1 規制改革推進のための3か年計画(平成20年3月25日閣議決定)

○ 税理士試験の受験資格の見直し【平成20年検討・結論、21年以降措置】

税理士試験の受験資格については、受験資格が学歴等で差別されないような仕組みが十分担保されているか否かについて速やかに検討を行い、結論を得る。

2 税理士試験の受験資格の意義

○ 税理士試験の目的(税理士法第6条)

税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかの判定

○ 受験資格を設けている意義

税理士業務を行うためには、専門的な学識や応用能力のみならず、一定レベルの教育又は一定の実務経験を通じて備えられる税理士業務に関連する基礎的学識又は技能も必要

3 受験資格の学歴等に関する検証

 税理士試験の受験資格は、次の点から学歴等で差別されないような仕組みが十分担保されていると認められる。

〈制度的な側面〉

○ 職歴や資格など学歴不要の要件を数多く規定(税理士法第5条)

→いずれか一つの要件に該当すれば受験資格を有する

○ 受験資格のない試験の合格も受験資格の一つ

→簿記検定試験など「受験資格のない試験の合格」も受験資格の一つ

○ 大学卒であっても、税理士業務と関連のある「法律学又は経済学を修めていること」が必要

→単なる学歴のみに偏重したものではない。

〈受験者等の状況〉

1 学歴不問の受験資格による受験者は、全体の21.0%に上る。

【図1】受験資格別受験者、学歴資格40408人 77.9パーセント、学歴不問資格10881人 21.0パーセント、分類不能 574人 1.1パーセント 【図1-2】学歴資格内訳 大学等を卒業又は修了 39431人 専修学校の専門課程を修了 977人 【図1-3】学歴不問資格内訳 日商薄記1級合格5634人 全経薄記上級合格1927人 公認会計士短答式試験合格(会計士補を含む)172人 税理士等補助事務従事3年以上2035人 経理事務従事3年以上895人 その他職歴・資格218人
  • 2 高校卒の受験者の合格率は、試験全体及び大学等卒の受験者の合格率と差がない。(高校卒の者は、学歴以外の受験資格により受験)
     →受験資格ごとのレベルに大差は認められない。
  • 3 他の受験資格のない国家試験との比較においても、最終学歴が高校卒の受験者の割合は決して低い水準ではない。
【図2】平成20年度試験合格率(学歴別) 大学卒17.6パーセント 大学在学中20.2パーセント 短大卒12.9パーセント専修学校卒16.0パーセント 高校卒17.8パーセント その他32.3パーセント 全体17.7パーセント
【図3】高卒者が総受験生に占める割合 税理士7.0パーセント 弁理士(短答式)1.2パーセント 公認会計士(短答式)7.8パーセント

4 税理士試験の受験者の学歴別割合は、一般の大学進学率等と比較して、やや高学歴

 →税理士試験は高度な専門的知識が求められる職業に関する資格試験であるため、高学歴者が受験する傾向にある。

【図4】学歴別受験者割合 大学卒等91.3パーセント 高校卒7.0パーセント その他1.7パーセント 【図5】高校卒業者の大学進学率等 大学等進学75.0パーセント 就職20.0パーセント その他5.0パーセント

5 大学卒であっても、受験資格としては税理士業務と関連のある「法律学又は経済学を修めていること」が必要であることから、現行の受験資格は単なる学歴のみに偏重したものではない。

 →大学卒等の受験者の割合は91.3%(図4)であるが、学歴資格による受験者は77.9%(図1)

4 国税庁ホームページの見直し

 受験資格に関する予備知識のない者に対する周知をこれまで以上に充実させるため、新たに、国税庁ホームページの税理士試験コーナーに、受験資格のポイントを集約した「受験資格の概要」を掲載する。

参考1

○ 税理士試験における受験資格の概要(根拠法:税理士法第5条)

次の要件のいずれか一つに該当すれば、税理士試験の受験資格を有することとなる。

<学識>

  • 大学・短期大学の卒業者等で、法律学又は経済学を修めたもの
  • 大学卒業者と同等以上の学力があると認められた者(いわゆる専門学校修了者)で、法律学又は経済学を修めたもの
  • 大学3年次以上の者で、法律学又は経済学を含め62単位以上取得した者
  • 司法試験合格者
  • 公認会計士試験の短答式試験に合格した者

<資格等>

  • 日商簿記1級合格者・全経簿記上級合格者

<職歴>
 次に掲げる事務又は業務のいずれかに3年以上従事した者

  • 法人等における会計事務
  • 税理士・弁護士・公認会計士・監査法人の業務の補助事務
  • 弁理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士の業務
  • 国税・地方税の事務
  • 行政機関における会計検査等に関する事務
  • 銀行等における貸付け等に関する事務

<認定>

  • 国税審議会により受験資格に関して個別認定を受けた者

参考2

【表1】受験資格別受験者数の状況

受験資格 受験者数
  構成比
学歴資格 大学等を卒業又は修了 39,431人 40,408人 77.9%
専修学校の専門課程を卒業 977人
学歴不問
資格
日商簿記1級合格 5,634人 10,881人 21.0%
全経簿記上級合格 1,927人
公認会計士短答式試験合格(会計士補を含む) 172人
税理士等補助事務従事3年以上 2,035人
経理事務従事3年以上 895人
その他職歴・資格 218人
分類不能 受験資格認定者 574人 574人 1.1%
合計 51,863人 100.0%

(注) 本表は、平成20年度(第58回)税理士試験における受験者数の状況を示す。

【表2】学歴別合格者数の状況

学歴区分 受験者数 合格者数等 合格率
合格者数 一部科目
合格者数
合計
大学卒 38,113人 782人 5,932人 6,714人 17.6%
大学在学中 2,780人 0人 561人 561人 20.2%
短大(旧高専)卒 2,031人 38人 224人 262人 12.9%
専修学校卒 4,425人 78人 630人 708人 16.0%
高校卒 3,640人 58人 591人 649人 17.8%
その他 874人 8人 274人 282人 32.3%
合計 51,863人 964人 8,212人 9,176人 17.7%

(注) 平成20年度(第58回)税理士試験における受験申込時の出願者の申告による。

【表3】受験資格のない主な国家試験の高校卒業者の受験状況

試験名称 受験者数 備考
  うち高校卒(割合)
公認会計士(短答式) 16,217人 1,262人(7.8%) (注1、2)
弁理士(短答式) 9,679人 115人(1.2%) (注3、4)

(注1) 出典:「平成20年公認会計士試験短答式試験合格者調」
  (公認会計士監査審査会ホームページより)

(注2) 短答式試験免除者の人数は含まない。

(注3) 出典:「平成20年度弁理士試験短答受験者統計」(特許庁 ホームページより)

(注4) 「高校卒」欄には、中学卒6名を含む。

【表4】学歴別受験者数の状況

学歴区分 受験者数 構成比
大学卒 38,113人 73.5% 91.3%
大学在学中 2,780人 5.4%
短大(旧高専)卒 2,031人 3.9%
専修学校卒 4,425人 8.5%
高校卒 3,640人 7.0%
その他 874人 1.7%
合計 51,863人 100.0%

(注) 平成20年度(第58回)税理士試験における受験申込時の出願者の申告による。

【表5】高校卒業者の大学進学率等(平成20年3月卒)

区分 人数 構成比
総数 1,088千人 100.0%
内 就職者数 218千人 20.0%
内 専修学校等進学者数 241千人 22.2% 75.0%
内 大学等進学者数 575千人 52.8%
内 その他 54千人 5.0%

(注) 出典:「平成20年度学校基本調査速報」(文部科学省ホームページより)
 なお、中学卒業者の高校等への進学率は約98.2%である。