日時: 平成16年9月22日 10:00〜11:40

場所: 国税庁第一会議室

出席者:

懇談会メンバー   奥村 洋彦 座長
    田中 利見 座長代理
    井岸 松根
    田嶼 尚子
    寺沢 利雄
    本間千枝子
    矢島 正見
    山下 友信
説明者 国税庁   岡本審議官
    小鞠酒税課長
    濱田鑑定企画官
    亀井酒税企画官
    井澤課長補佐
    前田課長補佐
    土屋課長補佐
    永田課長補佐
    竜崎企画専門官

村座長
 それでは時間になりましたので、開催させていただきます。
 本日は第21回の酒類販売業等に関する懇談会でございます。
 最初に、国税庁の方々に人事異動がございましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。

井酒税企画官
 それでは、人事異動につきまして御紹介させていただきます。順を追って御紹介します。
 まず私からでございますけれども、前任の若尾の後任で、亀井と申します。酒税企画官を拝命いたしましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

澤課長補佐
 小森の後任の井澤でございます。免許の担当をしております。よろしくお願いいたします。

田課長補佐
 亀井の後任の永田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

崎企画専門官
 本宮の後任の竜崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

村座長
 それでは議事に入りたいと思います。これまでヒアリングを何回か重ねてまいりまして、前回はそのヒアリングの整理をしたところでございますが、本日は、8月から9月へかけまして海外へ御出張をいただきました田中先生、山下先生を中心に海外の事情を御報告いただいて、御検討をいただきたいと思います。
 資料が幾つか机の上に乗っていることかと思いますので、資料の御案内をしていただけますか。

井酒税企画官
 本日の資料につきましては、第21回懇談会と書いてございます封筒に、議事次第と一緒に入っております。A4判のヨーロッパの出張報告というものでございまして、本日はこちらのパワーポイントの資料に基づきまして、田中先生、山下先生の方から、お手元のパソコンを使って御説明いただけることとなっております。
 資料の説明は以上でございます。

村座長
 ありがとうございました。なお、8月1日から10日まで、アメリカ、カナダへ岡本先生、寺沢先生に御出張いただいておりますが、本日は岡本先生の御都合もございますので、最初に、8月25日から9月3日まで御出張いただきました田中先生、山下先生を中心に、まずヨーロッパの実態調査に関する検討をさせていただきたいと思います。また後日、アメリカ、カナダについて同様に会合を持ちたいと考えているところでございます。
 それでは田中先生、山下先生、よろしくお願い申し上げます。

下氏
 それでは、約1時間の報告ということを予定しておりますが、私がざっと全体について報告させていただきまして、そのうち、特にマーケティングに関しては御専門のお立場から、田中先生に最後の10分ぐらいお話しを伺うという予定でおります。
 お手元の画面を御覧いただきたいと思います。10日間の予定で、まずそこにあるような4カ国、10カ所を訪問してまいりました。
 実際に行った順序とは違うのですが、全体の流れからいたしまして、まず欧州委員会でのヒアリングの結果について、最初にお話ししたいと思います。
 ここで訪問しましたのは、ルクセンブルグにある健康消費者保護総局で、そこのアルコール政策関係の仕事をしている部門でございます。そこで最初に、EU全体で今どういう状況なのかという質問をしたところ、EU加盟国を見ると、アルコールに対する規制であるとか、あるいは国の政策というのは、各国の社会、文化が、非常に大きく違うので、やはり規制や政策というのも様々であるということでした。例えばということで、北欧諸国では、アルコールというのは国の専売であるというようなことを言っておりましたので、どちらかというと厳しく、それに対して地中海諸国の方は非常に自由な雰囲気があるという、その辺非常に大きな違いがあるのだというふうなことです。
 ただ、その中でも共通して近ごろの問題点として挙げられるところとして、一つが、後ほどまた御説明いたしますが、「アルコポップス」等、甘くて飲みやすいお酒がはやっていて、それが若年者層の飲酒を促進しているという問題であるとか、あるいは飲酒に起因するドメスティック・バイオレンスの問題などがすべての国に共通してあるのだというようなことが最初に話されました。
 次のページへ移りまして、それでは、EU全体で何かそういうアルコールに関する問題に対して統一的なルールをつくるということをやっているかということになりますと、「健康消費者保護に関する分野」では、拘束力のある統一立法というのは、EUのルール上できないのだそうです。これはなぜかと考えると、恐らく、最初に申しましたアルコールに対する考え方、これは文化の違いも反映して、国によってばらばらで、こんなものを統一するのはなかなか難しいということによるものではないかと思います。ただ、何もしていないかというと、そうではなくて、2001年6月に理事会勧告というものを出しておりまして、これによって各加盟国がアルコール問題に対して一定の政策を取るよう勧告を出しているというわけであります。その内容は次にまとめられているとおりでございます。まず、欧州委員会の役割といたしましては、関連するデータを収集して共有する。情報交換・対話によって勧告が各国でどういうふうに履行されているかをモニタリングして、それを促進していくというようなことをする。あるいは、この勧告採択後、4年以内に各国がどういう政策を取ったかということの報告を受けて、そしてこのフォローアップを実施していき、それに基づいて現状の評価・監視を行って、必要であれば次の方策を講じることとしています。これは後ほどまた述べるところでございます。
 それから、業界への要請といたしましては、未成年者をターゲットとした酒類を製造しない、未成年者飲酒を誘発するような瓶とかパッケージ等のデザインをしない、販売者等に対して未成年者の飲酒防止に関する研修を行うなどのことがあります。
 各加盟国政府に対しましては、酒類の不正販売に対する厳正な対処、特に年齢確認を実施するようにすること、また、酒類に関する啓発資料等を親へ提供すること、酒類関連問題の調査研究を促進すること、法の執行機関、メディア等のあらゆる面で問題へ対応をするようにすることなどを求めているというわけでございます。
 このような勧告に基づいて、各国がそれぞれ対応の違い、内容の違いはあるのかもしれませんが、どういう対応をしたかということの報告が行われることになっておりまして、それに基づいて、EUとしては酒類に対する包括的な戦略を打ち出すことを検討したいということでした。特にターゲットとなる課題としては、飲酒の開始年齢で、これは各国によって違いますから、それを統一するとか、あるいは場合によっては上げ下げするというようなことが含まれるのだろうと思いますが、そういう問題であるとか、特に飲酒運転対策、それから酒類についての警告表示等の問題であるという話でありました。
 こういう問題について、委員会自体、加盟国業界、それからNGOというものがそれぞれ役割を果たしていくべきなのであって、どういう役割を果たしていくべきかなどについて、2005年の早い時期には報告書にまとめて公表したいというようなことを言っておりました。これはやはり、担当者としてはこういう方向でいきたいということであって、それがストレートに実現できるかということになると、必ずしもそうではないのだろうと思いますが、担当者としてはかなり積極的な対応をしたいという話をしておりました。
 それから、特に警告表示の点でございますが、これも最初に申しました健康問題に関する分野では、EUで統一ルールというものができないということですから、酒類のアルコール表示の成分であるとか、あるいは健康に対する危険性とか、そういう表示についてEUで統一ルールをつくるという形で実現するというのは、それ自体はできないことなのだそうです。ですが、これを域内市場の問題、つまり域内全体を一つのマーケットとして考えるなら、各事業者が事業活動上服するルールというのは統一されていないといけないというので、そういう問題として捕らえれば、一種の広告宣伝の規制ということになるかと思いますので、それならば法規制も可能となるわけです。例えばたばこの警告表示というのは、このような考え方から、域内市場の問題として各国で共通に行われているわけです。しかし、アルコールが同じかどうかということになると、これはまた直ちにはそうは言えないということではないかと思います。欧州委員会では1人の担当者だけにお話を伺ったのですが、大体そういうような内容でございました。
 続きまして、イギリスの状況でございます。まず、全体的にお酒に対してどういう状況かというと、イギリスというのはビールの国であったのが、最近はワインの消費が非常に増えているそうです。一種、シビライズドされた状態になっているというふうな言い方をされたことがあります。ビールについても、度数を増す傾向があるというような最近の変化について話をしていました。ビール&パブ協会などの話では、パブというものの性格も変化して、昔は肉体労働者が酒を飲む場所であったのが、だんだん日本でもそうだと思いますが、それだけでははやらなくなるということで、例えばオープンな雰囲気にして食事を出したり、家族あるいは女性にフレンドリーな雰囲気を演出したりという傾向の変化があるのだということで、言ってみれば、お酒を飲む層が広がっているということだろうと思います。そのような一般的な状況がございまして、そこで法律面ではまずどうなっているかというと、酒類販売業者の免許制度を定めております免許法、「ライセンス・アクト」というのが、これまで1964年法であったものが、2003年法というものに全面改正されまして、これが来年の2005年から施行されるという状況ということであります。
 法律は変わりましたが、酒類の販売業について免許制度であるというのはこれまでと変わらないわけですが、目的が多少広くなりまして、1964年法では、社会秩序を維持するというのが目的でした。ところが、2003年法では、犯罪・騒乱の防止、公共安全あるいは公共の迷惑行為の防止、それから未成年者の保護に広がっているということであります。
 一番大きく変わったのが、免許を出す主体です。これまでは「免許委員会」というものが出していたのですが、その委員会に属していたのは、治安判事、「マジストレイト」で、一種の地域の裁判官、日本で言えば地方裁判所と簡易裁判所の間みたいなイメージじゃないかと思いますが、そういうところの裁判官が出していました。これは我々から見ると非常に奇妙に映るのですが、歴史的にそういう裁判官が一部行政的な機能を果たしてきたということではないかと思いますが、この「マジストレイト」から、新法では地方議会、「ローカルカウンシル」というものに主体が移行しております。議会が免許を出すというのは、これもまた非常に奇妙に映るわけですが、多分日本の行政と立法との区別とは若干その制度が違っていて、議会が少し行政的な機能を持つということから、こういう制度になっているのではないかなと推測しております。
 そういう免許の付与基準の中でアルコールを販売してはいけないような場所があるわけですが、これについては実質上現行どおりで、例えば高速道路の休憩所であるとか、ガソリンスタンドであるということです。ただ、ガソリンスタンドでもいろいろな物を売っているようなコンビニエンスストア的な店の場合は別だと言っておりました。ただそういう場所であるとか、あるいは酒酔いをした者が歩き回ったり暴れたりすると困るような公の場所などについては、自治体がさらに制限ができるというようなことであります。
 それから、販売時間の制限が非常に大きく変わりまして、1964年法では、時間というものが制限されていたのが、この新法では、24時間、年中無休というものも可能になったという規制緩和が行われているということで、この点は後ほどまた少し説明申し上げます。
 次のページへ移っていただきまして、まず、未成年者に対する販売というものがどういう状況かと申しますと、18歳未満の者への酒類の販売提供というものを禁止し、それから18歳未満の者による酒類購入も禁止しています。だから、売る方も買う方も、どちらもいけないというのが1964年法に規定されていたところでございます。これは新法でも維持されまして、さらにそれに加えて、16歳未満の者が18歳以上の者に同伴されないで酒類の提供関係施設へ立ち入ることも禁止するとか、18歳未満の者による酒類消費のための代理購入の禁止とか、かなり細かく未成年者がアルコールにタッチする行為を明示して禁止するというように規制が強化されているようであります。
 これまでは、未成年者のお酒の消費に関する規制というのは、非常に古い、中世ぐらいからの規制の積み重ねで、例えばパブの中では飲んではいけないけれど、外のガーデンに持っていったらそれを禁止する規定はないとか、いろいろアンバランスなところがあったらしいのですが、今回はそういうものを一斉に禁止行為として、法律上明文で書いたということのようであります。
 それから、以前にこの懇談会のヒアリングでもお話に出ていたことかも知れませんが、これとは別に、1997年の「酒類没収法」というものがあって、これは公共の場で飲酒をしていたり、あるいはアルコールを所持していたりするような未成年者から、警察がアルコールを没収できるというような、そういう権限を付与する法律があります。
 こういう禁止規定が以前からあるわけですが、実態の話を聞くと、警察はそれほど熱心でないというのがいろんなところで聞いたような話で、規定はあってもなかなかそれを監視して摘発するというのは、実際上非常に難しいということのようでございます。
 2003年法の中に、警官が未成年者をしてアルコールを買わせた場合には、この未成年者による酒類購入の禁止規定の適用を除外するというような規定があって、何のことだろうと思ったら、早い話が、おとり捜査に子供を使ってもいいということを条文で明文化しているということなのです。そういうことでもして、抜き打ちでやらないと、なかなか実際の摘発は難しいということのようであります。
 健康政策を担当している分野の方からは、もっと取り締まりを強化しろというふうな声もあるというようなことも言っておりました。
 それから、未成年者が自動販売機でお酒を買うと実質上脱法になりますが、自動販売機による販売それ自体は禁止されておりません。年齢確認をしないで、万一未成年者に売った場合には犯罪行為になりますので、実際上、年齢確認をせざるを得ない。ところが、免許を受けている店の中とか、そういうところ以外に自販機を置くと確認ができないので、事実上、そういうことから自動販売機による販売は行われていないという説明でございました。
 それから、未成年者に限りませんが、アルコールを飲んで暴れ回るというようなことについてのいろんな対策というのも考えられております。これも以前のヒアリングでもお話に出ていたように議事録から記憶しておりますが、例えば2001年に制定された「クリミナルジャスティス・アンド・ポリス・アクト」というものです。これによって公共の場所で飲酒をして騒いでいるような場合には、警官がそれについて禁止する命令を出せたり、1964年法を改正して、アルコールを飲んで騒乱状態になるような店舗に閉鎖命令を出せるようにしたり、そういう行政的な権限を強化しております。
 それから、2003年、「アンチソーシャル・ビヘイビア・アクト(反社会的行動法)」というものが制定されています。これは、特に麻薬類を売買しているような建物の閉鎖命令を行政上出せるとか、性的犯罪者から社会を守るとかということが主たる目的の法律のようでありますが、その中で、やはりお酒を売っているような場所で大騒ぎがあって、公共的に迷惑をかけるという場合には、やはり閉鎖命令の対象となるとか、そういう規制も行われているというようなことであります。
 あと、広告規制については、後ほど田中先生からお話があるかと思いますが、「英国広告規約」というものによりまして、業界の自主規制が行われております。その内容は、そこに書いてあるようなことでございます。
 これらが全体的な状況でありますが、訪問した個別の機関等での話から注目すべき点を幾つかピックアップしたのが、次のところでございます。
 まず、文化省の文化メディアスポーツ局というところで、2003年免許法、「ライセンス・アクト」の立法を立案したというところでございます。その立法趣旨についての話を伺うことができました。免許を出す主体が地方議会に変わったというのは、先ほど申し上げたとおりであります。これは一種、住民の自治というものを尊重しようという趣旨も含まれているようでございまして、この2003年法では、例えば免許をどういう基準で付与するかということは法律自体には何も書いてありません。それではどういう基準で出すかというと、この免許を出す主体である地方議会が、免許基準をそれぞれ定めて、それに従って運用していく。それは要するに、地方ごとに例えば繁華な地域とそうでない地域とでは事情が違うので、その都度基準も違うだろうということのようであります。ただ、地域ごとに全く違った基準が行われてしまうと、これは一つには営業の自由という問題とも抵触してまいりますので、国が免許基準に関するガイダンスを作って、それである程度全国的な統一性が守られるようにしようということを考えているようであります。
 地域ごとに免許基準を定めることができるといっても、この地域は販売業者が多いから免許を出しにくくしようとか、そういうことを考えているわけではありません。これは先ほどの免許法の目的で、犯罪防止とか公共の安全であるとか、未成年者の保護とか、そういう法の目的に即した基準でなくてはいけないということは当然であるということで、ガイダンスというような、冊子にまとめられておりますが、その中でそういうことが特に強調されております。
 それから、具体的な免許の種類でございますが、これまでは、例えばその場でお酒を飲むようなレストランとかバーのたぐい、それから日本でいう酒屋さんのたぐいを分けていたようであります。そういう区別をなくしまして、そこにあります2の「プレミシス・ライセンス」というのが、レストラン、バーにせよ、酒販店にせよ、酒類販売業の免許として統一されているということで、免許の種類としては1種類ということであります。ただ、イギリスですから、クラブというものが伝統的にあるわけで、そういう自治的な組織については多少規制を緩やかにしてもいいだろうということで、それが3の「クラブ・プレミシス・サーティフィケイト」という特別な免許になっているということのようでございます。それから、1の「パーソナル・ライセンス」、これは売り場の責任者のライセンスということで、2の「プレミシス・ライセンス」というものを得るためには必ずこういう「パーソナル・ライセンス」を持った責任者を置いておかなくてはいけないということで、これについては試験を実施しているということです。これまでも実施してきたし、今後も試験を行って、1のライセンスを出すそうでありますが、これまでも大体90%は合格していたようです。外国人が多いので、そんなに厳格なのはできないというふうなことでございました。
 それから、免許基準を出す際には、警察等の関係の行政組織も意見を申し述べることができます。この人はこれまでにこういう悪い売り方をしているとか、そういう情報が提供されるのだろうと思いますし、必要によって免許に条件を付することも可能だということであります。
 続きまして次のページで、先ほど未成年者の飲酒防止の関係では、一応年齢を確認しないと、後で犯罪行為者として捕まるということがあります。実際にどうやって年齢を確認しているかというと、これはイギリスでは国発行の国民のIDカードはないそうでございまして、そういうものによることは出来ません。しかし各種の民間団体がいろいろな年齢確認可能なカードを出しているということのようでして、それを実際には利用しているけれども、いろいろあるので大変だというふうなことを申しておりました。
 そうやって子供が実際にお酒を買ったり飲んだりするということで、イギリスでは子供も捕まるということを先ほど申しましたが、どのぐらい捕まっているのかというと、普通はそういうのを警察が見つけても親に注意、警告を出す程度であって、裁判所に実際に呼ばれるのは30人ぐらいだというふうに、免許委員会では言っておりました。実際それほど処罰が行われているわけではないということではないかと思います。
 それから、最近の飲酒の傾向につきましては、「ビンヂ・ドリンキング」というのがはやって問題だということを言っています。週末に大量の飲酒をすることです。それから、「アルコポップス」というのはEUの各国でも問題となっておりますが、これも1996年ごろからイギリスでは問題化して、自主規制で抑えてきたけれども、新法では、未成年者にはこういうものを売ってはいけないということがより徹底されているという話でございました。
 それから、免許に関連しまして、最初に、旧法では販売時間規制があったけれども、それが新法で廃止されたということを申しました。なぜそういうことをしたのか。これは事業者の方から、規制緩和の要望があったということがあるようですが、それに加えて、こういう販売時間規制、例えばこの地域では夜の11時までとか12時までとかすると、閉店前に今のうちに飲んでおけというので、大量飲酒を助長する。閉店時間が地域で一斉ですから、それが一斉に路上に出てまた騒ぎ出す。どうもそういうことが問題で、販売時間を緩和すれば、営業時間がばらばらになるだろうから、そういう問題はなくなるだろうということですが、それではみんな24時間営業するようになるのかというと、それはそうではなくて、免許に際していろいろ条件が付されるわけで、実態はそれほど変わらないかもしれないということも言っております。
  次のページで、免許委員会というのは、これまで免許を付与してきた「マジストレイト」の団体でございます。ここでは免許を付与するほか、免許を付与した後で違反があった場合に処分をする。その中には、住民からいろいろ苦情が、あの店については問題があるという苦情があって、それによって免許を取り消すとか、そういう場合の裁判をするというようなことを権限としてきたところであります。
  こういう裁判所ですから、そういう古くさい行政的な権限はもう要らないということを考えていたのかというと、そうではなくて、権限が自分たちから政治的な動きをするローカル地方の議会へ移ったのはかなり問題だということを言っておりました。
 もう一つのビール・パブ協会でございます。これはマーケティング関係の自主規制をするような業務を行っているということでございます。そこに書いてあるような、事業者団体ですから、やはり営業時間の規制、撤廃というのは、それはいい方向だというようなことを言っていました。この団体自体は、広告の自主規制を直接実施しているわけではなくて、より大きい広告、あらゆる業界統一の広告についての自主規制機関のルールが実際には適用されているということで、あまりここではそういう広告の自主規制の実務について詳しい話を聞くことはできませんでした。

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