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- 「申告手続の電子化等に関する研究会」第7回会合 議事要旨
未定稿
1. 日時
平成12年1月12日(水)10:00〜12:00
2. 場所
国税庁第一会議室
3. 議題
- (1) その他の論点
- (2) 総合的な議論
4. 議事概要
- (1) 事務局から、記名(署名)・押印に代わる本人確認の方法や事前手続等その他の論点について説明が行われた後、討議が行われた。
さらに、事務局から、「研究会における主な意見等の整理(メモ)」について説明が行われた後、総合的な討議が行われた。
- (2) 出席者からの主な意見
【その他の論点】
- ○ 電子申告を行う場合、事前に届出する等何らかの手続を求めるかどうかについて、納税者の利便性の観点からも検討すべきではないか。
- ○ 電子申告を行うための何らかの事前手続は、当然必要であると考えられるが、その手続の方法を単純明快な形にしておけば、納税者の利便性はそれほど低下しないのではないか。
- ○ 納税者番号制度のあるアメリカにおいては、電子申告の際に納税者番号データを送信しているが、それでも別途署名が必要であるという問題は残っている。わが国の電子申告の場合でも、本人確認は厳密に行う必要があるが、他方、あまり厳密にすると、申告のために相当の手間がかかり、利便性の向上にならず、この辺りが大変難しいところではないか。
- ○ 現在の書面による申告の場合を考えれば、電子的な手続において本人確認が難しいからといって、事前に徹底的な本人確認を行うということは必要ないのではないか。
- ○ 「電子政府の実現」という流れの中で、国民の側が、電子申告に限らず各省庁の申請手続毎にID番号やパスワードなどを持たなければならないとすると、不便な面も出てくるのではないか。
- ○ 現在の社会生活の中で社会保険番号や免許証番号などがあり、住民票コードができればそれもあるという具合に、既にいろいろな番号が使われている。国民全体として電子政府の実現に向けて統一したほうがよいというのであれば、それでよいと思うが、むしろ一つに統一することの方が弊害が大きいのではないか。
- ○ 電子申告における本人確認についてID番号等を付与する方法を採用する場合には、多数の国民に番号を付与することになる可能性があるので、納税者番号と混同される懸念があることから慎重な議論が必要ではないか。
- ○ 納税者番号制度とは、納税者に付与した番号を一定の経済取引において使用することを義務づける制度であり、電子申告を行うために番号を付与したとしても、納税者番号制度の導入とは全く異なると考えられる。
- ○ 電子申告におけるID番号は、電算処理を行う上で「誰のデータか」を識別するためのものであると位置づければ、番号について厳密に考える必要はなく、現行の書面の申告で使用されている整理番号でも十分機能するとも考えられるのではないか。
- ○ 電子認証を採用し、基本的な技術について同じシステム作りをしておけば、将来、事実上すべての国民が統一的な公開鍵証明書を利用できるような環境になったときにも、大きなシステム変更をせずに対応できるのではないか。
- ○ 公開鍵を利用した電子署名を利用する場合、署名生成鍵や検査鍵は、通常は個々の利用者の手元のソフトウェアやICカード内部で生成して、公開鍵を然るべき認証機関に届けることになる。あるいは、特定のオーソリティーが署名生成鍵と検査鍵を作成して、署名生成鍵だけを本人に渡すという方法もある。どのようなやり方が望ましいかは、よく議論すべきである。
- ○ 個人の電子認証については、将来的には市町村の印鑑証明などをベースにしたものが考えられるが、どのような形で利用可能であるかについては、今後の検討課題であると考えられる。
- ○ 本人確認の方法について、現在でも、運転免許証や住民票の写しあるいは顔写真がない証明書でもよいとかいろいろな方法がある。電子認証の場合でも、公的な証明書とともに民間の認証機関による証明書を含め、複数の手段を選択できる形にしておいた方がよいのではないか。
【総合的な議論】
- ○ 中小企業では現在でも税理士に相談しながら申告書を作成し提出している。電子申告において仲介者のあり方を考える場合、申告データの作成と出力、送信を分けて考える必要はないのではないか。
- ○ パソコンが得意でなく、税の知識も詳しくない人も電子申告に参加できるように、税務署にパソコンを設置するなど、納税者が気軽に電子申告ができるコーナーをつくるべきではないか。
- ○ アメリカにおいては、ウォークイン・サービスといって窓口に足を運ぶと税務署の職員が電子申告の指導を実地に行ってくれるサービスがある。わが国においても、ある程度納税者がステップを踏んで電子申告に習熟していく仕組みやトレーニングの場として税務署がサービスしていくことを考えていくべきではないか。
- ○ 電子申告を普及させるために、税務当局はもちろん関係団体も協力して指導や広報に努めていくべきではないか。
- ○ 匿名性が保たれることを前提として、オンライン上で申告についてシミュレーションできるシステムや納税者が税に関する相談ができるサイトを用意すべきではないか。
- ○ 電子申告の周辺では、おそらく、ホームページを開設して無料で税務相談を行う者が出てくると考えられる。その場合、相談の相手が資格のある者かどうか納税者には判らない。今の時代のインターネットの土壌みたいなものを含めて、納税者と税務当局との間で何が起こるかということについても、よく考えておく必要があるのではないか。
以上
連絡先:国税庁長官官房企画課
電話:03−3581−4161(内:3685)
「申告手続の電子化等に関する研究会」第7回会合 出席者
(メンバー)
- 座長 水野 忠恒 一橋大学法学部教授
- 栗原 正明 東レ株式会社経理部主計課税務グループリーダー
- 小室 裕一 自治省税務局企画課長
- 篠原 滋子 株式会社現代情報研究所代表取締役所長
- 田中 一志 日本税理士会連合会情報システム委員会副委員長
- 利根川 政明 利根川印刷株式会社代表取締役社長
- 本庄 資 国士舘大学政経学部教授
- 松本 勉 横浜国立大学大学院工学研究科助教授
- 山根 一眞 ノンフィクション作家
(当局側)
国税審議官、企画課長、事務管理課長、所得税課長、国税企画官