定の要件を満たす場合に、文書による回答を行っています。さらに、他の納税者にも役立つよう、その照会、回答の内容などを国税庁ホームページで公表しています。平成19年度の文書による回答を求める照会件数は、60件となっています。
なお、文書回答手続の対象となる取引について、従来「実際に行われた又は確実に行われる取引」としていましたが、納税者の将来の取引について、税法の適用をあらかじめ明らかにするため、平成20年4月から「実際に行われた取引又は将来行う予定の取引で個別具体的な資料の提出が可能なもの」としました。併せて、照会者名などの照会者を特定する情報を原則非公表とするなど、納税者が利用しやすいように手続などを改正しました。
窓口事務をはじめ、税務署の部署別に行っている内部事務について、部署や税目といった垣根を取り払い、同種の事務を統合して一つの部署で一体的に処理する「内部事務の一元化」という施策に取り組んでいるところです。
現在、全国の税務署のうち61署において試行を実施しており、平成21年夏頃には、すべての税務署で実施することを目指しています。
例えば、現在、多くの税務署において納税者が納税証明を請求されるときには、その種類(その1〜その4)に応じ、個人課税部門、法人課税部門、管理・徴収部門などの各部門に請求書を提出していただいていますが、内部事務の一元化により、これらの請求が一つの窓口で行えるようになります。
また、納税証明書の請求のほか、申告書、申請書などの受付、税金の納付、税に関する一般的な相談については、一つの窓口で対応することとなりますので、納税者から見ても利便性が高まるものと期待しています。