三村分科会長
それでは、これから酒類分科会を開催いたします。
分科会長の三村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
先ほど国税審議会本会でも御紹介がありましたけれども、五十嵐委員につきましては昨年10月に国税審議会委員に任命され、この酒類分科会の委員を務めていただくことになりましたので、改めまして皆様に御紹介させていただきます。五十嵐委員でございます。
五十嵐委員
三村分科会長
よろしくお願いいたします。
また、委員の皆様には大変お忙しい中、御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
本日は委員の過半数の方々が御出席でございますので、国税審議会令第8条第1項及び第3項の規定に基づき、本会は有効に成立しております。
国税庁の出席者につきましてはお手元の配席図のとおりでございます。
それでは、まず並木審議官から御挨拶いただきたいと思います。
並木審議官
酒税担当の並木でございます。よろしくお願い申し上げます。
本日は皆様御多忙の中、酒類分科会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。また、平素は酒類行政はもとより、税務行政全般にわたりまして深い御理解と御協力を賜り、誠にありがとうございます。この場をお借りして御礼申し上げます。
酒類につきましては、人口減少社会の到来ですとか、若者のアルコール離れとか、国民全般の健康志向ということを背景といたしまして、毎年消費量が減っていくという傾向が続いているところでございます。このような状況の中、酒類業者の方々におかれましては、この大変厳しい環境の中で経営の改善に向けた自律的な取組をされているという状況が続いているところでございます。
こうした中で国税庁といたしましては、酒税の保全や酒類業の健全な発達を図るといった観点から、先ほどの本会でも若干の説明がございましたが、輸出促進に向けた各種の取組ですとか、未成年者の飲酒防止といった社会的要請への対応ですとか、あるいは酒類の公正な取引に向けた取組といった様々な取組を進めているところでございます。今後も引き続き適切な政策の展開を図ろうと考えておりますが、そのためにはマーケットの動向とか業界の実情などに応じて取り組んでいこうと思います。このような大変変化の激しい中では、従来にも増して消費者の志向ですとか海外マーケットの動向ですとか、あるいは技術改革、技術進展なども踏まえた総合的な視点での検討をしていかなければならないと考えているところでございます。
そういう意味では、我々が検討していくに当たって、皆様方からいただく御意見は大変貴重なものであると考えております。本日の審議にとどまることなく、今後とも機会のあるごとにぜひ皆様からの御意見、御指導を賜りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
簡単ではございますが、開会に当たっての挨拶とさせていただきます。
三村分科会長
ありがとうございました。
それでは、議題の1の酒税行政の現状について事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
田村酒税課長
酒税課長の田村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
お手元の資料2を御覧ください。酒税行政の現状につきまして御説明させていただきます。
それでは、早速でございますけれども資料の1ページを御覧ください。こちらは先ほどの本会における資料と同じものでございますけれども、若干詳しく御説明申し上げます。財務省設置法において、国税庁は酒税の保全及び酒類業の健全な発達を図ることが任務とされております。これらを図るために様々な取組を実施しているところでございます。資料の上の方に○が2つありますが、まず1つ目の○を御覧いただきますと、酒税の保全を図る観点から、免許制度が採用されておりまして、これを適切に運用するということが肝要でございます。次に、その下の2つ目の○でございますけれども、消費者あるいは酒類産業全体を展望した視点から様々な取組を行うということでございます。
主な取組がその下に5つほど掲げておりますけれども、これらを大きく分けますと、1つの柱として、輸出の促進をはじめとした日本産酒類の全体の振興ということになるかと思います。それから、あえて大括りにして2つ目の柱という形で申し上げれば、コンプライアンスの確保といったことが挙げられます。こちらに書いております酒類の公正な取引環境の整備、適正飲酒あるいは酒類の表示の適正化、酒類の安全性の確保といったことが挙げられると考えております。これらについてしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
続きまして2ページを御覧ください。酒類の課税数量の推移についてでございます。酒類の課税数量を棒グラフ、酒類の課税額を折れ線グラフでお示ししているものでございます。先ほど審議官からも説明がありましたが、皆様も御案内のとおりかと思いますけれども少子高齢化に伴う日本国の人口の減少あるいは国民の健康に対する意識の高まり、生活様式の多様化などを背景といたしまして、酒類の課税数量は平成11年度に1,017万キロリットル、これをピークといたしまして平成28年度まで減少傾向で推移しているということでございまして、877万キロリットルとなっているところでございます。
他方、課税額につきましては、消費者の低価格志向により、いわゆるビール系飲料の新ジャンルあるいはチューハイといった酒税率の低い酒類へ需要がシフトしてきているといったことを理由といたしまして、平成6年度が約2.1兆円とピークでございますけれども、平成28年度は約1.3兆円となっているところでございます。
次に3ページを御覧ください。日本産酒類をめぐる最近の動向について御説明させていただきます。こちらの点につきましては恐らく委員の皆様の方がお詳しいところもあろうかと思いますけれども、私どもで把握している点をいくつか申し上げたいと存じます。
まず清酒でございますけれども、こちらは全体として消費数量は減少傾向にはございますが、いわゆる特定名称酒である純米酒あるいは吟醸酒といったものにつきましては輸出や国内需要の影響から製成数量が増加している状況でございます。
そうした中、この資料の上から2つ目の点でございますけれども、特に地方の酒蔵を中心に新たな購入層を開拓するためのいわゆる前向きな動きといったものが広がっているものと承知しております。地元産の米を重視した造りであるとか、伝統的な製法への回帰であるとか、あるいはスパークリング清酒、長期熟成酒などへの取組といったものが最近増えており、様々な取組がされていると承知しております。そうした中で、篠原委員が会長であられる日本酒造組合中央会におかれましては、毎年10月1日の日本酒の日に全国で一斉乾杯という取組を行っておられます。これは年々参加者が増えておりまして、昨年は約7万2,000人の方々が御参加しておられるなど、こういったかなり前向きな取組をしておられると承知しております。
また、同じ国酒である焼酎につきましては、需要が非常に安定しておりまして、消費も定着していると承知しております。そうした中、四国や大分では地元特産のはだか麦を原料にした特色のある麦焼酎が製造されているなど、新たな地域原料の特性を生かした焼酎への取組といったものも最近増えてきていると承知しております。
それから、資料の右側にはウイスキー、ビール及びワインについて、少し詳しく書かせていただいております。消費動向は区々でありますけれども、共通して言えますことは、例えば国際的なコンクールに入賞する事例が数多く出てきているということで、我が国のウイスキー、ビール及びワインに対しては、国内のみならず、国際的な注目も高まってきているという状況ではないかと認識しているところでございます。
次に4ページを御覧ください。こちらは最近の日本産酒類の輸出動向でございます。輸出金額を棒グラフ、輸出数量を折れ線グラフでお示ししたものでございます。平成28年の日本産酒類の輸出金額は前年比約10%増の430億円となり、5年連続で過去最高を記録している状況でございます。品目別に申し上げますと、輸出金額で最も大きいのはやはり清酒ということでございまして、全体の約36%でございます。以下ウイスキー、ビールの順となってございます。この棒グラフを御覧いただきますと、その3つが特に輸出金額を牽引している傾向が見ていただけるかと存じます。
平成29年の輸出金額の状況につきましては10月までの速報値で申し上げますけれども、こちらは日本産酒類全体で約440億円となっております。既に平成28年を上回っている状況でありまして、伸び率では25%増となっております。このように、平成29年も堅調に推移していると考えているところでございます。
次のページを御覧ください。こちらは先ほどの国税審議会本会でも説明した資料でございますので簡単に申し上げます。私ども国税庁といたしましては、こちらに大きく3点挙げておりますが、国内外における日本産酒類の情報発信の強化、発信力のある者に対する日本産酒類の知識の啓発、更には輸出環境整備といった取組を推進しているところでございます。時間の関係もありますので詳しい説明は省略させていただきますけれども、特に輸出環境整備につきましては最近大きな国際的な交渉等の動きがございましたので、こちらを中心に詳しく御説明させていただきたいと存じます。
それでは、次のページを御覧ください。昨年12月8日に交渉妥結に至りました日EU・EPAの交渉結果の内容につきまして御説明申し上げます。こちらは資料が2枚ございます。まず、ワインについての交渉結果を整理したものでございます。ワインにつきましては、交渉全体の大局的な見地に立った苦渋の決断といたしまして、日本側はワイン関税について即時撤廃としておりますが、同時に攻めの姿勢に立って幾つかの成果を確保したところでございます。それを以下申し上げます。
まず、これは当然でありますけれどもEU側のワイン関税についても即時撤廃を確保してございます。
次に、これは比較的大きな成果だと考えておりますけれども、非関税措置の分野におきまして、日本ワインの輸入規制の撤廃を確保しております。EUではワインの製造方法について、EU独自の基準を定めております。更に我が国からEUに輸出する際には、EUの基準に従って製造されているという証明書を添付することが義務付けられておりましたが、交渉の結果、今後はほとんどの日本ワインが業者の自己証明を付した形で輸出することが可能になるということでございます。更に申し上げますと、地理的表示の相互保護にも合意しておりまして、例えば、ワインのGIである地理的表示「山梨」についてEU域内での保護を確保しております。また、ワインの添加物についても、我が国では使えるけれども、EUでは使えない添加物、この反対についても同様でございますが、そのような添加物について、相互に使えるように手続を開始していくことについて合意したところでございます。
次に7ページを御覧ください。こちらが清酒及び焼酎の交渉結果となってございます。まず、EU側の清酒に対する関税が残っておりましたけれども、これについても即時撤廃を確保したところでございます。更に、清酒・焼酎におきましてもワインと同様に地理的表示の相互保護を確保しております。特に地理的表示「日本酒」についてEU域内での保護を確保したことにより、EU域内での差別化や将来にわたる日本酒のブランド保護が実現されることになります。更に、非関税措置の分野で、単式蒸留焼酎の容器容量規制の緩和を確保しております。EUでは蒸留酒について流通できる容器容量が定められておりまして、これまで日本の伝統的な容量である四合瓶あるいは一升瓶についてはそのままでの輸出が不可能となっておりました。今後は我が国で通常流通している容量でそのまま輸出できるということになりました。こちらも大きな成果であると考えております。
次に8ページを御覧ください。米国との関係で1つ動きがありましたので御報告させていただきます。御案内のとおり、米国におきましても今申し上げました蒸留酒の容器容量規制というものが存在しております。資料の中段にございますけれども、この点につきまして昨年11月に開催されました日米首脳会談での両首脳間において、「米側が蒸留酒の容器容量に係る規制を改正することを検討していることを確認した。」ということが盛り込まれてございます。このハイレベルでの確認を受けまして、今後米国内での規制緩和のための手続が進むことが見込まれております。この規制が緩和されれば蒸留酒の米国への輸出について追い風になってくるものと期待しているところでございます。
次に9ページを御覧ください。酒類の地理的表示制度についてでございます。当分科会におきましてはこれまで累次の御審議をいただいております。そして、日本産酒類のブランド価値の向上等を図っていくための有効な手段として更なる活用を図るため、平成27年10月に地理的表示制度につきましては指定要件を明確化するなどの見直しを行ったところでございます。
また、昨年3月に開催された当分科会以降の動きについて申し上げます。大きく3つございまして、まず、ワインの地理的表示「山梨」についての見直しでございます。これらにつきましては、資料10ページ以下で御説明させていただきます。
10ページを御覧ください。3点あると申し上げたうちの1点目でございますが、地理的表示「山梨」の変更についてでございます。こちらは昨年6月26日に見直しを行いました。内容について申し上げますと、資料にもございますけれども、まず酒類の特性といたしまして、ぶどう本来の香りや味わいといった品種特性がよく現れたバランスの良いワインと定義しております。この地理的表示「山梨」の酒類の特性を明らかにするその要因といたしまして、大きく自然的要因と人的要因を規定しております。自然的要因につきましては、こちらに書いているとおりでございますけれども、山間地のため風害等を受けにくく、ぶどう栽培地の多くが肥沃で排水も良好な緩傾斜にあるといった特徴があるということでございます。また、人的要因といたしましては、ぶどう栽培技術の創意あるいは改善が重ねられているという要因と定義をしているところでございます。
これらに加えまして、その下にありますとおり、管理機関を設立していただくということも盛り込まれているところでございます。
次に11ページを御覧ください。2点目でございますけれども、清酒の地理的表示「白山」についても変更してございます。こちらは昨年11月20日に見直しを行っております。その内容について申し上げますと、まず酒類の特性でございますが、資料にございますとおり、総じて米のうまみを生かした豊かなコクを有していると定義をしております。自然的要因といたしましては、カルシウムを多く含み、カリウムが少ない白山の水を使用することによって、米のうまみが引き出されるといった点がございます。また、人的要因といたしまして、地域ブランド「白山菊酒」を立ち上げるなど、酒類の特性維持と品質向上を図る取組がなされていることを記載しているところでございます。また、地理的表示「山梨」と同様に、管理機関の設立も盛り込まれているところでございます。
次に3点目でございます。12ページを御覧ください。こちらは現在進行中のものでございまして、昨年12月20日から今月の26日までの間、パブリックコメントを行っているものの内容でございます。こちらにございますとおり、壱岐、球磨、琉球及び薩摩の4つの地理的表示については、今後このパブリックコメントの結果を踏まえまして見直しを行っていくことを予定しているところでございます。国税庁といたしましては、引き続き酒類の地理的表示制度の説明あるいは国内での周知を行いまして、消費者の認知度の一層の向上を図っていきたいと考えているところでございます。
次に13ページを御覧ください。こちらがいわゆるワインの表示ルールでございます。このルールにつきましても当分科会におきまして御審議いただき「果実酒等の製法品質表示基準」というルールを定めさせていただいたところでございます。いよいよ3年間の経過措置期間を経まして、本年10月30日から適用開始を迎えることとなります。
14ページを御覧ください。皆様方には以前にも御説明させていただいた内容で恐縮でございますけれども、ワインの表示ルールのポイントを若干御説明させていただきます。国産ぶどうのみを原料とし、日本国内で製造されたワインを「日本ワイン」と表示することができること、また、日本ワインに限り特定の地域のぶどうを85%以上使用している場合にはそのぶどうの産地名を表示することができることになっており、ここがポイントであると考えております。
例として、資料の下に日本ワインの表示例が3つあります。そのうちの一番左にございますワインの産地名が表示できる場合についての事例を御覧ください。この場合でありますが、例えば東京都で収穫したぶどうを85%以上使用していて、東京都で醸造したワインは「東京ワイン」としてワインの産地名を表示できるといったルールでございます。
大変お手数ですが、13ページにお戻りいただきまして、その下に記載させていただいてございますけれども、国税庁といたしましては、このルールの適用開始に向けた取組を本格化しているところでございます。例えばQ&Aの充実を図ること、個々のワイナリー事業者の方々へ丁寧に御説明を行うこと、あるいは消費者の方々に一層の周知を行っていくなどの取組を鋭意行っているところでございます。国税庁としては、しっかりと引き続き取り組んでいきたいと考えているところでございます。
続きまして15ページを御覧ください。酒類の公正な取引環境の整備に向けた国税庁の取組につきまして御説明申し上げます。一昨年5月に成立しました議員立法による酒税法等の一部改正法に基づく酒類の公正な取引に関する基準の制定に当たりましては、一昨年及び昨年の当分科会で御審議をいただいたところでございます。昨年3月に酒類の公正な取引に関する基準を制定したわけでありますけれども、本日は、昨年3月から現状までの私ども国税庁の取組等を中心に御説明させていただきたいと存じます。
こちらの資料にも書かせていただいておりますけれども、当基準の制定後、全国では約20万場になりますが全ての酒類業者の方々へ基準の内容を分かりやすく記載したパンフレットを送付させていただいております。これに加えまして全国各地で、延べ830回の説明会を国税庁、国税局及び税務署が連携して開催しておりまして、このような取組により当基準の周知徹底を図ったところでございます。また、当分科会におきましても、消費者の方々にも分かりやすく説明すべきであるという大変貴重な御意見をいただいたところでございましたので、国税庁のホームページにこの公正な取引の基準について分かりやすく説明したページを設けたりであるとか、あるいは新聞広告でPRしたりであるとか、このような取組を可能な限りさせていただいたところでございます。
これらを経まして、昨年の6月に基準が施行されたわけでございますけれども、その後の取組としてはむしろ酒類業者に対する調査をしっかり行うという段階に移ってきてございます。国税庁といたしましては、価格動向あるいはチラシ広告などの資料情報を収集・分析いたしまして、調査先を選定した上で秋以降に各国税局において本格的な取引状況等実態調査を実施しているところでございます。引き続き、公正取引委員会とも連携しながら、深度ある調査を実施していきたいと考えております。
19ページを御覧ください。こちらの資料からがいわゆる社会的要請への取組でございますが、大きく分けまして、地球温暖化対策、それからアルコール健康障害対策の2つがあると認識しているところでございます。19ページは地球温暖化対策についてでございます。
このいわゆる低炭素社会実行計画につきましては、地球温暖化の防止に取り組むため、各産業の業界団体が国内の事業活動から排出されるCO2の削減目標を自主的に策定することとなってございます。酒類業界におきましてはビール酒造組合が当計画を策定し、CO2の排出削減に取り組んでおられます。こうした経緯から、この後、昨年に引き続きましてビール酒造組合から低炭素実行計画の取組について御報告いただくこととしております。
なお、付言いたしますと、CO2排出削減についてはビール酒造組合だけではなく、例えば日本酒造組合中央会におかれましても様々な取組をしておられますし、当然酒類業界全体としてしっかりと取り組んでいっていただいております。私どももそういったことを後押しさせていただいているということは付言させていただきたいと思います。
それからもう一点、20ページを御覧ください。こちらが一昨年5月に閣議決定されましたアルコール健康障害対策推進基本計画でございます。国税庁といたしましては、本計画を踏まえまして、酒類業界と連携をして、未成年者の飲酒防止など、不適切な飲酒の誘引防止に取り組んでいるところでございます。具体的な取組といたしましては、21ページを御覧ください。毎年4月の未成年者飲酒防止強調月間において、資料に掲載しているようなポスターあるいはパンフレットを酒販店に配付し、未成年者飲酒防止に向けた取組の徹底を行っていただいております。加えまして、資料下にございますけれども、租税教室あるいは新規の免許付与時といったあらゆる機会を活用いたしまして、この「お酒について知っておきたいこと」等の冊子を配付する取組も行っております。今後も不適切な飲酒の誘引の防止に向けた取組をしっかりと行っていきたいと考えているところでございます。
時間の関係もございますので恐縮ですが、22ページ以降は参考資料とさせていただいております。まずは平成30年度税制改正案等についてでございます。税制改正自体は政府税調の所掌でございますので当分科会の審議事項ではないことは承知してございますけれども、昨年及び今年と酒税行政上重要な改正が多くなされてございますので、少し簡潔に触れさせていただきたいと存じます。
23ページを御覧ください。こちらは昨年末に閣議決定されました平成30年度税制改正大綱の抜粋でございます。こちらの内容についての詳細な資料は24ページ以降でございます。
24ページを御覧ください。こちらは清酒等に係る酒税の税率の特例措置、いわゆる中小特例と言われる制度でございます。前年度の課税移出数量が1,300キロリットル以下であるいわゆる中小事業者が対象になりますが、その者が移出する清酒や焼酎等の酒類について、一定数量までの酒税を軽減する措置でございます。この特例措置につきましては本年度末に期限が到来することとなってございましたけれども、清酒等の製造者のうち、その前年度の酒類の総課税移出数量が1万キロリットルを超える、いわゆる大手の酒類製造者を適用対象から除外するといった所要の見直しを行った上で適用期限を5年延長することが盛り込まれているところでございます。
それから、次に25ページを御覧ください。こちらはいわゆる震災特例と呼ばれているものでございまして、東日本大震災で甚大な被害を受けた被災酒類製造者の方々に対する軽減措置を拡大するという特例でございます。清酒を例に御説明いたしますと、中小特例による軽減割合が20%の場合に、この震災特例によりまして更に5%の酒税が軽減されることになるわけでございます。この震災特例につきましても、本年度末に期限が到来することとなってございましたが、今般政府の復興期間と併せてその適用期限を3年間延長するということが盛り込まれたところでございます。
続きまして、26ページを御覧ください。これはいわゆる地ビール特例というものでございます。ビールに関する酒税の税率の特例でございますが、こちらは清酒等と同様に前年度の課税移出数量が1,300キロリットル以下のビール製造者が移出するビールにつきまして一定数量までの酒税を軽減するというものでございます。こちらも本年度末に期限が到来することになっておりましたけれども、3年間期限を延長することが盛り込まれたということでございます。
それから、27ページ以降につきましては、これは昨年も御紹介させていただきましたけれども、やはり重要な改正でありますので若干その後の経過等についても触れさせていただきたいと存じます。いずれも平成29年度の税制改正により措置されたものでございます。
まず、27ページを御覧ください。酒蔵ツーリズムにおける酒税免税制度でございます。こちらは昨年10月1日に施行されました。制度を簡潔に申し上げますと、訪日旅行者が帰国時に持ち帰るお酒につきまして、消費税が免除される輸出物品販売場の許可を受けた酒類販売場において、新たに輸出酒類販売場の許可を税務署から受けた場合には、消費税だけではなく、酒税についても免税で販売できるという制度でございます。資料の中段にございますとおり、施行日における許可件数は49件となってございましたけれども、最近ではこの49件に対して倍以上となってきておりまして、許可を受けている酒蔵の数も着実に増えてきているところでございます。更に、酒類製造者からそれ以上の相談を各税務署で受けておりますので、今後もこの制度を御活用していただく酒蔵は増えていくものと考えております。私どもといたしましては、引き続き日本酒造組合中央会をはじめとする酒類製造者の団体と協力しながら、本制度の普及・拡大に向けた取組を進めていきたいと考えているところでございます。
次の28ページを御覧ください。こちらは酒税法におけるビールの定義の拡大等についてでございます。本年4月から施行される予定となっておりますので、詳しく御説明させていただきます。ビールの定義の拡大についてのポイントでございますけれども、地域の特産品を用いた地ビールを後押しする観点及び外国産ビールの実態などを踏まえまして、麦芽比率については、従来67%以上となっておりましたが、これを50%以上に緩和するといったものでございます。また、副原料につきましては、果実や一定の香味料を少量用いている商品、これらは従来発泡酒と定義されていたものですが、これらが新たにビールの定義に追加されることになります。この定義の拡大は商品開発あるいは地方創成の観点から大きな改正ではないかと考えているところでございます。
それからもう一点、資料一番下※印の果実酒のところを御覧ください。こちらも本年4月からの改正ということになりますけれども、いわゆるワインの範囲に、果実酒にオークチップを浸して、その成分を浸出させたものを追加することとされております。こちらも平成29年度税制改正で措置されたものでございます。本年10月のワインの表示ルール施行後はこの果実酒も日本ワインに含まれることになるということも付言させていただきたいと存じます。
次に、29ページを御覧ください。こちらはビール系飲料の税率構造の見直しでございます。消費者の負担が急激に増えることにならないように、税率の見直しを3段階で行います。最終的には平成38年10月に1キロリットル当たり15万5,000円に一本化されるということでございます。
次に30ページを御覧ください。醸造酒類の税率構造についても大きな税制改正が行われております。同じ醸造酒である清酒と果実酒間の税率格差を解消するということを目的といたしまして、こちらは2段階に分けて行いますが、最終的には平成35年10月に1キロリットル当たり10万円に一本化されるということも決定されております。
次に、31ページを御覧ください。こちらはチューハイ等の税率構造の見直しでございます。平成38年10月に1キロリットル当たり10万円に引き上げるということが決定されているということでございます。
以上、長時間いただきまして酒税行政の現状を御説明させていただいたところでございます。委員の皆様もお感じになられたかもしれませんけれども、ここ数年来、酒税行政の取組内容は非常に多岐にわたっております。私どもといたしましては、酒類業を取り巻く環境の変化を踏まえながら、消費者、酒類産業全体を展望した総合的な視点から、引き続き、様々な取組を行っていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
三村分科会長
御説明ありがとうございました。
それでは、今の御説明につきましての質問は2つ目の議題が終了してからということでお願いしたいと思います。
次の議題でございますが、地球温暖化対策に係るビール製造業の低炭素社会実行計画についてということでビール酒造組合から御説明をいただくことになっております。それではビール酒造組合の関係者の皆様、どうぞお入りください。
(説明者 入室)
三村分科会長
どうぞお座りください。
御紹介させていただきます。ビール酒造組合の滝本専務理事、それから齋藤審議役でいらっしゃいます。それでは、地球温暖化対策に係るビール製造業の低炭素社会実行計画について、滝本専務理事から御説明をお願いいたします。
ビール酒造組合(滝本専務理事)
それでは、資料3にございます資料3-1の「【概要】ビール業界におけるCO2排出量削減の取組について」を御覧ください。こちらの資料に基づきまして御説明をいたします。
この資料において、ビール業界とは、ビール酒造組合に加盟しておりますキリン、サッポロ、サントリー、アサヒ及びオリオンの5社を指しております。
その5社の活動でございますが、経団連の環境自主行動計画に1996年から参画しておりまして、省エネとかCO2排出量削減に取り組んできております。2013年になりまして、環境自主行動計画に次ぐ新しい計画として低炭素社会実行計画に参画しております。2008年からこの酒類分科会においてフォローアップをいただいており、今回も出席させていただいて説明しておるということでございます。
この低炭素社会実行計画を策定するに当たり目標値を定めております。2020年度の炭酸ガス総排出量の値を51.1万トン、それから2030年度は46.3万トンを目標に設定しております。2013年にスタートしましたので、この2013年のところを見ていただきますと、実績が49.2万トン、2014年が48.1万トン、2015年が47.3万トン、2016年が46.5万トンという実績になっておりまして、いずれの年も2020年度の目標値であります51.1万トンという値を達成してきております。
なぜ、このように削減できたのかということは4番のところに記載しております。一番大きな要因といたしましては、ビール工場のボイラー設備や冷凍設備になりますが、これらに使用する燃料を液体燃料から都市ガスに転換することにより、CO2排出量を抑制してきているというのが一番大きな要因でございます。
物流面の取組といたしましては、従来はビール各社それぞれがお得意先に商品を届けておりましたが、これを共同にて商品をお届けすることにより、トラックの使用台数が減少しますので、これによってCO2が削減されていくということになります。これまで2社共同とか3社共同で、ある特定のエリアだけで展開してきているところを、昨年9月からでございますけれども、初めてオリオンさん以外のビール4社により、北海道の東部エリアで、共同で商品をお届けする取組をスタートさせてきております。これは、トラックでなく貨車で配送しており、年間で330トンのCO2の削減を見込んでおります。これはトラックの台数に換算すると約800台分のCO2排出量になります。
それから、エネルギーの使用原単位で考えてみますと、1990年を1といたしますと、2016年は0.515という指数になっておりまして、1990年度の約半分のエネルギーでビールの製造ができるようになってきたということでございます。
5番のところでございますけれども、このようにCO2の排出量を削減してきておるわけでございますけれども、これから先についてはなかなか大きく削減するのは困難であるところまできております。先ほど申し上げました2030年度の目標値につきましては2010年度をベースに毎年1%ずつ削減していこうとすると46.3万トンになります。現在この46.3万トンを目指して地道に取り組んでいこうとしておるところでございます。
以上でございます。
三村分科会長
ありがとうございました。
それでは、今までの御説明につきまして皆様方から御質問等をお願いいたします。
河村委員
御説明ありがとうございました。色々と酒税課長から御説明いただきましたが、資料15ページに記載されている酒類の公正取引のところで意見を申し上げさせていただきたいと思います。
酒類の公正取引については、大分この酒類分科会でも審議したと思いますが、私も審議に参加させていただいておりましたので、昨年ついに実施されたのだなと非常に気になって拝見しておりました。ただ、メディアの報道をいろいろ見ておりますと、この制度に対する世の中の受け止め方が非常に気になりました。消費者にとってお酒は安ければ安いほど良いということもあり、安売りの対象にされていて、また、大手の小売店が、不透明なリベートなどにより、お酒の値段を安くしたことによって、街の酒屋さんの経営が厳しくなりどんどんその数が減ってきております。本日、配付された資料には記載されておりませんが、前回開催された酒類分科会では業態別の円グラフの資料があり、その資料では一般の酒販店が年々減少していました。そのような認識を持っていたのですが、実際の報道を見ておりますと、ビールの値段が上がって大変ですとか、報道によっては財務省や国税庁が税金を多く取ろうと悪巧みしているといったようなものもあり、非常に残念に感じました。消費者側からすると表面的にはそのような受け止め方になってしまうのは止むを得ないところもあるとは思いますが、そのような受け止め方になってしまわないためにどのような目的でこの取組を行っており、実際にどういう効果が出てきているのかということを説明する段階にきているのではないでしょうか。この点について、国税庁のお考えをお尋ねしたい。
また、先ほどの御説明にもありましたが、現在、調査をされていると思いますが、その調査の内容についてはつまびらかにすることはできないのかもしれませんが、例えば、どのような事例があったのかとか、小売店の業態がどのように変化してきているのかを業態別の円グラフ等で示せれば、消費者も少しは納得するのではないでしょうか。どうもこの議員立法が意図しているところを消費者の方々が受け止めてくれていないような気がして、とても残念に思います。その辺についてもどのようなお考えなのかをお尋ねできればと思います。
田村酒税課長
貴重な御質問どうもありがとうございます。
まさに委員の皆様御案内のとおり、この議員立法の背景につきましてはこの制度の制定時に立法府において御議論されておりましたが、酒類は財政物資であり、かつ致酔性を有する特殊な物資であるということを踏まえて、過度な価格競争を防止する必要がございました。また、法律において国税庁が公正な取引の基準を定めるということが盛り込まれました。このような背景から当分科会においても2回にわたり御審議いただき、昨年の3月に公正な取引基準を制定し、同年6月から施行・運用してきている状況でございます。
マスコミも含めて消費者の方々にしっかりと周知、広報を徹底していくということの重要性は河村委員がおっしゃるとおりでございます。制度の周知、広報につきましてはこれまでも様々な形で行ってまいりましたけれども、引き続きあらゆる機会を捉えて行っていきたいと考えているところでございます。
次にどのような効果があったのかという御質問がございましたので回答いたします。この法律の施行後の酒類業界の動きとしましては、国内には酒類販売場が全部で約20万場ございますので、一概に一括りにして回答することは困難ではございますが、一般的に申し上げますと、従来お酒の世界では過度な価格競争からお酒の質というよりも、量で勝負するということもあり薄利多売という傾向にありました。また、いわゆるおとり商品ということで、仕入原価を下回るような値段でチラシの目玉広告にするなど、堂々と廉価販売を行っているような販売場も一部にはございました。国税庁といたしましては、このような状況にあったと認識しておりましたけれども、この基準の施行後は、酒類業者の方々の中には、そのような原価割れ販売を自制してきている者も出てきていると思っています。また、この基準の大きな柱であるリベートにつきましては、不透明なリベートは価格の計算に算入できないことを明記いたしましたので、このようなリベートを見直すような動きも出てきていると承知をしているところでございます。
このような状況は酒類業界の水面下で行われている営業活動の部分でございますので、消費者やマスコミの方々には目に見えないところでございます。単にビールの価格が上がったなどの表面的な部分だけを報道されているきらいもあるのではないかと思っております。
いずれにいたしましても、この基準をしっかりと運用していって、調査権限も与えられておりますので、適正に調査も行っていきたいと考えているところでございます。
須磨委員
ビール酒造組合さんのこれまでの御努力に感心しております。これだけCO2の排出量を減らすのは相当な御努力をされた結果だと思います。しかし、ビール酒造組合に加盟する5社に限定されているということですが、その他の企業がこうした御努力に追随するような動きというのはあるのでしょうか。現状を教えていただけますか。
ビール酒造組合(滝本専務理事)
先ほど申し上げましたように、ビール酒造組合というのは5社が加盟している組織です。この5社でこれまで経団連の環境自主行動計画に参画して取り組んできているということでございます。御質問にありました、加盟5社以外のいわゆる地ビールメーカーさんの状況ついては承知しておりません。ただ、組合加盟5社に勤務していた技術系の方が地ビールメーカーさんに再就職されたりしておりまして、そういった方がCO2排出削減ための設備はこういうものがいいですとか、このような取組をしたらいいですよと提案されているともお聞きしております。また、技術系の方々同士の交流会というのもあり、そこでビール酒造組合の取組についての情報を入手して対応されているというようなところもあろうかと思います。
須磨委員
つまり、ビール酒造組合で行っている取組は地ビールメーカーにも影響を与えているということですね。
ビール酒造組合(滝本専務理事)
須磨委員
三村分科会長
他の方はいかがでしょうか。
では、私から1つ質問がございます。先ほどの御説明にありました北海道での4社共同配送というのは大変優れた試みだと思いますが、最近の物流というのは非常に人手不足であるとかコストが掛かっていることが問題となっておりますが、北海道以外でもおやりになるというお考えはございますか。
ビール酒造組合(滝本専務理事)
方向性としては、他のエリアにも広げていくということになっておりますが、この取組につきましては、各社の物流拠点がそのエリアに共通して存在することがポイントになっております。そのため、どこのエリアにおいてもできるかというとなかなか難しいものですから、各社の物流拠点が集中しているエリアでまずやっていこうという考え方に立っております。そういう意味では、まずは北海道というところは遠距離ということもありますので、東部エリアがその第1段階として決まったということでございます。このエリアでうまく機能することが確認できれば、次のエリアに展開していこうというような考え方に立っております。
三村分科会長
他の方々はいかがでしょうか。
それでは、ビール酒造組合の取組について御質問がありましたらまた改めてお願いいたします。では、先ほどの議題1についての質問をお願いしたいと思います。
渡辺委員
先ほど色々と詳しく御説明いただきましたが、資料の2ページに日本国内ではビールの消費量が減って、課税数量も減っているということでした。これは日本国内で生産された分ということでしょうか。例えば輸入した分というのはこの課税数量に含まれているのでしょうか。
田村酒税課長
これは課税数量でございますので、輸入分も入ってございます。
三村分科会長
佐藤委員
少々細かいことを教えていただきたいのですが、資料の13ページ下囲いにあるワインの表示ルールのところの1ポツに「地名の取扱い」がございますが、そこの括弧書きの意味を御説明いただけませんでしょうか。
田村酒税課長
これは、例えばこれまで「○○ワイン」という銘柄で伝統的に製造されておられたワインがあるといたしまして、その○○という名称が偶然ぶどうの収穫地やワインの醸造地と一致する場合であるとか、そのような場合の取扱いをどうするのかというかなり技術的な規定でございます。ここもQ&Aの中で取扱いを明確化してございまして、なるべく事業者の方々の理解が得られるようにしっかり周知徹底を図っているところでございます。
三村分科会長
今のところワインの地理的表示として指定されているのは山梨だけでしょうか。また、将来的に増える可能性はございますか。
田村酒税課長
ワインの地理的表示として指定されておりますのは分科会長の御質問のとおり、今は地理的表示「山梨」のみでございます。他方、御案内のとおり、近年日本ワインの生産地は山梨以外にも増えてきてございますので、そのような地域の方々の中には山梨に続いて地理的表示の指定を受けようと検討されておられるところもあると承知しているところでございます。
三村分科会長
五十嵐委員
勉強不足でございますが、今まではビールが税収の大きな柱でありましたが、年々減少してきているということでした。特に今年は安売り規制や消費者のビール離れということがあると思うのですが、この傾向というのはずっと続くと見られているのでしょうか。あるいは資料の後ろの方にありました税率構造の長期的な見直しですとか、ビールの定義の拡大等がある程度の何らかの効果を発揮するのでしょうか。将来の見通しみたいなものについて教えていただけますか。
田村酒税課長
御質問どうもありがとうございます。
酒税の中で一番課税金額が多いのはまさにビールでございます。そのビールにつきましては、本日ビール酒造組合の方々にもお越しいただいておりますけれども、昨年の消費量につきましては様々な報道がなされておりましたとおり、ビールの最盛期である夏場においてかなり天候不順があったというような要素などもございまして減少になったと承知しております。
このような中、長期的に見ますと、いわゆるビール系飲料という中で、先ほども御説明申し上げましたけれども、消費者の方々が安価なお酒を好むという傾向がございますので、発泡酒であるとかいわゆる第3のビールと言われるリキュールとかに該当するようなものに需要がシフトしてきていた面があると承知しております。ビールの消費量というのは資料2ページにあるとおり、長期的に見ましてもやはり減少傾向で推移してきたという状況にあろうかと思います。
そうした中で、ビールの将来的な消費動向、課税移出数量動向を見通すことはなかなか困難ではございますけれども、まさに五十嵐委員からもお話がございましたとおり、この4月からビールの定義も拡大されるという中で、ビールの大手各社も既に記者発表などをされておられますけれども、この法改正を考慮した新商品の開発などにも鋭意取り組んでおられると承知しております。国税庁といたしましてはそのような各社の前向きな動きをしっかりと注視していきたいと考えているところでございます。
三村分科会長
五十嵐委員、よろしいでしょうか。他にいかがでしょうか。
手島委員
ビールの定義を拡大していくこととか、日本酒やワインを地理的表示として指定してその価値を高めるための取組をしていることについて、残念ながら、実際の小売現場で勤務されている販売者の方々が意外に知られていないのではないかと思うことがございます。そのため、そのような現場の方々への情報周知をどのように行っておられるのかを教えていただきたいと思います。
田村酒税課長
まず、小売現場の方々への情報提供といたしましては、本日お越しいただいたビール酒造組合さんも含めました各業界団体中央会の方々が集まる会合が毎月行われており、その業界団体の中には小売業者の方々で組織された小売酒販組合中央会という組織がございます。当中央会からは会長が出席しておられまして、行政側から私自身も出席させていただき、この場において、詳しくこのような制度改正等の周知をさせていただいております。この内容を当中央会を通じ各連合会あるいは県の団体、地域の団体に伝達されていると承知しております。
しかし、小売だけでも全国に18万場ございますので、このルートだけではなかなか行き届かないところもあろうかと思います。御承知のとおり、国税庁は全国に国税局や税務署がございますので、これらの窓口に必要な情報が記載されたパンフレットなどを置いて、納税者の方々に提供しております。本日、手島委員から御指摘をいただきましたので、本日の資料等につきましては、改めまして当中央会に情報提供させていただきまして、全国18万場に行き渡るように努めたいと思います。
また、当中央会だけではなく、いわゆる大手スーパーやコンビニといった業界団体にも御協力いただきましてできるだけ多くの方々にこのような大きな制度改正等につきまして御理解いただけるように努めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
三村分科会長
ありがとうございました。
そろそろお時間も迫ってきておりますが、その他によろしゅうございましょうか。篠原委員から何かございますか。
篠原委員
私からは特段申し上げることはございません。よくやっていただいておると思います。これまでお酒は財政物資ということから、取れるところから取れば良いというような、余りにも複雑な税金の取り方をしておりましたが、今回の税制改正により非常に分かりやすいものになったと思います。それが海外でも評価される形になってきたのではないかと思っています。ありがとうございます。
三村分科会長
ありがとうございました。
それでは、ここまでということにさせていただきます。
本日、御意見をいただいた中で1つ見えてきたことがございます。先ほどの酒類の公正取引についてですとか、日本とEUのEPA交渉結果の内容についても重要なことをやってらっしゃるのにその取組の内容がなかなかうまく消費者等に伝わっていないのではないかと感じました。情報が何となくどこかで切れているところがございますので、是非国税庁からもしっかりと広報をお願いしたいと思っております。特に消費者がよく理解できるような形でやっていただくとよろしいのではないかと思っております。
それでは、一応質疑はこのあたりとさせていただきます。
本日予定しておりました議題は以上でございます。
なお、本日の議事要旨及び議事録の公開につきましては、国税審議会議事規則第5条、酒類分科会議事規則第4条にのっとりまして、まずは簡潔な内容のものを議事要旨として公表し、議事録は完成次第公表させていただきたいと存じます。また、議事録につきましては、公表前に皆様の御発言内容に誤りがないかを委員の皆様に御確認いただいた上で公表したいと思っております。また、議事要旨の内容等につきましては、分科会長一任ということでさせていただきたいのですが、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
三村分科会長
ありがとうございました。
それでは、これをもちまして、第19回酒類分科会を閉会とさせていただきます。
本日はどうもありがとうございました。
また、ビール酒造組合の皆様、本日は御協力ありがとうございました。
――了――