(平成16年12月 「酒類販売業等に関する懇談会」取りまとめ)

3.社会的な要請への今後の対応のあり方

(1) 未成年者飲酒防止への取組

2 酒類の広告宣伝、製品・販売場所における表示の見直し
 現在、酒類の広告宣伝については、酒類業者で構成する「飲酒に関する連絡協議会」による自主基準があるが、すべての者がこの基準を完全に遵守しているものではないことから、欧州での民間団体による規制実施の例も参考に、基準に関する違反行為を是正する仕組みを検討することも考えられる。なお、酒類の広告宣伝では、飲酒の弊害も含めて消費者の判断材料を幅広く提供していくことも重要である。
 酒類の広告宣伝や製品・販売場所における表示については、より説得力・実効性のある表示の文言等を検討すべきである。具体的には、酒類の製品への表示について、未成年者の飲酒の健康面での弊害を記載するといったことが考えられる。また、酒類の販売場所への表示について、現在、販売場所においては、「酒類の売場である」旨や「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」旨の表示が義務付けられているが、これに「年齢を証明できない場合は酒類の購入はできません」といった表示を加えたらどうかという意見があった。
 また、未成年者飲酒防止のためのパンフレットやポスターについては、未成年者が飲酒をしてはいけない根拠について記述することが必要である。その際、メッセージをより効果的に伝達できる掲示場所について検討すべきである。

(2) 適正飲酒の定着

 適正飲酒を定着させるうえでは、大量飲酒が内科疾患の誘因となることや妊産婦の飲酒が胎児の発育に影響を与える可能性があることについて、知識の普及啓発を行っていく必要がある。大量飲酒や妊産婦の飲酒の弊害については、問題が発生した場合の深刻度に比して、その認知度が低く、重要な課題として認識されるべきである。
 これらの問題への対処については、消費者の自己管理・自己責任に帰する部分が多く、規制的手段によるよりも、知識の普及啓発を重視すべきである。
 知識の普及啓発に当たっては、学校における早期の教育のほか、適正飲酒の推進を目的とする公益法人である社団法人アルコール健康医学協会の取組など、関係省庁及び業界が緊密に連携した一層の取組が求められる。
 知識の普及啓発の手法として、健康への意識の高い者や妊産婦に対しては、飲酒の弊害に関する注意表示の効果が高いと考えられる。このような人たちを対象とした広告宣伝や製品への表示のあり方を中心にルール整備を図る必要がある。現在、各社の自主的な取組で実施されている妊産婦の飲酒に関する表示の義務化や、大量飲酒への注意表示のルール化を含め、幅広く検討していく必要がある。
(後略)