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- V 国際化時代の税務行政
1 共通の課税ルールの整備
近年、国際取引が増加し、またIT化などにより新たな取引形態が拡大する中で、各国の課税ルールが異なることがあります。例えば、税務行政が二重課税リスクを十分に排除できなければ、円滑な取引を妨げ、ひいては国際取引を行う納税者のコンプライアンスの維持が困難になることもあります。そこで、国税庁では、各国の税務当局とともに国際取引に関する税務上の課題に関する議論への参加や共通の課税ルールの作成等に積極的に取り組んでいます。
●共通の課税ルールの整備
OECDモデル租税条約の見直し等
OECD(経済協力開発機構)租税委員会では、国際的な投資促進、二重課税の防止等のため、従来から租税条約の雛型としてモデル条約を作成し、解釈基準の公表や新しい国際的な課税問題に関するルールの策定等を行っており、世界経済の発展に応じて随時見直しを行ってきています。
外国法人の支店等への課税ルールの検討
外国法人の支店等(恒久的施設)を通じて得た所得への課税の在り方については各国の考えが異なり、二重課税や課税の空白が発生するリスクがあります。そこで、OECD租税委員会では、恒久的施設を外国の親会社(本店)とは分離独立した一つの法人と擬制し、恒久的施設と本店との内部取引に対して、(法的に独立した関連企業間に適用される)OECD移転価格ガイドラインをどこまで類推適用することが可能かについて検討しています。
国際的な税の紛争解決手続の改善
国際取引や投資の増加に伴い、国際的な税に関する紛争が生じる可能性も高まります。これを解決しない場合、二重課税が発生して、結果として国際的な財やサービスの円滑な取引を妨げることになります。そこで、OECD租税委員会では、租税条約下の国際的な税の紛争解決手続を改善するため、相互協議手続の実効性の向上や補完的紛争解決手続について検討が行われています。平成18年3月には、東京において、民間の
代表や各国の税務当局が一同に集い、コンサルテーションが開催されました。
有害な租税競争の排除
各国が外国資本を自国に誘致するために、金融・サービス産業などに対する税の過度の引下げ(税制上の優遇措置)を行うと、結果として労働、資産、消費に対する課税が相対的に重くなり、各国の財政基盤に悪影響を及ぼし、また、企業の投資行動にも歪みを生じることになります。そこで、OECD租税委員会は、このような行き過ぎた税の引下げ競争を行っている国・地域のリストを作成・公表することにより、その是正を図る努力を行っています。
税務行政に関する他国の税務当局との経験の共有
納税者サービスや納税コンプライアンスにおける各国の経験を共有化し、それぞれの国の執行の改善に資するべく、OECD租税委員会では、電子申告・電子納税をはじめとするインターネットの活用、コンプライアンスの測定・評価や税務調査におけるITの活用などのさまざまな課題について検討を行っています。そのほかに、国税庁では二国間・多国間の枠組みの中で、執行当局同士の有効な施策の検討を行っています。
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