島上委員
 二国間のAPAについては、産業界も大いに利用しております。これにより、予測可能性の確保と、もう一つ、後になって課税されるという後発リスクの削減ということも非常に大きく、そういう意味で大変感謝しておりますし、これからも大いに使っていきたいと思っております。
  ただ、これからの検討といいますか、考えていただきたいことは、事業経営が非常に国際化・複雑化しておりますので、日本を絡まない取引というのが出てきているわけです。それにどう対応していただけるのか、例えば、アジアの国で製造してアメリカで販売するといった場合に、アメリカで移転価格がおかしいと言われたときに、これは当然、アメリカとその対象アジア国との問題ですが、日本の親会社としては、これは何とか片づけなければいけないというときに、何とかサポートしていただきたいという気持ちがございます。
  それから、もう一つは、御指摘のことでもありますが、アジアの国が、まだ、無形資産の価値というのをなかなか認めません。ここで御指摘いただいたグループ内の役務提供取引であるとか、あるいは技術指導料というようなものに対して、なかなか税の計算において認めないということがあります。これは、御指摘のOECDアウトリーチ活動になるのか、どういう活動になるのか、やはり、税の考え方の統一についての御尽力をお願いしたいと思います。

会長
 ただいまの島上委員の御発言に対して、青山審議官から何かございますか。

青山審議官
 今、2点、御指摘をちょうだいしました。
 一つは、商流が日本の本社を通らなくなったときに、例えばアジアとアメリカの間で、関連企業同士の取引について日本の本社が何かかかわれないかという御指摘でございます。これは、その取引が、例えば本社が直接商流にかかわっていなかったとしても、その取引に係る、例えば特許権ですとかノウハウの無形資産の回収が、例えばアジアの製造工場から日本に来ている、あるいはマーケティングのノウハウのための使用料がアメリカから日本に来ているといったことがございますと、結局、3カ国がかかわった取引の所得配分というふうに構成できます。そうすると、相互協議が基本的には租税条約に基づいて、バイ、二国間で行うのが基本ですが、先ほどのグローバル・トレーディングと似たような状況というふうに構成して、相互協議も3カ国以上で関係者が集まって行うという方策があります。
 それから、もう一つ御指摘のありました、アジアの国の無形資産についての認識の薄さ、あるいは役務提供等についての対価の認識の薄さ、こういったものは、本当に委員御指摘のとおり、まずはアウトリーチ活動等を通じて共通ルールを、特にOECDの共通ルールを知ってもらうということなのですが、一つ、最近の進展としますと、中国がOECDのオブザーバーとして非常に積極的に参加し出しました。
 それから、つい最近ですが、インドがOECDにオブザーバーの申し込みをしたということを聞いています。やはり、アジアの国々も、そういった先進国の基準を自分たちが取り込まないと、投資を自分の国にきちっと受け入れて税務上の処理ができないという問題意識を持っているというのが、一点あると思います。 それから、そういったアプローチに加えて、OECD側もアウトリーチ・プログラムのミッションを、毎年、増やし続けております。それから、日本もその中で、OECDの一員としてもそうですが、二国間で、先ほどおっしゃったような無形資産についての課税手法の問題ですとか、こういった知的支援を積極的にやっております。こういったものが功を奏していけば、徐々に地盤が変わってくるのではないかなというふうに思っております。

島上委員
 どうもありがとうございました。

会長
 そのほかに御質問等はございませんか。

北村委員
 消費税の滞納整理状況のところでお伺いしたいのですが、これによりますと、翌年度以降さらに厳正な滞納整理を実施するものが、パーセントとしては0.8%という形で低いのですが、金額にしますと773億円、これは1年間だけですからずっとこれが累積されていくのではないかと思うのですが、このうち実際にとれないのがどのぐらいで、あるいは、全くとれない状況になるということはないと思うのですが、どのぐらいの割合が最終的に、回収と言うとおかしいのですが、要するに貸し倒れになるのはどれぐらいなのか教えていただきたいと思います。

徴収部長
 今、手元に数字がないのですが、消費税は、ある意味、売上げがあると赤字でも発生してしまいます。例えば典型的な例は、今日倒産したという会社でも、昨日まで売上げがあれば、消費税がかかります。したがって、残念ながらというか、仕方がないのですが、消費税はどうしても最終的に全額が国庫に入る前にそういうような状況があって、言ってみれば、今御指摘の言い方にすれば、貸し倒れというか、なることはございます。大体、平均的に見て、今、私の頭の中の雑駁な数字で、滞納となったもののうち、0.5%ぐらいになるかと思います。ただし、これは、国際的に見てもかなり低い方でございまして、そういう意味で、今のところ、日本はまだ頑張っていると。税率が低いせいかもしれませんが、世界的に見てもやはり1%をむしろ超えるような国が多くて、そういう意味では、今言ったような消費税の特質があるので、回収努力をいたしておりますけれども、他方で倒産した会社からそれ以上どうやってとるのかというのは実際問題としてございます。ただ、偽装倒産とかそういうのがないように、引き続き頑張っていきたいと思っております。

会長
 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ、お出しいただきたいと思います。

会長代理
 岡本審議官にちょっとお聞きしたいのですが、産地指定が行われた後の行政の対応といいますか、そういうのは特に、何かあるのでしょうか。

岡本審議官
 先ほどもちょっと申し上げましたが、第1号として清酒については「白山」というのが挙がり、それからあわせて、しょうちゅうについて「薩摩」というところから出てきて、特に清酒について広げていただいたものですから、できれば第2号、第3号というのでしょうか、地域の地場の清酒の振興という観点からも、それに次ぐ産地指定の候補が出てくるといいと思っております。
 それは、ただ、これは強制でも義務づけでもないものですから、地元、各地域の地場の清酒メーカーの方々が自分たちなりの基準をつくり、それで、じゃあ、まとまって地域ブランドを確立していこうという動きが自主的に出てこないと、やはりうまくいかないものですから、そういう意味では、まず地場のメーカーが集まり、共通の認識で、よりいいものを共通のブランドとしていこうという動きをなるべく支援をしていくことを、我々の一つの、こういう制度をつくっていただいた後のフォローアップとして行っております。
 幾つかの地域ではそういう動きも出てきているのですが、むしろそれは大醸造地よりも比較的小ぢんまりとした地方の地場の清酒のまとまりぐあいの方がいいわけですが、なかなか、完全に白山――これは5社ありましたが、このように必ずしもすぐにうまくまとまるというふうにいかなくて、いろいろ中で議論をしているという状況にあります。ただ、そういう動きは幾つか全国でも見られております。
 それから、あわせてですけれども、そういう地理的表示というものを消費者に対するPRといいますか、適正な情報という意味でも推進しているのですが、一つには、国際的に見ても、国酒である日本酒というのでしょうか、清酒の振興につながるようにという意味で、地理的表示があればいいんですけれども、なくても、やはり日本でつくったいいお酒を積極的に海外、国際的にも認知してもらおうということで、これも国税庁が必ずしもすべてできるわけではありませんが、業界が、狭い国内のマーケットだけではなくて、国際的にも目を向けてもらうような方向に、できる限りの音頭取りをさせていただいているというようなことはございます。

会長代理
 ありがとうございました。

会長
 それでは、~津委員、どうぞ。

~津委員
 すみません。ちょっと二つほど。
  17年度は消費税の納税者が180万件ぐらい増え、確定申告の方も団塊の世代のリタイアというのが出てくるので、これからしばらくはまた増えていく。それから、消費税率もそのうちアップするだろうというようなことをいろいろ考えていくと、国税業務というのは、かなり、これから先、楽になるような状況は訪れないというふうに思うのですが、その中で、コールセンター業務などのいわゆる外部委託のような形であるとか、いろいろあります。セキュリティーと業務が非常に煩雑であるという中で、こんな心配を私はする立場ではないのかもしれないのですが、大丈夫ですかね、という感じが少しありまして、もし、その辺について何かあればお願いいたします。
 もう一点は、地理的表示のことなのですけど、まだ何となく・・・、一般的に、よく、ボルドーの話をされるとすごくよくわかるのですが、お酒が一体どういうふうに、というのは、川の問題とかお米の問題とかお水の問題とか、いろいろなことがあるので、どうも一般人の方にはまだちょっと、そのイメージがなかなかわかない。その辺のところにもう一工夫ないと、何となく、ブームじゃなくてもいいんでしょうけれども、そういうものをつくるためにはもう一仕掛け必要なんじゃないかなという気がしているという、この2点です。

長官
 1点目につきましては私の方から、2点目は岡本審議官の方からお話しさせていただきたいと思います。
 現在の税務行政を取り巻く環境というのは、まさに~津委員のおっしゃるように、少子高齢化やグローバル化が進む中で、申告者数、申告件数の増加が見込まれているとともに、調査や滞納整理等の事案も複雑化・困難化しているなど、非常に難しくなってきております。
  また、今日の新聞に、国家公務員の総人件費を縮小するために、国税を含みます政府全体の定員について、5年間で5%以上の純減を図っていくという記事が載っておりましたが、今後は、リソースについても非常に限られたものにならざるを得ないということになってきております。一方では仕事が増える、また一方ではリソースは限られてくるということで、いずれにしても非常に難しい状況だと思っております。
  このような状況の下で、結局私どもがやっていかなければいけない事は二つありまして、一つは限られたリソースを最適配分していくということです。分かり易く言えば、めり張りのある税務行政を行っていくということで、職員でなければできない仕事、例えば税務調査とか滞納整理は職員でやっていき、職員でなくてもできる仕事は、今お話にもありましたが、極力、アウトソーシング化するかとか、これには予算の制限があり、無限にできるわけではございませんが、そういう形でリソースの適正配分を図っていきたいということです。
 それからもう一つは、やはりITでございます。国税の仕事だけではなく、すべての仕事について言えることだと思いますが、もう、ITを抜きにしては語れない時代だと思っております。したがって、ITを使いながら、事務の効率化を図っていくと同時に、納税者サービスや納税者利便の充実も図っていくこととしております。その中におきまして、確かに、ITと言うとセキュリティー面の問題があります。昨今、個人情報の管理が非常に重要視されておりますので、特に個人情報に関するセキュリティー面については、慎重に考えていく必要があると思っております。
 以上が、今私どもの問題意識でございます。

岡本審議官
 ~津委員の御指摘はごもっともでございまして、それに対して明確に回答できればそういうのをやっているのですが、なかなか試行錯誤が続いているものですから、お答えにはならないのですが、一つそういう例が出ましたので、なるべくそういう代表例、第1号をPRしていく中で、そういう、どこどこ産のお酒、どこどこ産の蔵のどこどこでつくったお酒というような、消費者にもう少しお酒を全体として知ってもらうということを、我々も、もう少し消費者に対する情報提供ということを考えていかなければいけないのだろうというふうに思っております。
 そういう中で、今回の白山についても、結果的には昨年末から今年にかけて、指定がなされたことで、地元もそうですが、結構、全国紙でもこういった動きについては取り上げられたりしております。それから、やはりしょうちゅうもそうですが、清酒についても、その地域や地域の蔵の特色を最近は結構いろいろな雑誌とか新聞とかで取り上げてくれるようになってきておりますので、その辺をうまくPRの材料に使っていかなければいけないのかなと思っております。
 もう一つは、分科会での議論のときにもありましたけれども、今ある、例えば清酒のラベルというのは非常に製造技術的な難しい表示がいろいろあるのですが、そういった中にまた産地表示が付け加わることについて、ますます混乱してしまうのではないかという御意見もあったように思います。その辺はむしろもともと今の製品の表示ということについて、もう少し消費者サイドから見てわかりやすい表示にしていく、そういう中でどこ産のお酒とかというのが、もう少しわかりやすくメインの情報として表示できるようにしていくということも、我々としてもう少し見直しをしていかなければいけない分野だろうと思っております。

徴収部長
 ちょっと一つだけ。

会長
 どうぞ。

徴収部長
 コールセンターは、アウトソーシングではなくて、一応、滞納情報というのも、かなり微妙な、デリケートな情報がたくさん入っておりますので、国税組織の中でやっております。

会長代理
 一つよろしいですか。

会長
 どうぞ。

会長代理
 納税者にとって、例えば自動振替で納税するとどういうメリットがあるのか。それから、e−Taxでやるとどういうメリットがあるのか。減税というわけにはいかないでしょうけれども、実際に毎年、確定申告のあとに納税するときは、私などは2回に分けて、納めさせていただき、5月ぐらいに最終的には口座から引き落されるのでしたか、自動振替の場合は。

徴収部長
 4月下旬です。

会長代理
 4月でしたか。助かるんですね、あれは。ですから、何かそういうe−Taxとか自動振替について、納税者に何かメリットがあるといいのですが。そういうのは、もちろんお考えでしょうけれども、それがちょっと納税者にはわからない、ということはあるんじゃないでしょうか。余計なお話かもしれませんけれども、いかがでしょうか。

徴収部長
 よろしいですか。口座振替の場合は、今ちょっとおっしゃったように少し期限の利益がございまして、3月の、例えば15日とか、消費税ですと3月31日が納期限なのですが、口座振替の場合には、そこで確定した税額を税務署の方から金融機関に連絡して、そして金融機関の口座から落としてもらうという手続がかかりますので、結果的に実際に引き落とされるのが、本来の納期限よりも3週間から4週間ぐらい後になります。したがって、それだけキャッシュがしばらく納税者の手元に残ります。今、金利がほとんどないので余りあれかもしれませんが、そういう副次的なメリットはございます。もちろん、一番大事なことは、つい納期限を忘れて、そして延滞税が後でつくとか、そういうようなデメリットを確実に避けるということが一番大きいと思います。
 それから、電子納税になりますと、今言ったような期限の利益はないのですが、そのかわり自分が幾ら払うかということを認識して、それを電子的に行うことができるということだと思います。

課税部長
 それから、e−Taxの申告の方でございますが、メリットとしては、もちろん、税務署に足を運ばなくても自宅から申告できるということなのですが、例えば、特に法人の場合などには、消費税などは毎月申告、あるいは源泉所得税についても毎月納付というふうなケースなど、そういう定期的にやってくる手続については、これはかなりメリットが多うございます。徐々にその辺、法人の方、納税者の方には御理解を得て、増えていっているところでございます。
 それからまた、これは個人の方でもそうなのですが、e−Taxの申告のところはオープンにしていますので、民間の会計ソフト、その中にもe−Taxの申告を組み込むという商品もたくさん出ております。したがって、日常の会計データの作成をそのソフトでやっていますと、もう、最後のところで自動的に近い形で申告の格好ができ、そして直接送信できる、というふうなことも、そういう意味でペーパーレス化といいますか、省力化のメリットがあります。それからもう一つ、納税証明書というのは、特に入札等で受注される企業の方などには、自治体に何枚も、かなり、数十枚とか数百枚とか、そういうレベルで用意しなければいけないというふうな、そういうふうなのも電子データで納税証明書というのも発行していますけれども、それですと、1回取得すればそれを複製する形でできるようになる。そういうことで、個人の申告の方にとっては1年に1回ですので、もうひとつというところもあるのかもしれませんが、それでも、やはり寒い中、混雑する税務署に足を運んでいただくよりはというメリットがあろうかと思います。
 私ども、なかなか、思うように普及が若干まだ進んではいないこともあって、e−Taxの申告のアンケートをとったのですが、結果で見ますと、昨年の3月から5月の結果なんですが、昨年の申告でe−Taxを利用しなかった理由という中で一番多いのが、自治体窓口での電子証明書の取得に手間と費用がかかる、というものでした。基本的に、個人の申告の場合は、いわゆる住基カードをとってそこで認証、電子証明書を入れるというのが一番簡単な方法です。それでも、自治体の窓口へ行って、そこで本人確認を受けて、それで即時発行の自治体もありますが、場合によっては本人確認を厳重にするために、再度行く必要があるとか、そういうケースもあります。ちょっとそこのところが、先ほど~津委員御指摘のように、セキュリティーをかなり厳重にしたわけですね。通常、皆様ほかの局面ではIDとパスワードでできたりするのでしょうが、そこはやはり個人の申告という重大なプライバシーがあるということで、厳重にした分、まだ、住基カードが日本全体でも30万から50万ぐらいしか発行されていないというところで、その普及との並行があるかなと。
 また、それに絡んでの話ですが、今度はパソコンで使うためにカードリーダーが必要で、かなり今価格が下がりまして、1,500円ぐらいから2,000円ぐらいになっているのですが、それを買いに行かなければならないのですが、行った電気屋、量販店には売ってなかったとか、そういったことで利用しなかったというのが、その次でございます。
 そういう意味で、最初にお使いいただく際のハードル、つまり、ソフトが使いにくいだとか、メリットがいま一つというよりは、まず一番最初にそこのハードルを何とか越えられないかということで、私どもそうは申しましても、添付書類についてもできるだけ簡素化した方がメリットというものが目に見えてくるといったことで、そういう検討も引き続き行っております。

会長代理
 実際には、インターネットで申し込むと、例えば、旅館でも本でも、みんな安くなるわけですよね。かなり安くなる。特に外国はすごいですよ。私もインターネットでホテルを予約しましたけども、大分安かった。ということを考えると、何かないかなという・・・。

課税部長
 これは制度の話になりますが、例えば、電子申告を利用すれば電子申告控除というふうな制度を設けてはどうか、そうしたら普及するではないかという、御意見もいただいてはおります。これは制度の話ですから、主税局のことですが、ただ、やはり、パソコンを持っている方は税金が安くなって、そうでない方は高いというのが、果たして平等と言えるか、日本の風土の中で受け入れられるかという問題もあろうかと思います。

会長代理
 ありがとうございました。

会長
 どうぞ、田嶼委員。

田嶼委員
 すみません。余り幼稚な質問なので、手を挙げようかどうしようかと思っていたのですけど、勇気を出して伺いますが、資料3の3ページ目に消費税の滞納状況というのがありますが、私、どうしても消費税がなぜ滞納になるのかわからないのです。
 私たちが収入を得て確定申告するときなどに、滞納が起こるというのはわかるのですが、税金を払うルートを変えれば、消費税の滞納は起きないんじゃないかと思うのです。お支払いするときに、本を買った、何かを買ったというときに払ったお金が、消費税は別のルートですぐ国に届くようにすれば、滞納というのは起きないのではないですか。どうしてこんなにたくさん滞納が起こるのでしょうか。

会長
 これはどなたから。

徴収部長
 よろしいですか。消費税を毎日毎日預かった分から必ず何らかの形で抜き取れるような仕組みがあればよろしいのかもしれませんが、お客さんからもらっても、今度は自分が仕入れた分の控除を差し引いて、差額を税金として納めるという仕組みですので、例えば1,000円の買物をして消費税が50円ついても、仕入れが800円なら自分が40円、前払いしているわけですね。ですから、その業者にとっては、差額の10円だけが納めるべき税金になります。ですから、1,050円で売ってお客さんから50円もらっても、50円を丸々税務署に払うという仕組みにもともとなっていないわけです。40円は仕入れで払っている、消費税を前払いしていますから。
 そういう意味では消費税というのは、お客さんが、目の前で見ている人に私は50円払いました、この50円どうなったんですかと聞いたときに、50円が税務署に行くのではなくて、50円のうち、仕入れで前払いした40円は、今度は業者をさかのぼっていくわけです。

田嶼委員
 物すごく細かい計算になるということなんだと思うのですが、でも、幾つかカテゴライズして、その割合を決めてしまえば、もっとシンプルに徴収できるのではないかと思ったのです。これを調査し徴収するための経費といいますか、その分が大変だと思いましたので。どうも失礼いたしました。

徴収部長
 いえ。

会長
 よろしいですか。
 では、藤田委員どうぞ。

藤田委員
 いいでしょうか。地理的表示に関する表示基準の問題なんですが、例えば、東京で嗜好品として人気があるのは、新潟のお酒がよく言われます。新潟県の場合だと、新潟産の米で仕込んだ場合に、1俵当たり3,000円から4,000円、高いと言われています。ですから、新潟の蔵は、純米酒とか吟醸酒とか、付加価値をつけて売るような工夫をしています。今度はその逆で、例えば白山、石川とか福井、あの辺でとれる五百万石という好適米がありますが、富山でも同じような米が当然とれるわけです。そうすると、どこでつくった、原料はどこであるというようなことからの表示基準。そうすると、例えば五百万石という好適米を使って、その石川県でなくても、福井でとれるのも富山でとれるのも、ほぼ同じだと思うのです。そこら辺のことは、審議官、どうなんでしょう。

岡本審議官
 今おっしゃられたところで言いますと、原料のお米を、例えば白山について言うと、地元でとれたお米でなければならないというところまでは決めていないわけです。

藤田委員
 そうなんですか。失礼しました。

岡本審議官
 先ほど一緒に申し上げました薩摩のいもしょうちゅう、これはさつまいもということで鹿児島県産のさつまいもを使いなさいというのは自分たちで決めて、それで表示基準にしましたが、清酒の方は、確かにおっしゃるように、なかなか、地元といいますと、かえって品質が落ちてしまうかもしれません。山田錦とかは、ほかから持ってきた方がいいわけなので、白山についても、いわば地元の水を使ったというのは最低限地元との関連でありますし、仕込み方について、ある程度きちっとした仕込み方というのは書いてあります。それから、お米をどのぐらい精米しなさいとかというところまでは書いてありますが、そのお米はどういうものでなければならないというのは、最低の基準はつくっておりますが、酒造好適米のどこどこのとか、地元産というところまでは……。

藤田委員
 現状はないということですね。

岡本審議官
 それを縛ると、多分やっていけないと思いますので、そういう心配はございません。

会長
 それでは、予定の時刻も過ぎましたので、本日はこのあたりとさせていただきたいと思います。
 なお、本日の議事要旨及び議事録の公開につきましては、まず、簡潔なものを議事要旨として公表させていただきまして、議事録は完成次第、公表したいと思っております。
 議事録につきましては、公表前に皆様の御発言に誤りがないかどうかを確認させていただきたいと思いますが、議事要旨の内容等につきましては、会長一任ということで公表させていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

会長
 どうもありがとうございました。
 では、これをもちまして、第8回国税審議会を閉会させていただきます。皆様、どうもありがとうございました。

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