日時: 平成16年3月24日 10:00〜11:30

場所: 国税庁第一会議室

出席者:

懇談会メンバー   奥村 洋彦 座長
    田中 利見 座長代理
    岡本 勝
    神崎 宣武
    小宮 信夫
    須磨佳津江
    田嶼 尚子
    寺沢 利雄
    本間千枝子
    水谷 研治
    御船美智子
    矢島 正見
説明者 国税庁   村上次長
    寺内酒税課長
    濱田鑑定企画官
    若尾酒税企画官
    初谷酒税課課長補佐
    小森酒税課課長補佐
    亀井酒税課課長補佐
    本宮酒税課課長補佐
    前田酒税課課長補佐
    土屋酒税課課長補佐

奥村座長
 それでは始めさせていただきます。「酒類販売業等に関する懇談会」といたしましては第12回目の会合なのですが、途中一度休憩をとっておりましたので、再開してからは2回目の会合ということで、本日の会合は1時間30分程度を予定しております。
 前回、酒税法改正などのこれまでの措置を受けまして、そのフォローアップについての説明を事務局の方からしていただきました。そして、今後の懇談会の進め方についてメンバーの方々に御検討いただいて、本日再開後第2回目の会合ということになったわけです。
  今回から検討事項を深め、また、より多角的に検討していくということで、新しいメンバーの方々の御参加を得ていますので、最初に新しくお入りいただきましたメンバーの方々の御紹介を私からさせていただき、また、できましたら簡単な自己紹介等いただければと思います。
 お一人目は立正大学文学部社会学科助教授の小宮信夫先生です。よろしくお願いいたします。

小宮氏
 どうぞ皆様よろしくお願いします。
 私は、犯罪社会学を専門にやっておりまして、特にその中でもコミュニティを基盤とした犯罪予防というものをやっております。どこまで皆さんのお手伝いができるか分かりませんけれども、自分の専門分野から少しでも貢献したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

奥村座長
 お二方目は、東京慈恵会医科大学内科学講座の主任教授でいらっしゃいます田嶼先生です。よろしくお願いいたします。

田嶼氏
 田嶼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は内科学が専門でございまして、特に糖尿病・代謝・内分泌を専攻しております。アルコールは肝臓の疾患はもとより、最近増えてまいりました糖尿病にも深くかかわっております。食事、特に男性の場合にはアルコールをどのようにコントロールするかということが糖尿病の根幹である食事・運動療法の要にもなっております。医学的な面、特に内科学の面からこの懇談会に多少なりとも貢献できればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

奥村座長
 お三方目ですが、中央大学文学部教授の矢島先生です。

矢島氏
 中央大学文学部の矢島でございます。
 私は小宮先生と同じ犯罪社会学、それから青少年問題の中でも少年非行等々と、それからもう1つは「性の社会学」という分野を研究させていただいております。
 お酒は大好きなもので、どういうふうに協力できるのか、今のところ悩んでおります。よろしくお願いします。

奥村座長
 よろしくお願いいたします。
 3人の方々にお加わりいただきまして、これで当懇談会のメンバーは総勢16名となりまして、様々な分野から御審議いただけることになり、大変ありがたく存じ上げています。
 前回お許しを得まして、私の時間がどうしても都合がつかない場合に座長代理として会の運営に当たっていただくということで田中先生にお願い申し上げましたところ、快くお引き受けいただいておりますので、御報告させていただきます。よろしくお願いいたします。

田中氏
 よろしくお願いします。

奥村座長
 それでは、本日の議題に入ってまいります。
 最初に、酒類業界・酒類行政の現状などにつきまして、第1次の懇談会で検討し、その後の動きについて前回概略をお伺いしているところでございますが、本日、大変詳しい、よい資料を改めておまとめいただいておりますので、前回とできるだけ内容を重複させない形で、初め事務局から御説明いただき、それについて意見交換などしていただきたいと思います。
 それでは事務局からお願いいたします。

若尾酒税企画官
 それでは、私の方から最初に説明させていただきます。
 説明資料と参考資料を用意してございます。厚いものですけれども、その説明資料を中心に説明したいと思います。
 ポイントを絞って説明させていただきますけれども、御不明の点がございましたら、意見交換の際、あるいは懇談会終了後、いつでも結構でございますので、御質問等をいただければと思います。
 参考資料の方は懇談会の進行する中で必要に応じて説明をしていくことにいたします。
 まず、酒類業と酒類行政の現状について御説明いたします。資料の1ページ目をお開きください。
 「酒類業の特性と変化」と、題したおなじみの表でございますけれども、前回の懇談会で酒類の特性を「嗜好品である」、それから「文化・伝統性を有する」、「致酔性・依存性を有する」、「課税物資である」ということで整理いたしました。
 このような特性をもつ酒類を取り扱う酒類業者については、酒類が課税物資であることから免許制が採られており、また清酒や焼酎等、酒類が古くから親しまれてきた飲料ということで、伝統性・地域性があり、かつその大部分が中小企業で占められております。
 この表は、酒類を巡る様々な環境の変化の中、販売競争が激化するとともに、未成年者の飲酒防止等、様々な社会的要請が高まってきているということを表しております。
 2ページでございますが、これも前回お示ししてある表でございますけれども、右上のところに「酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法」というものを加えております。
 それから3ページでございますけれども、酒類産業行政施策のフレームワークでございます。当庁におきましては、酒類業の所管官庁として必要な取組を幅広く行ってきております。これについても前回からお示ししてありますので、説明は省略したいと思います。
 4ページでございます。ここでは主な個別間接税として、酒税、揮発油税、たばこ税の租税収入に占める割合を折れ線グラフで表しております。酒税を黒丸で表しておりますが、昭和25年度が18.5%、平成14年度は3.7%となっています。棒グラフは租税収入の総額ですけれども、右端の平成14年度は総額で50兆円を割り込んでおりまして、酒税収入の占める割合は若干ですが増加しております。
 5ページでございます。酒税の転嫁と保全のスキームです。酒税の納税義務者は製造者と輸入者でございます。製造業者は販売価格に酒税相当分を含めて酒類を販売します。その価格に卸・小売の各段階で、マージンを含むコストがオンされて次々に転嫁され、最終的に消費者が酒税分を負担します。この酒税分を納税義務者である製造業者に円滑に管理をさせるシステムとして各段階で免許制が採用されています。
 ちなみに、酒税の負担割合は缶ビール1本当たり約36%ということで高率になっております。
 6ページでございます。平成4年度から14年度の国産・輸入合計の課税数量の推移でございます。この10年間は、酒類全体では毎年1,000万キロリットル程度で推移しています。ビールが減少し、雑酒の中の発泡酒が伸びていますけれども、その合計では若干減少している程度ということでございます。
 清酒についてはピーク時の半分程度になっており、グラフには現れておりませんけれども、平成15カレンダーイヤーでは、焼酎甲類・乙類の合計に逆転されております。
 また、リキュール類に分類されるチューハイが増加傾向にあります。
 一口で申しますと、低アルコール、それから低価格商品へのシフトが進むとともに、酒類全体の需要は若干減少しつつあるということが言えると思います。
 7ページでございます。成人1人当たりの課税数量の推移でございますが、実数でも100%アルコール換算数量でも右肩下がり、減っていることがお分かりいただけるかと思います。
 それから8ページになりますが、人口問題研究所の推計でございまして、日本全国の人口は再来年、2006年にはピークになって、それから減少に転じるということになっております。24年後の2030年には65歳以上の老年人口が総人口の3割を占め、老年人口割合が40%以上の自治体が3割を超えると見られております。高齢化社会の到来は、酒類需要の減少要因とも見られています。
 9ページでございます。免許場数の推移でございますが、酒類小売業免許場数は右肩上がりで、平成15年3月末時点で約15万件あります。平成15年9月には約2万件の新規申請がありましたので、現在も全国の税務署で順次審査のうえ、付与が行われています。
 卸売業免許場数、製造免許場数は最近緩やかな減少傾向にあります。
 10ページは、経済産業省の商業統計に基づく業種別店舗数の推移でございます。業種区分は一般的には品目別の売上金額が一番多いもので区分されており、酒類の小売高が一番多い店舗は酒類小売業ということになります。卸売業、小売業とも医薬品小売業を除いて専門店は減少傾向にあります。
 一番下の「許可等の件数」は、各所管省庁調べの数値ですけれども、お酒や医薬品、たばこの小売店は増加傾向にある一方で、米の小売店は、平成7年に許可制から登録制に変更されて大きく増加しましたけれども、現在は平成9年に比べて減少しています。
 お酒の場合、小売業については商業統計上の件数が6万5千件であるのに対し、免許場数が15万件ですから、専門店というよりは、「酒も置いてある店」が増えているということでございます。
 11ページでございますが、これは未成年者飲酒防止に向けた行政、関係業界の取組の状況をまとめたものでございます。
 12ページです。業界において、様々な取組が行われている一方で、昨年12月には内閣総理大臣を本部長に、関係閣僚で構成される青少年育成推進本部により、青少年育成施策大綱が決定されています。この大綱には、2カ所に酒類に関係する箇所がありまして、「10代の飲酒をなくす」、「未成年者が酒類を容易に入手できるような環境をなくすため、関係業界の働きかけを強化する」というふうに記載されております。
 13ページでございますが、様々な取組を行っているにもかかわらず、未成年者飲酒禁止法による検挙人員は平成15年には170人に増加しています。また、昨年の飲酒による少年の補導人員は3万6千人余りと、これも増加しております。また、下の表の飲酒により補導された不良行為少年の推移(年齢別)を見てみますと、11歳、12歳の増加も目立ってきています。
 14ページは、中・高校生の飲酒率の比較ですが、かなり高い割合になっているということでございます。
 それから15ページでございます。これは日刊紙に掲載されたアルコールに関する記事の中から、平成12年以降の未成年者の飲酒事例に限って抽出したものでございます。様々な未成年者の飲酒実態がお分かりいただけるかと思います。
 それから16ページでございますが、「適正飲酒」の推進、それから17ページ、「健康日本21」と「アルコール対策」、それから18ページの、アルコール関連問題国際専門家会議の概要につきましては、前に御紹介させていただいたものと大きな違いはありませんので説明は省略させていただきます。
 19ページでございます。酒類自動販売機の設置台数の推移でございますが、平成15年4月1日現在では5万4千台ということで、残存率が28.8%、改良型の自販機がそのほかに1万4千4百台あるということになっております。
 20ページでございます。交通違反取締件数の推移でございますが、平成14年の道路交通法などの改正で、酒酔い・酒気帯び運転に係る罰則規定が強化されていることもあり、件数は減少傾向にあるようです。
 21ページは、公正取引環境への取組でございます。左側に公正取引委員会における注意件数の推移がありますけれども、依然として酒類業者への注意がほとんどとなっております。また平成15年3月には酒類小売業者4者に対して「不当廉売」の警告が、平成15年12月には「取引条件等の差別取扱い」の警告・注意が酒類製造業者に対して行われております。
 それから22ページでございますが、酒類の小売価格の実態でございます。昨年末から年始にかけての小売価格の実態で、大容量の焼酎甲類、清酒紙パック製品の最低価格は、メーカー希望小売価格の半分ぐらいになっているということで、大変価格競争が激しいということがお分かりいただけるかと思います。
 23ページは、酒類容器のリサイクルの取組ですが、メーカーを中心にリターナブルの利用促進への取組や、小売店を中心に空容器などの資源の回収、有効利用への取組などを行っており、酒類業界は総じて積極的に取り組んでいると言えます。
 24ページは、主な環境法令ですが、これについては、説明は省略させていただきます。
 25ページは、中小酒類業の活性化・経営革新を支援するため、国税庁におきまして実施している様々な支援策でございます。後ほど御覧になっていただければと思います。
 26ページですけれども、酒類業者の中小企業割合でございます。ほとんどが中小企業ということになりますけれども、酒類業と中小企業白書の表に示されております全産業を比較しますと、酒類業の方が若干大企業の割合が高いということが言えます。
 27ページには、最近におけます小売業界に限った支援策などをまとめてあります。
 1の経営の改善に向けての支援策では、低利融資制度である「酒ローン」を創設いたしました。この4月からスタートいたします。
 それから(2)、(4)にありますけれども、転廃業の円滑化のための「マニュアル」の作成、「個別相談会」の実施なども進めているところでございます。
 以上で次の説明に移らせていただきます。

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