日時: | 平成28年3月22日 13:28から14:37 | ||||
場所: | 国税庁第一会議室 | ||||
出席者: |
国税審議会委員 | 岩会長 | 田近会長代理 | |
石井委員 | 河村委員 | ||
神津委員 | 佐藤委員 | ||
篠原委員 | 辻山委員 | ||
手島委員 | 中村委員 | ||
橋本委員 | 林委員 | ||
広重委員 | 福田委員 | ||
吉村委員 | 渡辺委員 | ||
説明者 国税庁 | 中原国税庁長官 | ||
畠山国税不服審判所長 | |||
星野国税庁次長 | |||
棚橋国税不服審判所次長 | |||
貝塚審議官 | |||
柴審議官 | |||
川嶋課税部長 | |||
大久保徴収部長 | |||
中村調査査察部長 | |||
山名総務課長 | |||
並木人事課長 | |||
八原酒税課長 | |||
大柳国税企画官 |
会長
会長の岩でございます。それでは第17回国税審議会を開催いたします。
本日は、委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりくださいましてありがとうございました。
本日は委員の過半数の方々が御出席になっていますので、国税審議会令第8条第1項の規定に基づき、本会は有効に成立しております。
まず委員の任命に関する御報告がございます。既に文書でもお知らせしているとは思うのですが、3月15日付で日本税理士会連合会から任命されておりました池田委員が国税審議会委員を辞任されまして、その後任として日本税理士会連合会の神津会長が新たに委員に任命されました。後ほどまた御紹介させていただきますけれども、国税審査分科会に所属していただきますので御紹介をさせていただきます。
それでは、本日御出席いただいております委員の方々につきまして、私の方から御紹介をさせていただきます。
会長代理の田近栄治委員です。
続きまして国税審査分科会長の林菜つみ委員でございます。
以後は五十音順にお名前を呼ばせていただきます。
石井幸夫委員でございます。
河村小百合委員でございます。
先ほど御紹介させていただきましたけれども、神津信一委員でございます。
佐藤和夫委員でございます。
篠原成行委員でございます。
辻山栄子委員でございます。
手島麻記子委員でございます。
中村豊明委員でございます。
橋本佳与委員でございます。
広重美希委員でございます。
福田進委員でございます。
吉村典久委員でございます。
最後ですが、渡辺哲委員でございます。
なお、酒類分科会長の三村優美子委員、角田光代委員、須磨佳津江委員、山田洋委員におかれましては、本日御都合により御欠席ということでございます。
続きまして、山名総務課長から行政側出席者の御紹介をお願いいたします。
総務課長
総務課長の山名でございます。よろしくお願いいたします。
それでは紹介させていただきます。
中原国税庁長官でございます。
畠山国税不服審判所長でございます。
星野国税庁次長でございます。
棚橋国税不服審判所次長でございます。
貝塚審議官でございます。
柴審議官でございます。
川嶋課税部長でございます。
大久保徴収部長でございます。
中村調査査察部長でございます。
並木人事課長でございます。
八原酒税課長でございます。
大柳国税企画官でございます。
よろしくお願いします。
会長
ありがとうございました。
それでは本日の議題に入る前に、まず中原長官から一言御挨拶をお願いいたします。
国税庁長官
国税審議会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
長官の中原でございます。昨年の夏から長官を務めております。どうかよろしくお願いいたします。
委員の皆様方には、大変御多忙中にもかかわらず、本日御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
また皆様には日頃から税務行政全般にわたりまして、深い御理解と多大な御協力をいただきますこと、厚く御礼申し上げます。
さて、委員の皆様御存知のとおり、国税庁の使命は「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことであるとされております。このため、当庁におきましては、ICTを活用した利便性の高い申告・納付手段の充実などの納税者サービスの充実に向けた施策の実施に努めているところであります。また、悪質な事案には厳正な対応を行うほか、社会・経済状況の変化に応じまして、富裕層や国際的な事案にも積極的に取り組むなど、適正・公平な課税・徴収の実現に努めているところでございます。
最近の税務行政の話題と申しますと、昨年10月にマイナンバー制度が導入されました。これにより、納税者の皆様の利便性向上や税務行政の効率化が、本格的に実施される28年度以降期待されているところでございます。当庁では、制度の円滑な導入・定着に向けまして、引き続き、周知・広報に取り組むとともに、番号を効果的に利活用してまいります。
次に酒類行政について申し上げます。昨年10月にワインに関する表示ルールの策定や酒類の地理的表示制度の改正を行いました。これらの策定等に当たりましては、酒類分科会委員の皆様に御審議をいただきましたことを改めて厚く御礼申し上げます。さらに、昨年末には、日本酒全体のブランド価値の向上を図るなどの観点から、国レベルの地理的表示として「日本酒」を指定したところでございます。
今後はこうした制度も活用しながら、「酒類業の健全な発達」を担う所管官庁として、引き続き酒類業の振興に取り組んでまいります。
また、現在、平成29年4月の消費税率引上げと同時に軽減税率制度を導入する消費税法改正が盛り込まれた税制改正法案が国会に提出され、現在審議中であります。
こうした大きな制度改正をはじめとして、国税庁を取り巻く環境は大きく変化しているところであります。さらに、国税組織におきましては、職員数が減少する一方で、経済取引の国際化やICT化の進展により調査や滞納整理が複雑・困難化しているという状況にございます。
こうした環境の下で、引き続き国税庁の任務を適切に遂行するためには、一つには内部事務の効率化によって調査・徴収の事務を確保する。それとともに調査・徴収事務自体の効率化・高度化を図っていくことが大切だと考えております。
国税審議会は平成13年の中央省庁等の改革に伴い、それまで国税庁に設置されていた国税審査会、税理士審査会、中央酒類審議会、この3つの審議会が統合されて発足したものでございます。これら3つの審議会のうち、最も歴史が長い中央酒類審議会につきましては、その前身の酒類委員会まで含めますと、昭和18年に設置されたものでございます。また、国税審査会につきましては昭和45年に、税理士審査会につきましては昭和56年に設置され、それぞれ長期間にわたって重要な役割を果たしてきているものでございます。これまでの間、委員の皆様には、主に各分科会の場におきまして重要な事項の御審議に当たってきていただいたわけでございます。
今後とも、委員の皆様から貴重な御意見を賜りながら、適正公平な税務行政の推進に努めてまいりたいと考えておりますので、引き続き御指導、御鞭撻を重ねてお願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。
会長
ありがとうございました。
それでは議題に入らせていただきます。本日の議題ですが、お手元の議事次第にございますように2点ございます。
第1点は、「国税審議会の概要及び各分科会の最近の活動状況」というもので、これは付属資料の方の資料3にまとめられております。続きまして第2点目が「税務行政の現状と課題」でございまして、これは資料4というのにまとめられております。
最初の議題の方から入らせていただきます。まず、国税審議会の概要及び各分科会の最近の活動状況についてでございます。国税審査分科会につきましては、昨年3月9日の国税審議会以降、開催しておりませんので、こちらの方は省略させていただきまして、税理士分科会及び酒類分科会からの報告をさせていただきます。
まず、私の方から税理士分科会の活動状況につきまして、お手元の資料3になりますが、資料に基づきまして御報告をさせていただきます。
3ページ、4ページのところに税理士分科会に関する説明が書かれております。
3ページに税理士分科会の概要というのがまずまとめられておりますが、まず税理士分科会の職務内容ですけれども、これは税理士試験の執行と、それから税理士に対する懲戒処分等の審議を行うこととされております。これは3ページのところに書かれているものです。
続きまして最近の活動状況でございますけれども、これは4ページのところにまとめられております。
昨年3月9日の国税審議会以降、4回の分科会を開催しております。税理士分科会関係で2回、第68回と第70回ですが、これと、それから懲戒処分関係で2回、これが第69回と第71回の回になっております。この4回開催しております。
税理士試験の関係では、試験問題、税理士試験の実施結果、指定研修の実施結果などについて審議をいただきました。また、懲戒処分の関係では、懲戒処分等の可否及び処分内容について審議をしていただきました。
税理士分科会につきましては以上のとおりでございます。
続きまして酒類分科会につきましては、佐藤酒類分科会長代理から御報告をお願いいたします。
佐藤委員
酒類分科会長代理の佐藤でございます。三村分科会長が本日所用により欠席でございますので、私の方から酒類分科会の活動状況について御報告をさせていただきます。
酒類分科会の最近の開催状況につきましては、お手元の資料3の5ページから6ページにかけて一覧にしてございます。
酒類分科会は昨年3月9日の国税審議会以降2回開催しております。昨年の3月9日、第16回国税審議会に引き続き開催いたしました第15回酒類分科会では、地球温暖化対策に係るビール製造業の低炭素社会実行計画などについて審議いたしました。
次に6月17日に開催いたしました第16回酒類分科会におきましては、6月1日に国税庁から国税審議会に諮問のありました果実酒等の製法品質表示基準の制定案、地理的表示に関する表示基準ほか、4つの表示基準の全部又は一部改正案及び酒類の表示の基準における重要基準の一部改正案について審議いたしました。
また地理的表示に関する表示基準に関して、実務的な事項を盛り込んだガイドラインについて、知見を有する臨時委員の方々を加えてその内容を調査・審議するための地理的表示部会を設置すること等について了承いたしました。
さらに、6月25日に開催しました第1回地理的表示部会におきまして、ガイドラインの内容について審議し、了承いたしました。簡単ではございますが、以上でございます。
会長
ありがとうございました。
それでは引き続きまして、次の議題であります税務行政の現状と課題の方に移らせていただきます。
こちらにつきましては、事務局の方から御説明をお願いいたします。
総務課長
それでは私から税務行政の現状と課題につきまして御説明させていただきます。お手元の資料4を御覧ください。
まず目次でございます。最初に1ポツの税務行政の現状と課題について概観させていただいた上で、2つ目以降は最近の税務行政の話題について、やや各論的なお話をさせていただきます。
資料3ページを御覧ください。国税庁の任務と使命でございます。これは委員の皆様よく御存知のとおり、任務は3本柱、内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、酒類業の健全な発達、税理士業務の適正な運営の確保でございます。また、国税庁の使命は、納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現することとされております。
資料4ページ目でございます。このような任務・使命を達成するための国税庁の機構でございます。これも皆様よく御存知のとおり、本庁、それから沖縄を含む12の国税局(所)、それから全国524の税務署という3層構造となっております。
資料5ページ目でございます。国税庁の定員でございます。
定員の方は、平成元年度に消費税が導入され、平成9年度がピーク、そのとき5万7,202人ということですけれども、最近は厳しい行財政事情を背景に、特に平成24年度から4年連続定員の純減が続いておりまして、平成27年度の定員は平成9年度のピーク時に比べて1,499人減少の5万5,703人となっております。
また、現在国会で審議中の平成28年度予算でも定員は純減となっております。5年連続の純減ということで、平成28年度の定員は5万5,666人ということでございます。
6ページを御覧ください。このような厳しい定員事情の中での税務行政を取り巻く状況ですけれども、まず所得税の申告件数の推移を見ますと、一番右側ですけれども、平成26年分の申告件数については2,139万件ということで、平成元年の申告件数と比較すると約1.3倍に増加しております。
このうちグラフのピンク色の部分の還付申告件数が1,249万件を超え、元年と比較して約1.9倍に増加、全申告件数の半数以上を占めております。こうした還付申告を含む申告件数の増加は、職員の相談事務量の増加の一因ということでございます。
次のページを御覧ください。法人数の増加でございます。平成元年分から平成18年分まで増加傾向をたどっており、その後は約300万法人前後で推移しているということで、平成26年分の法人数は302万法人、平成元年と比較して約1.3倍ということでございます。
資料8ページを御覧ください。また法人の中でも制度が複雑で調査にも日数のかかる連結法人数が増えております。平成26事務年度末には調査課の所管法人、これは原則資本金1億円以上の大法人ですけれども、この法人全体の3割を超えております。
資料9ページを御覧ください。次に租税の滞納残高の状況でございます。平成26年度末における滞納残高は約1兆646億円ということで、平成11年度以降、16年連続での減少ということでございます。
次に資料10ページを御覧ください。実調率の状況でございます。実調率とは、1年間に実地調査を実施した件数を納税者数、法人数で除したものでございます。定員が減少傾向にある中、申告件数の増加による業務量の大幅増加、取引の国際化、高度情報化の進展による業務の質的困難化に伴いまして、実調率は平成元年と比較いたしまして、個人、法人とも半分以下に低下しております。法人の場合、平成元年の8.5%が平成26年には3.2%、個人の場合、平成元年の2.3%が平成26年は1.1%ということでございます。
実調率が低下傾向にある中、国税庁では悪質な納税者への対応を主眼とした実地調査と、納税者の自発的な納税義務の履行支援などを目的とした簡易な接触を組み合わせることで、効率的かつ効果的な運営を図っていくこととしております。
資料11ページでございます。今、国税組織を巡る状況を御説明いたしましたけれども、厳しい行財政事情の下で任務を適切に遂行するため、効果的・効率的な事務運営に取り組んでまいりました。しかしながら職員数減少、連結法人の増加等々により、調査・徴収事務は複雑・困難化している状況にございます。
また、納税者の分布は都市部に集中していく一方で、地方の小規模署においても、窓口での相談対応や調査・徴収事務を行っていくためには一定の人員の配置が必要という事情もございます。
こうした環境下で内部事務の効率化による調査・徴収事務量を確保するとともに、調査・徴収事務の効率化・高度化に取り組んでいくことが重要であると考えております。
このような課題に対応するための具体的な取組でございますが、システムの改修や業務の見直しとして、e-Taxの更なる普及、地方税当局とのデータ連携などの推進、それから小規模署の内部事務や滞納整理事務を近隣の税務署に集中化する試行等を実施しているところでございます。
資料12ページでございます。e-Taxの普及の話でございます。e-Taxは納税者利便の向上に資するとともに、国税組織の事務の効率化にも大きな意味を持っております。棒グラフの一番右側でございますけれども、平成26年度は1,810万件ということで、年々増加しております。
資料13ページでございます。e-Taxの利用率を折れ線グラフで示しております。直近平成26年度の利用率は「申告(法人関係)」と表記している法人中心の4手続が71%。「申告(個人関係)」と表記している個人の所得税及び消費税の手続が53%となっております。それ以外の手続も含めまして加重平均をとりますと、約6割がe-Taxを御利用いただいている状況でございます。
なお、本年4月からは、従来書面提出を求めていた出資関係図や登記事項証明書などの法人税法等による添付書類について、イメージデータによる提出が可能となります。また来年1月からは、所得税法等による添付書類についてもe-Taxで送信できるようになりますので、一層利用しやすくなります。
このようにいろいろ努力は行っておりますけれども、紙の書類も相当程度残っている状況でございます。個人の方についてはマイナンバー制度の導入に伴って、今後は住民基本台帳カードに替えてマイナンバーカードを使用いただくことになりますので、これをe-Taxで自宅から御利用いただくようにしていくことが大きな課題ということでございます。
資料14ページでございます。大企業関係の調査事務の効率化・高度化の取組の一例でございます。税務に関するコーポレートガバナンスの充実を通じたコンプライアンスの向上策として、平成24年7月から税務に関するコーポレートガバナンスの状況が良好で、調査必要度が低いと認められる法人については、税務リスクの高い取引を自主的に開示していただき、その適正処理を確認させていただくことを条件に次回調査までの調査間隔を延長する試行を行っております。これにより例えば2年に1度の調査が3年に1度になります。この取組により、企業の税務調査対応の負担を軽減するとともに、当局の調査事務量を調査必要度の高い法人へ重点的に配分していくこととしており、試行結果を踏まえた主要な見直しを行った上で、平成28年7月から本格実施する予定としております。
資料15ページでございます。租税教育の関係でございます。
ここまでお話しした取組以外にも、国税庁では関係民間団体等の国税組織を支えてくれている民間の力も借りつつ、国の基本となる租税の意義や役割が正しく理解され、学校教育の中で租税教育の充実が図られるよう、様々な環境整備や支援に取り組んでおります。租税教育につきましては税理士会の皆様にも積極的に取り組んでいただいているところでございます。
資料16ページでございます。ここからは最近の税務行政の話題ということで、まずマイナンバーの関係でございます。
昨年10月から番号が通知され、本年1月からいよいよマイナンバー制度がスタートしております。御存知のとおりマイナンバーは社会保障、税、災害対策の3つの分野で利用されることになります。
資料17ページでございます。マイナンバー制度をかたった詐欺について最近多く報道されております。我々がマイナンバー制度を御説明する際には、こうした詐欺の被害が多く発生している旨を常にお伝えしておりますので、御参考までに資料を御紹介いたしました。
資料18ページでございます。こちらは御存知のとおり、税務関係の申告書等にマイナンバーを記載して提出していただくことになったということでございまして、資料19ページでございます。この番号の記載及び提出時期でございます。まず所得税の申告書は平成28年分の確定申告書から、つまり今回ではなくて、来年2月から3月の確定申告の時期からということになります。法人税の申告書は、平成28年1月以降に開始する事業年度に係る申告書から番号の記載が開始されるため、例えば12月決算法人であれば、平成28年12月決算に係る申告書から。それから申請書・届出書の類は、まさに本年1月以降に提出すべきものから番号を記載いただくということになります。このように個人の方にとっては、多くの場合には平成29年の確定申告期がマイナンバーを利用する最初の場面となります。ただし、例えば本年中に退職され、退職金を受け取る方の場合、その後の確定申告が不要になることなどの理由から、退職所得の受給に関する申告書を御提出いただくのが一般的かと思われますので、その際にマイナンバーを記載していただくようなケースもございます。
なお、現在国会で御審議されている税制改正法が成立すれば、一部の税務関係書類についてマイナンバーの記載が不要となりますので、改めてその点については周知・広報を行っていくこととしております。
資料20ページでございます。預貯金との関係でございます。預貯金口座へのマイナンバーのひも付けを実現するマイナンバー法改正案が先の通常国会で成立し、昨年9月に公布されております。
これにより平成30年以降、銀行などは預金者情報をマイナンバーで検索可能な状態で管理する義務が課されることとなります。預金者に対してマイナンバーを告知する義務が法律上課せられるわけではありませんけれども、銀行などからはマイナンバーの告知を求められることになります。制度の円滑な実施に関しまして御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
ただし、預貯金口座にマイナンバーをひも付けたからといって、金融機関から税務署にその預貯金情報が自動的に提供されることはなく、あくまでも税務調査において必要がある場合に税務当局から銀行に照会することとなります。この取扱いは従来と同様でございます。以上がマイナンバー関係でございます。
資料21ページでございます。法人番号の関係でございます。法人番号は13桁の番号として国税庁が付番しております。この付番作業自体は既に終了しておりまして、公表もしております。データのダウンロードもできるようになっております。
平成28年2月末時点で、国・地方公共団体を含む設立登記法人が約430万4,000件、設立登記のない法人及び人格のない社団等が約1万3,000件となっております。
ちなみに国税庁にも13桁の法人番号が付番されております。国の機関の場合には、例に、右側に高橋建設株式会社の法人番号というのが書いてありますけれども、左から2番目の1から右に1234となっておりますけれども、この1234の部分が国の機関、公的機関の場合には共通して0000、0が4つ入っております。その次に国の機関ですと、1という番号が来るというように、マイナンバーについては全くランダムなんですけれども、法人番号についてはそういった共通性がある部分がございます。
資料22ページでございます。法人番号は個人のマイナンバーと違いまして、その利用範囲の制限がございません。社会インフラとして官民問わず幅広く御活用いただくということが期待されております。
国税庁としても、法人番号が国際的な流通でも使えるようになると、企業にとって利便性が増すこととなるため、国税庁を発番機関として、国連とISOに登録をし、発番機関コードというものを取得いたしました。これにより企業は、法人番号を国際的な電子商取引や、あるいは物流の電子タグで共通の企業コードとして使えるようになりました。
具体的には資料23ページに利用イメージが書いてあります。電子商取引をする際に、今までは取引先が出してきたコードを自分の会社で管理しているコードに変換する必要がありましたが、これからは国税庁の発番機関コードと法人番号が唯一のコードですので、これで共通化すると変換の手間やコストがかからないということになります。
また、電子タグを無線で読み取ったりする場合にも、統一された企業コードである法人番号を御活用いただくと非常に効率的にできるということで、今回御紹介したのは法人番号の活用方法の一つでございます。
資料24ページでございます。富裕層への対応でございます。資料にございますように、非常に富裕層の人数は増えております。また日銀の資料や民間シンクタンクの資料を見ましても、富裕層の資産総額や、あるいは対外証券投資の額などが増えているということがうかがわれます。
資料25ページでございますが、こうしたことから国税庁では都市局における富裕層PTの設置、また制度的にも国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設、いわゆる出国税の創設、国外財産調書の創設、財産債務調書の創設等によって適切に対応していくこととしております。
資料26ページからは、税務行政の国際的課題でございます。
資料27ページをまず御覧ください。相互協議の件数でございます。一番右でございますが、ここ数年発生件数が増加傾向にあり、処理に時間がかかるということもあって、425件の事案が翌事務年度へ繰り越されております。
資料28ページでございます。相互協議事案の平均的な処理期間ですけれども、平均すると22から29か月ということでございます。
また最近の動向としては、一つにOECD非加盟国との協議事案の割合が増加しておりまして、このような事案では必ずしも国際基準に沿った議論、また結論が得にくいということがあって、協議の困難性が高まっております。
また、企業活動のグローバル化の進展によりまして、多国間にまたがる取引等、複雑・困難な事案が含まれるようになって長期化してきております。これらに対しまして、国税庁としては要員の確保などの体制の充実、また新興国に対しては技術協力の枠組みで相手国の相互協議のための体制整備を支援するなどの対応をとっております。
次に、BEPSプロジェクトでございます。御存知のようにグローバル企業が国際的な税制の隙間とか抜け穴を利用した節税策で税負担を軽減している、いわゆる税源浸食と利益移転の問題でございます。この問題への対応についてはOECDの租税委員会が議論して、昨年9月に最終報告書が承認され、11月15、16日のG20サミットに報告されております。最終報告書の概要については資料の下の方に出ておりますけれども、第1に経済実態に即した課税をするために国際課税原則の再構築を図る勧告をしたということで、具体的には電子経済に対応するため、あるいは各国の制度の国際的な調和を図るための国内税制について勧告をいたしました。第2にグローバル企業の活動について透明性の向上を図るという勧告をいたしました。これはグローバル企業の活動とか、タックス・プランニングの実態を把握するための情報報告制度を構築せよというものでございます。3番目は、資料の中の、のようなBEPS対抗措置によって、結果として予期せぬ二重課税が起きてしまった場合に、その二重課税を排除するために相互協議をより実効的なものにせよという勧告でございます。今後はポストBEPSとして、各国で必要な法整備や租税条約の改正作業を行いつつ、その実施状況をモニタリングしていこうということになっております。
資料30ページでございます。租税条約のネットワーク、情報交換のネットワークの状況でございます。平成28年3月1日現在、我が国が締結している租税条約等はケイマン、バミューダなどいわゆるタックス・ヘイブンも含めて、65条約、96か国地域となっております。
資料31ページを御覧ください。ここからは酒類行政の関係でございます。
まず資料32ページを御覧ください。日本産酒類の輸出動向でございます。平成27年分の輸出金額は約390億円と4年連続で過去最高を記録しております。また数量ベースでも過去最高の水準となりました。品目別では、清酒の平成27年分輸出金額は過去最高の約140億円で、酒類全体の輸出金額の約4割を占めております。またウイスキーについては、近年ジャパニーズウイスキーが国際的なウイスキーコンテストで数々の賞を受賞するなど海外でも高い評価を受けており、平成27年は対前年比177.4%と高い伸びを示しております。
資料の33、34ページは、こういった輸出環境整備に関する取組を少し詳しく紹介したものでございます。
例えば34ページでございます。TPP交渉ですとか各種のEPA交渉で、貿易相手国における日本酒や焼酎などの関税の撤廃や緩和に向けた働きかけを行っているなど、御紹介しております。
資料35ページからは日本産酒類の振興等の取組でございます。1つ目はワインの表示ルールの制定でございます。これは先ほど佐藤委員から御紹介がありましたように、国税審議会酒類分科会での審議を経て、果実酒等の製法品質表示基準を昨年10月30日付で制定したものでございます。今まで国内では国産ぶどうを原料にしたものや、あるいは輸入果汁を原料にしたものなどが全部国産ワインとして流通しておりました。今後は新しい表示基準によりまして、国産ぶどうのみを原料にしたものが日本ワインとなり、それ以外は日本ワインと名乗ることができなくなります。この表示ルールは3年後の平成30年10月30日から適用されることになります。
資料36ページでございます。2つ目は地理的表示制度の見直しについてでございます。こちらにつきましても、現在は資料にございますように、焼酎の関係で「壱岐」、「球磨」、「琉球」、「薩摩」、清酒で「白山」、ワインで「山梨」というこの6つの地域ブランドの指定にとどまっておりますが、これをさらに使いやすくするために、これも酒類分科会での御審議を経て、手続を明確化する基準の改正が昨年10月30日付で行われております。
最後に3つ目の取組、資料37ページでございます。この地理的表示制度の改正を踏まえまして、昨年12月25日に国レベルの地理的表示として「日本酒」が指定されております。これによりまして、日本で国産米を原料に製造された清酒だけが「日本酒」と表示できるようになります。このことにより日本酒の国内での需要振興や輸出促進に大きく貢献するものと考えております。
最後に資料38ページ、改正消費税への対応でございます。平成28年度の税制改正大綱に、平成29年4月の消費税率引上げと同時に軽減税率制度を導入することが盛り込まれ、現在、消費税法改正を含む税制改正法案が国会で審議されているところでございます。
その法案の概要でございます。まず初めに軽減税率の対象品目は1つに酒類及び外食を除く飲食料品。2つに週2回以上発行される新聞の定期購読料の2品目となっております。
次に消費税率は地方消費税を含め、軽減税率が8%、標準税率は10%となります。
続いて適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度でございます。この導入は平成33年4月からとされております。インボイス制度では、登録を受けた課税事業者が交付する適格請求書、いわゆるインボイス及び帳簿の保存が仕入税額控除の要件となるほか、税額計算の方法は原則として適格請求書の税額の積み上げ計算とされますが、一定の要件の下、取引総額からの割り戻し計算も選択できることとされております。
また、適格請求書等保存方式導入までの経過措置として、現行の請求書等保存方式を維持しつつ、区分経理に対応するための措置として、請求書等の記載事項に、1つに軽減税率の対象品目である旨、2つに税率ごとに合計した対価の額を加えるいわゆる区分記載請求書等保存方式を設けることとされております。
また、売上又は仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者に対して、売上税額又は仕入税額の計算の特例を設けることとされております。
また、適格請求書等保存方式導入後の経過措置として、導入後6年間、免税事業者からの仕入れについて一定割合の仕入税額控除を認めることとされております。
区分記載請求書等保存方式と適格請求書等保存方式との大きな違いとして、仕入税額控除の要件とされる適格請求書は登録を受けた課税事業者のみ交付できる点を挙げることができます。
このため具体的に申し上げますと、区分記載請求書等保存方式では、課税事業者及び免税事業者、いずれの事業者からの仕入れも税額控除ができる一方で、適格請求書等保存方式では登録を受けた課税事業者からの仕入れのみ税額控除が認められることになるということでございます。
このような軽減税率制度の導入に当たり、混乱が生じることのないよう政府全体で万全の準備を進めることとされております。
資料39ページでございます。今申し上げましたように軽減税率制度が導入された場合には、税率区分ごとの商品管理や区分管理に基づく税額計算の面で多数の事業者が影響を受けることとなります。執行当局である国税庁といたしましては、事業者の皆様に対する制度周知、記帳・申告指導及び納税者の皆様から寄せられる照会や相談への対応と本制度の円滑な導入に向けて、丁寧かつ適切に対応する必要があると考えております。このため平成28年度予算におきまして所要の執行体制整備、またシステム改修経費等々を計上しているところでございます。
次に、お手元にパンフレットがお配りされているかと存じます。「審判所ってどんなところ?」を配付しておりますので御覧ください。行政不服審査法の改正に伴う国税に関する不服申立制度の改正につきましては、昨年の当審議会の場で御説明しているところでございますが、本年4月の施行を迎えるに当たり、審判所において制度改正の内容を踏まえた新しいパンフレットを作成しております。制度改正の前と後に分けて、不服申立制度の概要等を示しておりますので、御参照いただければと思います。
駆け足でございましたけれども、私からの説明は以上でございます。
会長
ありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から御説明いただきました事項につきまして、委員の方々から何かご質問、御意見がございましたらどうぞ御自由に御発言をお願いいたします。
いかがでしょうか。
中村委員
現在最終局面に入っているBEPSの関係について意見や要望を申し上げます。CbCR(国別報告書)関連ですが、情報が租税条約締結国の間で自動的に連携されるという方向で進んでいると理解しております。それが例えばEUでは、提供された情報はEU内では公開をするというような話があり、後で炎上してしまうのではないかと心配しております。
BEPSのプロジェクトにより全体がイコールフッティングの状況になるのであれば非常に良い方向と思うのですが、かえって後で徴税強化になる等、日本企業にとって結局は競争力を失いかねない結果にならないように、是非調整をいただきたいなというふうに思います。
日本企業は総じて真面目でタックスプランニングを余りやっていないことで、かえって株主からお叱りを頂戴することがあります。真面目にやっているところが国際競争の下でネガティブな結果にならないように、是非御配慮いただきたいと思っております。
もう一点は相互協議の案件が、今日の御説明にもございましたように、増えてきております。海外の子会社に税務調査が入り無理難題を言ってこられるケースが増えております。新興国が経済成長とともに、国民のクオリティーオブライフを向上させる施策をいろいろやってきたが、資源価格が低迷したり、中国の経済成長が鈍化してきて、自国の経済成長率が落ち、取れるところから税金を取るというような姿勢が、ここ数年感じられております。結局は相互協議に持ち込むということになるのですが、時間が非常にかかり、繰越件数が年々増えてきておりますので、それが減るように是非御支援いただきたいと思っております。
以上です。
貝塚審議官
国際関係の仕事をやっています貝塚と申します。2点、BEPSの件と相互協議の件、御質問いただきましてありがとうございます。
BEPSプロジェクトの中の国別報告書に関しては、まさに中村委員御指摘のとおり、我々ずっとOECDの交渉の場で、要するに正直者がばかを見るということは絶対あってはいけないというスタンスで臨んできました。
今現在まとまっている国別報告書に関する報告書については、おっしゃられたように条約のカウンターパートに条約のルートを通じて情報を提供するということでございますけれども、そこではいろんな条件がかかっております。その一つの中にはコンフィデンシャリティーということで、絶対に情報を外に漏らしてはいけないんだということが基本になっているところであります。
それから、後半の方の話にも共通するところですけれども、新興国が国別報告書で得た数字を、単純にある一定の方式に当てはめて所得を計算して、お前の払う税金はこれだよというように計算するということは禁じられているということで、それはあくまでも調査をするときのリスクアセスメントに使いなさいということになっています。
大事なことは、これが実際に世の中で実効性の担保をされるにはどうすればいいのかということでありまして、これについては国別報告書で決めてあることについては、ミニマムスタンダードという位置づけになっておりまして、BEPSプロジェクト参加国の間で国際的なモニタリングをきちんとやっていこうということにしております。
したがいまして、まだ実際の情報の交換も始まっていませんけれども、情報の交換が始まっていけば、その中でどれだけ合意した内容の実施をきちんと担保できているのかということについて、モニタリングが実施されると。今現在どういう格好でモニタリングをするのかということは議論の途上でありますけれども、我々としては、そこでゆめゆめ正直者がばかを見ることのないような格好が担保されるということを、いかにこのモニタリングという中で実現していくのかということを、一番高い優先度をもって今後も議論を続けていきたいと思っています。それが第1点目です。
第2点目、相互協議のお話、御質問いただきました。確かに我々も非常に悩ましい状況で、おかげさまで我々国税庁の方は相互協議に係る人員を増やしていただいております。ただこれは協議ですので、相手方がある話で、我々が一方的に人数を増やしたら協議がうまくいくのかということでは必ずしもなくて、相手方にもそれだけのリソースを割いてもらわなければならないということがあります。
これは相手国に対して高いレベルでそういうことを求めていくということも必要でしょうし、今BEPSの行動の14の中で、相互協議を実効的に進めるために何をすべきか。これもミニマムスタンダードということで、いろいろな事項が盛り込まれています。これもモニタリングの対象になっていくということで、これは実際にモニタリングをどうしていくのかという議論が既に開始されています。ということで、もう来年あたりからは実際のモニタリングをしようということで、今モニタリングの方法論のところが、今月中に一応合意をするという方向になっています。
それを受けて、二国間の間でもいろんなレベルで働きかけをするということと、グローバルに国際的なマルチの世界でいろいろな国にモニタリングを通じてきちんとした履行を求めていくということで、対応をしていくということかと思います。
ただ、なかなか一朝一夕に、我々が人数を増やせたと同じようなペースで、新興国全てが揃ってできるのかというところはまた難しいところがあるとは思いますけれども、我々のできる限りのことはやっていきたいと思っていますし、また皆さん方がこういうことで困っているんだということであれば、今もそういう御相談を受けておると思いますけれども、今後も引き続き我々の方に情報提供いただきたいと。
特にモニタリングということが始まれば、こういうことで、新興国でこういうひどい目に遭っているんだという話は、モニタリングのそ上の中でもインプットしていけるものかと思っていますので、是非そこは一つまた密にしていきたいと思っています。
以上であります。
会長
他に何か御質問、御意見ございませんでしょうか。
はい、どうぞ。
篠原委員
酒造組合の篠原です。ちょっと地理的表示のことについて、御質問というか状況をお話願いたいなと思うんですが。日本全国で「日本酒」という地理的表示ができたということで非常に感謝しております。ありがとうございました。
心より御礼申し上げておきたいと思いますが、今、国内で各地域あるいは各県からのいろいろな地理的表示の、我が地域でこういうのをやりたいとかっていう申し出というのは、現在どんな状況になっているんですか。ありますか。ちょっと気になっているんですが。ちょっと情報が入っていないので、私のところに。
酒税課長
酒税課長をしております八原でございます。今お尋ねの地理的表示について申し立て状況ということ、正式な申し立てというものは、昨年10月30日に地理的表示制度の見直しをしまして、その後、正式な地理的表示の指定に向けた申し立てというものはどの地域からも出てはおりません。
ただ、そういった方向での御相談は幾つかいただいておりまして、それを各国税局の方で丁寧にお話を伺って、申し立てに向けて今後進めていただける、修正するべきところは修正が必要でしょうし、そういった品質基準の中身とか、直していただくということをお話しさせていただいているという段階かと思います。
篠原委員
ありがとうございました。
会長
他に何か御意見、御質問ございますでしょうか。
どうぞ。
手島委員
日本酒スタイリスト、手島です。今のちょっと関連なんですけれども、この地理的表示「日本酒」というものは国外とかでの使用というか、そういう場合には、当然漢字表記だけでなく、ローマ字表記ということになるかと思うんですけれども、海外での運用に関して、このことに関して、現状何か取り決めというか、統一的な基準がありましたら教えていただければと思います。
酒税課長
先ほど説明の中にありましたように、昨年の12月に地理的表示「日本酒」を指定しましたが、これはあくまでも日本国内における保護ということでございまして、海外においての保護ということは海外のそれぞれの国で一定の手続に従って保護をしていただく必要がございます。
現在のところ、基本的には、例えばEPAなどの貿易交渉の中で、我が国の地理的表示について相手国でも守ってくださいということを交渉しておりまして、これまでのところTPPの中でアメリカと二国間交渉をいたしまして、今後アメリカで手続をしていただいて、我が国の地理的表示「日本酒」も含めたところの地理的表示をアメリカ国内でも守っていただくということをやっていただくという予定にしております。
今御質問ありましたローマ字表記でどうするかということでございますが、アメリカにおいては、ローマ字のNihonshuと、それからJapanese Sake、この2つで守っていただくということでお話をしております。
例えば、普通のSakeというのは一般名称だということで、これは普通のあらゆる清酒、外国産のものを含めてSakeと使っていいんですけれども、Nihonshu、又はJapanese Sakeのローマ字表記についてアメリカ国内で守っていただくということにしております。
ほかの国については、今後貿易交渉の中で交渉して、相手国の方で保護してもらうということを、交渉の中で相手国側に求めていくということをやってまいります。
会長
他にいかがでしょうか。
私の方から2点伺います。まず、最初の方は資料5ページから後のところに出てきたこととの関係なんですが、国税庁の定員は低減傾向にあって、これに対して申告件数の方はどんどん増えてきています。
しかも、法人についていえば連結法人の案件が多いということで複雑、調査が難しいというお話がございました。
そういう中で9ページの滞納状況を見ますと、これは大きく改善されています。次の10ページにあるように実調率が極めて低いという問題はあるにせよ、しかしこの滞納状況が大きく改善されているという結果は、ものすごく良いことだと思います。
これをどういうふうに分析するかということなんですけれども、一つはバブル経済の崩壊であるとか、あるいはリーマンショックに始まる不良債権等の問題が一段落して、納税者の方にもそれなりに安定感が出てきたから滞納をそのままし続けるという人が減ってきたというふうに考えるのか。それとも納税義務者の方にタックスコンプライアンス意識が高まってきて、普通の人は適正に納税をするという意欲が高まっていて、悪質な人は特定少数なのか。
どういう関係でこういう滞納状況の改善が生じているのか、何かお気づきの点があれば教えていただければありがたいです。
2点目は感想なのですが。国税不服審判所のパンフレットを拝見いたしました。とても分かりやすく内容も高度でありまして、法科大学院の租税法専攻の人にも推奨したいぐらいなのですけれども、これはどういう人を対象にこれは配布されているのか、教えていただければありがたく存じます。
徴収部長
最初の滞納関係の話でございますが、国税が滞納となる原因につきましては、なかなか分析が難しゅうございまして、経済情勢も一律の方向に動いているということでもありませんし、個々の滞納原因も、経営の状況、あるいは資金繰り等の事情など様々でございますので、なかなか確たることが申し上げられないということが一つございます。
その上で、国税庁といたしましては、ここのグラフにあるように、16年連続で減少しているということにつきましては、16年前には約2兆8千億円という大変な数字になっておりましたので、これは組織を挙げて滞納の未然防止と整理促進に取り組んでいかなければということでやってきております。
例えば、滞納事案を効率的に処理する集中電話催告センター室を、平成14年から順次各国税局に設置しております。また、納期限の前後に徴収部門だけでなく、税務署を挙げて必要な方に電話で、納期限ですのでよろしくお願いしますという電話を差し上げたりとか、様々な方策をとってきております。それらが一つの成果として出ているのではないかとは考えています。いずれにしても、なかなか確たる要因は分析するのが難しいということでございます。
審判所長
審判所でございます。パンフレットにつきまして、お褒めの言葉をいただきまして誠にありがとうございます。なかなかこういう役所の文書というのは不人気なものでございますけれども、できる限り審判所を御理解いただくためにいろんな知恵を出して作ったものであります。
この内容はいろんなところに実は置いてありまして、利用者の方が来られた場合に配布などをさせていただいております。またパンフだけでは限界がございますので、ホームページというのが審判所にもございます。そのホームページにもこの内容の相当部分が記載されてありますので、そちらの方からアクセスすることも十分可能でございます。
4月から制度が変わりますので、それを受けての広報活動を展開しているということでございますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
会長
他に何か御意見、御質問ございますでしょうか。
はい、どうぞ。
河村委員
11ページのところで御説明くださった国税組織の中長期的課題のところなんですけれども、やっぱりこれだけいろいろ地方の問題とか人口の問題があって、税務署の方の抱えていらっしゃるお仕事への影響がどうかということ、もちろん問題でいらっしゃると思うんですが、警察の組織とかでもやはりいろいろ基準がおありになって、署をどう配置するかということで基準があるような話も聞いたりもするんですが、税務署については何かこの基準がおありになるのかどうかということと、集中化の取組を一部し始めていらっしゃるということなんですけれども、そのあたり。それとあと、このe-Taxの利用率とかも地域別とかではじいて、いろいろ対策とか考えていらっしゃるかどうか、そのあたりをお尋ねできればと思います。
柴審議官
中長期の対応の担当の審議官をしております柴でございます。今お尋ね、3つあったと思うんですけれども、私の方から2点目と3点目についてお答えしたいと思います。
集中化の取組でございますけれども、今一部の署におきまして、全国各局におきまして様々な試行の取組を行っているところでございます。去年の秋以降始まっているところでございまして、今まさにスタートしたばかりということで、これから具体的な試行の状況というのが少しずつ分かってくるというような状況でございます。現段階でまとめてお話しできるような状況にはまだないということを御理解いただければと思います。
それから3点目のe-Taxでございますけれども、地域別の利用率についてはその集計が可能なのかどうかということも含めて、引き取らせていただきたいと思います。
総務課長
最初の署の設置の部分でございますけれども、基本的には納税者数ですとか、法人の数等々に応じて全国に配置しております。ただ、機械的に何人当たりみたいな形だけではなくて、やはり地理的な地域的な距離の問題ですとか、そういった点も勘案しながら全国に公平な課税・徴収の体制が組めるような形で設置しているということでございます。
林委員
林の方から御質問させていただきます。相続税法が改正になりまして、27年の1月1日以降、亡くなった方に対して施行されるという状況になり、私依頼者から、「相続税が改正になりましたね、どうなりますか。」というようなことで御相談を受けます。まだ実数がさほど多くはないかと思いますが、基礎控除額が縮小されたとか、そういったことで、どの程度件数が増えたのか、あるいは相続税額が増えたのか、資料をお持ちであれば教えていただければと思います。
課税部長
課税部長の川嶋と申します。お答え申し上げます。課税ベースの拡大ということで基礎控除が引き下げられた、そういった影響で申告件数がどれぐらい増えているのかということかと思いますけれども、現在私ども精緻な数字は持っておりませんので、確たることは申し上げられませんが、現場の話を聞いていますと、やはりかなりの数が増えていると。
ちょうど制度改正のときに、機械的な計算でなされたのが1.6倍とか、それぐらいになるんじゃないかというような話は制度官庁の方から伺っておったわけですけれども、それぐらいか、あるいはそれ以上ぐらいになっているんじゃないかというのが感覚的な感じでございます。
大体そんなところで、ちょっと今、確たることが申し上げらなくて申し訳ございません。またまとまりましたら、いずれ申告件数等の整理を記者発表することがございますので、そういったところで公表していきたいなと考えております。
会長
そろそろ予定されていた終了時刻になってきているんですが、何かほかに御意見、御質問ありますでしょうか。よろしいですか。
それではこのあたりで質疑応答は終了させていただきます。
本日の議題は以上のとおりになります。本日の議事要旨及び議事録の公開につきまして簡単にまとめさせていただきますが、こちらにつきましては、国税審議会議事規則第5条第2項に則りまして、まずは簡潔な内容のものを議事要旨として公表いたします。そしてその後、議事録は完成次第公表させていただくという手順になっております。
なお議事録につきましては、公表前に皆様の御発言内容に誤りがないかを確認させていただきたいと思います。議事要旨の内容につきましては、会長一任ということでお認めいただけますと有り難いんですが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
会長
どうもありがとうございます。
それでは、これをもちまして第17回国税審議会を閉会とさせていただきます。
――了――