[小売販売業免許等のあり方は]
[利便性が前面に出ている反面、販売の管理などがルーズとの指摘など]
数次の規制緩和により、消費者利便は確実に拡充してきていると評価できる。なお、未だ新規参入希望者は多く、また、特殊免許者の条件緩和を希望する声も高い。
しかし他方で、酒類へのアクセス機会の増加に伴い、「未成年者の喫煙および飲酒行動に関する全国調査」で指摘されているように、未成年者飲酒が増加の傾向にあり、また、アルコールの健康に対する影響に関しては、政府の「健康日本21」運動において、「節度ある適度な飲酒」の知識の普及を図るなど、適切な酒類販売についての社会的要請が高まっており、同時に、経済的規制である販売業免許の社会的規制目的での運用も求められてきているとの指摘がある。
また、新規参入の増加により、競争が加速しており、酒税確保の見地からも、不当、過剰な競争を防止し、健全な市場を形成すべきとの要請も高まってきているとの指摘がある。
消費者利便の更なる向上等の見地から、今後も原則としては、人的・設備要件を満たせば参入を認めることが必要である。その際、急激・過度の退出により、酒税の回収確保上発生するリスクに対処する必要がないか。
そのためには、酒類市場を継続的にモニタリングした上、過度に競争状態になっている地域に限り、臨時的な需給調整の発動が行えるような仕組みを導入することはどうか。
[現在の「指針」や「酒類ガイドライン」に沿った公正取引への取り組みに加えてさらに何が求められるか。]
不当廉売・差別的取扱いのおそれがある思われる取引の存在と、そのことが酒類業界全体ひいては消費者利益にも反することとなることを認識し、公正取引への取組の必要性をより啓発するとともに、実効性を担保するための必要な手立て等を講ずべきではないか。
また、事業者及び行政は、消費者に対しても公正取引の観点からの必要な情報を提供すべきではないか。
酒類業の健全な発達とは、個々の企業においては、消費者ニーズや社会的要請に適切に対応することにより、適正利潤を確保し、もって酒類業全体として効率化・高度化が図られることをいう。
酒類販売業においては、消費者ニーズや社会的要請に的確に対応するとともに、公正な取引環境の整備に努める必要がある。
一方、行政においては、酒類販売業の健全な発達を図るため、業界サポート策を講ずる必要があるのではないか。