未定稿

1 日時

平成11年10月29日(金)10:00〜12:00

2 場所

国税庁第二会議室

3 議題

添付書類の取扱いについて

4 議事概要

  1. (1) 事務局から添付書類の取扱いに係る論点について説明が行われたのち、討議が行われた。
  2. (2) 出席者からの主な意見
    • ○ 生命保険料控除等の証明書は、将来電子的に発行が可能となるのではないか。また、住宅借入金等の特別控除に関する添付書類について、借入金の残高証明書は銀行等から電子的に発行可能と考えられるし、登記簿謄本や住民票なども電子的に入手可能となることが予想されることを考えると、最終的に書面による提出が必要となるのは、公的機関が関与しない売買契約書の取扱いをどうするかという問題になるのではないか。なお、源泉徴収票の提出が必要かどうかについては、納税者番号制度の導入とも関係する部分もあるのではないか。
    • ○ 法人税の場合は、第三者が作成する添付書類が少ないので、貸借対照表や損益計算書などをタグ付き文書などで電子的に提出することにすれば、添付書類の問題は小さいのではないか。
    • ○ 電子申告という言葉の中に、源泉徴収票などの法定調書の電子化を含めて考えてはどうか。
    • ○ 公的年金のみの場合の申告については、納税者から源泉徴収票の現物を提出しなくても、社会保険庁から磁気テープで源泉徴収票が提出されているから、申告書に基礎年金番号を記載させるなどの方法で対応できるのではないか。高齢化社会により、年金に係る確定申告件数の増加が予想されることからみても効果的ではないか。
    • ○ 大企業では、外国税額控除に関する添付書類が多く、これらを税務当局に提出するための手間が相当かかっており、仮にこれを納税者保管として取り扱ってもらえば、企業側にとってメリットがある。
    • ○ 課税の公平性の観点から考えると、仮に添付書類を納税者が保管することとしても、いきなりすべての添付書類をそのように取り扱うのではなく、納税者保管とするもの、申告内容のチェック上提出が必要なものといったように、ある程度分けて考えていった方がよいのではないか。特に法人税の場合は、添付書類を納税者が保管するという取扱いに適しているものが多いのではないか。
    • ○ 添付書類の取扱いについて議論をする場合にも、どの税目を電子申告の対象とすべきかを念頭において考える必要がある。できる限り多くの税目で納税者利便に応えようとの前提で議論することには賛成である。
    • ○ 添付書類については、納税者が作成するものと第三者が作成するものとがある。このうち、まず、納税者が作成するものは電子的に提出することとして取り扱うとのコンセンサスを得ておくべきではないか。また、第三者が作成する書類については、取引先や関連機関にコストがかかっており、これらのコストはできる限り低い方がよい。
    • ○ 添付書類を納税者が保管するとした場合に、申告時には現物がなくて、後でそろえればよいということはあってはならないのではないか。技術的には申告時点に添付書類の現物がないと作れないようなデータを届けさせるなどの仕掛けを作ることは可能である。
    • ○ 納税者が書類を保管することにした場合、確認が必要な場合に「紛失した」等の申立てをされ、事実確認のための事務が増加して税務署が混乱するようなことを避けるため、納税者が書類をきちんと保管するインセンティブが働くような制度が必要ではないか。
    • ○ 現行の制度では、税理士が関与して添付書類を確認していることが一つのチェック機能を果たしていると考えられるのではないか。電子申告の場合は、仲介者の位置づけをはっきりすべきであり、仲介者が添付書類を保管することとしてもよいのではないか。
    • ○ 税理士は、その公共的使命から、納税者と国税庁の中立的な、独立公正な立場を要求されている。また、税理士法には守秘義務や署名・押印の規定がある。仮に仲介者の制度を取り入れるのであれば、仲介者は税理士が適任であり、税理士に保管義務を課すこととすればスムーズにいくという面もあるのではないか。
    • ○ 電子申告は納税者利便等の観点から導入するということだが、導入の結果、税務行政にさまざまな影響が出て納税水準が落ちるというようなことは避ける必要があるのではないか。
    • ○ 仮に、添付書類を納税者が保管することとすると、かなり長期間保管しておく必要が生じるが、そのことがかえって納税者に負担を強いることになり、納税者利便にマイナスとなることも考えられるのではないか。
    • ○ 添付書類の取扱いについて、納税者の義務と権利のどちらに重心を置くのかが問題と思う。すべて同じ取扱いにしなくても、添付書類を提出するか保管するかを選択できるようにしてもよいのではないか。
    • ○ 添付書類を提出する場合には、申告データと添付書類をマッチングするための番号が必要ではないか。
    • ○ 添付書類については、ほとんど電子的に提出できるもの、別途書面で提出すべきもの、期日だけ守り後でチェックするもの、といったように区分して考えるべきではないか。
    • ○ 第三者が作成する添付書類の取扱いについて、公的機関が作成するものと民間ベースのものとがあり、特に個人情報保護の問題など充分な検討をすべきではないか。
    • ○ 電子申告する人と書面で申告する人の取扱いについて、現在でも給与所得者は年末調整時に給与の支払者に生命保険料控除証明書などを提出しており、自営業者などとは取扱いに差が生じている。
    • ○ 同じ税目で、電子申告を行うか紙で申告するか選択の自由があるとすれば、取扱いに差があってもかまわないと考えられるが、あまり大きな差が生じると不公平になるのではないか。
    • ○ 添付書類の取扱いをどうするかという問題は、添付書類の提出を不要とすることによる納税者の利便性と、適正な課税の実現に対する国民の考え方−つまり事後的なチェックをサンプル的な形で行うことでよいとするのか、従来どおり事前のチェックを行うことがよいとするのか−をどのように考えるのかという税務行政の在り方の問題に関わってくるのではないか。
    • ○ 電子メールが好きな世代とそうでない世代が存在すると思うが、21世紀は電子化の時代だろうから、電子的に提出したい人とそうでない人が併存できるように検討を進めていく必要がある。仲介者については税理士に限定するのではなく、新しい商売が出てきてもよいのではないか。
    • ○ 税務署の中に、パソコンを利用して電子申告できるようなコーナーを作ることも考えてよいのではないか。

以上    

連絡先:国税庁長官官房企画課
電話:03−3581−4161(内:3685)


(メンバー)

  • 座長 水野 忠恒 一橋大学法学部教授
  • 栗原 正明 東レ株式会社経理部主計課税務グループリーダー
  • 小室 裕一 自治省税務局企画課長
  • 篠原 滋子 株式会社現代情報研究所代表取締役所長
  • 田中 一志 日本税理士会連合会情報システム委員会副委員長
  • 利根川 政明 利根川印刷株式会社代表取締役社長
  • 本庄 資 国士舘大学政経学部教授
  • 松本 勉 横浜国立大学大学院工学研究科助教授

(当局側)

国税審議官、企画課長、事務管理課長、所得税課長、法人税課長、国税企画官、大蔵省主税局税制第三課長