(5)税理士の役割

 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって納税義務者の信頼に応え、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図るという公共的使命を負っています(税理士法第1条)。
 このため、税理士の業務である1税務代理、2税務書類の作成、3税務相談(税理士法第2条)は、たとえ無償であっても税理士でない者は行ってはならない(税理士法第52条)こととされ、いわゆる無償独占業務とされています。
 申告者数が大幅に増加する等の中で、申告納税制度を適正かつ円滑に運営していくためには、納税義務の適正な実現を図るという税理士の役割はますます重要となってきており、期待も高まっています。そのため、新書面添付制度の推進に努めるなど、公共的使命を果たされている税理士に対しては、国税庁としても十分に尊重することにしています。他方、税理士法に違反する者に対しては厳正に対処することにしています。

●書面添付制度の推進

平成13年(2001年)5月の税理士法改正(平成14年(2002年)4月1日施行)により、税理士からの意見聴取制度が拡充され、新書面添付制度(税理士法第33条の2)が導入されました。この制度は、税理士が申告書の作成に関し、計算し、整理し、または相談に応じた事項を記載した書面を申告書に添付することができ、この書面が添付されている申告書を提出した納税者について税務調査をしようとする場合には、その通知前に、税務代理権限証書を提出している税理士に対し、添付された書面に記載された事項に関して意見を述べる機会を与えなければならないというものです。
 この制度は、正確な申告書の作成・提出に資するとともに、信頼される税理士制度の確立に結びつくものであり、ひいては税務行政の円滑化が図られることから、国税庁はこの制度を尊重し、推進に努めています。

●税理士法違反行為への対応

 税理士制度に対する国民の信頼を確保するため、税理士会等との協議を行うなど、あらゆる機会を活用して注意喚起を行い、税理士の非行の未然防止に努めています。
 また、各種情報等の収集に努め、税理士法に基づく調査を的確に実施するなど、税理士法に違反する行為を行っている税理士等に対しては厳正に対処しています。

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